ポケモンリーグ当日。
マサヒロはセキエイこうげんへ続く道を歩いていた。
「ついに今日か……」
マサヒロは腰につけたバッジケースを見る。
そこには八つのバッジが並んでいた。
グレーバッジ。
ブルーバッジ。
オレンジバッジ。
ゴールドバッジ。
レインボーバッジ。
ピンクバッジ。
クリムゾンバッジ。
グリーンバッジ。
「ここまで来たんだな」
隣を歩くイーブイが顔を上げる。
「イーブイ!」
「そうだな」
マサヒロは笑う。
「今日は絶対に負けられないぞ」
「イーブイ!」
その時だった。
「マサヒロ!」
後ろから声が聞こえた。
「ん?」
振り返る。
そこにいたのは――。
「リョウ!」
「久しぶりだな!」
リョウが笑いながら駆け寄ってくる。
「やっぱり来たな!」
「ああ!」
マサヒロは嬉しそうに頷く。
「俺たち、リーグで戦うって約束したもんな!」
「そうだな!」
リョウも拳を握る。
「そのために、ここまで来たんだ」
「じゃあ、今日はお互い頑張ろうぜ!」
「おう!」
二人は並んで歩き始めた。
「そういえば、マサヒロ」
「ん?」
「お前、八つのバッジを集めたんだな」
「まあな!」
マサヒロは笑う。
「リョウもだろ?」
「ああ」
リョウもバッジケースを見せる。
「これで、やっと同じスタートラインだ」
「リーグで会ったら、絶対に負けないぞ!」
「俺だって負けないさ」
二人は笑い合った。
そして。
セキエイこうげんが見えてきた。
「……すげえ」
マサヒロは目を見開く。
巨大な建物。
大勢のトレーナー。
たくさんのポケモン。
そして。
ポケモンリーグの巨大な旗が風になびいている。
「ここが……」
マサヒロは拳を握る。
「ポケモンリーグ!」
「イーブイ!」
イーブイも嬉しそうに鳴いた。
* * *
会場へ入ると、そこには見覚えのある顔があった。
「マサヒロ!」
「サトシ!」
サトシがピカチュウと一緒に駆け寄ってくる。
「来たんだな!」
「ああ!」
マサヒロは笑う。
「サトシも来てたんだな」
「当たり前だろ!」
その後ろにはカスミとタケシもいた。
「久しぶりね、マサヒロ」
「カスミ!」
「いよいよリーグだな」
タケシも笑う。
「タケシさんも!」
「それより」
マサヒロは二人を見る。
「紹介したい奴がいるんだ」
「ん?」
マサヒロが横へ動く。
「こいつ、リョウ」
「初めまして」
リョウが頭を下げる。
「マサヒロと一緒に旅してきた友達だ」
「へえ!」
サトシが笑う。
「マサヒロにこんな友達がいたんだな!」
「よろしくな、リョウ!」
「こちらこそ!」
カスミも笑う。
「マサヒロの友達なら、私たちも応援しないとね」
「ありがとう!」
タケシも頷く。
「リーグは厳しい戦いになるだろうが、最後まで自分たちの力を出し切れよ」
「はい!」
リョウは力強く答えた。
その時。
「……ふん」
少し離れたところから声がした。
「シゲル!」
マサヒロが振り返る。
シゲルが腕を組んで立っていた。
「お前も来てたんだな」
「当然だろ」
シゲルはリョウを見る。
「リョウ、だったか?」
「そうだけど」
「もしリーグで戦うことがあれば――」
シゲルはニヤリと笑う。
「容赦はしないよ」
「……!」
リョウが少し驚く。
しかし。
「望むところだ」
リョウも笑った。
「俺だって、本気でリーグに来てるんだからな」
「ふっ」
シゲルは笑う。
「それでいい」
サトシが笑った。
「なんだか面白くなってきたな!」
カスミが呆れたように言う。
「もう、すぐバトルの話になるんだから」
タケシも苦笑する。
「まあ、それだけみんな本気ってことだろ」
マサヒロは三人を見る。
サトシ。
シゲル。
リョウ。
そして、自分。
「……」
ここにいる全員が。
今日のために旅をしてきた。
そして。
「俺も負けないからな」
マサヒロは拳を握った。
* * *
「それでは、これよりポケモンリーグ本戦を開始します!」
会場に大きな声が響く。
「各トレーナーは、それぞれのブロックに分かれてください!」
「いよいよだ!」
マサヒロはイーブイを見る。
「行くぞ!」
「イーブイ!」
こうして。
ポケモンリーグの戦いが始まった。
* * *
一回戦。
マサヒロの相手は、強力なポケモンを繰り出してきた。
「行け、ケンタロス!」
「俺はスピアーだ!」
「スピアー!」
激しい戦い。
ケンタロスの突進を、スピアーがこうそくいどうでかわす。
「今だ!」
「ミサイルばり!」
「スピアー!」
無数の針が飛んでいく。
「ケンタロス!」
ケンタロスが倒れる。
「ケンタロス、戦闘不能!」
「勝者、マサヒロ!」
「勝った!」
マサヒロが拳を握る。
「一回戦突破だ!」
「スピアー!」
* * *
二回戦。
マサヒロはフシギバナを繰り出した。
「フシギバナ!」
「バナ!」
強力な相手との激しい戦い。
しかし。
「パワーウィップ!」
「バナ!」
フシギバナの巨大なツルが相手を打ち倒す。
「戦闘不能!」
「勝者、マサヒロ!」
「よし!」
マサヒロはフシギバナのもとへ駆け寄る。
「フシギバナ、すごいぞ!」
「バナ!」
* * *
そして。
三回戦。
「行け、イーブイ!」
「イーブイ!」
マサヒロの相手も強敵だった。
激しい攻防が続く。
「イーブイ、でんこうせっか!」
「イーブイ!」
イーブイが高速で駆ける。
相手の攻撃をかわし、そのまま一気に距離を詰める。
「今だ!」
「エボルブラスト!」
「ブイィィィ!」
ドォォン!
