ポケットモンスターブラウン   作:光宙

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46話 決着!マサヒロVSシゲル!(前半)

セキエイ高原。

 

ポケモンリーグ、第四回戦。

 

マサヒロとシゲル。

 

二人の幼馴染であり、永遠のライバル。

 

これまで何度も競い合ってきた二人が、ついにリーグの舞台で激突する。

 

会場へ続く通路。

 

マサヒロはイーブイと並んで歩いていた。

 

「……」

 

「イーブイ?」

 

イーブイがマサヒロの顔を覗き込む。

 

「大丈夫だ」

 

マサヒロは笑う。

 

「ちょっと緊張してるだけ」

 

「イーブイ!」

 

「昨日、みんなと決めたんだ」

 

マサヒロは腰のモンスターボールを見る。

 

フシギバナ。

 

ウインディ。

 

プテラ。

 

「今日は、この三匹で行く」

 

「イーブイ!」

 

「みんな、絶対に勝ってくれる」

 

マサヒロは拳を握った。

 

「シゲルには負けない」

 

「イーブイ!」

 

* * *

 

岩場をイメージしたフィールド。

 

観客席から、大きな歓声が響いている。

 

「マサヒロ!」

 

「シゲル!」

 

二人がフィールドの両端へ立つ。

 

そして――。

 

二人の視線がぶつかった。

 

シゲルがニヤリと笑う。

 

「ついに、この時が来たな」

 

「……ああ」

 

マサヒロも拳を握る。

 

「前のバトルじゃ、決着がつかなかった」

 

「そうだな」

 

シゲルは真剣な表情になる。

 

「だから、今度こそ決めようか」

 

「俺も、そのつもりだ!」

 

「ルールは三対三」

 

「分かってる」

 

シゲルがフィールドへ目を向ける。

 

「どっちが強いのか、ここではっきりさせよう」

 

「ああ!」

 

マサヒロも岩のフィールドを見つめる。

 

「絶対に負けない!」

 

「その言葉、そっくり返すよ」

 

二人はフィールドを挟んで向かい合う。

 

審判が中央へ立った。

 

「第四回戦!」

 

「マサヒロ対シゲル!」

 

「使用ポケモンは三匹!」

 

「先に三匹すべてを戦闘不能にした方が勝者です!」

 

観客席から歓声が上がる。

 

「それでは――」

 

審判が手を上げる。

 

「バトル開始!」

 

「行け!」

 

マサヒロがモンスターボールを投げる。

 

「プテラ!」

 

「プテラァ!」

 

巨大な翼を持つプテラが姿を現した。

 

「最初はプテラか」

 

シゲルは少し驚いたように笑う。

 

「面白いポケモンを選んだな」

 

「昨日決めたんだ」

 

マサヒロはプテラを見る。

 

「お前なら、やれる!」

 

「プテラ!」

 

シゲルもボールを構える。

 

「なら、こいつで行く!」

 

「出ろ、レアコイル!」

 

「レアコイル!」

 

三つの磁石を持つレアコイルが浮かび上がる。

 

「レアコイル……!」

 

マサヒロは目を見開く。

 

「やっぱり、前の戦いで見たことのないポケモンが来たか」

 

「それはお互い様だろ?」

 

シゲルが笑う。

 

「プテラは前のバトルにはいなかったからな」

 

「……ああ」

 

マサヒロはプテラを見る。

 

「プテラ、かみつく!」

 

「プテラ!」

 

プテラが勢いよく突撃する。

 

「レアコイル、でんじは!」

 

「レアコイル!」

 

バチバチッ!

 

電気がプテラへ飛んでくる。

 

「プテラ、避けろ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが翼を広げ、横へ飛ぶ。

 

しかし――。

 

「レアコイル、狙い続けろ!」

 

「レア!」

 

電撃が何度も飛んでくる。

 

「くっ!」

 

プテラは必死にかわす。

 

だが。

 

「そこだ!」

 

シゲルが叫ぶ。

 

「でんじは!」

 

「レアコイル!」

 

バリッ!

