「プテラ!」
「プテラァァァ!」
巨大な翼を広げ、プテラが空へ舞い上がる。
その向かいでは、ピジョンも翼を広げていた。
「ピジョン!」
「ピジョー!」
二匹の視線がぶつかる。
「プテラ、いくぞ!」
「プテラ!」
「ピジョン、負けるな!」
「ピジョー!」
二匹が同時に空へ飛び出した。
「速い!」
マサヒロが目を見開く。
プテラとピジョンが空中ですれ違う。
「ピジョン、つばさでうつ!」
「ピジョー!」
ピジョンが急降下する。
「プテラ、かわして!」
「プテラ!」
プテラが身体をひねる。
ピジョンの翼が空を切った。
「今だ!」
マサヒロが叫ぶ。
「つばさでうつ!」
「プテラ!」
プテラが反転し、ピジョンへ突っ込む。
「ピジョー!」
ドンッ!
ピジョンが吹き飛ばされる。
「ピジョン!」
サトシが叫ぶ。
「まだだ!」
ピジョンは空中で体勢を立て直した。
「ピジョー!」
「よし!」
サトシが拳を握る。
「でんこうせっか!」
「ピジョー!」
ピジョンが一気に加速する。
「プテラ、迎え撃て!」
「プテラ!」
二匹が再び空中で激突する。
ドォン!
互いに弾き飛ばされた。
「まだまだ!」
サトシが叫ぶ。
「ピジョン、つばさでうつ!」
「ピジョー!」
「プテラ、かみつく!」
「プテラ!」
プテラが大きく口を開ける。
ピジョンが翼を振り抜く。
二匹が激しくぶつかり合う。
「すごい……!」
スタジアムの観客達も思わず息を呑む。
しかし――。
徐々にピジョンが押され始めていた。
「くっ……」
サトシが歯を食いしばる。
プテラは岩タイプ。
ピジョンの攻撃では、決定的なダメージを与えにくい。
その一方で、プテラの岩の攻撃はピジョンに大きなダメージを与えられる。
「ピジョン!」
サトシはピジョンを見る。
「まだ諦めるな!」
「ピジョー!」
ピジョンが大きく上昇する。
「プテラ、追え!」
「プテラ!」
プテラも後を追う。
二匹が雲の近くまで上昇する。
「今だ!」
マサヒロが叫ぶ。
「ストーンエッジ!」
「プテラァァァ!」
無数の巨大な岩が空中へ現れる。
「ピジョン!」
サトシが叫ぶ。
「避けろ!」
「ピジョー!」
ピジョンが必死に方向を変える。
しかし――
一つ。
二つ。
三つ。
「ピジョーッ!」
岩が次々とピジョンへ命中する。
「ピジョン!」
サトシが叫ぶ。
ピジョンの身体が大きく吹き飛ばされた。
そのまま地面へ落下する。
ドォン!!
「ピジョン!」
サトシは拳を握る。
「立て、ピジョン!」
「ピジョ……」
ピジョンは動かない。
審判が確認する。
「ピジョン、戦闘不能――」
その瞬間だった。
「ピジョン!」
ピジョンの身体が光り始める。
「え……?」
サトシが目を見開く。
光がどんどん強くなる。
「まさか……!」
ピジョンの身体が大きくなっていく。
翼が広がる。
羽の色が変化していく。
「ピジョォォォ!」
光が消える。
そこに立っていたのは――
「ピジョット……!」
サトシが驚く。
「進化した!」
ピジョットが大きく翼を広げる。
「ピジョット!」
力強い鳴き声が響き渡る。
「すごい……!」
マサヒロも驚く。
「進化したのか!」
ピジョットが空へ舞い上がる。
「サトシ!」
「分かってる!」
サトシが笑う。
「ピジョット、いくぞ!」
「ピジョット!」
「プテラ、もう一度ストーンエッジ!」
「プテラ!」
岩が一斉に飛び出す。
「ピジョット、かわして!」
「ピジョット!」
ピジョットが空中を縦横無尽に飛び回る。
岩を次々とかわしていく。
「速い!」
マサヒロが驚く。
「だったら、こっちも!」
「プテラ、つばさでうつ!」
「プテラ!」
プテラが急降下する。
「ピジョット、迎え撃て!」
「ピジョット!」
二匹が空中で激突する。
ドンッ!
「ピジョット!」
ピジョットが弾き飛ばされる。
しかし、すぐに体勢を立て直した。
「まだだ!」
サトシが叫ぶ。
「ピジョット、新しく覚えた技だ!」
「ピジョット!」
ピジョットが翼を大きく広げる。
「すてみタックル!」
「ピジョットォォォ!」
ピジョットが猛スピードでプテラへ突っ込む。
「プテラ、避けろ!」
「プテラ!」
しかし――
間に合わない。
ドォォォン!!
