ポケットモンスターブラウン   作:光宙

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42話 ライバル対決!オーキド研究所!

翌朝。

 

マサヒロとイーブイは、マサラタウンの道を歩いていた。

 

「イーブイ!」

 

「ブイ?」

 

「もう少しでオーキド博士のところだぞ!」

 

「ブイ!」

 

昨日までの旅の疲れも、すっかり取れていた。

 

マサヒロは久しぶりの故郷を歩きながら、懐かしそうに辺りを見回す。

 

「やっぱりマサラタウンって落ち着くな」

 

「ブイ」

 

そして。

 

「見えてきた!」

 

丘の上にある、オーキド研究所。

 

マサヒロとイーブイは、研究所へ向かって走っていった。

 

* * *

 

「オーキド博士ー!」

 

研究所の扉を開ける。

 

「おお!」

 

奥からオーキド博士が顔を出した。

 

「マサヒロ!」

 

「博士!」

 

マサヒロは笑顔で駆け寄る。

 

「久しぶり!」

 

「うむ!」

 

オーキド博士はマサヒロの姿を見る。

 

「ずいぶん逞しくなったのう」

 

「そう?」

 

「出発した時とは別人のようじゃ」

 

博士はイーブイを見る。

 

「そしてイーブイも元気そうじゃな」

 

「ブイ!」

 

イーブイが嬉しそうに鳴く。

 

「それで?」

 

博士が笑う。

 

「旅の結果はどうじゃ?」

 

マサヒロは胸を張る。

 

「もちろん!」

 

腰からバッジケースを取り出す。

 

「全部そろえたよ!」

 

ケースを開く。

 

そこには八つのバッジが並んでいた。

 

「おお!」

 

博士が目を丸くする。

 

「八つ!」

 

「うん!」

 

「よく頑張ったのう!」

 

「これでポケモンリーグに出られる!」

 

マサヒロは嬉しそうに笑う。

 

「絶対に優勝するんだ!」

 

「その意気じゃ」

 

そのときだった。

 

「オーキド博士!」

 

研究所の奥から声が聞こえる。

 

「ん?」

 

マサヒロが振り返る。

 

「この声……」

 

「マサヒロ!」

 

「サトシ!」

 

研究所の奥から、サトシが走ってきた。

 

「久しぶり!」

 

「お前も帰ってきてたのか!」

 

「うん!」

 

サトシも腰からバッジケースを取り出す。

 

「俺も八個そろったぞ!」

 

「おお!」

 

マサヒロとサトシは、お互いのバッジを見る。

 

「同じだな!」

 

「だな!」

 

二人は笑った。

 

すると。

 

「ふん」

 

別の声が聞こえた。

 

「……その程度で喜んでいるのか?」

 

「この声は……」

 

マサヒロが振り返る。

 

そこに立っていたのは――。

 

「シゲル!」

 

シゲルだった。

 

「久しぶりだな、マサヒロ」

 

「お前も帰ってきたのか」

 

「ああ」

 

シゲルは腰のバッジケースを見せる。

 

そこには――。

 

「……十個?」

 

マサヒロの目が丸くなる。

 

「十個もあるのかよ!」

 

サトシも驚く。

 

「八個でいいんじゃないのか?」

 

「別にいいだろ」

 

シゲルは涼しい顔をする。

 

「取れるジムがあったから取っただけだ」

 

「無駄に多いな……」

 

「余計なお世話だ」

 

マサヒロが笑う。

 

「でも、俺たちも八個だからな」

 

「そうだな」

 

シゲルはマサヒロを見る。

 

「やっと同じ舞台に立てるな」

 

「……!」

 

マサヒロの目が輝く。

 

「そういうことか」

 

「僕はもう、ポケモンリーグに向けて準備を始めている」

 

シゲルは腕を組む。

 

「お前もサトシも、負けるなよ」

 

「もちろん!」

 

「俺だって!」

 

三人の間に、いつもの緊張感が生まれた。

 

* * *

 

「ところで」

 

オーキド博士が手を叩く。

 

「三人とも、ここまでよく頑張ったのう」

 

「博士!」

 

「せっかくじゃから、お前たちの旅について少し聞かせてもらおうか」

 

「旅?」

 

「うむ」

 

博士は資料を取り出した。

 

「これまで、どれくらいのポケモンと出会ったのかと思ってな」

 

「俺は……」

 

サトシが手を上げる。

 

「100種類以上だと思う!」

 

「100種類以上!?」

 

マサヒロが驚く。

 

「そんなに出会ったのか!?」

 

「うん!」

 

サトシは笑う。

 

「旅をしてたら、いろんなポケモンに会うからな!」

 

「すごいな……」

 

マサヒロは感心する。

 

「俺は60種類くらいかな」

 

「僕も、そのくらいだ」

 

シゲルが答える。

 

オーキド博士が笑う。

 

「面白いのう」

 

「何が?」

 

サトシが首を傾げる。

 

