ポケットモンスターブラウン   作:光宙

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53話 激突!マサヒロvsサトシ!(中編)

「プテラ!」

 

「プテラァァァ!」

 

巨大な翼を広げ、プテラが空へ舞い上がる。

 

その向かいでは、ピジョンも翼を広げていた。

 

「ピジョン!」

 

「ピジョー!」

 

二匹の視線がぶつかる。

 

「プテラ、いくぞ!」

 

「プテラ!」

 

「ピジョン、負けるな!」

 

「ピジョー!」

 

二匹が同時に空へ飛び出した。

 

「速い!」

 

マサヒロが目を見開く。

 

プテラとピジョンが空中ですれ違う。

 

「ピジョン、つばさでうつ!」

 

「ピジョー!」

 

ピジョンが急降下する。

 

「プテラ、かわして!」

 

「プテラ!」

 

プテラが身体をひねる。

 

ピジョンの翼が空を切った。

 

「今だ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「つばさでうつ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが反転し、ピジョンへ突っ込む。

 

「ピジョー!」

 

ドンッ!

 

ピジョンが吹き飛ばされる。

 

「ピジョン!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「まだだ!」

 

ピジョンは空中で体勢を立て直した。

 

「ピジョー!」

 

「よし!」

 

サトシが拳を握る。

 

「でんこうせっか!」

 

「ピジョー!」

 

ピジョンが一気に加速する。

 

「プテラ、迎え撃て!」

 

「プテラ!」

 

二匹が再び空中で激突する。

 

ドォン!

 

互いに弾き飛ばされた。

 

「まだまだ!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「ピジョン、つばさでうつ!」

 

「ピジョー!」

 

「プテラ、かみつく!」

 

「プテラ!」

 

プテラが大きく口を開ける。

 

ピジョンが翼を振り抜く。

 

二匹が激しくぶつかり合う。

 

「すごい……!」

 

スタジアムの観客達も思わず息を呑む。

 

しかし――。

 

徐々にピジョンが押され始めていた。

 

「くっ……」

 

サトシが歯を食いしばる。

 

プテラは岩タイプ。

 

ピジョンの攻撃では、決定的なダメージを与えにくい。

 

その一方で、プテラの岩の攻撃はピジョンに大きなダメージを与えられる。

 

「ピジョン!」

 

サトシはピジョンを見る。

 

「まだ諦めるな!」

 

「ピジョー!」

 

ピジョンが大きく上昇する。

 

「プテラ、追え!」

 

「プテラ!」

 

プテラも後を追う。

 

二匹が雲の近くまで上昇する。

 

「今だ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「ストーンエッジ!」

 

「プテラァァァ!」

 

無数の巨大な岩が空中へ現れる。

 

「ピジョン!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「避けろ!」

 

「ピジョー!」

 

ピジョンが必死に方向を変える。

 

しかし――

 

一つ。

 

二つ。

 

三つ。

 

「ピジョーッ!」

 

岩が次々とピジョンへ命中する。

 

「ピジョン!」

 

サトシが叫ぶ。

 

ピジョンの身体が大きく吹き飛ばされた。

 

そのまま地面へ落下する。

 

ドォン!!

 

「ピジョン!」

 

サトシは拳を握る。

 

「立て、ピジョン!」

 

「ピジョ……」

 

ピジョンは動かない。

 

審判が確認する。

 

「ピジョン、戦闘不能――」

 

その瞬間だった。

 

「ピジョン!」

 

ピジョンの身体が光り始める。

 

「え……?」

 

サトシが目を見開く。

 

光がどんどん強くなる。

 

「まさか……!」

 

ピジョンの身体が大きくなっていく。

 

翼が広がる。

 

羽の色が変化していく。

 

「ピジョォォォ!」

 

光が消える。

 

そこに立っていたのは――

 

「ピジョット……!」

 

サトシが驚く。

 

「進化した!」

 

ピジョットが大きく翼を広げる。

 

「ピジョット!」

 