強烈な衝撃波が相手のポケモンを吹き飛ばす。
「戦闘不能!」
「勝者、マサヒロ!」
「やった!」
マサヒロは拳を突き上げた。
「三回戦突破!」
イーブイが嬉しそうに飛び跳ねる。
「イーブイ!」
「ここまで来たんだ!」
マサヒロはイーブイを抱き上げる。
「絶対優勝しような!」
「イーブイ!」
* * *
その頃。
別のブロックでは――。
「サンド!」
「サンド!」
リョウの相棒、サンドがフィールドを駆け回っていた。
相手の攻撃をかわしながら、素早く距離を詰める。
「サンド、こうそくスピン!」
「サンド!」
サンドが身体を丸めて回転する。
「今だ!」
「10まんばりき!」
「サンド!」
ドォン!
相手のポケモンが吹き飛ばされる。
「戦闘不能!」
「勝者、リョウ!」
「よし!」
リョウは拳を握った。
「三回戦突破だ!」
「サンド!」
サンドも嬉しそうに鳴いた。
「あと少しだぞ!」
「サンド!」
* * *
別の会場。
「ピカチュウ、10まんボルト!」
「ピカ!」
ピカチュウの電撃が相手を倒す。
「戦闘不能!」
「勝者、サトシ!」
「よっしゃあ!」
サトシが拳を握る。
「三回戦突破だ!」
「ピカ!」
* * *
さらに別の会場。
「カメックス!」
「ハイドロポンプ!」
「カメェ!」
強烈な水流が相手を吹き飛ばす。
「勝者、シゲル!」
シゲルは余裕の笑みを浮かべる。
「当然だよ」
こうして。
マサヒロ。
サトシ。
シゲル。
リョウ。
四人は、そろって三回戦を突破した。
* * *
その日の夕方。
次の対戦表が発表されることになった。
「次の試合の組み合わせを発表します!」
会場に大きなモニターが映し出される。
「第四回戦――」
マサヒロはモニターを見上げる。
「俺の相手は誰だ?」
イーブイも隣で見上げる。
「イーブイ……」
対戦表が次々と表示される。
そして。
マサヒロの名前が表示された。
「マサヒロ――」
その隣に表示された名前。
「対――」
マサヒロの目が大きく開く。
「シゲル」
「……!」
マサヒロは言葉を失った。
「シゲル……!」
少し離れた場所にいたシゲルも、対戦表を見る。
「……」
そして。
シゲルはマサヒロを見る。
目が合った。
「……やっぱり、お前か」
マサヒロは拳を握る。
「シゲル……」
頭の中に、これまでの戦いが蘇る。
初めて出会った頃。
何度も負けた悔しさ。
追いつこうと努力した日々。
そして。
六対六で戦った、あの試合。
三勝三敗。
決着はつかなかった。
「……今度こそ」
マサヒロは拳を強く握る。
「決着をつけるぞ」
シゲルもゆっくりと前へ出る。
「そのつもりだよ」
「……!」
「前の戦いは引き分けだった」
シゲルはマサヒロを見る。
「でも、今回は違う」
「ポケモンリーグだ」
「負けた方が、ここで終わる」
マサヒロは頷く。
「ああ」
「絶対に負けない」
「俺もだ」
二人は向かい合う。
周囲の声が聞こえなくなる。
サトシも二人を見つめていた。
「マサヒロ……」
リョウも息を呑む。
「二人とも、すごい顔してるな……」
カスミが呟く。
「これがライバルってことなのね」
タケシも静かに頷く。
「二人とも、ずっとこの時を待っていたんだろうな」
マサヒロはイーブイを見る。
「イーブイ」
「イーブイ!」
「行こう」
イーブイが頷く。
マサヒロはシゲルを見る。
「次の相手は――」
「シゲルだ!」
シゲルもモンスターボールを握る。
「マサヒロ」
「なんだ?」
「今度こそ、僕が勝つ」
マサヒロは笑った。
「俺だって負けない!」
そして。
二人は、それぞれの仲間とともに歩き出した。
ポケモンリーグ第四回戦。
マサヒロVSシゲル。
かつて引き分けに終わった二人のライバル対決が――。
今、始まろうとしていた。