ポケットモンスターブラウン   作:光宙

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37話 トキワジム崩壊!四天王キクコとの決戦!

トキワシティ。

 

マサヒロとイーブイは、最後のジムを目指して街の中を歩いていた。

 

「いよいよ最後のジムだな!」

 

「ブイ!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「ここで勝てば、バッジは八個!」

 

「ブイ!」

 

「そのままポケモンリーグに行けるぞ!」

 

イーブイも嬉しそうに跳ねる。

 

二人はトキワジムへ向かって歩いていく。

 

しかし。

 

「……ん?」

 

マサヒロが足を止めた。

 

「なんだ、あれ……」

 

「ブイ?」

 

その先に見えたのは――。

 

「……え?」

 

トキワジムだった。

 

いや。

 

正確には。

 

かつてトキワジムだった建物だった。

 

壁は大きく崩れ、屋根もなくなっている。

 

周囲には瓦礫が散らばり、ところどころ黒く焦げていた。

 

「う、嘘だろ……」

 

マサヒロの顔が青ざめる。

 

「トキワジムが……」

 

「ブイ……」

 

「壊れてる……!」

 

マサヒロは慌ててジムへ駆け寄る。

 

「どういうことだよ!?」

 

最後のジム。

 

ここまで来たのに。

 

「まさか……ジム戦できないのか!?」

 

「ブイ……」

 

そのとき。

 

「おやおや」

 

後ろから声が聞こえた。

 

「そんなに慌てて、どうしたんだい?」

 

「え?」

 

マサヒロが振り返る。

 

そこには、一人の老婆が立っていた。

 

「おばあさん……」

 

「このジムのことが気になるのかい?」

 

「はい!」

 

マサヒロは勢いよく頷く。

 

「一体、何があったんですか!?」

 

老婆は崩れたジムを見る。

 

「少し前にね、ガス漏れがあったのさ」

 

「ガス漏れ?」

 

「ああ」

 

老婆はため息をつく。

 

「そのガスに、何かの拍子で火がついてね」

 

「まさか……」

 

「大爆発さ」

 

「爆発!?」

 

マサヒロは目を見開く。

 

「じゃあ、中にいた人たちは!?」

 

「幸い、大きな怪我人は出なかったよ」

 

「よかった……」

 

マサヒロは胸を撫で下ろす。

 

しかし。

 

「だが、ジムはこの有様さ」

 

老婆は崩れた建物を見る。

 

「営業を続けられる状態じゃない」

 

「じゃあ……」

 

マサヒロの表情が曇る。

 

「ジム戦は……?」

 

老婆はゆっくりと口を開いた。

 

「それなんだがね」

 

「?」

 

「ここのジムリーダーだったサカキという男は、事故の責任を取ってジムリーダーの権利を放棄したのさ」

 

「じゃあ、今は誰がジムリーダーなんですか?」

 

すると。

 

老婆がニヤリと笑った。

 

「アタシさ」

 

「え?」

 

「アタシが代理として派遣されたのさ」

 

老婆は自分の胸を指差す。

 

「アタシの名前はキクコ」

 

「キクコ……」

 

「四天王のキクコだよ」

 

「えっ!?」

 

マサヒロの目が大きくなる。

 

「四天王!?」

 

「そうさ」

 

キクコは楽しそうに笑う。

 

「トキワジムが使えなくなったからね。代理のジムリーダーとして、アタシが派遣されたってわけさ」

 

「じゃあ……!」

 

マサヒロの顔が明るくなる。

 

「ジム戦はできるんですか!?」

 

「ああ」

 

キクコはジムの裏側を指差す。

 

「幸い、野外のバトルフィールドは無事だからね」

 

「本当ですか!?」

 

「あそこでなら戦えるよ」

 

「やった!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「最後のジム戦ができる!」

 

「ブイ!」

 

イーブイも嬉しそうに鳴いた。

 

* * *

 

野外バトルフィールド。

 

マサヒロとイーブイは、フィールドの反対側に立つキクコと向かい合っていた。

 

「まさか四天王の人と戦えるなんて……」

 

