ポケモンリーグ準決勝。
ついに、その日が来た。
スタジアムは大勢の観客で埋め尽くされている。
「準決勝、第一試合!」
審判の声が響く。
「マサヒロ選手対リョウ選手!」
「……」
マサヒロはフィールドの向こうを見る。
そこには、リョウが立っていた。
「リョウ……」
「マサヒロ」
二人の視線がぶつかる。
リョウが拳を握る。
「昨日、約束したよな、全部出し切るって」
「ああ!」
マサヒロも拳を握る。
「絶対に悔いのないバトルにしよう!」
「勿論だ!」
二人が構える。
審判が声を上げた。
「それでは――」
「準決勝、開始!」
「行くぞ!」
マサヒロがモンスターボールを取り出す。
「最初はお前だ!」
「ウインディ!」
「ワオォォン!」
ウインディがフィールドへ飛び出した。
その巨体が地面を踏みしめる。
「ウインディ!」
「最初から全力でいくぞ!」
「ワオォォン!」
リョウもモンスターボールを取り出す。
「だったら、俺も最初からいく!」
「出ろ!」
「カビゴン!」
「カビィィ!」
巨大なカビゴンがフィールドへ現れる。
観客席から大きな歓声が上がった。
「カビゴン……!」
マサヒロは目を見開く。
その姿を見た瞬間。
以前の戦いが頭をよぎった。
ギャラドスが、かつて敗れた相手。
あのカビゴンに。
「……」
マサヒロはウインディを見る。
「ウインディ!」
「ワオ!」
「まずは俺たちでいくぞ!」
「ワオォン!」
リョウもカビゴンを見る。
「カビゴン!」
「カビィ!」
「相手は速いぞ!」
「でも、焦るな!」
カビゴンがゆっくりと構える。
「俺たちの力を見せるんだ!」
「カビィ!」
「バトル、スタート!」
「ウインディ、しんそく!」
「ワオォォン!」
ウインディが一瞬で駆け出す。
「速い!」
リョウが驚く。
ウインディがカビゴンの横を駆け抜ける。
「かみくだく!」
「ワオ!」
ガブッ!
カビゴンの腕へ噛みつく。
「カビゴン!」
「まだだ!」
リョウが叫ぶ。
「のしかかり!」
「カビィ!」
カビゴンが身体を倒す。
「ウインディ、避けろ!」
「ワオ!」
ウインディが横へ飛ぶ。
ドォン!
カビゴンの巨体が地面へ叩きつけられる。
「よし!」
マサヒロが拳を握る。
「そのまま走り回れ!」
「ワオォン!」
ウインディがフィールドを駆け回る。
右。
左。
後ろ。
カビゴンの周囲を高速で動き続ける。
「カビゴン、落ち着け!」
リョウが叫ぶ。
「相手の動きをよく見るんだ!」
「カビィ……!」
カビゴンが目を凝らす。
「今だ!」
マサヒロが叫ぶ。
「しんそく!」
「ワオォォン!」
ウインディが一気に加速する。
「かみくだく!」
ガブッ!
再びカビゴンへ攻撃。
「カビゴン!」
カビゴンがよろめく。
「まだだ!」
リョウは冷静だった。
「そのまま受けろ!」
「カビィ!」
カビゴンが踏ん張る。
「ウインディ、もう一度!」
「ワオ!」
ウインディが走り出す。
その瞬間――
「カビゴン!」
リョウが叫ぶ。
「ギガインパクト!」
「カビィィィィィ!」
カビゴンの身体から凄まじい力があふれ出す。
「なっ!?」
マサヒロが目を見開く。
カビゴンがウインディへ向かって突進する。
「ウインディ、避けろ!」
「ワオォン!」
ウインディが横へ飛ぶ。
しかし――
「追え!」
「カビィィ!」
カビゴンが方向を変える。
「ウインディ!」
マサヒロが叫ぶ。
「かえんぐるま!」
「ワオォォォン!」
ウインディが炎をまとい、正面から突っ込む。
「今だ!」
マサヒロが拳を突き出す。
「そのまま押し切れ!」
「ワオォォン!」
炎をまとったウインディがカビゴンへ迫る。
「カビゴン!」
リョウも叫ぶ。
「ギガインパクトだ!」
「カビィィィィ!」
ドォォォォン!!
かえんぐるまとギガインパクトが正面から激突する。
凄まじい衝撃がフィールドを揺らす。
「ウインディ!」
「カビゴン!」
二匹が押し合う。
炎がカビゴンを包む。
だが――
カビゴンが一歩。
さらに一歩。
前へ出る。
「そんな……!」
マサヒロが驚く。
「押し切られる……!?」
「カビィィィィ!」
ドォォン!!
