ポケットモンスターブラウン   作:光宙

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38話 アローラのガラガラ!ギャラドスとの絆!

トキワジム。

 

その野外バトルフィールドで。

 

マサヒロとキクコは、向かい合っていた。

 

「それじゃあ、始めようかねぇ」

 

キクコがモンスターボールを取り出す。

 

「アタシの最初のポケモンは――」

 

ボールが開く。

 

「出ておいで、ガラガラ!」

 

「ガラガラ!」

 

フィールドに現れたガラガラ。

 

しかし。

 

「……え?」

 

マサヒロは目を見開いた。

 

「ガラガラ……?」

 

「ブイ?」

 

マサヒロの知っているガラガラとは、明らかに姿が違っていた。

 

黒い身体。

 

燃えるような炎をまとった骨。

 

そして、その骨を両手に持っている。

 

「なんだ……このガラガラ……」

 

キクコはニヤリと笑う。

 

「おや、見たことがないかい?」

 

「はい!」

 

マサヒロはガラガラをじっと見る。

 

「俺の知ってるガラガラと全然違う……!」

 

「そうだろうねぇ」

 

キクコは説明する。

 

「このガラガラは、アローラ地方のガラガラさ」

 

「アローラ地方?」

 

「カントーとは違う地方だよ」

 

キクコはガラガラを見る。

 

「ポケモンは暮らす環境によって、姿や性質を変えることがある」

 

「へえ……」

 

「これはリージョンフォームって呼ばれているのさ」

 

「リージョンフォーム……」

 

「アローラの環境に適応するため、ガラガラも姿を変えたってわけさ」

 

マサヒロは頷く。

 

「なるほど……」

 

しかし。

 

マサヒロはすぐに自分のボールを取り出した。

 

「でも、ガラガラはガラガラだ!」

 

キクコが笑う。

 

「ほう?」

 

「姿が変わっても、ガラガラならじめんタイプ!」

 

マサヒロは一つのボールを投げる。

 

「行け、フシギバナ!」

 

「フシギバナ!」

 

フシギバナがフィールドへ出る。

 

「まずはパワーウィップ!」

 

「バナ!」

 

巨大なツルが伸びる。

 

ガラガラへ向かって振り下ろされる。

 

「ガラガラ!」

 

ガラガラは骨を構える。

 

しかし。

 

パワーウィップが直撃した。

 

「よし!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「効果は……」

 

しかし。

 

ガラガラは倒れない。

 

「……あれ?」

 

キクコが笑う。

 

「どうしたんだい?」

 

「パワーウィップが、あまり効いてない……」

 

キクコは楽しそうに笑った。

 

「そりゃそうさ」

 

「え?」

 

「アローラのガラガラは――」

 

キクコが指を向ける。

 

「じめんタイプじゃないんだからねぇ!」

 

「えっ!?」

 

ガラガラの身体から炎が噴き上がる。

 

「ガラガラ!」

 

「フレアドライブ!」

 

「ガラガラァ!」

 

炎をまとったガラガラが、一気に突進する。

 

「フシギバナ、避けろ!」

 

「バナッ!」

 

しかし。

 

間に合わない。

 

ドォン!

 

フシギバナが吹き飛ばされる。

 

「フシギバナ!」

 

そのまま地面へ倒れた。

 

「フシギバナ、戦闘不能!」

 

「そんな……!」

 

マサヒロは呆然とする。

 

一撃だった。

 

「ガラガラのタイプは――」

 

キクコが言う。

 

「ほのお・ゴーストさ」

 

「ほのお……ゴースト……」

 

マサヒロはガラガラを見る。

 

「じゃあ、じめんじゃないのか……!」

 

「そういうことさ」

 

キクコは笑う。

 

「知らない相手と戦うときは、見た目だけで判断しちゃいけないよ」

 

「……!」

 

マサヒロは歯を食いしばる。

 

「分かりました!」

 

すぐに次のボールを握る。

 

「だったら、ほのおタイプに強いポケモンだ!」

 

ボールを投げる。

 

「行け、プテラ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが大空へ飛び上がる。

 

「空から攻撃だ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが急降下する。

 

「かみつく!」

 

「ガラガラ!」

 

ガラガラが骨を構える。

 

しかし。

 

