ポケットモンスターブラウン   作:光宙

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52話 激突!マサヒロvsサトシ!(前編)

ポケモンリーグ、準々決勝。

 

控え室のモニターに、組み合わせ表が映し出されていた。

 

「……え?」

 

マサヒロは画面を見つめる。

 

そこに表示されていた名前は――

 

マサヒロ。

 

そして。

 

「サトシ……?」

 

「イーブイ?」

 

イーブイも画面を覗き込む。

 

「俺の次の相手……サトシなのか!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

幼い頃から知っている友達。

 

一緒に遊んだこともある。

 

そして、今では――

 

自分と同じようにリーグ優勝を目指すライバル。

 

「……サトシと戦う」

 

マサヒロの胸が高鳴る。

 

* * *

 

その頃。

 

サトシも対戦表を見ていた。

 

「マサヒロ……!」

 

「ピカ!」

 

ピカチュウが隣で鳴く。

 

「ついに来たな」

 

サトシは拳を握る。

 

「絶対に勝つぞ、ピカチュウ!」

 

「ピカ!」

 

そこへ、マサヒロがやって来た。

 

「サトシ!」

 

「マサヒロ!」

 

二人は向かい合う。

 

「まさか、準々決勝で当たるとはな!」

 

「ああ!」

 

マサヒロは笑う。

 

「でも、ちょうどいい!」

 

「……?」

 

「今まで何度も戦ってきたけど、フルバトルでの戦いは初めてだろ?」

 

サトシも笑った。

 

「そうだな」

 

二人の表情が真剣になる。

 

「俺、手加減しないからな」

 

「俺もだ」

 

サトシが拳を握る。

 

「本気でいく!」

 

「俺も本気で挑む!」

 

二人の視線がぶつかる。

 

「絶対に勝つ!」

 

「こっちだって!」

 

ピカチュウとイーブイも、お互いを見つめる。

 

「ピカ!」

 

「イーブイ!」

 

二匹の声が重なった。

 

* * *

 

そして――

 

試合当日。

 

ポケモンリーグ、準々決勝。

 

会場は大勢の観客で埋め尽くされていた。

 

「すごい人だな……」

 

マサヒロはフィールドへ向かいながら呟く。

 

その隣にはイーブイ。

 

「イーブイ!」

 

「緊張してるか?」

 

「イーブイ!」

 

「俺も少しだけな」

 

マサヒロは笑った。

 

そしてフィールドへ出る。

 

反対側から、サトシも姿を現した。

 

「サトシ!」

 

「マサヒロ!」

 

二人はフィールドを挟んで向かい合う。

 

審判が中央へ立つ。

 

「これより、ポケモンリーグ準々決勝!」

 

「マサヒロ選手対サトシ選手のバトルを開始します!」

 

「準々決勝からは、使用ポケモンは6匹!」

 

「先に相手の6匹すべてを戦闘不能にした方が勝者です!」

 

観客から大きな歓声が上がる。

 

「それでは――」

 

「バトル、スタート!」

 

マサヒロはすぐにモンスターボールを取り出した。

 

「最初から飛ばしていくぞ!」

 

「イーブイ!」

 

「ブイ!」

 

イーブイがフィールドへ飛び出す。

 

「いきなりイーブイか!」

 

サトシが驚く。

 

「だったら、俺はこいつだ!」

 

サトシがボールを投げる。

 

「出てこい!」

 

「ベトベトン!」

 

「ベトォォ!」

 

巨大なベトベトンがフィールドへ現れた。

 

「ベトベトン……!」

 

マサヒロは身構える。

 

ベトベトンの身体は、まるで溶けた泥のように流動している。

 

「イーブイ!」

 

「ブイ!」

 

「いくぞ!」

 

「ベトベトン、ヘドロこうげき!」

 

「ベトォ!」

 

大量のヘドロが飛んでくる。

 

「イーブイ、でんこうせっか!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが一気に走る。

 

ヘドロをかわし、そのままベトベトンへ突っ込む。

 

「そのまま、アイアンテール!」

 

「ブイッ!」

 

尻尾が鋼のように輝く。

 

ドンッ!