「プテラ!」
プテラが大きく吹き飛ばされる。
地面へ叩きつけられた。
「プテラ……!」
マサヒロが叫ぶ。
プテラは立ち上がろうとする。
しかし――
「プテラ、戦闘不能!」
「……!」
マサヒロは拳を握る。
「やられた……!」
「お疲れ様、プテラ。ゆっくり休んでくれ」
マサヒロは次のボールを取り出す。
「いくぞ!」
「出ろ、スピアー!」
「スピアー!」
スピアーがフィールドへ飛び出す。
「ここからは俺たちの番だ!」
「スピアー!」
ピジョットも空中へ舞い上がる。
「いくぞ!サトシ、ピジョット!」
「スピアー、こうそくいどう!」
「スピアー!」
スピアーの姿が一瞬で消える。
「速い!」
サトシが目を見開く。
「ピジョット、追え!」
「ピジョット!」
ピジョットが空中からスピアーを追いかける。
しかし――
「スピアー、かわせ!」
「スピアー!」
スピアーが地面すれすれを高速で走る。
ピジョットが急降下する。
「今だ!」
マサヒロが叫ぶ。
「ミサイルばり!」
「スピアー!」
無数の針が空へ飛んでいく。
「ピジョット!」
ピジョットが翼を振る。
しかし、避けきれない。
「ピジョッ!」
針が何本も命中する。
「よし!」
マサヒロが拳を握る。
「もう一度、こうそくいどう!」
「スピアー!」
スピアーが高速で駆ける。
右。
左。
後ろ。
ピジョットの周囲を一瞬で移動する。
「どこだ!?」
サトシが叫ぶ。
「ピジョット、見つけろ!」
「ピジョー!」
ピジョットが辺りを見回す。
その瞬間。
「スピアー、どくづき!」
「スピアー!」
ドンッ!
スピアーが背後から突っ込む。
「ピジョット!」
ピジョットが吹き飛ばされる。
「今だ!」
マサヒロが叫ぶ。
「かわらわり!」
「スピアー!」
スピアーが一気に距離を詰める。
「ピジョット!」
ドォン!!
ピジョットが地面へ落下する。
「ピジョット、戦闘不能!」
「よし!」
マサヒロが拳を突き上げる。
「やったな、スピアー!」
「スピアー!」
サトシはピジョットを見つめる。
「ありがとう、ピジョット」
ピジョットはゆっくりと頷いた。
そして、サトシは隣にいるピカチュウを見つめる。
「……次はお前だ」
「頼んだ! ピカチュウ!」
「ピカ!」
ピカチュウが勢いよくフィールドへ飛び出す。
「ピカチュウか!」
マサヒロが構える。
「スピアー、いくぞ!」
「スピアー!」
「ピカチュウ、まずは――」
サトシが拳を握る。
「かみなり!」
「ピカァァァ!」
空が一瞬で暗くなる。
「来る!」
マサヒロが叫ぶ。
「スピアー、避けろ!」
「スピアー!」
ドォォォォン!!
巨大な雷がフィールドへ落ちる。
「スピアー!」
スピアーは間一髪で横へ飛んだ。
雷はスピアーを外れ、地面へ直撃する。
ドゴォォォン!!
スピアーのいる場所から少し離れた地面が、大きくえぐれる。
その衝撃で、ピカチュウの周囲に大量の土煙が巻き上がった。
「ピカチュウ!」
マサヒロが叫ぶ。
「……!」
しかし、そこにピカチュウの姿はない。
「どこだ……?」
マサヒロは目を凝らす。
だが、スピアーからはピカチュウが見えなくなっていた。
「スピアー、動くな!」
「スピアー!」
マサヒロはフィールドを見渡す。
「ピカチュウはどこにいる……?」
煙はピカチュウの周囲だけに残っている。
その中に、ピカチュウが身を隠していた。
「ピカ……」
サトシは静かにフィールドを見つめる。
「……今だ」
「ピカ!」
ピカチュウが煙の中から飛び出した。
「スピアー!」
マサヒロが叫ぶ。
「後ろだ!」
スピアーが振り返る。
しかし――
「10まんボルト!」
「ピカチュウ!」
バリバリバリバリッ!!
至近距離から強烈な電撃が放たれる。
「スピアー!」
ドォン!!