力強い鳴き声が響き渡る。

 

「すごい……!」

 

マサヒロも驚く。

 

「進化したのか!」

 

ピジョットが空へ舞い上がる。

 

「サトシ!」

 

「分かってる!」

 

サトシが笑う。

 

「ピジョット、いくぞ!」

 

「ピジョット!」

 

「プテラ、もう一度ストーンエッジ!」

 

「プテラ!」

 

岩が一斉に飛び出す。

 

「ピジョット、かわして!」

 

「ピジョット!」

 

ピジョットが空中を縦横無尽に飛び回る。

 

岩を次々とかわしていく。

 

「速い!」

 

マサヒロが驚く。

 

「だったら、こっちも!」

 

「プテラ、つばさでうつ!」

 

「プテラ!」

 

プテラが急降下する。

 

「ピジョット、迎え撃て!」

 

「ピジョット!」

 

二匹が空中で激突する。

 

ドンッ!

 

「ピジョット!」

 

ピジョットが弾き飛ばされる。

 

しかし、すぐに体勢を立て直した。

 

「まだだ!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「ピジョット、新しく覚えた技だ!」

 

「ピジョット!」

 

ピジョットが翼を大きく広げる。

 

「すてみタックル!」

 

「ピジョットォォォ!」

 

ピジョットが猛スピードでプテラへ突っ込む。

 

「プテラ、避けろ!」

 

「プテラ!」

 

しかし――

 

間に合わない。

 

ドォォォン!!

 

「プテラ!」

 

プテラが大きく吹き飛ばされる。

 

地面へ叩きつけられた。

 

「プテラ……!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

プテラは立ち上がろうとする。

 

しかし――

 

「プテラ、戦闘不能!」

 

「……!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「やられた……!」

 

「お疲れ様、プテラ。ゆっくり休んでくれ」

 

マサヒロは次のボールを取り出す。

 

「いくぞ!」

 

「出ろ、スピアー!」

 

「スピアー!」

 

スピアーがフィールドへ飛び出す。

 

「ここからは俺たちの番だ!」

 

「スピアー!」

 

ピジョットも空中へ舞い上がる。

 

「いくぞ!サトシ、ピジョット!」

 

「スピアー、こうそくいどう!」

 

「スピアー!」

 

スピアーの姿が一瞬で消える。

 

「速い!」

 

サトシが目を見開く。

 

「ピジョット、追え!」

 

「ピジョット!」

 

ピジョットが空中からスピアーを追いかける。

 

しかし――

 

「スピアー、かわせ!」

 

「スピアー!」

 

スピアーが地面すれすれを高速で走る。

 

ピジョットが急降下する。

 

「今だ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「ミサイルばり!」

 

「スピアー!」

 

無数の針が空へ飛んでいく。

 

「ピジョット!」

 

ピジョットが翼を振る。

 

しかし、避けきれない。

 

「ピジョッ!」

 

針が何本も命中する。

 

「よし!」

 

マサヒロが拳を握る。

 

「もう一度、こうそくいどう!」

 

「スピアー!」

 

スピアーが高速で駆ける。

 

右。

 

左。

 

後ろ。

 

ピジョットの周囲を一瞬で移動する。

 

「どこだ!?」

 

サトシが叫ぶ。

 

「ピジョット、見つけろ!」

 

「ピジョー!」

 

ピジョットが辺りを見回す。

 

その瞬間。

 

「スピアー、どくづき!」

 

「スピアー!」

 

ドンッ!

 

スピアーが背後から突っ込む。

 

「ピジョット!」

 

ピジョットが吹き飛ばされる。

 

「今だ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「かわらわり!」

 

「スピアー!」

 

スピアーが一気に距離を詰める。

 

「ピジョット!」

 

ドォン!!

