何故か最初からいるファイノン世界線   作:とも667

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穹キュレ回です。


幕間

キュレネが列車に乗ってから、しばらくした後のこと。穹は今……謎のえっちなお姉さんこと、ダリアに謎の部屋に連れ込まれて、密会をしていた。

 

「……それはいささか語弊があるのではなくて?」

 

「誰に言ってるんだ?」

 

「いえ、こちらの話ですよ。では、あなたの望み通り……最後の真実をお見せしましょう。……あら?」

 

 そこでドアが叩かれる音がした。どうやら誰かに気づかれたらしい。

 

「誰だろう、ブラックスワンかな?」

 

「では最後に……もしも、どうしても受け入れ難いことがあれば、この黒猫へと祈ってください。その願いがテルミヌスに届くことを願って……」

 

「あ……行っちゃった」

 

 それから穹は、自身の記憶の中でホタルと約束を果たそうとした。しかしホタルは、約束の花火を見る前に時間切れで消滅。それが受け入れ難いことだった穹が黒猫に祈ると、過去の因果がねじ曲がり、二人は線香花火で遊んだことになった。そこで穹は、ある声を聞いた。その声に穹は聞き覚えがある。

 

「……えっ? お前、もしかしてあの時の……」

 

「ん? どうしたの、穹? 誰と話してるの?」

 

「いや……なんでもない。一緒に遊ぼう、ホタル」

 

「うん!!」

 

 その後、二人で満足いくまで線香花火をした。穹が目を覚ますと、体をキュレネに揺さぶられていた。

 

「ねぇ、穹……穹、大丈夫?」

 

「ん……あ、キュレネ? そっか、ドアを叩いてたのはキュレネだったのか」

 

「やっぱり何かあったんだね?」

 

 そこにはファイノンもいた。なので、簡潔に事の顛末を説明する。

 

「そんなことが……僕の記憶と君の言うことで微妙に違う部分があると思ってたけど、そういうことだったのか」

 

「何もされてないのよね? 変なことされたりしなかった?」

 

「されてないよ、最初は警戒したけど……あと最後に、ホタルと花火を見るために終焉の力を借りたよ。あの時、オンパロスでやったのと同じ力だと思う。オンパロスと同じようなことをやったら、今度こそ次はないって、そう言われた」

 

 それを聞いた瞬間、二人の動きが止まる。ファイノンはため息をついて、キュレネは不安のあまり泣き出してしまった。

 

「え……二人ともどうしたの?」

 

「相棒……君はどうしてそう、自分の身を簡単に危険に晒すんだ……」

 

「穹、お願い、死なないでっ……!!」

 

「おいキュレネ、泣くなよ!? なんともないよ、ホントになんともないからさ!!」

 

 だが、体は誰かに診てもらった方がいいということで……ちょうどメッセージを送ってきた、銀狼に診てもらうことにした。ホログラムで現れた銀狼に、体の中を診てもらう。

 

『うん、問題なし。使用された形跡があるのに、星核がまだ残ってるのが不思議だけど……』

 

「あ、やっぱりあの時使ってたのか……オンパロスの時に」

 

『もしかして、オンパロスで妙なことが起きてたのってそれ? 道理で……』

 

 銀狼は、納得したというような顔をしていた。だが、そこで穹がサラッと爆弾を投下する。

 

「あぁ、一回死んで因果から消えてたんだって。本来生き返れないらしいんだけど、みんながすごく頑張ってくれたんだ!! いい友達を持ったよ!!」

 

『……は?』

 

「え、銀狼? 何してるんだ?」

 

『電話。カフカとホタルにね』

 

 穹が止める暇もなく、二人にその事が伝えられた。そして、スピーカーになった電話から、声が聞こえてくる。

 

『どういうことですか、穹。わかるように説明してください』

 

『私にも説明が欲しいわ、穹。嘘はつかないでね?』

 

「はい、説明するから落ち着いて……」

 

 というわけで穹は説明した。オンパロスを救うためには仕方がなかった、と。

 

『そういうことだったんだ……でも、もうやらないでね? 君がいなかったら、あたし生きてる意味ないから……』

 

「う、うん、わかった。もうしないよ……」

 

『その力は危険な力よ。迂闊に手を出していい力じゃない……気をつけてね?』

 

