ポケットモンスターブラウン   作:光宙

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59話 決着!マサヒロvsリョウ!

「……イーブイ」

 

マサヒロは、すぐ隣に立っているイーブイを見る。

 

フシギバナが戦闘不能になり、残された仲間は――

 

イーブイ、一匹だけ。

 

イーブイはずっとマサヒロの隣で戦いを見守っていた。

 

「ここまで来たな」

 

マサヒロがイーブイの頭を撫でる。

 

「最後は、お前に任せる」

 

「ブイ!」

 

イーブイが力強く返事をする。

 

マサヒロは拳を握った。

 

「一緒に勝とう!」

 

「ブイ!」

 

「行け、イーブイ!」

 

イーブイが勢いよくフィールドへ飛び出す。

 

「ブイイ!」

 

「……!」

 

リョウはイーブイを見つめる。

 

そして――

 

「やっぱり、最後はお前なんだな」

 

リョウは一つのモンスターボールを手に取った。

 

「なら、俺も最後まで全力でいく!」

 

「行け!」

 

「サワムラー!」

 

「サワムラー!」

 

長い脚を持つサワムラーがフィールドへ現れる。

 

「サワムラー……!」

 

マサヒロが身構える。

 

「格闘タイプか!」

 

リョウが頷く。

 

「そうだ」

 

「イーブイはノーマルタイプ」

 

「だからこそ――」

 

リョウはサワムラーを見る。

 

「格闘タイプで迎え撃つ!」

 

「……!」

 

マサヒロはイーブイを見る。

 

「そう簡単にはいかないぞ」

 

「ブイ!」

 

サワムラーが構える。

 

「サワムラー、いくぞ!」

 

「サワ!」

 

「とびげり!」

 

「サワムラー!」

 

サワムラーが一気に跳び上がる。

 

「イーブイ、かわして!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが横へ飛ぶ。

 

サワムラーの蹴りが地面を叩く。

 

ドォン!

 

「よし!」

 

マサヒロが拳を握る。

 

「イーブイ、でんこうせっか!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが一気に加速する。

 

サワムラーの周囲を走り回る。

 

「速い!」

 

リョウが叫ぶ。

 

「サワムラー、追え!」

 

「サワ!」

 

サワムラーもイーブイを追いかける。

 

しかし――

 

イーブイは距離を取ったまま、慎重に動いていた。

 

「そうだ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「格闘技は絶対に受けるな!」

 

「ブイ!」

 

イーブイはサワムラーの攻撃範囲へ入らない。

 

右へ。

 

左へ。

 

後ろへ。

 

「なるほど……」

 

リョウが呟く。

 

「イーブイの弱点を分かっているんだな」

 

「もちろん!」

 

マサヒロは答える。

 

「残りはイーブイ1匹!」

 

「だから、決して無理はさせない!」

 

「……」

 

リョウは少し笑う。

 

「でも――」

 

サワムラーを見る。

 

「逃げ続けるだけじゃ、勝てないぞ!」

 

「サワムラー、とびげり!」

 

「サワ!」

 

サワムラーが再び跳び上がる。

 

「イーブイ、右!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが右へ飛ぶ。

 

「そのまま左!」

 

イーブイが方向を変える。

 

「サワムラー、かわらわり!」

 

「サワ!」

 

サワムラーが着地と同時に地面を蹴る。

 

「イーブイ!」

 

イーブイがギリギリでかわす。

 

「よし!」

 

「まだだ!」

 

リョウが叫ぶ。

 

「ブレイズキック!」

 

「サワムラー!」

 

サワムラーの脚に炎がまとわりつく。

 

「イーブイ、下がれ!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが後ろへ飛ぶ。

 

炎の蹴りが目の前を通り過ぎる。

 

「危なかった……!」

 

マサヒロが息を吐く。

 

「よし、今だ!」

 

「イーブイ、でんこうせっか!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが一気に飛び込む。

 

「アイアンテール!」

 

「ブイ!」

 

尻尾が鋼のように輝く。

 

「サワムラー、インファイト!」

 

「サワァァ!」

 

サワムラーが全身の力を込めて突っ込む。

 

「イーブイ、離れろ!」

 

「ブイ!」

 

しかし――。

 

二匹の距離が近すぎた。

 

サワムラーの蹴りが、イーブイを捉える。

 

「イーブイ!」

 

ドォン!!