プテラの攻撃が直撃。

 

「ガラガラ!」

 

ガラガラが後ろへ吹き飛ぶ。

 

「よし!」

 

マサヒロは喜ぶ。

 

「やっぱり、プテラなら!」

 

「ほう」

 

キクコは笑った。

 

「ちゃんと弱点を突いてくるじゃないか」

 

プテラが再び空へ上がる。

 

「そのまま空から攻め続けろ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが上空を旋回する。

 

「ガラガラ、ホネブーメラン!」

 

「ガラガラ!」

 

ガラガラが骨を投げる。

 

骨が回転しながら、プテラへ向かって飛んでいく。

 

「プテラ、避けろ!」

 

プテラが横へ飛ぶ。

 

骨はそのまま通り過ぎていった。

 

「……?」

 

マサヒロは首を傾げる。

 

「当たってない?」

 

キクコは笑った。

 

「当たり前さ」

 

「え?」

 

「ひこうタイプのプテラに、じめん技のホネブーメランなんて効かないからねぇ」

 

「じゃあ、どうして……」

 

その瞬間。

 

「ガラガラ!」

 

ガラガラが跳んだ。

 

「えっ!?」

 

ガラガラは、自分が投げたホネブーメランへ向かって跳躍する。

 

「なっ……!」

 

空中で骨を踏み台にするように跳び――。

 

「シャドーボーン!」

 

「ガラガラァ!」

 

骨が黒い影をまとっていく。

 

「プテラ!」

 

ドゴォン!

 

至近距離から攻撃を受けたプテラが、大きく吹き飛ばされる。

 

「プテラ!」

 

地面へ落下。

 

「プテラ、戦闘不能!」

 

「……!」

 

マサヒロは言葉を失った。

 

フシギバナ。

 

そしてプテラ。

 

二匹が、ほとんど何もできないまま倒されてしまった。

 

「くそっ……!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「強すぎる……!」

 

キクコは静かに笑っている。

 

「どうしたんだい?」

 

「……」

 

「まだ四匹残ってるんだろう?」

 

マサヒロは腰を見る。

 

残りのボール。

 

スピアー。

 

ウインディ。

 

ギャラドス。

 

イーブイ。

 

その中で。

 

マサヒロの手が、一つのボールの前で止まった。

 

「……」

 

ギャラドス。

 

今まで、ずっと出すことを避けてきた。

 

暴れるのが怖かった。

 

命令を聞いてくれないのが怖かった。

 

だから。

 

できるだけ使わないようにしていた。

 

しかし。

 

「……もう、逃げない」

 

マサヒロはギャラドスのボールを握る。

 

「俺がギャラドスを信じなきゃ……」

 

そして。

 

「ギャラドス!」

 

ボールを投げた。

 

「ギャアアアアアス!」

 

巨大なギャラドスがフィールドへ現れる。

 

「ギャアアアアアア!」

 

ギャラドスが咆哮する。

 

そして。

 

身体を大きく動かし始めた。

 

「ギャラドス! 落ち着け!」

 

「ギャアアアア!」

 

聞く耳を持たない。

 

「ギャラドス!」

 

ギャラドスが暴れ始める。

 

「やっぱり……!」

 

マサヒロは一歩下がる。

 

「ギャラドス、俺の言うことを聞いてくれ!」

 

しかし。

 

「ギャアアア!」

 

ギャラドスはマサヒロの方へ振り向く。

 

「……!」

 

マサヒロの身体が固まる。

 

怖い。

 

また暴れたら。

 

また誰かを傷つけたら。

 

そんな考えが頭をよぎる。

 

そのとき。

 

「ブイ!」

 

イーブイがマサヒロの前へ出た。

 

「イーブイ?」

 

イーブイはギャラドスを見る。

 

「ブイ! ブイ!」

 

「……」

 

まるで。

 

ギャラドスに何かを伝えているようだった。

 

ギャラドスがイーブイを見る。

 

「ギャ……」

 

イーブイはもう一度鳴く。

 

「ブイ!」

 

そしてマサヒロを見る。

 

「……」

 

マサヒロはイーブイを見る。

 

「……そうだな」

 

マサヒロはギャラドスへ向き直る。

 

「俺も、怖がってた」

 