「わかってる、心配かけてごめん」

 

 完全に、遠くの母親が子供を心配する構図だ。ホタルは遠距離恋愛中の彼女かもしれない。

 

『反省しなよ、もう二度とこんなことしないで。次の対価はそんなもんじゃ済まないかもよ』

 

「うん、よくわかったよ……」

 

「ありがとう、銀狼さん。僕たちも見張っておくよ」

 

『そうしてあげて。穹がそんな無茶して死ぬなんて、脚本にも書いてなかったんだから』

 

 そう言われて、通信が切れた。穹が安堵のため息をつく。

 

「はぁぁ、よかった……二人とも、怒ったらあんなに怖いのか」

 

「二人ともあなたのことを愛してるの、わかってあげて」

 

「わかってる。別に嫌いになったとか、そういうわけじゃないよ」

 

 そこで姫子からメッセージが来た。どうやら、キュレネの部屋の用意ができたらしい。みんなで見に行ってみると……新しい車両に部屋が割り当てられていた。

 

「わぁ~、いいところね……!!」

 

「家具は自分で揃えてね、お金は列車の手伝いで貯めてちょうだい」

 

「俺の部屋の時を思い出すなぁ……部屋が広かったから、色々置いて……」

 

 穹が自分が乗った時のことを懐かしむ。それを聞いて、ファイノンが言う。

 

「またピュエロスを借りていいかな、相棒?」

 

「いいぞ、一緒に入ろうか!!」

 

「え~、二人だけずるいわ!! あたしも一緒に……」

 

「「それはダメ!!」」

 

 流石に男女混浴はまずいだろう。そう思って、二人が全力で止めた。

 

「どうして? あたしがミュリオンの時は一緒に入ってたじゃない!!」

 

「あれは性別がよくわからなかったからで……!! 女と男が一緒にお風呂に入るのはまずいんだよ、何度も言ってるだろ!? ここは雲石の天宮じゃないんだから!!」

 

「一緒のベッドで毎日寝てるのに~?」

 

「……本格的に、車掌さんにピュエロス車両の設置を提案したほうが良さそうだ」

 

 ファイノンは、本格的にそう思ったのだった。それからしばらくして、キュレネと穹と……あと、ヒアンシーやキャストリスは、ピノコニーに来ていた。家具を買うためだ。

 

「ここがピノコニー……話に聞いてたより、ずっと煌びやかな場所ですね……!!」

 

「あ、可愛いぬいぐるみ……色んなものが置いてありますね、ここは」

 

「夢の中だからな、ここにはなんでもあるぞ!! 俺はピノコニーの50%の株を持ってるんだ、なんでも言ってくれ!!」

 

 例によって穹は見栄を張って、株の桁をひとつ盛った。キャストリスはそれを聞いて、萎縮している。

 

「えぇっ……!? それじゃ、もしかしてこの街も、全部穹さんの……どうしましょう、勝手に触ってしまって……」

 

「違うわよ、キャス。5%よ、穹は見栄を張ってるだけなの」

 

「ちょっとキュレネ、なんでもうバラすんだよ!? 株主権限で割引してもらうつもりだったのに!!」

 

 しかしキュレネによって、その見栄は一瞬で砕かれてしまった。キャストリスはホッとしているようだ。

 

「そんなことしちゃダメよ、それにお金はちゃんと持ってきてるんだから」

 

「むぅ……よし、それなら後で空飛ぶ船に案内してやる!! 俺はそこの船長なんだ!!」

 

「グレーたん、また見栄張ってるんですか?」

 

「違うって、今度はホント!!」

 

 そう言いつつ、みんなでピノコニーで買い物をする。みんなが思い思いの物を買う中で、キュレネは……

 

「あ、これも可愛いわね……これも可愛いわ、これもこれもこれも!!」

 

「……そんなに買って、お金は大丈夫なのか?」

 

「大丈夫よ、ちゃんと考えて買ってるから!!」

 

 嘘である、キュレネは考えなしに買っている。幸い、お金は足りたが……全部合わせてすごい量の荷物になった。

 

「キュレネ……それ、重くないのか?」

 

「全然重くないわよ? 軽いくらい!!」

 

「その細い腕のどこにそんな力が……」

 

 キュレネは荷物の全てを軽々持っている。それから約束通り、穹は三人を暉長石号に連れていった。

 