 

イーブイが大きく吹き飛ばされる。

 

「ブイィ……!」

 

地面を転がる。

 

「イーブイ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「大丈夫か!?」

 

「……ブイ」

 

イーブイはふらつきながら立ち上がる。

 

「まだ……戦える!」

 

「ブイ!」

 

「よし!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「だったら、ここからだ!」

 

イーブイがサワムラーを見る。

 

その目はまだ諦めていない。

 

「でんこうせっか!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが一気に走る。

 

サワムラーも迎え撃つ。

 

「サワムラー、かわらわり!」

 

「サワ!」

 

「イーブイ、左へ!」

 

イーブイがかわす。

 

「右!」

 

再びかわす。

 

そして――

 

「今だ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「アイアンテール!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが跳び上がる。

 

尻尾が鋼のように輝く。

 

「サワムラー、迎え撃て!」

 

リョウが叫ぶ。

 

「サワ!」

 

しかし――

 

イーブイの方が一瞬早かった。

 

「イーブイ!」

 

ドォン!!

 

アイアンテールがサワムラーの脳天へ直撃する。

 

「サワムラー!」

 

サワムラーの身体が大きく揺れる。

 

「まだだ!」

 

リョウが叫ぶ。

 

しかし――

 

サワムラーは膝をついた。

 

「サワ……」

 

そして、そのまま倒れる。

 

「サワムラー、戦闘不能!」

 

「……!」

 

リョウは拳を握る。

 

「サワムラー……」

 

マサヒロはイーブイを見る。

 

「やったぞ!」

 

「ブイ!」

 

イーブイも嬉しそうに鳴いた。

 

リョウはサワムラーをボールへ戻す。

 

「よくやった、サワムラー」

 

そして――

 

リョウはしばらく黙っていた。

 

残されたモンスターボールは――

 

あと一つ。

 

「……」

 

リョウはそのボールを見つめる。

 

「マサヒロ」

 

「ん?」

 

「俺たちの戦いも……」

 

リョウは少し寂しそうに笑った。

 

「もう終わりに近づいてるんだな」

 

「……」

 

マサヒロは黙ってリョウを見る。

 

「ここまで一緒に競ってきたのに」

 

リョウは拳を握る。

 

「あと一匹で、俺たちの戦いにも決着がつく」

 

「……そうだな」

 

マサヒロも少し寂しそうに笑う。

 

けれど――

 

「でもさ」

 

マサヒロはイーブイを見る。

 

そしてリョウを見る。

 

「この戦いが終わったからって、俺たちの関係まで終わるわけじゃないだろ?」

 

「……!」

 

リョウが顔を上げる。

 

「俺たちはライバルだ」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「勝っても負けても、それは変わらない」

 

「これからも、もっと強くなる」

 

「そして、またいつか戦おうぜ」

 

「……」

 

リョウはしばらくマサヒロを見つめる。

 

そして――

 

「……ああ」

 

笑った。

 

「そうだな」

 

「この戦いが終わっても、俺たちはライバルだ」

 

「これからもずっと競い続けよう」

 

「約束だ!」

 

マサヒロが拳を突き出す。

 

「約束だ!」

 

リョウも拳を突き出す。

 

二人の拳がぶつかる。

 

「……それじゃあ」

 

リョウは最後のモンスターボールを握る。

 

「最後の勝負だ!」

 

「行くぞ、マサヒロ!」

 

「もちろん!」

 

リョウがボールを投げる。

 

「サンド!」

 

「サンド!」

 

黄色い身体のサンドがフィールドへ飛び出す。

 

「サンド……!」

 

