多少台詞なんかが違ったりはするんですが、そこはご愛嬌ってことで
トキワシティ。
マサヒロとイーブイは、ついに最後のジムがある街へと到着した。
「……トキワシティ」
マサヒロは街の入口で立ち止まる。
「ここまで来たんだな……」
「ブイ!」
隣でイーブイが元気よく鳴く。
マサヒロは少し笑った。
「最初に旅に出たときは、こんなところまで来るなんて思わなかったよな」
「ブイ!」
「……ちょっと振り返ってみるか」
マサヒロは歩きながら、これまでの旅を思い出していく。
* * *
すべての始まりは、マサラタウンだった。
マサヒロは、幼い頃から一緒だったイーブイと共に家を出た。
向かった先は、オーキド研究所。
そこでマサヒロは、オーキド博士から一匹のポケモンを託された。
「フシギダネ!」
「ダネ!」
「今日からよろしくな!」
こうして。
イーブイとフシギダネ。
二匹の仲間と共に、マサヒロの旅は始まった。
「俺、カントーチャンピオンになる!」
あのときは、まだ何も知らなかった。
それでも。
夢だけは、はっきりしていた。
* * *
ニビシティへ向かう途中。
マサヒロは、オニスズメの群れに襲われている一匹のビードルを見つけた。
「ビードル!」
マサヒロはビードルを助けた。
すると。
助けてもらったビードルは、マサヒロについてくるようになった。
「俺と一緒に来たいのか?」
「ビー!」
「よし!」
こうしてビードルも仲間になった。
そして――。
ニビシティ。
待っていたのは、ジムリーダーのタケシだった。
「絶対に勝つ!」
初めてのジム戦。
マサヒロは、イーブイ、フシギダネ、そしてビードルと力を合わせて戦った。
激しい戦いの末。
「グレーバッジ!」
初めてのジムバッジを手に入れた。
「やったぁ!」
あのときの嬉しさは、今でも忘れられない。
* * *
そして、おつきみやま。
そこで。
「ビー……!」
ビードルの身体が光り始めた。
「え?」
光の中で、ビードルの姿が変わっていく。
「コクーン!」
「ビードルがコクーンに進化した!」
「すごい!」
こうして、ビードルはコクーンになった。
その後も旅は続いた。
* * *
ハナダシティ。
水のジムで、三姉妹との三対三のバトルに挑んだ。
そこでフシギダネは、フシギソウへ進化。
コクーンもスピアーへ進化した。
そして最後には。
「スピアー、ダブルニードル!」
スターミーを倒し、ハナダバッジを手に入れた。
「二個目だ!」
けれど。
この戦いで、イーブイは初めて敗北した。
「……負けた」
悔しかった。
でも。
「負けたからって、終わりじゃない」
マサヒロはイーブイにそう言った。
「次は勝とう」
「ブイ!」
このときから。
マサヒロは、負けることからも何かを学ぶようになった。
* * *
旅を続ける中で、仲間は増えていった。
ヤマブキシティでは、バルキーと出会った。
そしてガーディ。
さらに、釣りをしているときにはミニリュウとも出会った。
気がつけば、たくさんの仲間ができていた。
そして。
もう一人。
マサヒロには、負けたくない相手がいた。
シゲル。
「絶対にシゲルを超える!」
シゲルとの戦いは、いつもマサヒロを熱くさせた。
六対六で戦ったときも、互いに三匹ずつ勝ち抜いて引き分け。
決着はつかなかった。
「ポケモンリーグで決着をつけよう!」
その約束を胸に、二人は別れた。
* * *
旅には、出会いだけではなく別れもあった。
バルキーは、もっと強くなるためにシバとの修行を選んだ。
マサヒロは寂しかった。
けれど。
「もっと強くなってこいよ」
「バルキー!」
マサヒロは、バルキー自身の気持ちを尊重した。
そして。
ミニリュウが進化したハクリューもまた、竜の谷で守りたいものを見つけた。
ミニリュウや仲間たちを守るため、カイリューへ進化した。
「お前が守りたいものを守れ」
カイリューとの別れも辛かった。
でも。
仲間の選んだ道を応援する。
それもトレーナーの役目だと、マサヒロは知った。
* * *
セキチクジム。
ここでマサヒロは、初めてジム戦に敗北した。
「俺は……まだ弱い」
そんなマサヒロの前に現れたのが、リョウだった。
リョウもまた、ジム戦に負けた経験を持っていた。
それでも努力して、再戦して、勝利していた。
マサヒロも負けてはいられない。
そして再戦。
スピアーとウインディの力でセキチクジムを突破した。
「ピンクバッジ!」
さらにガーディは、ウインディへ進化した。
