「ここからだ!」
ギャラドスが大きく吠える。
「ギャアアアアス!」
会場からも大きな歓声が巻き起こった。
準決勝。
ここまでの戦いで、マサヒロはウインディとスピアーを失った。
そしてリョウは――カビゴンを失った。
マサヒロの残りは四匹。
リョウの残りは五匹。
まだ、勝負の行方は分からない。
「ギャラドス!」
「ギャア!」
「お前なら、まだいける!」
ギャラドスが力強く吠える。
だが――
マサヒロは気づいていた。
パルシェンとの激戦。
その直前までのカビゴンとの戦い。
ギャラドスの身体には、確実に疲労が溜まっている。
「……それでも!」
マサヒロは拳を握る。
「ここまで来たんだ!」
その時。
リョウがカビゴンのボールを握った。
「よく頑張ったな、カビゴン」
そして――
次のボールを取り出す。
「次は、お前だ!」
「パルシェン!」
「パルシェン!」
巨大な二枚貝のポケモンがフィールドへ現れる。
「パルシェン……!」
マサヒロが目を見開く。
「すごい殻だ……!」
パルシェンの身体は、分厚い殻に覆われている。
「ギャラドスの攻撃を、あの殻で受けるつもりか!」
リョウが笑う。
「その通り!」
「パルシェンは防御力が自慢なんだ!」
「ギャラドスの力でも、そう簡単には突破できない!」
「だったら……!」
マサヒロはギャラドスを見る。
「俺たちの力が、どこまで通じるか試してやる!」
「ギャアアアアス!」
「バトル再開!」
「パルシェン、からにこもる!」
「パルシェン!」
パルシェンが殻を閉じる。
「ギャラドス、アクアテール!」
「ギャア!」
巨大な尾が振り抜かれる。
ドォン!!
パルシェンの殻に直撃する。
「パルシェン!」
パルシェンは大きく揺れる。
しかし――
倒れない。
「よし!」
リョウが拳を握る。
「やっぱり、この殻なら耐えられる!」
「ギャラドス、こおりのキバ!」
「ギャアア!」
ギャラドスがパルシェンへ迫る。
ガキィン!
冷気をまとった牙が殻へ食い込む。
「パルシェン!」
殻が大きく揺れる。
それでも――
パルシェンは耐えていた。
「どうだ!」
リョウが叫ぶ。
「これがパルシェンの防御力だ!」
「……すごい」
マサヒロも驚く。
「でも!」
拳を握る。
「ギャラドス!」
「ギャア!」
「まだまだいけるよな!」
「ギャアアアアス!」
ギャラドスが大きく吠える。
「ぼうふう!」
「ギャアアア!」
巨大な竜巻が発生する。
「パルシェン、耐えろ!」
「パルシェン!」
竜巻がパルシェンを包み込む。
「もっとだ!」
マサヒロが叫ぶ。
「ギャラドス、力を込めろ!」
「ギャアアアア!」
竜巻がさらに激しくなる。
パルシェンの身体が少しずつ押し飛ばされる。
「パルシェン!」
リョウが叫ぶ。
「踏ん張れ!」
しかし――
ズズズッ!
パルシェンの身体が地面を滑る。
「まだだ!」
リョウが叫ぶ。
「その殻なら耐えられる!」
「ギャラドス!」
マサヒロが叫ぶ。
「アクアテール!」
「ギャアア!」
ギャラドスが竜巻の中を突き進む。
そして――
ドォォォン!!
巨大な尾がパルシェンへ直撃する。
「パルシェン!」
パルシェンが大きく吹き飛ばされる。
「まだ立てる!」
リョウが叫ぶ。
パルシェンは何とか身体を起こす。
「パル……」
「すごい……!」
マサヒロが呟く。
「これでも倒れないのか!」
「だから言っただろ!」
リョウが笑う。
「パルシェンの殻は――」
「ギャラドス!」
マサヒロが叫ぶ。
「こおりのキバ!」
「ギャアアア!」
ギャラドスが一気に距離を詰める。
「パルシェン、からにこもる!」
「パルシェン!」
再び殻を閉じる。
しかし――
ギャラドスは止まらない。
「そのまま押し切れ!」
「ギャアアアアス!」
ガキィィィン!!
強烈なこおりのキバが、パルシェンの殻へ叩き込まれる。
「パルシェン!」
殻に大きな亀裂が走った。
「なっ……!」
リョウが目を見開く。
「殻が……!」
「まだだ!」
マサヒロが叫ぶ。
「アクアテール!」
「ギャアア!」
ドォォォン!!
巨大な尾がパルシェンへ直撃する。
「パルシェン!!」
パルシェンが大きく吹き飛ぶ。
そして――
ドサッ。
動かなくなった。
審判が確認する。
「パルシェン、戦闘不能!」
「……!」
リョウは拳を握る。
「パルシェン……」
マサヒロはギャラドスを見る。
「やったな!」
「ギャアアアアス!」
「お前のパワーが、あの殻を上回ったぞ!」
ギャラドスが誇らしげに吠える。
「ギャア!」
リョウはパルシェンをボールへ戻す。
「よく頑張った」
そして――
次のボールを取り出す。
「まだ終わってない」
「出ろ!」
「ハッサム!」
「ハッサム!」
赤い身体。
大きなハサミ。
背中には翼。
鋭い目でギャラドスを見つめている。
「……!」
マサヒロは言葉を失った。
「な、なんだ……あのポケモン!?」
「初めて見る……!」
リョウが笑う。
「そうだろうな」
「こいつはハッサム」
「ストライクが進化したポケモンだ!」
「ストライクの……進化系!?」
マサヒロは驚く。
「こんなポケモンに進化するのか……!」
「ああ!」
リョウはハッサムを見る。
「攻撃も速さも、かなり高い」
「そして――」
リョウの表情が変わる。
「今のギャラドスなら、十分に倒せる」
「……!」
マサヒロはギャラドスを見る。
「ギャラドス!」
「ギャア!」
「まだいけるよな!」
「ギャアア!」
「よし!」
「ハッサム、バレットパンチ!」
「ハッ!」
ハッサムが一瞬で距離を詰める。
「速い!」
マサヒロが驚く。
「ギャラドス、かわして!」
「ギャア!」
ギャラドスが身体をひねる。
しかし――
ドンッ!