ギガインパクトが、かえんぐるまを押し切った。
「ウインディ!」
ウインディが大きく吹き飛ばされる。
地面を転がり――
そのまま動かなくなった。
「ウインディ、戦闘不能!」
「……!」
マサヒロは拳を握った。
「ウインディ……!」
「ワオ……」
ウインディがゆっくりと目を開ける。
「よく頑張った」
マサヒロは優しく声をかける。
「ありがとうな」
ウインディは小さく鳴いた。
「ゆっくり休んでくれ」
マサヒロはウインディをボールへ戻した。
そして――
「次は……」
マサヒロは別のボールを取り出す。
「スピアー!」
「スピアー!」
スピアーがフィールドへ飛び出した。
「スピアー!」
マサヒロは拳を握る。
「ここからだ!」
「スピアー!」
リョウはカビゴンを見る。
「カビゴン!」
「カビィ……」
ギガインパクトを使った直後。
カビゴンもかなり消耗している。
「まだ戦えるか?」
「カビィ!」
「分かった!」
リョウも構える。
「俺たちも負けない!」
「バトル、再開!」
「スピアー、こうそくいどう!」
「スピアー!」
スピアーの姿が一瞬で消える。
「速い!」
リョウが驚く。
「カビゴン、見失うな!」
「カビィ!」
スピアーがカビゴンの周囲を高速で駆け回る。
「スピアー、かわらわり!」
「スピアー!」
一気に距離を詰める。
「カビゴン!」
「カビィ!」
ドンッ!
かわらわりがカビゴンへ直撃する。
「効いてる!」
マサヒロが叫ぶ。
「格闘タイプの技だ!」
カビゴンが大きくよろめく。
「もう一度!」
「スピアー!」
スピアーが再び高速で接近する。
「かわらわり!」
「スピアー!」
ドォン!
「カビゴン!」
カビゴンが後ろへ下がる。
「いいぞ!」
マサヒロが拳を握る。
「そのまま攻め続けろ!」
「スピアー!」
「カビゴン!」
リョウが叫ぶ。
「耐えるんだ!」
「カビィ……!」
カビゴンが踏ん張る。
「スピアー、こうそくいどう!」
「スピアー!」
さらに速度を上げる。
「かわらわり!」
「スピアー!」
「カビゴン、見ろ!」
リョウが叫ぶ。
「スピアーの動きを!」
「カビィ!」
カビゴンが目を凝らす。
スピアーが右。
左。
背後。
そして――
「今だ!」
マサヒロが叫ぶ。
「かわらわり!」
スピアーがカビゴンの懐へ飛び込む。
「カビゴン!」
リョウが叫ぶ。
「のしかかり!」
「カビィィ!」
「スピアー、避けろ!」
「スピアー!」
しかし――
間に合わない。
ドォォン!!
「スピアー!」
巨大なカビゴンの身体がスピアーへ直撃する。
「スピアー!」
スピアーが地面へ叩きつけられる。
「立て!」
マサヒロが叫ぶ。
スピアーもそれに応えようと何とか立ち上がろうとする。
しかし――
身体が動かない。
「スピアー、戦闘不能!」
「……!」
マサヒロは拳を握る。
「スピアー……!」
スピアーは悔しそうにマサヒロを見る。
「よく頑張った」
マサヒロはスピアーのボールを握る。
「お前の攻撃、すごかったぞ」
スピアーは静かに頷いた。
そして――
マサヒロは次のボールへ手を伸ばす。
「……」
その瞬間。
マサヒロの脳裏に、以前の戦いが蘇った。
カビゴン。
そして――
かつて、そのカビゴンに敗れたギャラドス。
「……ギャラドス」
マサヒロはボールを握る。
「お前に決めた」
「行くぞ!」
ボールが開く。
「ギャラドス!」
「ギャアアアアス!」
巨大なギャラドスがフィールドへ現れた。
会場から大きな歓声が上がる。
「ギャラドス……!」
リョウが目を見開く。
ギャラドスもカビゴンを見る。
「ギャア……!」
その目には、明らかな闘志が宿っていた。
マサヒロはギャラドスの横へ視線を向ける。
「覚えてるよな」
「ギャア!」
「前に、お前はカビゴンに負けた」
「ギャアアア!」
ギャラドスが大きく吠える。
「あの時のままじゃないって、見せてやろう!」
「ギャアアアアス!」
リョウはカビゴンを見る。
「カビゴン!」
「カビィ!」
「ここで決着をつけるぞ!」
「カビィ!」
二匹が睨み合う。
そして――
「バトル、再開!」
「ギャラドス、ぼうふう!」
「ギャアアアアス!」
巨大な竜巻が巻き起こる。
「カビゴン、耐えろ!」
「カビィィ!」
カビゴンが地面に踏ん張る。
竜巻がカビゴンを包み込む。
「ギャラドス、まだだ!」
「ギャア!」
「アクアテール!」
「ギャアア!」
巨大な尾が振り抜かれる。
ドォン!!
