ポケットモンスターブラウン   作:光宙

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43話 信じ合う心!ギャラドスVSリザードン!

ポケモンリーグまで、残り一ヶ月。

 

マサラタウン。

 

町の外れにある広場では、マサヒロとポケモンたちが特訓を続けていた。

 

「フシギバナ、もう一回!」

 

「バナ!」

 

フシギバナがパワーウィップを繰り出す。

 

「スピアー、もっと速く!」

 

「スピアー!」

 

スピアーがこうそくいどうで駆け抜ける。

 

「イーブイも負けるな!」

 

「イーブイ!」

 

イーブイがでんこうせっかで走り抜ける。

 

「よし!」

 

マサヒロは拳を握った。

 

「リーグまであと一ヶ月しかないんだ。もっともっと強くならないとな!」

 

その時だった。

 

「マサヒロ!」

 

聞き覚えのある声がした。

 

「ん?」

 

マサヒロが振り返る。

 

そこには――。

 

「サトシ!」

 

サトシとピカチュウ。

 

そして、その後ろにはタケシとカスミがいた。

 

「久しぶりだな!」

 

「サトシ!」

 

マサヒロが駆け寄る。

 

「タケシさんとカスミも!」

 

「久しぶりだな、マサヒロ」

 

タケシが笑う。

 

「元気そうじゃない」

 

カスミも手を振る。

 

「みんな、どうしたんだ?」

 

「決まってるだろ!」

 

サトシが笑った。

 

「ポケモンリーグ前の腕試しだ!」

 

「腕試し?」

 

「ああ!」

 

サトシは拳を握る。

 

「リーグまであと一ヶ月だろ?」

 

「俺もマサヒロも、最後のジムバッジを手に入れた」

 

「だから、今の俺がどれくらい強くなったのか試してみたいんだ!」

 

マサヒロは笑った。

 

「なるほどな」

 

そして。

 

「いいぜ!」

 

「本当か!?」

 

「ああ!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「俺もサトシと戦いたかった!」

 

「よし!」

 

サトシが嬉しそうに笑った。

 

「それじゃあ、バトルしようぜ!」

 

* * *

 

「一対一でいいよな?」

 

サトシが確認する。

 

「ああ」

 

マサヒロは頷く。

 

「ポケモンリーグ前の腕試しなら、それくらいがちょうどいい」

 

二人は向かい合う。

 

タケシが審判役を務めることになった。

 

「それじゃあ、始めるぞ!」

 

マサヒロとサトシがモンスターボールを構える。

 

「行け!」

 

「ギャラドス!」

 

「出ろ!」

 

「リザードン!」

 

二つのボールから、巨大な水竜と炎の翼を持つポケモンが現れた。

 

「ギャラドス!」

 

「ギャアアアス!」

 

ギャラドスが雄叫びを上げる。

 

「リザードン!」

 

「グオオオオ!」

 

リザードンも大きな声を上げた。

 

「ギャラドス!」

 

「ギャア!」

 

「今日も頼むぞ!」

 

「ギャア!」

 

ギャラドスは力強く返事をする。

 

一方。

 

「リザードン!」

 

サトシが声をかける。

 

「今日は俺と一緒に――」

 

「グオオオオ!」

 

リザードンはサトシの言葉を最後まで聞かず、勝手に飛び上がった。

 

「え?」

 

サトシが目を丸くする。

 

「リザードン!?」

 

リザードンはサトシを振り返りもしない。

 

そのまま空高く舞い上がる。

 

「……」

 

マサヒロは黙ってリザードンを見る。

 

「どうしたんだ?」

 

サトシが困ったように声をかける。

 

「リザードン、戻ってこい!」

 

しかし。

 

「グオオオ!」

 

リザードンは聞く耳を持たない。

 

サトシの指示を無視して、空を旋回している。

 

「……」

 

マサヒロの表情が変わった。

 

「マサヒロ?」

 

サトシが呼びかける。

 

「いや……」

 

マサヒロはギャラドスを見る。

 

「ちょっと、昔のことを思い出したんだ」

 

「昔?」

 

「ああ」

 

マサヒロの脳裏に、あの頃のギャラドスの姿が浮かんだ。

 

暴れるギャラドス。

 

言うことを聞かないギャラドス。

 

そして。

 

それを怖がっていた自分。

 

「……俺も、昔はギャラドスとこんな感じだった」

 

「え?」

 

「ギャラドスが何をするか分からなくて、俺も怖がってた」

 

「……」

 

マサヒロはギャラドスを見る。

 

今は違う。

 

「でも――」

 

マサヒロが笑う。

 

「今は違う」

 

「ギャア!」

 

ギャラドスがマサヒロを見る。

 

「俺たちは一緒に旅してきたからな」

 

「ギャア!」

 

「こいつが何を考えてるのか、少しずつ分かるようになった」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「そして、ギャラドスも俺を信じてくれるようになった」

