星穹列車の中に、緊迫した空気が満ちていた。その原因は、目の前の指名手配犯……星核ハンター『カフカ』だ。
『ごきげんよう、列車の皆さん。会えて嬉しいわ』
「カ、カフカ!? 俺に会いに来てくれたのか!?」
「えっ? 知り合いなのかい、相棒?」
全員が穹の方を振り向いた。それもそのはず、彼とカフカの関係性を知るものはいない。穹すらよくわかっていないのだから。
「そうだったの!? じゃあ、穹って星核ハンターなの!?」
「騙されないで、穹。彼女は言霊を自在に操るの。偽の情報を刷り込まれているのよ」
「そ、そうかも……それに、俺みたいなイケメン美少女が指名手配されてたら、誰も気づかないなんて有り得ないもんな!!」
穹は謎の理論で姫子の言葉に納得した。それを聞いても、カフカは笑みを崩さない。むしろ笑みが深くなったようにすら感じられる。
『ふふっ、とっても元気そうね。安心したわ』
「見え透いた嘘を……それで何のためにここに来たのかしら、星核ハンター? くだらない用なら、今すぐに立ち去ってもらうわ」
『そう焦らないで、すぐに説明は済むわ』
カフカはそれから説明を始めた。仙舟「羅浮」に星核による危機が迫っていること、除去しなければ羅浮の破壊だけでなく、星系が汚染されてしまうことなど……
『これで、私の説明は終わり。あなた達が賢明な判断をする事を祈っているわ』
「あ……消えちゃった」
「……彼女からは嘘が感じられなかった。どうやら嘘はなさそうだよ、姫子さん」
そして全員の多数決で、仙舟「羅浮」へと進路を切り替えることになる。しかし、何故か丹恒だけは今回の開拓を辞退した。そして、ひとりでに開いたゲートから中に入ると……狐族の女の子が怪物に襲われていた。
「あ、あの人、怪物に襲われてるよ!!」
「助けよう、相棒!!」
「あぁ、もちろんさ!! 行くぞ!!」
ファイノンと穹、なのかはあっという間に忌み物の軍団を薙ぎ倒し、その人を救った。
「助けていただきありがとうございました、恩人様。私の名前は停雲、以後お見知り置きを」
「ウチの名前は三月なのか!! で、こっちの大人なのがヨウおじちゃん!! すっごく強いんだよ!!」
「俺の名前は穹、打率10割の銀河打者だ!! そして、こっちは相棒のファイノン!! 銀河打者の最高で最強の相棒だ!!」
「や、やめてくれよ相棒、照れるじゃないか……」
そう言われたファイノンは、そう言いつつも満更でもなさそうだ。しかし、停雲の目はファイノンを見つめて……少し驚いたような目をしている。
「ん? どうした、停雲さん? どこか体調が悪いのか?」
「いえ、なんでもありません。それよりもゲートは封鎖されていたはず、どうしてここに入ってこれたのですか?」
「それは……ひとりでにゲートが開いたとしか言いようがないんだ。何故なのかはわからないけどね」
結局その場では結論が出ず、天舶司の御空の元へと向かうことに。そこで、ゲートは銀狼が開けたものであることを知る。それにより、星核ハンターとの繋がりを問い詰められるが、そこに景元がホログラムで登場。星核は自分達で解決すると断られたが、代わりに星核ハンターカフカの捕獲を依頼される。
「星核ハンターの刃は既に逃走しているから、カフカから情報を引き出したいんだろう」
「なるほど……そういうことなら仕方ないか」
「仕事の内容が変わってしまったけれど、開拓にトラブルは付き物だからね」
彼らはそれをポジティブに受け止め、カフカの痕跡を辿りつつ追うことになる。そしてカフカに出会った四人は、カフカを制圧することになった。四人の力……特に穹とファイノンのコンビネーションによって、制圧は簡単に終わった。
「……予定より格段に強くなっている。やはり変数の影響は大きいようね」
「変数? 何の話だ……?」
「とにかく、もうアンタに勝ち目はないよっ!! 大人しくお縄につけー!!」
その後、符玄がやってきてカフカは連行されていった。符玄の部下と合流するために、街に向かうと……魔陰の身と化した兵士達がいたので、すぐ制圧。そこにやってきた白露と少し話してから、開拓者は不審な魔陰化の真実を探るために、薬王秘伝へと潜入することに。それから薬の真実や、目的などを知り……それを報告した後、青雀に案内されて、符玄のところへと向かうことになった。
「これからカフカを、この陣を使って尋問するわ。この陣の前では如何なる嘘も通用しない。本人の記憶を探るからね」
「ふふっ……」
「……本人の記憶を、探る? だとしたら僕も……」