「カビゴン!」
カビゴンが吹き飛ばされる。
「まだだ!」
リョウが叫ぶ。
「カビゴン、ギガインパクト!」
「カビィィィィ!」
カビゴンが一気に突進する。
「ギャラドス、避けろ!」
「ギャア!」
ギャラドスが身体をひねる。
ギリギリでかわす。
「今だ!」
マサヒロが叫ぶ。
「こおりのキバ!」
「ギャアア!」
ギャラドスの牙が冷気をまとい、カビゴンへ迫る。
「カビゴン!」
「カビィ!」
ガキィン!
冷気がカビゴンの身体を包む。
「よし!」
マサヒロが叫ぶ。
「そのまま攻めるぞ!」
「ギャア!」
「カビゴン、動け!」
リョウが叫ぶ。
カビゴンが身体を震わせる。
「まだだ!」
「カビィィ!」
凍りついた身体を無理やり動かす。
「すごい……!」
マサヒロが目を見開く。
「まだ動くのか!」
「カビゴンは、こんなことで止まらない!」
リョウが叫ぶ。
「カビゴン、のしかかり!」
「カビィィ!」
巨大な身体が迫る。
「ギャラドス、アクアテール!」
「ギャアア!」
尾が振り抜かれる。
ドォォン!!
二匹が正面から激突する。
「ギャラドス!」
「カビゴン!」
互いに弾き飛ばされる。
しかし――
二匹とも立ち上がった。
「……」
マサヒロは拳を握る。
「やっぱり、強いな」
リョウも笑う。
「お互い様だ!」
「ギャラドス!」
「ギャア!」
「カビゴン!」
「カビィ!」
二匹が同時に走り出す。
「ぼうふう!」
「ギャアアア!」
「カビゴン、ギガインパクト!」
「カビィィィィ!」
竜巻と巨大な突進が正面からぶつかる。
ドォォォォン!!
「ギャラドス!」
「カビゴン!」
凄まじい衝撃。
二匹が大きく吹き飛ばされる。
「立て!」
マサヒロが叫ぶ。
「ギャラドス!」
「ギャア……!」
ギャラドスが立ち上がる。
「カビゴン!」
リョウも叫ぶ。
「カビィ……!」
カビゴンも立ち上がった。
両者とも、限界に近い。
「……まだだ」
マサヒロが拳を握る。
「ここで終わらせるぞ!」
「ギャアアアアス!」
「カビゴン、最後までいくぞ!」
「カビィィ!」
「ギャラドス!」
「アクアテール!」
「ギャアアア!」
「カビゴン!」
「ギガインパクト!」
「カビィィィィィ!」
二匹が正面から激突する。
ドォォォォォン!!
巨大な衝撃がフィールドを包み込む。
「ギャラドス!」
「カビゴン!」
土煙が舞い上がる。
会場が静まり返る。
やがて――
煙の中から、ギャラドスが姿を現した。
「ギャ……」
身体は傷だらけ。
それでも――
立っている。
一方のカビゴンは。
「カビィ……」
膝をついていた。
そして――
ゆっくりと、その巨体が倒れる。
ドサッ。
審判が確認する。
「カビゴン、戦闘不能!」
「……!」
リョウは目を見開く。
「カビゴン……!」
マサヒロは拳を握る。
「……勝った」
ギャラドスが大きく吠える。
「ギャアアアアス!」
会場から大歓声が巻き起こる。
「やったな、ギャラドス!」
「ギャア!」
マサヒロはギャラドスを見る。
「今度は……勝ったな」
ギャラドスは誇らしげに吠えた。
リョウはカビゴンのもとへ駆け寄る。
「よくやった、カビゴン」
カビゴンは悔しそうに目を開ける。
「最後まで、本当に頑張ったな」
リョウはカビゴンをボールへ戻す。
そして――
マサヒロを見る。
「……やっぱり、お前は強いな」
「ああ」
マサヒロは頷く。
「でも、まだ終わってない」
リョウが笑う。
「そうだな」
マサヒロは残りのボールを見る。
「ここからだ!」
ギャラドスが吠える。
「ギャアアアアス!」
準決勝。
立て続けに2匹を失ったマサヒロだったが――
宿敵カビゴンを倒し、ついに反撃を開始した。