 

電気がプテラへ命中した。

 

「プテラ!」

 

プテラの身体が大きく震える。

 

「まひか……!」

 

マサヒロが歯を食いしばる。

 

「プテラ、動けるか!?」

 

「プテラ……!」

 

プテラは翼を震わせる。

 

「まだだ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「つばさでうつ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが一気に突っ込む。

 

「レアコイル、ラスターカノン!」

 

「レア!」

 

光の弾が飛んでくる。

 

「かわして!」

 

「プテラ!」

 

プテラが横へ飛ぶ。

 

しかし、まひの影響で動きが遅い。

 

光弾が翼をかすめる。

 

「くっ……!」

 

「まだだ!」

 

シゲルが叫ぶ。

 

「ほうでん!」

 

「レアコイル!」

 

バリバリバリッ!!

 

周囲へ大量の電気が広がる。

 

「プテラ!」

 

「避けろ!」

 

プテラが飛び退く。

 

だが――。

 

「動きが鈍い……!」

 

マサヒロは焦る。

 

プテラは必死に身体を動かしている。

 

しかし、まひのせいで思うように動けない。

 

「このままじゃ……」

 

マサヒロは拳を握る。

 

そのとき。

 

プテラがマサヒロを振り返った。

 

「……プテラ」

 

その姿を見て、マサヒロの脳裏にマサラタウンでの特訓の日々が蘇った。

 

* * *

 

数週間前。

 

マサラタウン。

 

ポケモンリーグに挑むための特訓をしていたマサヒロは、庭に六匹のポケモンを集めていた。

 

「よし!」

 

マサヒロが拳を握る。

 

「リーグに挑戦する相手はみんな猛者ばかりだ!」

 

「イーブイ!」

 

「ここから先は、もっと強い相手が出てくる」

 

「フシギバナ!」

 

「だから、みんなで特訓をしよう!」

 

「ウインディ!」

 

「ギャラドス!」

 

「スピアー!」

 

「プテラ!」

 

六匹が一斉に返事をする。

 

「特にプテラ!」

 

「プテラ?」

 

マサヒロはプテラを見る。

 

「お前はまだ、戦闘経験が少ない」

 

「プテラ……」

 

「リーグを勝ち進むなら、新しく強力な技が欲しいよな」

 

「プテラ!」

 

プテラがやる気を見せる。

 

「よし!」

 

マサヒロは笑った。

 

「新しい技を覚えるぞ!」

 

「プテラ!」

 

* * *

 

「つばさでうつ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが岩へ向かって突っ込む。

 

ドンッ!

 

岩が大きく揺れる。

 

「いいぞ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「次はストーンエッジ!」

 

「プテラ!」

 

地面から無数の岩が突き出す。

 

「すごい!」

 

マサヒロは嬉しそうに笑う。

 

「でも……」

 

マサヒロは考える。

 

「もっと強力な近距離攻撃が欲しいな」

 

プテラが首を傾げる。

 

「頭を使った攻撃なら……」

 

そのときだった。

 

「イーブイ!」

 

イーブイが前へ出た。

 

「どうした?」

 

イーブイは尻尾を振る。

 

「ブイ!」

 

イーブイの尻尾が銀色に輝く。

 

ドォン!

 

近くの岩を尻尾で叩き割った。

 

「おおっ! アイアンテールもますます強力になってるな!」

 

マサヒロが目を輝かせる。

 

「そういえば、この技……」

 

マサヒロは思い出す。

 

以前のバトルでシゲルのドードリオが使っていた技。

 

「ドードリオのはがねのつばさを見て、覚えたんだよな」

 

「イーブイ!」

 

マサヒロはプテラを見る。

 

「じゃあ、プテラも同じようにできるかもしれない」

 

「プテラ?」

 

「イーブイみたいに、頭に鋼の力を集めるんだ」

 

「プテラ!」

 

プテラが岩へ向き直る。

 

「頭に力を集めて――」

 

プテラが頭を下げる。

 

「突っ込む!」

 

「プテラァ!」

 

ドンッ!