ハッサムの拳がギャラドスの身体へ叩き込まれる。
「ギャラドス!」
「ギャア!」
ギャラドスが後ろへ下がる。
「もう一度、バレットパンチ!」
「ハッ!」
再びハッサムが突っ込む。
「ギャラドス、ぼうふう!」
「ギャアアア!」
巨大な竜巻が巻き起こる。
「ハッサム、かわして!」
ハッサムが低く飛び、竜巻の中心から外れる。
「ギャラドス、追え!」
「ギャア!」
ギャラドスがハッサムへ迫る。
「アクアテール!」
「ギャアア!」
巨大な尾が振り抜かれる。
「ハッサム!」
ハッサムが横へ飛ぶ。
しかし、完全には避けきれない。
ドンッ!
「ハッ!」
ハッサムが吹き飛ばされる。
「よし!」
マサヒロが拳を握る。
「まだいける!」
リョウは冷静にハッサムを見る。
「ハッサム、エアスラッシュ!」
「ハッ!」
ハッサムが翼を大きく振る。
鋭い風の刃が飛んでいく。
「ギャラドス、ぼうふう!」
「ギャアアア!」
竜巻が風の刃を押し返す。
「そのまま突っ込め!」
ギャラドスが竜巻をまといながら前へ進む。
「ハッサム、バレットパンチ!」
「ハッ!」
ハッサムが竜巻の中へ飛び込む。
「ギャラドス!」
ドンッ!
バレットパンチがギャラドスへ直撃する。
「ギャアア!」
ギャラドスがよろめく。
「こおりのキバ!」
「ギャアア!」
ギャラドスが反撃する。
「ハッサム、シザークロス!」
「ハッ!」
ガキィン!
牙とハサミが正面から激突する。
「ギャラドス!」
「ハッサム!」
二匹が押し合う。
「ギャラドス、押し切れ!」
「ギャアアアア!」
ギャラドスが力を込める。
ハッサムの身体が少しずつ押されていく。
「ハッサム!」
リョウが叫ぶ。
「無理に力で対抗するな!」
「ハッ!」
ハッサムが素早く身を引く。
「エアスラッシュ!」
「ハッ!」
至近距離から風の刃が放たれる。
「ギャラドス!」
「ギャアア!」
風の刃がギャラドスの身体を切り裂く。
「くっ……!」
マサヒロが歯を食いしばる。
「ギャラドス!」
ギャラドスが何とか立っている。
だが――
呼吸が荒い。
先の2連戦戦で受けたダメージ。
そして、ここまでのハッサムとの攻防。
確実に体力を削られていた。
リョウはその様子を見逃さない。
「ハッサム」
「ハッ!」
「相手はもう限界に近い」
「一気に決めるぞ!」
「ハッサム!」
「バレットパンチ!」
「ハッ!」
ハッサムが一直線に突っ込む。
「ギャラドス、ぼうふう!」
「ギャアアア!」
巨大な竜巻が発生する。
「ハッサム、シザークロス!」
「ハッ!」
ハッサムが竜巻へ突っ込む。
「ギャラドス!」
ドォォン!!
ハッサムのシザークロスがギャラドスへ直撃する。
「ギャアアア!」
ギャラドスが大きく吹き飛ばされる。
「ギャラドス!」
マサヒロが叫ぶ。
ギャラドスは何とか身体を起こそうとする。
「立て!」
「ギャ……」
「お前なら、まだやれる!」
「ギャア……!」
ギャラドスが身体を起こす。
だが――
足に力が入らない。
「……!」
マサヒロが息を呑む。
「ギャラドス……」
ハッサムがゆっくりと近づく。
「ハッサム!」
リョウが叫ぶ。
「エアスラッシュ!」
「ハッ!」
鋭い風の刃が飛ぶ。
「ギャラドス!」
「ギャ……!」
風の刃が直撃する。
ドォン!
ギャラドスが地面へ叩きつけられる。
「ギャラドス!」
マサヒロが駆け寄ろうとする。
しかし、審判が手を上げる。
「ギャラドス、戦闘不能!」
「……!」
マサヒロは拳を握った。
「ギャラドス……!」
ギャラドスは目を閉じた。
マサヒロは静かに近づく。
「よく頑張った」
「最後まで戦ってくれて、ありがとうな」
ギャラドスは小さく鳴いた。
「ギャ……」
マサヒロはギャラドスをボールへ戻す。
そして――
残りのボールを見つめる。
「……」
残り三匹。
一方、リョウはまだ四匹残している。
「……強い」
マサヒロはハッサムを見る。
「ギャラドスでも、負けた……」
リョウは静かに頷いた。
「ギャラドスは本当に強かった」
「パルシェンを倒した直後なのに、あそこまで戦ったんだからな」
「でも――」
リョウはハッサムを見る。
「俺も、ここまで勝ち上がってきたんだ」
「まだ、負けるわけにはいかない」
「……!」
マサヒロは拳を握る。
「俺だって、まだ負けない!」
「次は――」
マサヒロは次のボールを取り出す。
「俺の番だ!」
「マサヒロ!」
「リョウ!」
二人の視線がぶつかる。
準決勝の戦いは――
さらに激しさを増していく。