 

「ギャア!」

 

ギャラドスが力強く鳴いた。

 

「だから、今は俺の指示をちゃんと聞いてくれる」

 

マサヒロはサトシを見る。

 

「……そっか」

 

サトシはリザードンを見上げる。

 

「でも、リザードンだって――」

 

「サトシ!」

 

マサヒロが呼びかける。

 

「まずはバトルに集中しよう!」

 

「……ああ!」

 

サトシは拳を握った。

 

「リザードン!」

 

「グオオ!」

 

「かえんほうしゃ!」

 

しかし。

 

リザードンは動かなかった。

 

「リザードン!」

 

サトシがもう一度叫ぶ。

 

「かえんほうしゃだ!」

 

「グオオオオ!」

 

リザードンは突然、自分の判断で急降下した。

 

「え!?」

 

サトシが驚く。

 

リザードンはギャラドスへ向かって一直線に突っ込んでいく。

 

「ギャラドス!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「右へ!」

 

「ギャア!」

 

ギャラドスが身体を動かす。

 

リザードンが横を通り抜ける。

 

「今だ!」

 

マサヒロが指示を出す。

 

「こおりのキバ!」

 

「ギャア!」

 

ギャラドスが振り返る。

 

リザードンの翼へ向かって飛びかかる。

 

ガキン!

 

「グオオ!」

 

リザードンの翼が凍りつく。

 

「リザードン!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「つばさでうつ!」

 

しかし。

 

リザードンはサトシの指示を無視した。

 

凍った翼を振り回しながら、自分の判断で再びギャラドスへ突っ込む。

 

「ギャラドス、かわして!」

 

「ギャア!」

 

ギャラドスが素早く身体を反らす。

 

リザードンの攻撃が空を切った。

 

「そのまま!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「たきのぼり!」

 

「ギャアアア!」

 

ギャラドスの周囲から大量の水が噴き上がる。

 

「グオオオ!」

 

リザードンがまともに水流を受ける。

 

ドォン!

 

地面へ叩き落とされた。

 

「リザードン!」

 

サトシが叫ぶ。

 

リザードンはすぐに立ち上がった。

 

しかし。

 

「……」

 

マサヒロは気づいた。

 

リザードンは、サトシの指示を聞いていない。

 

自分の判断だけで攻撃している。

 

その一方で――。

 

「ギャラドス、左!」

 

「ギャア!」

 

ギャラドスは迷わず動く。

 

「右!」

 

「ギャア!」

 

「そのまま、ぼうふう!」

 

「ギャアアア!」

 

強烈な風が巻き起こる。

 

「グオオオ!」

 

リザードンが吹き飛ばされた。

 

「リザードン!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「りゅうのいかり!」

 

しかし。

 

リザードンはサトシの指示を無視した。

 

「グオオオ!」

 

リザードンは勝手に飛び上がる。

 

そして。

 

「グオオオオ!」

 

自分の判断でかえんほうしゃを放った。

 

ゴォォォッ!

 

巨大な炎がギャラドスへ迫る。

 

「ギャラドス、たきのぼり!」

 

「ギャア!」

 

ギャラドスが水流をまとって突っ込む。

 

炎を突き抜ける。

 

「なっ……!」

 

サトシが目を見開く。

 

そのままリザードンへ接近。

 

「アクアテール!」

 

「ギャアアア!」

 

巨大な尻尾が振り抜かれる。

 

ドォン!

 

「グオオオ!」

 

リザードンが吹き飛ばされる。

 

「リザードン!」

 

サトシが叫ぶ。

 

リザードンは何とか空へ飛び上がった。

 

「よし!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「リザードン、つばさでうつ!」

 

しかし。

 

リザードンはサトシを無視する。

 

「グオオ!」

 

そのままギャラドスの頭上を飛び回る。

 

「リザードン!」

 

サトシの声は届かない。

 

「なんでだよ……!」

 

サトシが悔しそうに拳を握る。

 

マサヒロはその様子を見つめる。

 

そして。

 

「ギャラドス!」

 

「ギャア!」

 

「相手の動きを見ろ!」

 

「ギャア!」

 

ギャラドスがじっとリザードンを見る。

 

リザードンは空を飛び回っている。

 

そして、自分の判断で急降下した。

 

「今だ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「ぼうふう!」

 

「ギャアアア!」

 

ギャラドスが強烈な風を放つ。

 

リザードンの飛行ルートが崩れる。

 

「グオオ!?」

 

リザードンがバランスを崩した。

 

「そのまま、こおりのキバ!」

 

「ギャア!」

 

ギャラドスが一気に接近する。

 

ガキン!

 

リザードンの翼に再び攻撃が入る。

 

「グオオオ!」

 

リザードンが地面へ落下する。

 

ドォン!