電撃が直撃し、スピアーが地面へ叩きつけられる。
「スピアー、戦闘不能!」
「……!」
マサヒロは目を見開いた。
スピアーが倒れている。
「スピアー……」
マサヒロは拳を握る。
そして――
「……サトシ」
サトシを見る。
「今のはすごいな」
「え?」
「外れたかみなりを利用して、ピカチュウを隠すなんて……」
マサヒロは笑った。
「俺、そんなこと考えもしなかった」
サトシも驚く。
「マサヒロ……」
「それでスピアーを倒すとは思わなかったよ」
マサヒロは拳を握る。
「それでこそ――」
サトシを見る。
「俺のライバルだ!」
サトシが笑う。
「マサヒロ……!」
マサヒロは一つのボールを取り出す。
「だったら、俺も本気でいく!」
「出てこい!」
「フシギバナ!」
「フシギバナァァ!」
巨大な花を背負ったフシギバナがフィールドへ現れる。
「フシギバナ……!」
ピカチュウが構える。
「ピカ!」
「フシギバナ!」
マサヒロも拳を握る。
「ここからだ!」
「ピカチュウ、いくぞ!」
「ピカ!」
「フシギバナ、負けるな!」
「フシギバナ!」
二匹が同時に駆け出す。
「でんこうせっか!」
「ピカ!」
ピカチュウが一気に距離を詰める。
「フシギバナ、パワーウィップ!」
「フシギバナ!」
巨大なツルが迫る。
「ピカチュウ、避けろ!」
「ピカ!」
ピカチュウが横へ飛ぶ。
そのままフシギバナへ接近する。
「フシギバナ、パワーウィップ!」
「フシギバナ!」
巨大なツルが伸びる。
「ピカ!」
ピカチュウが跳ぶ。
ツルが地面を叩く。
「今だ!」
サトシが叫ぶ。
「10まんボルト!」
「ピカチュウ!」
バリバリバリッ!
電撃がフシギバナへ襲いかかる。
「フシギバナ!」
フシギバナが耐える。
「まだだ!」
マサヒロが叫ぶ。
「ヘドロばくだん!」
「フシギバナ!」
毒球がピカチュウに向かって飛ぶ。
「ピカチュウ、でんこうせっか!」
「ピカ!」
ピカチュウが高速で駆ける。
毒球をかわしながら、フシギバナへ接近する。
「今だ!」
「かみなり!」
「ピカァァァ!」
巨大な雷がフィールドへ落ちる。
「フシギバナ、ソーラービーム!」
「フシギバナァァァ!」
フシギバナの花へ光が集まる。
「いけえええ!」
「フシギバナ!」
強烈な光線が放たれる。
「ピカチュウ!」
雷とソーラービームが正面からぶつかる。
ドォォォォン!!
凄まじい爆発が起こる。
「うわああっ!」
マサヒロとサトシが腕で顔を覆う。
フィールドの中央に煙が広がる。
「フシギバナ!」
「ピカチュウ!」
二人の声が響く。
やがて――
煙が少しずつ晴れていく。
「……」
マサヒロが目を凝らす。
「フシギバナ……?」
フシギバナは、その場に立っていた。
しかし――
ピカチュウも立っている。
「ピカ……!」
「フシギ……!」
二匹とも、身体は限界に近かった。
「まだだ……!」
マサヒロが叫ぶ。
「フシギバナ!」
「ピカチュウ!」
サトシも叫ぶ。
二匹が同時に動き出す。
「パワーウィップ!」
「10まんボルト!」
巨大なツルと電撃が同時に放たれる。
ドォォォン!!
再び大きな衝撃が起こる。
「フシギバナ!」
「ピカ!」
二匹が吹き飛ばされる。
地面へ倒れた。
「……」
マサヒロは息を呑む。
「フシギバナ……!」
サトシも叫ぶ。
「ピカチュウ!」
二匹は立ち上がろうとする。
しかし――
足に力が入らない。
「フシギ……」
「ピカ……」
二匹が同時に倒れる。
ドサッ。
審判がフィールドへ駆け寄る。
そして――
「フシギバナ、戦闘不能!」
「ピカチュウ、戦闘不能!」
「両者、戦闘不能!」
「……!」
マサヒロとサトシは同時に目を見開く。
「相打ち……!」
観客席から大きな歓声が上がる。
マサヒロはフシギバナのもとへ駆け寄る。
「よくやった、フシギバナ!」
「フシギ……」
サトシもピカチュウのもとへ駆け寄る。
「ピカチュウ、大丈夫か?」
「ピカ……!」
二人はそれぞれ仲間を見つめる。
そして――
マサヒロとサトシの視線がぶつかった。
ここまで、どちらも一歩も譲らない。
「……サトシ」
「ああ」
「まだ終わってないな」
「もちろん!」
二人が拳を握る。
マサヒロは残ったボールを見る。
サトシも残ったボールを見る。
勝負の行方は、まだ誰にも分からない。
「絶対に勝つ!」
「俺だって!」
二人の声が、会場いっぱいに響き渡った。
勝利の女神は――
まだ、どちらにも微笑んでいなかった。