ギャラドスが動きを止める。

 

「お前が暴れるんじゃないかって」

 

「ギャア……」

 

「だから、俺もお前を信じてなかったんだ」

 

マサヒロは一歩前へ出る。

 

「ごめんな」

 

ギャラドスはマサヒロを見る。

 

「でも……」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「俺もお前を信じるから」

 

そして。

 

「お前も俺を信じてくれ!」

 

「……」

 

ギャラドスはしばらく動かなかった。

 

「ギャア……」

 

ゆっくりと。

 

ギャラドスの身体から力が抜けていく。

 

「……」

 

マサヒロは息を呑む。

 

そして。

 

「ギャア!」

 

ギャラドスが力強く鳴いた。

 

「……!」

 

マサヒロの目が輝く。

 

「ギャラドス……!」

 

ギャラドスがマサヒロを見る。

 

今までとは違う。

 

その目には、初めて――。

 

マサヒロを信じようとする意思があった。

 

「……分かった」

 

マサヒロは笑う。

 

「一緒に戦おう!」

 

「ギャアアア!」

 

「ギャラドス!」

 

マサヒロはキクコを見る。

 

「これで終わりじゃない!」

 

キクコは楽しそうに笑った。

 

「ようやく出てきたねぇ」

 

「行くぞ、ギャラドス!」

 

「ギャア!」

 

キクコが指示を出す。

 

「ガラガラ、フレアドライブ!」

 

「ガラガラ!」

 

炎をまとったガラガラが突っ込んでくる。

 

「ギャラドス、動くな!」

 

「ギャア!」

 

ガラガラが激突する。

 

ドォン!

 

「ギャラドス!」

 

炎がギャラドスを包む。

 

しかし。

 

「ギャアアア!」

 

ギャラドスは倒れない。

 

「すごい……!」

 

マサヒロが驚く。

 

「ギャラドス、まだいけるか!?」

 

「ギャア!」

 

力強い返事。

 

「よし!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「たきのぼり!」

 

「ギャアアア!」

 

ギャラドスが勢いよく水を巻き上げる。

 

巨大な水流がガラガラを包み込む。

 

「ガラガラ!」

 

ガラガラが吹き飛ばされる。

 

「まだだ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「アクアテール!」

 

「ギャア!」

 

ギャラドスの尻尾が水をまとっていく。

 

「ギャラドス!」

 

ドゴォン!

 

強烈な一撃がガラガラを吹き飛ばす。

 

「ガラガラ……!」

 

ガラガラが地面へ落ちる。

 

「立て!」

 

キクコが叫ぶ。

 

ガラガラは立ち上がろうとする。

 

しかし。

 

身体が動かない。

 

「ガラガラ、戦闘不能!」

 

「……!」

 

マサヒロは目を見開く。

 

「やった……」

 

そして。

 

「やったぞ、ギャラドス!」

 

「ギャアアアアア!」

 

ギャラドスが空へ向かって咆哮する。

 

「すごいぞ!」

 

マサヒロが駆け寄る。

 

「今までで一番すごかった!」

 

ギャラドスはマサヒロを見る。

 

そして。

 

「ギャア!」

 

もう一度、力強く鳴いた。

 

「……!」

 

マサヒロは笑う。

 

「ありがとう、ギャラドス!」

 

「ギャアア!」

 

二人の間に。

 

初めて、確かな絆が生まれた。

 

その様子を見ていたキクコは、口元を吊り上げる。

 

「……やるじゃないか」

 

「え?」

 

キクコはマサヒロを見る。

 

「ポケモンを信じることもできずに、あのギャラドスを使うのを怖がっていた小僧が――」

 

「……」

 

「ちゃんと自分のポケモンと向き合ったじゃないか」

 

キクコは笑う。

 

「見直したよ、マサヒロ」

 

マサヒロはギャラドスを見る。

 

「……ギャラドス」

 

「ギャア!」

 

「まだ戦いは終わってない」

 

「ギャア!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「ここからだ!」

 

キクコも新しいモンスターボールを手に取る。

 

「そうさ」

 

「!」

 

「アタシのポケモンは、まだ二匹いるんだからねぇ」

 

マサヒロは笑った。

 

「望むところです!」

 

最後のジム戦は――。

 

まだ終わらない。

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