 

「リザードン!」

 

サトシが駆け寄ろうとする。

 

だが。

 

リザードンは自分で立ち上がった。

 

「グオ……」

 

その身体はかなり傷ついている。

 

「リザードン、もういい!」

 

サトシが叫ぶ。

 

しかし。

 

リザードンはサトシの声を無視した。

 

そして。

 

「グオオオオ!」

 

再びギャラドスへ突進する。

 

「ギャラドス、迎え撃て!」

 

「ギャア!」

 

「たきのぼり!」

 

「ギャアアア!」

 

ギャラドスが真正面から突っ込む。

 

リザードンが炎をまとって向かってくる。

 

「グオオオオ!」

 

「ギャアアア!」

 

二匹が激突する。

 

ドォォォン!!

 

激しい衝撃。

 

しかし。

 

ギャラドスは倒れなかった。

 

「ギャア!」

 

そのままリザードンを押し返す。

 

「なっ……!」

 

サトシが驚く。

 

「ギャラドス、アクアテール!」

 

「ギャアアア!」

 

ドォン!!

 

巨大な尻尾がリザードンを吹き飛ばす。

 

「グオオオ!」

 

リザードンが地面を転がる。

 

「リザードン!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「立て!」

 

リザードンは立ち上がろうとする。

 

だが。

 

身体が動かない。

 

「……」

 

サトシが息を呑む。

 

「リザードン……」

 

タケシが静かに確認する。

 

「リザードン、戦闘不能!」

 

「勝者、マサヒロ!」

 

「……」

 

サトシは黙ってリザードンを見る。

 

マサヒロはギャラドスへ駆け寄った。

 

「ギャラドス!」

 

「ギャア!」

 

「すごかったぞ!」

 

「ギャア!」

 

マサヒロがギャラドスの身体を撫でる。

 

「ちゃんと俺の指示通りに動いてくれたな」

 

「ギャア!」

 

ギャラドスは嬉しそうに鳴いた。

 

* * *

 

「負けた……」

 

サトシはリザードンのもとへ歩いていく。

 

「ごめんな、リザードン」

 

「グオ……」

 

リザードンは顔を背ける。

 

サトシは悔しそうに拳を握った。

 

「俺の指示、全然聞いてくれなかったな……」

 

「グオ……」

 

マサヒロは二人の姿を見つめる。

 

そして。

 

「サトシ」

 

「ん?」

 

「ギャラドスも昔、リザードンと同じだったんだ」

 

「……」

 

「俺、ギャラドスが怖くて、暴れないようにすることばっかり考えてた」

 

マサヒロはギャラドスを見る。

 

「だから、ギャラドスのことをちゃんと信じられてなかった」

 

「……」

 

「でも、一緒に旅して、一緒に戦って……」

 

「少しずつ分かってきたんだ」

 

マサヒロは笑う。

 

「信じるって、言うことを聞かせることじゃないんだって」

 

サトシは黙って聞いている。

 

「まず自分が相手を信じる」

 

「そうしたら、相手も少しずつ信じてくれる」

 

マサヒロはリザードンを見る。

 

「今のサトシとリザードンは、昔の俺たちと同じなんだと思う」

 

「……」

 

「リザードンは自分の力で戦おうとしてる」

 

「でも、それだけじゃ勝てないんだ」

 

サトシはリザードンを見る。

 

「……」

 

「ギャラドスだって、一人で戦ってるわけじゃない」

 

マサヒロはギャラドスの頭を撫でる。

 

「俺と一緒に戦ってるんだ」

 

「俺が指示を出して、ギャラドスが応えてくれる」

 

「それができるから、今日みたいに強い相手にも勝てるんだ」

 

サトシはしばらく黙っていた。

 

やがて。

 

「……分かった」

 

拳を握る。

 

「俺、リザードンのことをもっと分かりたい」

 

「グオ……」

 

「リザードンが何を考えてるのか、ちゃんと知りたい!」

 

リザードンがサトシを見る。

 

「そして――」

 

サトシはリザードンへ手を伸ばす。

 

「俺のことも、信じてもらえるように頑張る!」

 

「グオ……」

 

リザードンは、ほんの少しだけサトシを見る。

 

「一緒に強くなろうな!」

 

「グオオ!」

 

サトシが笑った。

 

マサヒロも笑う。

 

「そうこなくちゃな!」

 

「マサヒロ!」

 

「なんだ?」

 

「リーグでは絶対に勝つからな!」

 

「俺だって負けない!」

 

「ピカ!」

 

「イーブイ!」

 

ギャラドスも大きく鳴いた。

 

「ギャアアア!」

 

マサラタウンに、ポケモンたちの声が響く。

 

ポケモンリーグまで、あと一ヶ月。

 

マサヒロとギャラドス。

 

サトシとリザードン。

 

二組のトレーナーとポケモンは、それぞれの絆を胸に、リーグへ向けてさらに強くなるための道を歩き始めた。

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