 

「ベトォ……!」

 

しかし――

 

ベトベトンの身体が大きくへこむだけだった。

 

「……効いてない!?」

 

マサヒロが驚く。

 

ベトベトンの身体はすぐに元へ戻った。

 

「ベトベトン!」

 

「そうだ!」

 

サトシが得意げに笑う。

 

「ベトベトンの身体は柔らかいんだ!」

 

「だから、物理攻撃じゃ大したダメージにならないってわけか……!」

 

マサヒロは歯を食いしばる。

 

「そういうこと!」

 

サトシは拳を握る。

 

「そのイーブイでも、簡単には勝てないぞ!」

 

「……」

 

マサヒロはイーブイを見る。

 

「イーブイ!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが立ち上がる。

 

「だったら、正面から攻撃する必要はない!」

 

「かげぶんしん!」

 

「イーブイ!」

 

シュッ!

 

イーブイの姿が一気に増える。

 

「なっ!?」

 

サトシが目を見開く。

 

フィールドに何匹ものイーブイが現れる。

 

「ベトベトン、どれが本物だ!?」

 

「ベトォ……?」

 

ベトベトンが辺りを見回す。

 

「イーブイ!」

 

分身たちが一斉に走り出す。

 

右へ。

 

左へ。

 

後ろへ。

 

ベトベトンが腕を伸ばす。

 

しかし――

 

「違う!」

 

サトシが叫ぶ。

 

ベトベトンが別の分身を狙う。

 

「そこじゃない!」

 

また空振り。

 

「今だ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「イーブイ、でんこうせっか!」

 

「ブイッ!」

 

本物のイーブイが分身の中から飛び出す。

 

「ベトベトン!」

 

ドンッ!

 

ベトベトンが大きくよろめく。

 

「そのまま!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「エボルブラスト!」

 

「ブイィィィィッ!!」

 

イーブイの尻尾から、強烈な衝撃波が放たれる。

 

ドォォォン!!

 

「ベトベトン!」

 

ベトベトンの身体が大きく吹き飛ばされる。

 

そのまま地面へ倒れた。

 

「ベトベトン、戦闘不能!」

 

「よし!」

 

マサヒロが拳を突き上げる。

 

「一匹目!」

 

「イーブイ!」

 

イーブイも嬉しそうに鳴いた。

 

サトシはベトベトンを見る。

 

「……やっぱり強いな、イーブイ」

 

「当たり前だ!」

 

マサヒロが笑う。

 

「俺たちは本気だからな!」

 

「だったら、俺も本気でいく!」

 

サトシは次のボールを取り出した。

 

「行け!」

 

「ゼニガメ!」

 

「ゼニ!」

 

ゼニガメがフィールドへ飛び出す。

 

「ゼニガメか!」

 

マサヒロはイーブイを見る。

 

「イーブイ、まだいけるな?」

 

「イーブイ!」

 

「よし!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「ゼニガメ、みずてっぽう!」

 

「ゼニ!」

 

シュッ!

 

水流がイーブイへ飛んでくる。

 

「イーブイ、でんこうせっか!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが水流をかわす。

 

そのままゼニガメへ向かって突っ込む。

 

「ゼニガメ、たいあたり!」

 

「ゼニ!」

 

ゼニガメも正面から突っ込んだ。

 

「イーブイ!」

 

「ゼニ!」

 

ドォン!!