「みんなようこそ、ここが俺の船だ!! みんなは好きに遊んでいいぞ、俺の船だからな!!」

 

「なんだ、あの人達……美人がいっぱい……」

 

「ここの船長、金持ちらしいし……モテるんだな」

 

 セレブ達に噂されながら、穹はみんなを案内していく。そんな時、キュレネが穹の袖を引いてきた。

 

「……ん? どうしたの?」

 

「ファイノンから聞いたの、こことは違う真のピノコニーがあるって。そこに開拓の足跡が残っていることも……二人で見に行きたいの」

 

「いいよ、一緒に行こう!!」

 

 というわけで二人には暉長石号にいてもらい、穹とキュレネはドリームリーフへと向かうことになった。そして……穹から、色々と話を聞いた。

 

「そんなことがあったのね……」

 

「あぁ、それからここでミハイルに、あの帽子をもらったんだ」

 

「ミハイルって人は、あなたにその帽子と一緒に意志を託した……どれだけ時を超えても、重なった想いは変わらない。とってもロマンチックね……」

 

 キュレネはそう言って、穹と景色を見る。朝日が登ってきていた。

 

「なぁ、キュレネ。二人で来たいって言ってたけど……なんか話したいこととかあるの?」

 

「やっぱり、あなたに隠し事はできないわね。あたしはあなたに、伝えたいことがあるの」

 

「ど、どうしたんだ? 急に畏まって……」

 

「あたしは、あなたのことが……」

 

 それから、列車に戻ってきた二人が少し顔を赤くしながら言った。

 

「というわけで、キュレネは今日から俺の彼女だ!!」

 

「うふふっ、これからは夫婦共々よろしくお願いします、みんな♪」

 

「えぇーーーっ!?」

 

 なのかがこれまでにないくらい、めちゃくちゃ驚いている。それは他のみんなもなのだが。例外として、ファイノンだけは男泣きしていた。

 

「相棒、ミュリオン……本当におめでとう、結婚式のスピーチはぜひ僕にやらせてくれ!!」

 

「気が早くないか、ファイノン? ……いや待て、キュレネ。夫婦と言ったか?」

 

「うん、結婚を前提にお付き合いして欲しいって言ったからね♪」

 

「えぇぇーーーーっ!!!」

 

 なのかがさらにデカい声を出した。列車がなのかの声だけで大きく揺れている。

 

「落ち着いて、三月ちゃん。その……二人とも、水を差すつもりはないのだけど、意味はわかってるの?」

 

「うん、彼女って女の子の中でもすごく大切な人のことだろ?」

 

「ずっと一緒にいたい、大好きな人のことよ♪」

 

 間違ってはいない。しかし、どこか認識にズレがある気もする。だが……今は訂正できる空気ではなかった。

 

「おめでとうございます、お二人とも……ワタシからも祝福を送らせてください」

 

「ありがとう、デーさん!! あ、あとファイノンも俺の彼氏だから!!」

 

「……えっ?」

 

 ファイノンが固まった。それと同時にみんなも固まった。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ相棒。ミュリオンと恋人になるって言ってたよね?」

 

「うん。だからファイノンは彼氏!! キュレネは彼女なんだ!!」

 

「えぇぇぇぇぇいたっ!?」

 

「これ以上は列車が壊れる、やめろ三月」

 

 なのかの声で列車が破壊されそうになっていたが、丹恒の静止でなんとか崩壊は免れた。

 

「穹、知らないかもしれないが……恋人は、一人につき一人なんだ」

 

「知ってるぞ? 彼女や彼氏は一人だけなんだろ? だから彼女がキュレネで、彼氏はファイノン!!」

 

「キュレネちゃん……大丈夫? 傷ついたりしてない?」

 

「穹が幸せならあたしも幸せよ、だからいいの」

 

 キュレネは穹の浮気発言に全く動じていない。それどころか受け入れる気満々でいる。

 

「待ってくれ相棒、彼氏も彼女もどっちかひとつだから、僕は……」

 

「俺の彼氏になってくれないのか、相棒……?」

 

「うぅっ……わ、わかったよ、なるから泣かないでくれ!!」

 

 そんな感じで、ファイノンは穹に泣き落としを食らい、キュレネと同じように彼氏兼相棒になったのだった。

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