クチバシティを出発して、数日。
マサヒロたちは、ヤマブキシティへ向かって歩いていた。
「ヤマブキシティって、まだ先なんだなぁ……」
マサヒロが道の先を見る。
隣ではイーブイが元気よく歩いている。
「イーブイ!」
「お前は元気だな」
「イーブイ!」
「まあ、俺も負けてられないけどな!」
マサヒロは笑いながら歩く。
しばらく進んだところで、小さな町が見えてきた。
「今日はここで休もうぜ」
「イーブイ!」
マサヒロたちは町のポケモンセンターへ向かった。
* * *
「ふぅ……」
ポケモンセンターの休憩スペース。
マサヒロは椅子に座り、ジュースを飲んでいた。
「久しぶりにゆっくりできるな」
足元ではイーブイが丸くなっている。
フシギソウとスピアー、ミニリュウもポケモンセンターで休んでいた。
「みんな元気そうでよかった」
マサヒロは安心したように笑う。
そして、ふとミニリュウのことを考えた。
「そういえば……」
マサヒロはミニリュウの入ったボールを見る。
「ミニリュウって、まだ一回もバトルしてないんだよな」
シゲルとの釣り対決で仲間になってから、ミニリュウはまだ実戦を経験していない。
「今度、ちゃんとバトルさせてやらないとな」
そう思って周囲を見渡す。
その時だった。
少し離れた場所に、一人の少年が座っているのが見えた。
年齢はマサヒロと同じくらい。
その隣には、一匹のポケモンがいる。
「……サンド?」
黄色い体。
茶色い背中。
丸い体つきのポケモンだった。
少年がサンドの頭を撫でる。
「サンド、今日も頑張ったな」
「サンド!」
サンドが嬉しそうに鳴く。
マサヒロは思わず見つめていた。
すると――
「ん?」
少年がマサヒロに気づいた。
「どうしたの?」
「あ、いや……」
マサヒロは少し慌てる。
「そのサンド、いいなって思って」
「ありがとう!」
少年は笑顔になった。
「俺はリョウ。君は?」
「俺はマサヒロ」
「マサヒロか。よろしく!」
「ああ、よろしく!」
二人は握手を交わした。
「マサヒロもトレーナーなんだよね?」
「そうだよ」
マサヒロは腰のモンスターボールを見る。
「ジムバッジを集めてるんだ」
「えっ!」
リョウの目が輝いた。
「俺もだよ!」
「本当か!?」
「うん!」
二人は顔を見合わせる。
「どこまで行った?」
「俺はハナダとクチバのバッジを持ってる」
「俺もハナダは持ってる!」
「じゃあ、同じだな!」
一気に話が弾んだ。
「次はヤマブキジム?」
「そう!」
「俺もヤマブキを目指してる!」
「じゃあ、目的地まで同じじゃん!」
二人は笑う。
そこへサンドが近づいてきた。
「サンド!」
「こいつがパートナーなんだな」
「うん。俺と一緒に旅をしてるんだ」
「いいな」
マサヒロはイーブイを見る。
「俺もこいつが相棒だ」
「イーブイ!」
イーブイが元気よく鳴いた。
「へぇ……」
リョウがイーブイを見る。
「お互い、パートナーと一緒にバッジを集めてるんだな」
「ああ!」
マサヒロは笑った。
「……なあ、マサヒロ」
「ん?」
リョウが少し楽しそうな顔をする。
「せっかくだし、バトルしない?」
「!」
マサヒロの目が輝いた。
「いいな!」
イーブイが立ち上がる。
「イーブイ!」
「でも……」
マサヒロは少し考える。
そして、ミニリュウのボールを手に取った。
「俺はミニリュウでいく!」
「ミニリュウ?」
リョウが驚く。
「珍しいポケモンだな!」
「この前、仲間になったばかりなんだ」
「じゃあ、もしかして……」
「ああ」
マサヒロはミニリュウのボールを見る。
「これが初バトルだ」
「それなら、俺も本気でいくよ!」
リョウが立ち上がった。
「望むところだ!」
* * *
町の外れにある広場。
二人は向かい合っていた。
「ルールは一対一!」
「分かった!」
リョウがモンスターボールを構える。
「行くぞ、サンド!」
「サンド!」
サンドがフィールドに飛び出した。
マサヒロもボールを投げる。
「頼むぞ、ミニリュウ!」
「ミニ!」
ミニリュウが姿を現す。
「ミニリュウ、初めてのバトルだ!」
「ミニ!」
ミニリュウがマサヒロを見る。
「大丈夫だ。俺たちならやれる!」
「ミニ!」
「それじゃあ……」
リョウが構える。
「バトル開始!」
「サンド、みだれひっかき!」
「サンド!」
サンドが一気に走り出す。
「ミニリュウ、避けろ!」
「ミニ!」
ミニリュウが横へ跳ぶ。
サンドの爪が空を切った。
「よし!」
「ミニリュウ、たつまき!」
「ミニ!」
ミニリュウが口から竜巻を放つ。
「サンド、あなをほる!」
「サンド!」
サンドが地面へ潜り込む。
「避けられた!」
竜巻が地面を通り過ぎる。
「どこだ……?」
マサヒロが辺りを見回す。
その瞬間――
「今だ!」
リョウが叫ぶ。
「サンド、地面から出ろ!」
「サンド!」
ズドン!