「サトシは、とにかくいろんな種類のポケモンと出会っている」

 

博士は続ける。

 

「一方で、シゲルとマサヒロは、出会った種類こそサトシより少ない」

 

「でも……」

 

マサヒロが言う。

 

「俺は一緒に旅してるポケモンたちと、ずっと一緒にいるからな」

 

「僕も、たくさんのポケモンを見てきた」

 

シゲルは答える。

 

「だからこそ、それぞれのポケモンの違いを知ることができる」

 

サトシとマサヒロはシゲルを見る。

 

「なるほどな」

 

マサヒロは頷いた。

 

「それぞれ違うんだな」

 

* * *

 

そのとき。

 

研究所の奥から、ポケモンたちの鳴き声が聞こえてきた。

 

「ん?」

 

「なんだ?」

 

三人が振り返る。

 

すると――。

 

ドドドドドッ!

 

大量のポケモンが走ってきた。

 

「うわあああ!」

 

サトシが逃げる。

 

「なんだこれ!」

 

マサヒロも慌てて逃げる。

 

「イーブイ!」

 

「ブイィ!」

 

イーブイもマサヒロの後ろを走る。

 

その中には――。

 

「ケンタロス!?」

 

マサヒロが驚く。

 

大量のケンタロスが研究所内を走り回っていた。

 

「サトシ!」

 

「俺のポケモンだ!」

 

「多すぎるだろ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「まあ……」

 

オーキド博士は苦笑する。

 

「サトシは博士に30匹以上のポケモンを預けておるからのう」

 

「30匹以上!?」

 

マサヒロが驚く。

 

「そんなにいたのか!」

 

「まあ、ほとんどケンタロスだけどな!」

 

「それでも多いよ!」

 

研究所の中をケンタロスが駆け回る。

 

「止まれー!」

 

サトシが追いかける。

 

「待てー!」

 

マサヒロも手伝う。

 

「ブイ!」

 

イーブイも一緒になって走る。

 

「こらこら!」

 

オーキド博士は笑っている。

 

「相変わらず元気じゃのう」

 

その横で。

 

シゲルは静かに立っていた。

 

「……」

 

マサヒロがシゲルを見る。

 

「お前は預けてないのか?」

 

「僕?」

 

シゲルは笑う。

 

「僕はもっと多いぞ」

 

「え?」

 

「僕が博士に預けているポケモンは――」

 

シゲルは指を立てる。

 

「200匹以上だ」

 

「に、200匹!?」

 

マサヒロとサトシが同時に叫ぶ。

 

「そんなに!?」

 

「どうやったらそんな数になるんだよ!」

 

「いろんな場所で捕まえてきたからな」

 

シゲルは平然と答える。

 

「同じ種類のポケモンでも、一匹一匹違う」

 

「だから、実際にたくさんの個体を見てみる必要がある」

 

マサヒロは研究所を見回す。

 

たくさんのポケモン。

 

そして、その中にはシゲルのポケモンもたくさんいる。

 

「……すごいな」

 

マサヒロは素直に感心した。

 

「200匹以上か」

 

「そうだ」

 

シゲルは胸を張る。

 

「僕はそれだけ多くのポケモンと向き合ってきたんだ」

 

「なるほどな」

 

マサヒロは頷く。

 

「じゃあ……」

 

博士が資料を見る。

 

「最後にマサヒロじゃな」

 

「俺?」

 

「うむ」

 

博士が笑う。

 

「お前がここに預けているポケモンは――」

 

少し間を置く。

 

「一匹もおらん」

 

「……」

 

サトシが目を丸くする。

 

「え?」

 

シゲルも少し驚く。

 

「本当に?」

 

「うん」

 

マサヒロは普通に答えた。

 

「俺、一匹も博士に預けてないよ」

 

「八個もバッジを持っているのに?」

 

シゲルが聞く。

 

「そうだよ」

 

マサヒロは腰のモンスターボールを見る。

 

「ずっと一緒に旅してきたから」

 

「……」

 

「イーブイも」

 

「ブイ!」

 

「フシギバナも、スピアーも、ウインディも、ギャラドスも、プテラも」

 

マサヒロは一匹ずつ思い浮かべる。

 

「みんな、一緒に旅してきた大切な仲間だから」

 

サトシが笑う。

 

「マサヒロらしいな!」

 

「そうか?」

 

「うん!」

 

シゲルは少し考える。

 

「……お前らしいと言えば、お前らしいな」

 

「どういう意味だよ?」

 

「別に」

 

シゲルは笑った。

 

* * *

 

研究所の外。

 

三人は並んで歩いていた。

 

「でもさ」

 

サトシが言う。

 

「シゲルって200匹以上も預けてるんだよな」

 

「そうだ」

 

「マサヒロは0匹」

 

「うん」

 

「俺は30匹以上!」

 

サトシは胸を張る。

 

「でも、そのほとんどケンタロスなんだろ?」

 

マサヒロが笑う。

 