 

二匹が正面から激突する。

 

「……!」

 

マサヒロが目を見開く。

 

「イーブイ!」

 

ゼニガメのたいあたりが、でんこうせっかを止めようとする。

 

しかし――

 

「ブイィィ!」

 

イーブイがさらに加速する。

 

「なっ!?」

 

サトシが驚く。

 

イーブイの身体がゼニガメを押し返していく。

 

「そんな……!」

 

ゼニガメが少しずつ後ろへ下がる。

 

「イーブイの特性――」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「てきおうりょくだ!」

 

「ブイ!」

 

イーブイの攻撃が、さらに強くなる。

 

「ゼニガメ!」

 

ドォン!!

 

ゼニガメが大きく吹き飛ばされた。

 

「ゼニ!」

 

「ゼニガメ!」

 

サトシが叫ぶ。

 

ゼニガメが地面へ転がる。

 

「まだだ!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「ゼニガメ、からにこもる!」

 

「ゼニ!」

 

ゼニガメが甲羅へ身を隠す。

 

「こうそくスピン!」

 

「ゼニ!」

 

ゼニガメが高速回転する。

 

「イーブイ、でんこうせっか!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが追いかける。

 

そして――

 

「エボルブラスト!」

 

「ブイィィィィッ!!」

 

至近距離から衝撃波が放たれる。

 

ドォォォン!!

 

「ゼニガメ!」

 

ゼニガメが大きく吹き飛ばされ、そのまま倒れる。

 

「ゼニガメ、戦闘不能!」

 

「……!」

 

サトシが拳を握る。

 

「これで二匹目……」

 

マサヒロはイーブイを見る。

 

「すごいぞ、イーブイ!」

 

「イーブイ!」

 

しかし――

 

イーブイの呼吸が荒くなっていた。

 

「……?」

 

マサヒロが気づく。

 

「イーブイ?」

 

「ブイ……!」

 

イーブイは立っている。

 

だが、明らかに疲れていた。

 

「エボルブラストを二回……」

 

マサヒロは呟く。

 

連続して使えるようになった。

 

それでも――

 

エボルブラストはイーブイの体力を大きく消耗させる。

 

「無理させすぎた……」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「大丈夫か?」

 

「ブイ……!」

 

イーブイはまだ戦えると頷く。

 

その時。

 

サトシが三つ目のボールを取り出した。

 

「まだ終わってないぞ!」

 

「出てこい!」

 

「ピジョン!」

 

「ピジョー!」

 

ピジョンが空高く飛び上がる。

 

「飛行タイプか……」

 

マサヒロはピジョンを見上げる。

 

そして、足元のイーブイを見る。

 

「……」

 

イーブイは呼吸を荒げている。

 

「イーブイ」

 

「ブイ……」

 

マサヒロは少し考える。

 

「お前には、まだ戦ってもらわないといけない」

 

「ブイ!」

 

「でも……」

 

マサヒロは優しく笑う。

 

「今は少し休もう」

 

イーブイがマサヒロを見る。

 

「イーブイ……」

 

「戻ってこい!」

 

マサヒロが呼びかける。

 

「ブイ!」

 

タッタッタッ!

 

イーブイはフィールドを駆け抜ける。

 

マサヒロの足元まで戻ってくると、そのままマサヒロを見上げた。

 

「よく頑張ったな」

 

マサヒロはイーブイの頭を撫でる。

 

「少し休んでろ」

 

「イーブイ……!」

 

イーブイはマサヒロの隣でじっとフィールドを見つめる。

 

マサヒロは次のモンスターボールを握った。

 

「じゃあ――」

 

一つのボールを取り出す。

 

「次は、お前だ!」

 

「行け、プテラ!」

 

「プテラァァァ!」

 

巨大な翼を持つプテラがフィールドへ飛び出す。

 

「プテラ!」

 

マサヒロが拳を握る。

 

「ここからだ!」

 

「サトシ、ピジョン!」

 

「ピジョー!」

 

二匹の視線がぶつかる。

 

準々決勝。

 

マサヒロとサトシ。

 

二人の本気のフルバトルは――

 

まだ始まったばかりだった。

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