 

しかし――。

 

「プテラ!」

 

岩にぶつかったプテラが弾き飛ばされる。

 

「大丈夫か!?」

 

「プテラ……」

 

「難しいか……」

 

マサヒロが考える。

 

「プテラ!」

 

プテラが悔しそうに鳴く。

 

「分かった!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「何回でもやろう!」

 

「プテラ!」

 

何度も。

 

何度も。

 

プテラは岩へ向かって突っ込んだ。

 

ドンッ!

 

ドンッ!

 

ドンッ!

 

しかし、岩は壊れない。

 

「まだだ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「もっと頭に力を集めるんだ!」

 

「プテラ……!」

 

プテラが集中する。

 

頭へ力を集める。

 

身体全体に力が入る。

 

「そのまま!」

 

プテラの頭が、少しずつ銀色に輝き始めた。

 

「……!」

 

マサヒロが息を呑む。

 

「できてる!」

 

「プテラァ!」

 

プテラが一気に突っ込む。

 

ドゴォン!!

 

岩が大きく砕け散った。

 

「やった!」

 

マサヒロが飛び上がる。

 

「プテラ!」

 

プテラも嬉しそうに鳴く。

 

「今のは……!」

 

マサヒロは笑った。

 

「アイアンヘッドだ!」

 

「プテラァ!」

 

イーブイも嬉しそうに跳ねる。

 

「イーブイ!」

 

「お前が覚えたアイアンテールがヒントになったな!」

 

「ブイ!」

 

「これでリーグでも戦えるぞ!」

 

「プテラ!」

 

プテラは大きく翼を広げた。

 

新しい力を手に入れたプテラ。

 

その姿を見て、マサヒロも笑った。

 

「よし!」

 

「これで、優勝まで行くぞ!」

 

* * *

 

「プテラ!」

 

マサヒロの声で、プテラが我に返る。

 

目の前にはレアコイル。

 

そして、シゲル。

 

「……そうだ」

 

マサヒロは拳を握った。

 

「俺たちは、リーグを勝ち進むために新しい技を覚えたんだ!」

 

プテラが顔を上げる。

 

「プテラ!」

 

「だったら、ここで見せてやる!」

 

マサヒロは叫ぶ。

 

「プテラ、アイアンヘッド!」

 

「プテラァ!」

 

プテラの頭が銀色に輝く。

 

そして――。

 

ドンッ!

 

鋼鉄の頭突きがレアコイルへ直撃した。

 

「レアコイル!」

 

レアコイルの身体が大きく揺れる。

 

「よし!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「これが新しい力だ!」

 

「プテラ!」

 

シゲルも驚いている。

 

「アイアンヘッド……!」

 

「マサラタウンで特訓して覚えたんだ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「イーブイのアイアンテールを参考にしてな!」

 

シゲルは少し笑う。

 

「なるほどな」

 

「でも、その一撃だけじゃ終わらないよ!」

 

「レアコイル、ラスターカノン!」

 

「レア!」

 

光の弾が飛ぶ。

 

「プテラ、避けろ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが翼を広げる。

 

まひで動きは鈍い。

 

それでも、必死に身体を動かす。

 

光弾をかわす。

 

「今だ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「ストーンエッジ!」

 

「プテラァ!」

 

無数の岩が地面から突き出す。

 

「レアコイル!」

 

レアコイルが逃げようとする。

 

しかし――。

 

「逃がすな!」

 

「プテラ!」

 

ズガガガッ!