「これで六個!」
旅は、少しずつゴールへ近づいていた。
* * *
サファリゾーンでは、ハクリューとの出会いに隠された秘密を知った。
そして竜の谷で、カイリューと別れた。
その後。
ポケモン保護区で、暴れるギャラドスと出会った。
マサヒロはギャラドスを捕まえた。
しかし――。
「全然言うこと聞かない……」
ギャラドスは強く、荒々しかった。
マサヒロは暴れるギャラドスを怖がり、あまり外に出さなくなった。
この問題は、まだ解決していない。
* * *
そして、グレンタウン。
ここでマサヒロは、初めてイーブイの本当の過去を知った。
それまでマサヒロは、イーブイを普通のイーブイだと思っていた。
特別なポケモンだなんて、考えたこともなかった。
ところが。
ランスから聞かされた。
イーブイには、E-01という過去があった。
ロケット団の研究所で生まれ、過酷な実験を受けていた。
そして。
かつては人間を恐れていた。
「……知らなかった」
マサヒロは、イーブイを見る。
「お前に、そんな過去があったなんて」
それでも。
マサヒロにとって、イーブイはイーブイだった。
「でも、そんなの関係ないよな」
「ブイ!」
「お前は俺の家族だ!」
イーブイも、力強く鳴いた。
その後、ランスがイーブイを狙って襲撃してきた。
マサヒロは絶対にイーブイを渡さなかった。
「イーブイは俺の家族だ!」
そしてイーブイも戦い抜き、ランスを倒した。
* * *
グレンジム。
七個目のバッジをかけた戦い。
激しいバトルの中で、フシギソウはフシギバナへ進化した。
そして最後は、イーブイ。
「エボルブラスト!」
これまで一度使うだけでも大きな負担だった技。
それをイーブイは、繰り返し使えるようになった。
進化しなくても強くなれる。
それがイーブイの強さだった。
「クリムゾンバッジ!」
七個目のバッジを手に入れた。
* * *
そしてグレンタウンでは、最後の仲間とも出会った。
古代のポケモン、プテラ。
復活したばかりのプテラは、現代の世界を知らず、不安を抱えていた。
マサヒロは、その気持ちを感じ取った。
イーブイもプテラに寄り添った。
そして。
プテラは少しずつ心を開いてくれた。
「これから一緒に行こうぜ!」
こうして、六匹目の仲間が加わった。
イーブイ。
フシギバナ。
スピアー。
ウインディ。
ギャラドス。
プテラ。
マサヒロの仲間は、六匹になった。
* * *
グレンタウンを出たあと。
再びリョウと戦った。
最初はイーブイとサンド。
進化しないことを選んだ二匹の戦いだった。
激しい戦いの末、イーブイが勝利。
続くプテラはパルシェンに敗れた。
そして最後は――。
ギャラドス。
しかしギャラドスは、マサヒロの命令を聞かずに暴れ続けた。
そしてカビゴンに完敗。
マサヒロは、自分の弱さに気づいた。
「俺は……ギャラドスを怖がってた」
だから、ちゃんと向き合えていなかった。
リョウの言葉が胸に残った。
「もっとギャラドスを信じて使ってやれよ」
「……そうだな」
マサヒロはギャラドスのボールを見る。
「今度こそ、ちゃんと向き合おう」
* * *
「……いろいろあったな」
回想を終えたマサヒロは、トキワシティの街を歩いていた。
隣にはイーブイ。
腰には、六匹の仲間たちのモンスターボール。
「最初はイーブイとフシギダネだけだった」
「ブイ!」
「ビードルと出会って……」
「ブイ!」
「いろんな仲間が増えて……」
「ブイ!」
マサヒロは空を見上げる。
勝った。
負けた。
笑った。
泣いた。
仲間が増えた。
仲間と別れた。
たくさんの人と出会った。
そして。
たくさんのことを学んだ。
「……長かったな」
マサヒロは七個のバッジを取り出す。
「でも、あと一個だ」
「ブイ!」
マサヒロはトキワジムを見る。
「最後のジム!」
拳を握る。
「ここを勝てば、ポケモンリーグだ!」
そして。
「シゲルとの決着も待ってる」
イーブイを見る。
「ここまで来たんだ」
「ブイ!」
「絶対に勝とうぜ!」
「ブイ!」
マサヒロとイーブイは、最後のジムへ向かって歩き出した。
最初は、イーブイと二人だった。
そこからフシギダネと出会い。
ビードルと出会い。
たくさんの仲間と出会った。
たくさんの別れも経験した。
そして今。
七個のバッジを手に、最後の街までやって来た。
「行こう、イーブイ!」
「ブイ!」
カントーチャンピオンへの道。
残るバッジは――あと一つだった。