マサヒロは目を見開く。

 

それは、リョウがもっとも頼りにしている相棒。

 

そして――

 

イーブイが一度、勝利した相手だった。

 

サンドはイーブイを見る。

 

「サンド……!」

 

その目には、強い闘志が宿っている。

 

「前に負けたこと、覚えてるんだな」

 

マサヒロが呟く。

 

サンドは拳を握るように前足を構える。

 

「サンド!」

 

「そうこなくちゃな!」

 

マサヒロはイーブイを見る。

 

「イーブイ!」

 

「ブイ!」

 

「最後まで、一緒に戦うぞ!」

 

「ブイ!」

 

* * *

 

「サンド、いくぞ!」

 

「サンド!」

 

サンドが地面を蹴る。

 

「イーブイ、でんこうせっか!」

 

「ブイ!」

 

二匹が同時に走り出す。

 

「サンド、あなをほる!」

 

「サンド!」

 

サンドが地面へ潜り込む。

 

「イーブイ、止まるな!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが走り続ける。

 

「どこから来る……?」

 

マサヒロが地面を見る。

 

その瞬間――

 

「今だ!」

 

リョウが叫ぶ。

 

「サンド、出ろ!」

 

「サンド!」

 

ズドン!

 

サンドが地面から飛び出す。

 

「イーブイ!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが跳び上がってかわす。

 

「よし!」

 

「まだだ!」

 

リョウが叫ぶ。

 

「ジャイロボール!」

 

「サンド!」

 

サンドが身体を丸め、高速回転する。

 

「イーブイ、でんこうせっか!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが横へ飛ぶ。

 

ジャイロボールが地面を削る。

 

「今度はこっちだ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「アイアンテール!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが一気に接近する。

 

「サンド、10まんばりき!」

 

「サンド!」

 

サンドが地面を蹴り、大きな力で突進する。

 

「イーブイ、かわして!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが横へ飛ぶ。

 

サンドの突進をかわす。

 

「そのまま、でんこうせっか!」

 

「ブイ!」

 

イーブイがサンドへ突っ込む。

 

ドンッ!

 

「サンド!」

 

サンドが吹き飛ばされる。

 

「よし!」

 

マサヒロが拳を握る。

 

サンドは何とか立ち上がる。

 

「サンド……!」

 

それでも、その目にはまだ闘志があった。

 

「前に負けた時より、強くなってるな」

 

マサヒロが言う。

 

「サンド!」

 

リョウも笑う。

 

「もちろんだ!」

 

「サンドは、あの日からずっとイーブイに勝つことを目指してきた!」

 

「……!」

 

マサヒロはサンドを見る。

 

「そうか……」

 

「だったら、俺たちも負けられない!」

 

「イーブイ!」

 

「ブイ!」

 

戦いは続く。

 

「サンド、あなをほる!」

 

「サンド!」

 

再びサンドが地面へ潜る。

 

「イーブイ、周りを見ろ!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが警戒する。

 

「今だ!」

 

サンドが飛び出す。

 

「イーブイ、右!」

 

「ブイ!」

 

ギリギリでかわす。

 

「ジャイロボール!」

 

「サンド!」

 

回転するサンド。

 

「イーブイ、でんこうせっか!」

 

「ブイ!」

 

イーブイが高速で移動する。

 

サンドの攻撃をかわしながら、何度も攻撃を当てていく。

 

「イーブイ、アイアンテール!」

 

「ブイ!」

 

ドン!