 

ピジョットが地面へ落下する。

 

「ピジョット、戦闘不能!」

 

「よし!」

 

マサヒロが拳を突き上げる。

 

「やったな、スピアー!」

 

「スピアー!」

 

サトシはピジョットを見つめる。

 

「ありがとう、ピジョット」

 

ピジョットはゆっくりと頷いた。

 

そして、サトシは隣にいるピカチュウを見つめる。

 

「……次はお前だ」

 

「頼んだ! ピカチュウ!」

 

「ピカ!」

 

ピカチュウが勢いよくフィールドへ飛び出す。

 

「ピカチュウか!」

 

マサヒロが構える。

 

「スピアー、いくぞ!」

 

「スピアー!」

 

「ピカチュウ、まずは――」

 

サトシが拳を握る。

 

「かみなり!」

 

「ピカァァァ!」

 

空が一瞬で暗くなる。

 

「来る!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「スピアー、避けろ!」

 

「スピアー!」

 

ドォォォォン!!

 

巨大な雷がフィールドへ落ちる。

 

「スピアー!」

 

スピアーは間一髪で横へ飛んだ。

 

雷はスピアーを外れ、地面へ直撃する。

 

ドゴォォォン!!

 

スピアーのいる場所から少し離れた地面が、大きくえぐれる。

 

その衝撃で、ピカチュウの周囲に大量の土煙が巻き上がった。

 

「ピカチュウ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「……!」

 

しかし、そこにピカチュウの姿はない。

 

「どこだ……?」

 

マサヒロは目を凝らす。

 

だが、スピアーからはピカチュウが見えなくなっていた。

 

「スピアー、動くな!」

 

「スピアー!」

 

マサヒロはフィールドを見渡す。

 

「ピカチュウはどこにいる……?」

 

煙はピカチュウの周囲だけに残っている。

 

その中に、ピカチュウが身を隠していた。

 

「ピカ……」

 

サトシは静かにフィールドを見つめる。

 

「……今だ」

 

「ピカ!」

 

ピカチュウが煙の中から飛び出した。

 

「スピアー!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「後ろだ!」

 

スピアーが振り返る。

 

しかし――

 

「10まんボルト!」

 

「ピカチュウ!」

 

バリバリバリバリッ!!

 

至近距離から強烈な電撃が放たれる。

 

「スピアー!」

 

ドォン!!

 

電撃が直撃し、スピアーが地面へ叩きつけられる。

 

「スピアー、戦闘不能!」

 

「……!」

 

マサヒロは目を見開いた。

 

スピアーが倒れている。

 

「スピアー……」

 

マサヒロは拳を握る。

 

そして――

 

「……サトシ」

 

サトシを見る。

 

「今のはすごいな」

 

「え?」

 

「外れたかみなりを利用して、ピカチュウを隠すなんて……」

 

マサヒロは笑った。

 

「俺、そんなこと考えもしなかった」

 

サトシも驚く。

 

「マサヒロ……」

 

「それでスピアーを倒すとは思わなかったよ」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「それでこそ――」

 

サトシを見る。

 

「俺のライバルだ!」

 

サトシが笑う。

 

「マサヒロ……!」

 

マサヒロは一つのボールを取り出す。

 

「だったら、俺も本気でいく!」

 

「出てこい!」

 

「フシギバナ!」

 

「フシギバナァァ!」

 

巨大な花を背負ったフシギバナがフィールドへ現れる。

 

「フシギバナ……!」

 

ピカチュウが構える。

 

「ピカ!」

 

「フシギバナ!」

 

マサヒロも拳を握る。

 

「ここからだ!」

 

「ピカチュウ、いくぞ!」

 

「ピカ!」

 

「フシギバナ、負けるな!」

 

「フシギバナ!」

 

二匹が同時に駆け出す。

 

「でんこうせっか!」

 

「ピカ!」

 

ピカチュウが一気に距離を詰める。

 

「フシギバナ、パワーウィップ!」

 

「フシギバナ!」

 

巨大なツルが迫る。

 

「ピカチュウ、避けろ!」

 

「ピカ!」

 

ピカチュウが横へ飛ぶ。

 

そのままフシギバナへ接近する。

 

「フシギバナ、パワーウィップ!」

 

「フシギバナ!」

 

巨大なツルが伸びる。

 

「ピカ!」

 

ピカチュウが跳ぶ。

 

ツルが地面を叩く。

 

「今だ!」

 

サトシが叫ぶ。

 

「10まんボルト!」

 

「ピカチュウ!」

 

バリバリバリッ!