 

巨大な岩がレアコイルを直撃する。

 

「レア……!」

 

レアコイルが地面へ落ちる。

 

「レアコイル、戦闘不能!」

 

「やった!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「プテラ!」

 

プテラが翼を広げる。

 

「よくやった!」

 

マサヒロは笑った。

 

だが――。

 

シゲルは冷静だった。

 

「いい攻撃だったな」

 

シゲルが次のボールを取り出す。

 

「でも、ここからだ!」

 

「……!」

 

マサヒロは身構える。

 

「行け、カメックス!」

 

「カメェェ!」

 

巨大なカメックスが姿を現す。

 

「カメックス……!」

 

マサヒロは息を呑む。

 

前のバトルでも戦った相手。

 

その強さは、よく知っている。

 

「プテラ、まだいけるか!?」

 

「プテラ!」

 

プテラはまひした身体を震わせながら、カメックスを睨みつける。

 

「そうか……!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「だったら、最後まで頼む!」

 

「プテラ!」

 

シゲルが叫ぶ。

 

「カメックス、こうそくスピン!」

 

「カメェ!」

 

カメックスが身体を丸め、高速回転しながら突っ込んでくる。

 

「プテラ、つばさでうつ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが翼を振り下ろす。

 

ドンッ!

 

しかし、カメックスは回転しながら攻撃を受け流す。

 

「カメックス、かみつく!」

 

「カメェ!」

 

カメックスがプテラへ飛びかかる。

 

「プテラ、避けろ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが飛び上がろうとする。

 

だが――。

 

「……!」

 

まひの影響で動きが遅れる。

 

「カメックス!」

 

ガブッ!

 

カメックスがプテラの翼へ噛みついた。

 

「プテラァ!」

 

「プテラ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「ストーンエッジ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが力を振り絞る。

 

地面から岩が突き出す。

 

「カメックス、からにこもる!」

 

「カメェ!」

 

カメックスが甲羅へ身を隠す。

 

ズガガガッ!

 

岩が甲羅へ次々と命中する。

 

「カメックス!」

 

しかし――。

 

甲羅に大きな傷がついただけだった。

 

「まだだ!」

 

シゲルが叫ぶ。

 

「カメックス、ハイドロポンプ!」

 

「カメェェェ!」

 

凄まじい水流が放たれる。

 

「プテラ、飛べ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが翼を広げる。

 

しかし、まひで動きが鈍い。

 

「くっ……!」

 

水流がプテラの身体を直撃した。

 

「プテラァァ!」

 

プテラが大きく吹き飛ばされる。

 

「プテラ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

プテラは何とか立ち上がろうとする。

 

しかし――。

 

身体が震えている。

 

翼にも力が入らない。

 

「もう一度、ハイドロポンプ!」

 

「カメェェ!」

 

「プテラ、避けろ!」

 

「プテラ……!」

 

プテラは動こうとする。

 

だが、身体が動かない。

 

「しまった……!」

 

次の瞬間。

 

ドォォォン!!

 

強烈な水流がプテラを直撃した。

 

「プテラァァァ!」

 

プテラが地面を転がる。

 

そして――。

 

動かなくなった。

 

「……」

 

マサヒロは息を呑む。

 

「プテラ……!」

 

審判が確認する。

 

「プテラ、戦闘不能!」

 

「……!」

 

マサヒロは拳を握った。

 

「プテラ……よく頑張った」

 

プテラは静かにボールへ戻っていく。

 

マサヒロはボールを強く握る。

 

「ここまで頑張ってくれて、ありがとう」

 

シゲルはカメックスを見る。

 

「よくやったな、カメックス」

 

「カメェ!」

 

マサヒロは残った二つのボールを見る。

 

フシギバナ。

 

ウインディ。

 

「……まだ二匹いる」

 

マサヒロは顔を上げる。

 

「ここからだ!」

 

シゲルも次のボールへ手を伸ばす。

 

「俺もまだ、二匹残ってる」

 

二人の視線が再びぶつかる。

 

「まだ終わってないぞ、シゲル!」

 

「ああ」

 

シゲルが笑う。

 

「ここからが本番だ」

 

岩場のフィールドに、再び歓声が響き渡った。

 

――激闘は、まだ終わらない。

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