 

「サンド!」

 

サンドが吹き飛ぶ。

 

「サンド、まだだ!」

 

リョウが叫ぶ。

 

「立て!」

 

「サンド……!」

 

サンドは震えながら立ち上がる。

 

「すごい……」

 

マサヒロが呟く。

 

「ここまで耐えるのか……」

 

「サンドは絶対に諦めない!」

 

リョウが叫ぶ。

 

「俺たちは、ここで終わらない!」

 

「サンド!」

 

サンドが吠える。

 

しかし――

 

イーブイの方が少しずつ優勢だった。

 

何度も攻撃をかわし。

 

何度も攻撃を当てる。

 

サンドの身体には傷が増えていく。

 

「もう少しだ……!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

「イーブイ!」

 

「ブイ!」

 

「この一撃で終わらせる!」

 

「エボルブラスト!」

 

「ブイイイイイ!」

 

イーブイの尻尾から、強烈な衝撃波が集まっていく。

 

「サンド……!」

 

リョウが叫ぶ。

 

サンドは傷だらけになりながらも、まだ立っていた。

 

そして――

 

「サンド、カウンター!」

 

「サンドォォォ!」

 

「……!」

 

マサヒロが目を見開く。

 

「カウンター!?」

 

サンドの身体が構える。

 

イーブイのエボルブラストが迫る。

 

ドォォォォン!!

 

強烈な衝撃波がサンドを包み込む。

 

「サンドォォォ!」

 

しかし――

 

サンドは倒れなかった。

 

受けた攻撃の力を溜め込み――

 

「サンド!」

 

一気に力を返す。

 

ドォォォン!!

 

強烈な反撃がイーブイへ直撃する。

 

「イーブイ!」

 

「ブイィィィ!」

 

イーブイが大きく吹き飛ばされる。

 

「イーブイ!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

イーブイは地面へ落ちた。

 

「ブイ……」

 

「立て!」

 

マサヒロが叫ぶ。

 

「イーブイ!」

 

しかし――

 

イーブイは立ち上がろうとした。

 

前足に力を込める。

 

「ブイ……!」

 

けれど、身体が動かない。

 

「イーブイ……!」

 

マサヒロは拳を握る。

 

そして――

 

イーブイはゆっくりと目を閉じた。

 

「イーブイ、戦闘不能!」

 

「……!」

 

静寂がフィールドを包む。

 

マサヒロは、ただイーブイを見つめていた。

 

「……負けた」

 

リョウもサンドを見る。

 

サンドも限界だった。

 

それでも――

 

「サンド……」

 

「よくやった」

 

リョウはサンドへ駆け寄る。

 

「本当に……よく頑張った」

 

サンドは力なく頷く。

 

審判が宣言する。

 

「準決勝、勝者――リョウ!」

 

「……」

 

マサヒロは俯いた。

 

「……俺のポケモンリーグは」

 

拳を握る。

 

「ここまでか……」

 

セキエイ高原。

 

多くのトレーナーが夢見たポケモンリーグ。

 

マサヒロはそこへ挑み――

 

ベスト4という結果を残した。

 

優勝には届かなかった。

 

それでも――

 

「……悔しい」

 

マサヒロはイーブイのもとへ駆け寄る。

 

「悔しいけど……」

 

イーブイの頭を優しく撫でる。

 

「お前とここまで来られて、よかった」

 

「ブイ……」

 

イーブイが小さく鳴く。

 

「みんなも頑張ってくれた」

 

マサヒロは立ち上がる。

 

そして、リョウを見る。

 

「リョウ」

 

「ん?」

 

「絶対に優勝してくれよ」

 

リョウは少し驚く。

 

「……ああ」

 

「お前のの分まで、頑張ってくる」

 

「約束だ」

 

「うん!」

 

マサヒロは笑う。

 

「俺はもっと強くなる」

 

「そして――」

 

拳を握る。

 

「次に会った時は、絶対に勝つ!」

 

リョウも笑った。

 

「ああ!」

 

「俺も、次はもっと強くなってる!」

 

二人はもう一度、拳をぶつける。

 

準決勝。

 

その激戦を制したのは、リョウだった。

 

マサヒロのポケモンリーグは――

 

ベスト4という結果で幕を閉じた。

 

しかし――

 

マサヒロの旅は、まだ終わらない。

 

イーブイとともに歩んできた道は、ここからまた新しい物語へ続いていく。




長かったポケモンリーグ編も次回で最後です。
もう少しだけお付き合いください。
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