マサヒロは緊張しながらも、目を輝かせている。

 

「俺、七個のバッジを持ってます!」

 

「ほう」

 

「あと一個なんです!」

 

マサヒロは七個のバッジを見せる。

 

「だから、絶対に勝ちたい!」

 

キクコは笑った。

 

「その意気込みは嫌いじゃないよ」

 

そして。

 

「だが、一つ言っておくよ」

 

「?」

 

キクコの表情が少し真剣になる。

 

「アタシは四天王だ」

 

「はい」

 

「四天王であるアタシが、ジム戦で本気を出すわけにはいかない」

 

「……」

 

「今回は代理のジムリーダーだ。だから、少し手加減してやるよ」

 

マサヒロは首を横に振った。

 

「嫌です」

 

「ほう?」

 

「手加減なんてしてほしくありません」

 

「……」

 

「俺は最後のジム戦に来たんです」

 

マサヒロはキクコを真っ直ぐ見つめる。

 

「やるからには、キクコさんにも全力で戦ってほしいです!」

 

「ブイ!」

 

イーブイも声を上げる。

 

キクコはしばらく黙っていた。

 

そして。

 

「……生意気な小僧だねぇ」

 

ニヤリと笑った。

 

「だが、嫌いじゃないよ」

 

キクコはモンスターボールを取り出す。

 

「いいだろう」

 

「!」

 

「お前さんがそこまで言うなら、アタシも本気で相手をしてやるよ」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ」

 

キクコは三つのモンスターボールを手にする。

 

「ただし――」

 

「?」

 

「アタシは三匹しか使わない」

 

「三匹……?」

 

マサヒロが驚く。

 

キクコは笑う。

 

「四天王のアタシが、お前さんと同じ六匹を使ったら、さすがにハンデがなさすぎるからね」

 

「……!」

 

「だから、アタシは三匹」

 

キクコは三つのボールを見せる。

 

「その代わり――」

 

不敵な笑み。

 

「三匹しか使わない代わりに、全力のポケモンを使ってあげるよ」

 

「……!」

 

マサヒロの表情が変わる。

 

キクコの言葉から、ただならぬ強さを感じた。

 

「俺は……六匹全部で戦っていいんですね?」

 

「ああ」

 

「本当に?」

 

「もちろんさ」

 

キクコは頷く。

 

「お前さんは六匹」

 

「俺が六匹……」

 

「アタシは三匹」

 

「三対六……」

 

「そういうことさ」

 

マサヒロは少しだけ考える。

 

しかし。

 

すぐに拳を握った。

 

「分かりました!」

 

「ほう」

 

「その条件でお願いします!」

 

「ブイ!」

 

マサヒロは腰のモンスターボールを見る。

 

イーブイ。

 

フシギバナ。

 

スピアー。

 

ウインディ。

 

ギャラドス。

 

プテラ。

 

六匹の仲間たち。

 

「俺たち六匹で、全力で戦います!」

 

「いい目をするようになったねぇ」

 

キクコは笑う。

 

「それじゃあ――」

 

審判がフィールド中央へ立つ。

 

「これより、トキワジム代理ジムリーダー・キクコと、挑戦者マサヒロによるジム戦を開始します!」

 

「使用ポケモンは――」

 

審判が宣言する。

 

「挑戦者マサヒロ、六匹!」

 

「そして代理ジムリーダー・キクコ、三匹!」

 

マサヒロはボールを握る。

 

「最後のジムだ……!」

 

「ブイ!」

 

「絶対に勝つぞ、イーブイ!」

 

キクコもモンスターボールを構える。

 

「さあ、お前さんの七つのバッジが本物かどうか――」

 

キクコは不敵に笑った。

 

「アタシが確かめてあげるよ」

 

マサヒロも笑う。

 

「望むところです!」

 

最後のジム戦。

 

六匹対三匹。

 

ハンデを背負った四天王キクコとの決戦が――。

 

今、始まる。




今回の時系列はサトシのトキワジム戦後になる為ジムが崩壊しています。
ジム崩壊の理由がガス漏れになっているのは…まぁサカキが上手く揉み消したんでしょう()
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