サンドが地面から飛び出した。
「ミニリュウ!」
「ミニ!」
ミニリュウが吹き飛ばされる。
「大丈夫か!?」
「ミニ……!」
ミニリュウは何とか立ち上がった。
「まだいける!」
「ミニ!」
「よし!」
マサヒロは拳を握る。
「ミニリュウ、まきつく!」
「ミニ!」
ミニリュウがサンドへ飛びかかる。
「サンド!」
ミニリュウの体がサンドへ巻きつく。
「そのまま締めつけろ!」
「ミニ!」
「サンド、ころがる!」
「サンド!」
サンドが体を丸める。
そして――
「行け!」
ゴロゴロゴロッ!
サンドが勢いよく転がり始める。
「ミニリュウ、離れろ!」
「ミニ!」
ミニリュウが慌てて離れる。
しかし、サンドは止まらない。
「そのまま突っ込め!」
「サンド!」
サンドがミニリュウへ向かっていく。
「ミニリュウ、たつまき!」
「ミニ!」
竜巻がサンドへ直撃する。
「サンド!」
サンドの動きが少し鈍る。
「今だ!」
マサヒロが叫ぶ。
「りゅうのいかり!」
「ミニリュウ!」
ミニリュウの口からエネルギーが放たれる。
「サンド!」
サンドが攻撃を受け、後ろへ吹き飛ばされた。
「やった!」
マサヒロが喜ぶ。
「いい攻撃だ!」
リョウも笑っている。
「でも、ここからだ!」
「サンド、ずつき!」
「サンド!」
サンドが地面を蹴る。
ミニリュウへ一直線に突っ込んでくる。
「ミニリュウ、もう一度たつまき!」
「ミニ!」
竜巻が放たれる。
だが――
「サンド、そのまま突っ込め!」
「サンド!」
サンドは竜巻の中へ飛び込んだ。
「なっ!?」
「サンド!」
ドン!
サンドのずつきがミニリュウに命中した。
「ミニリュウ!」
ミニリュウが大きく吹き飛ばされる。
「まだだ!」
マサヒロが叫ぶ。
「立て、ミニリュウ!」
「ミニ……!」
ミニリュウはゆっくりと立ち上がる。
「そうだ!」
マサヒロは拳を握る。
「最後まで諦めるな!」
「ミニ!」
「サンド、もう一度ころがる!」
「サンド!」
サンドが丸くなり、勢いをつける。
「ミニリュウ、まきつく!」
「ミニ!」
ミニリュウがサンドへ飛びかかる。
だが――
「サンド、あなをほる!」
「サンド!」
サンドが地面へ潜る。
「またか!」
マサヒロが驚く。
次の瞬間。
「サンド!」
地面からサンドが飛び出した。
「ミニリュウ!」
ミニリュウが空中へ打ち上げられる。
「今だ!」
リョウが叫ぶ。
「ずつき!」
「サンド!」
サンドがジャンプする。
そして――
ドンッ!
「ミニリュウ!」
ミニリュウが地面へ落ちる。
「ミニ……」
ミニリュウは立ち上がろうとする。
しかし、足に力が入らない。
「ミニ……」
そのまま倒れてしまった。
「ミニリュウ!」
マサヒロが駆け寄る。
「……」
ミニリュウは目を閉じていた。
「ミニリュウ、戦闘不能!」
リョウが宣言する。
「勝者、サンド!」
「サンド!」
サンドが嬉しそうに鳴いた。
「やったな、サンド!」
リョウがサンドを抱き上げる。
マサヒロはミニリュウを抱き上げた。
「……負けちゃったな」
「ミニ……」
「でも……」
マサヒロはミニリュウの頭を撫でる。
「初めてなのに、よく頑張ったぞ」
「ミニ……」
「たつまきも、まきつくも、りゅうのいかりもちゃんと使えた」
マサヒロは笑う。
「次は絶対勝とうな!」
「ミニ!」
ミニリュウが力強く鳴いた。
その様子を見て、リョウも笑った。
「いいポケモンだな、ミニリュウ」
「だろ?」
マサヒロは少し嬉しそうに答える。
「俺も、もっと強くならないとな」
「俺だって負けないよ」
リョウがサンドを見る。
「次に会った時も、俺たちが勝つ!」
「いや!」
マサヒロが立ち上がる。
「次は俺たちが勝つ!」
「言ったな!」
「ああ!」
二人は笑い合った。
* * *
ポケモンセンターへ戻る道。
「マサヒロ」
「ん?」
「俺、絶対にジムバッジを全部集めるから」
「俺もだ」
「そして、いつかポケモンリーグで会おう!」
マサヒロは少し驚いた。
そして――
「……いいな、それ!」
マサヒロは笑った。
「その時は絶対に負けないからな!」
「こっちも!」
二人は拳をぶつけ合う。
「じゃあ、またな!」
「おう!」
リョウとサンドは町の反対側へ歩いていった。
マサヒロはその背中を見送る。
「……リョウか」
足元ではイーブイがリョウたちを見ている。
「イーブイ?」
「サトシやシゲル以外にも、俺と同じような奴がいるんだな」
マサヒロはミニリュウのボールを見る。
「しかも……負けた」
「イーブイ……」
「悔しいな」
マサヒロは拳を握った。
「でも、次は勝つ!」
「イーブイ!」
「ミニ!」
二匹の声が響く。
マサヒロはヤマブキシティの方向を向いた。
「よし!」
「イーブイ!」
「ミニ!」
「もっと強くなるぞ!」
新しい町。
新しい出会い。
そして――
新しいライバル。
マサヒロの旅に、新たな競争相手が加わった。
やっとミニリュウの戦闘描けた…イーブイ以外を活躍させるの難しい…