 

電撃がフシギバナへ襲いかかる。

 

「フシギバナ!」

 

フシギバナが耐える。

 

「まだだ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「ヘドロばくだん!」

 

「フシギバナ!」

 

毒球がピカチュウに向かって飛ぶ。

 

「ピカチュウ、でんこうせっか!」

 

「ピカ!」

 

ピカチュウが高速で駆ける。

 

毒球をかわしながら、フシギバナへ接近する。

 

「今だ!」

 

「かみなり!」

 

「ピカァァァ!」

 

巨大な雷がフィールドへ落ちる。

 

「フシギバナ、ソーラービーム!」

 

「フシギバナァァァ!」

 

フシギバナの花へ光が集まる。

 

「いけえええ!」

 

「フシギバナ!」

 

強烈な光線が放たれる。

 

「ピカチュウ!」

 

雷とソーラービームが正面からぶつかる。

 

ドォォォォン!!

 

凄まじい爆発が起こる。

 

「うわああっ!」

 

マサヒロとサトシが腕で顔を覆う。

 

フィールドの中央に煙が広がる。

 

「フシギバナ!」

 

「ピカチュウ!」

 

二人の声が響く。

 

やがて――

 

煙が少しずつ晴れていく。

 

「……」

 

マサヒロが目を凝らす。

 

「フシギバナ……?」

 

フシギバナは、その場に立っていた。

 

しかし――

 

ピカチュウも立っている。

 

「ピカ……!」

 

「フシギ……!」

 

二匹とも、身体は限界に近かった。

 

「まだだ……!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「フシギバナ!」

 

「ピカチュウ!」

 

サトシも叫ぶ。

 

二匹が同時に動き出す。

 

「パワーウィップ!」

 

「10まんボルト!」

 

巨大なツルと電撃が同時に放たれる。

 

ドォォォン!!

 

再び大きな衝撃が起こる。

 

「フシギバナ!」

 

「ピカ!」

 

二匹が吹き飛ばされる。

 

地面へ倒れた。

 

「……」

 

マサヒロは息を呑む。

 

「フシギバナ……!」

 

サトシも叫ぶ。

 

「ピカチュウ!」

 

二匹は立ち上がろうとする。

 

しかし――

 

足に力が入らない。

 

「フシギ……」

 

「ピカ……」

 

二匹が同時に倒れる。

 

ドサッ。

 

審判がフィールドへ駆け寄る。

 

そして――

 

「フシギバナ、戦闘不能!」

 

「ピカチュウ、戦闘不能!」

 

「両者、戦闘不能!」

 

「……!」

 

マサヒロとサトシは同時に目を見開く。

 

「相打ち……!」

 

観客席から大きな歓声が上がる。

 

マサヒロはフシギバナのもとへ駆け寄る。

 

「よくやった、フシギバナ!」

 

「フシギ……」

 

サトシもピカチュウのもとへ駆け寄る。

 

「ピカチュウ、大丈夫か?」

 

「ピカ……!」

 

二人はそれぞれ仲間を見つめる。

 

そして――

 

マサヒロとサトシの視線がぶつかった。

 

ここまで、どちらも一歩も譲らない。

 

「……サトシ」

 

「ああ」

 

「まだ終わってないな」

 

「もちろん!」

 

二人が拳を握る。

 

マサヒロは残ったボールを見る。

 

サトシも残ったボールを見る。

 

勝負の行方は、まだ誰にも分からない。

 

「絶対に勝つ!」

 

「俺だって!」

 

二人の声が、会場いっぱいに響き渡った。

 

勝利の女神は――

 

まだ、どちらにも微笑んでいなかった。

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