「まあな!」

 

サトシも笑う。

 

「でも、数だけじゃないだろ」

 

シゲルが言う。

 

「何が?」

 

「ポケモンとの付き合い方だ」

 

シゲルはマサヒロを見る。

 

「お前は少ないポケモンと長く旅をする」

 

「サトシは、たくさんの種類のポケモンと出会っている」

 

「僕は、多くのポケモンを捕まえて研究している」

 

三人は顔を見合わせる。

 

「みんな違うな」

 

マサヒロが言った。

 

「でも――」

 

マサヒロはイーブイを見る。

 

「どれが正しいとかじゃないんじゃないか?」

 

「……」

 

シゲルは黙る。

 

サトシも頷く。

 

「俺もそう思う!」

 

「ただ」

 

マサヒロはシゲルを見る。

 

「俺は、今一緒にいるポケモンたちを大切にしたい」

 

「一緒に戦って」

 

「一緒に旅をして」

 

「嬉しいことも、悔しいことも、一緒に経験したいんだ」

 

イーブイがマサヒロの隣に立つ。

 

「ブイ」

 

「……そうか」

 

シゲルは小さく笑った。

 

「お前は昔から、そういうところが変わらないな」

 

「そうかな?」

 

「ああ」

 

シゲルは前を見る。

 

「でも、僕も負けるつもりはない」

 

「もちろん俺も!」

 

サトシが割り込む。

 

「俺もだ!」

 

マサヒロが拳を握る。

 

三人の視線がぶつかる。

 

「ポケモンリーグで――」

 

サトシが言う。

 

「誰が一番強いか決めようぜ!」

 

「望むところだ」

 

シゲルが答える。

 

マサヒロも笑う。

 

「俺も絶対に負けない!」

 

* * *

 

その日の午後。

 

研究所では、再び騒ぎが起きていた。

 

「ケンタロスを捕まえてくれー!」

 

「待てー!」

 

「サトシ!」

 

「マサヒロ、そっちだ!」

 

「任せろ!」

 

「イーブイ、右!」

 

「ブイ!」

 

三人が研究所を走り回る。

 

シゲルもポケモンたちを追いかけていた。

 

「まったく……」

 

オーキド博士は笑う。

 

「昔から変わらんのう」

 

しばらくして。

 

ようやく騒ぎが収まった。

 

「疲れた……」

 

マサヒロは地面に座り込む。

 

イーブイも隣で息を切らしている。

 

「ブイ……」

 

「大丈夫か?」

 

「ブイ」

 

そのとき。

 

サトシがマサヒロの隣に座る。

 

「なあ、マサヒロ」

 

「ん?」

 

「ポケモンリーグ、絶対に負けないからな」

 

「俺もだよ」

 

マサヒロは笑う。

 

少し離れたところにはシゲルが立っている。

 

「二人とも」

 

「ん?」

 

「僕を忘れてもらっちゃ困るぞ」

 

「忘れてないよ!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「シゲルも倒す!」

 

「俺もな!」

 

マサヒロが立ち上がる。

 

「特に俺は、お前と決着をつけないとな」

 

「6対6の引き分けか」

 

シゲルも思い出す。

 

「そうだったな」

 

第22話。

 

あのときは、三勝三敗。

 

決着はつかなかった。

 

「今度は――」

 

マサヒロが拳を握る。

 

「絶対に勝つ!」

 

「僕も同じだ」

 

シゲルが笑う。

 

「今度こそ、僕が勝つ」

 

「俺だって!」

 

サトシが二人の間に入る。

 

「俺も優勝する!」

 

「じゃあ三人とも敵だな」

 

シゲルが言う。

 

「そういうこと!」

 

マサヒロが笑う。

 

「負けないぞ!」

 

「おう!」

 

「僕もだ」

 

三人はそれぞれ拳を握った。

 

* * *

 

夕方。

 

マサヒロはイーブイと一緒に研究所を出た。

 

「今日は楽しかったな」

 

「ブイ!」

 

「サトシもシゲルも、相変わらずだった」

 

イーブイが隣を歩く。

 

「でも……」

 

マサヒロは振り返る。

 

オーキド研究所。

 

自分が最初にフシギダネを受け取った場所。

 

そして、イーブイが自分と出会った場所でもある。

 

「ここから始まったんだよな」

 

「ブイ」

 

「俺たちの旅」

 

マサヒロはイーブイの頭を撫でる。

 

「そして、もうすぐポケモンリーグだ」

 

イーブイが前を向く。

 

「ブイ!」

 

「あと二ヶ月」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「もっと強くなろう」

 

「ブイ!」

 

「シゲルにも、サトシにも負けない」

 

マサヒロは笑った。

 

「俺たちが、一番強いって証明するんだ!」

 

イーブイが元気よく鳴く。

 

「ブイ!」

 

夕暮れのマサラタウン。

 

少年とその相棒は、次の戦いへ向けて歩き出した。

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