ファイノンがそう言いつつ、窮観の陣が発動しカフカの計画が見えた。そしてそれを見た符玄は将軍への報告のために、その場を離れる。そしてカフカは、星核ハンターの目的と、星核を持ち込んだ誰かと内部の裏切り者の話、星穹列車が彼らに借しを作るためカフカは来ていたということを知る。そして、未来で星穹列車が壊滅のナヌークと戦うことになることも。
「……ナヌーク、か」
「ファイノン? どうかしたのか?」
「いや、なんだかその名を聞くと……胸騒ぎがするんだ」
ファイノンが何かを感じつつ、そこに刃が現れる。カフカは星神を殺す方法を二つ教えた後に、刃と共にその場から離れ、そこで枯れていたはずの建木が星核によって再生し始める。それを鎮めるために、景元からの依頼を受けて行動を開始。現地民の協力もあって、豊穣の玄鹿を打ち破り、建木を鎮めることに成功した。それから、彼らは原因を鎮めるため、丹鼎司へと向かうことに。
「薬王秘伝の薬が、あの煙に混ぜられてるのか? それに、薬を不老長寿の薬って言って騙して飲ませてるって……」
「道理で……街中であんなことになっていたのも、それなら合点が行く」
「早く止めに行かないと!!」
そう言って、穹達は煙を全て止めて……薬王秘伝の丹枢と戦うことになった。それに勝利した後、丹枢の言葉に反応して、停雲に化けていた絶滅大君『幻朧』が正体を現した。停雲の体を捨てて、話しかけてくる。
『薬王秘伝を利用し、自滅させるつもりであったが……気が変わった。妾の手で直接葬ってやろう。特にそこのお前をな』
「僕のことか!?」
『お前は何故か……其と密接な関係にあるようだ。絶滅大君ではないというのに……ともあれ、貴様は壊滅にも開拓にも属さない異物。お前がいては、全てが台無しになってしまう。優先的に殺させてもらおう』
そう言って、レギオンの群れを差し向けてきたが、それを討伐。幻朧のいる鱗淵境に向かうことになった。そこに行くと……そこには姿の変わった丹恒と、星核ハンターの二人が佇んでいた。景元将軍が現れたことで、矛を収めたようだ。全員から話を聞き、丹恒しか道を開けないことを知る。丹恒に道を開いてもらい、幻朧の待つ先に進むことになった。
「それにしても、幻朧が言ってたあれ……なんなんだろうな? ファイノンはナヌークと関わりがあるとか……」
「何も心当たりは無いけど……この胸騒ぎと関係があるのだろうか?」
「今は考えても仕方がない、目の前のことに集中しよう」
丹恒にそう言われて、先に進む。そして幻朧は真の姿を現し、こちらに勝負を挑んできた。これまでにない程強大な力に、全員が苦戦を強いられる。
「くっ……まだまだ!!」
「壊滅の力の効きが悪い……やはりお前は、壊滅の造物か!!」
「ファイノンは壊滅なんかのものじゃない!!」
そう言って、二人が幻朧に全力の一撃を加える。少し怯んだところに、景元と丹恒の神霊と龍の一撃が炸裂した。しかし、それでも倒しきれずに景元は体をヴォイドレンジャーに変えられそうになる。その隙に攻撃を加えることで、幻朧を撃破することができた。
『見事だ、人の子よ……しかし、妾は滅びぬ。そして、そこのお前……お前にはいつか、妾よりもっと恐ろしいものが待っているだろう。せいぜい期待しておくことだ……』
「もっと、恐ろしいもの……」
「どんな奴が来ようと、俺とファイノンなら絶対勝てる!! だろ!?」
「……あぁ、そうだね。つい弱気になってしまったよ、ありがとう!!」
そんなこんなあって、仙舟「羅浮」からお礼として結盟玉兆をもらった。どこにいても一度だけ星穹列車を助けてくれるらしい。そして、次の目的地をピノコニーへと定めて、彼らは再び出発する……その前に。三月なのかとファイノンは、符玄のもとに訪れていた。目的は、自身の過去を知るためだ。
「ちょっとでもウチの過去がわかって嬉しいよ!! ありがとう、符玄さん!!」
「えぇ、どういたしまして。三月さんは、これで終わりね。さてと、次は……」
「僕の番だね。お願いします、符玄さん」
ファイノンとなのかはカフカにも使った陣を用いて、自分の過去を調べようと試みていた。だがなのかは結果的に、メモキーパーの妨害を受けてわかったことはほんの僅かだった。そして今度はファイノンの番だ。
「それじゃ、始めるわね」
符玄は意識を集中させて、ファイノンの記憶を探り始めた。列車での記憶を乗り越えて、さらに深いところまで潜る。すると……そこに広がっていたのは。
「ここは……麦畑? のどかな村だな……僕はここに住んでいたのか?」
『とりあえず、そこを探索してみて。そこが一番深いところのようだから』
「わかったよ、符玄さん。といっても、どこから探せば……ん?」
ファイノンはそこで、ブランコに座ったピンク髪の女の子を見つけた。それに懐かしさを感じて、ファイノンはゆっくりと近づいていく。
「君は……誰だい? 僕の知り合いなのか?」
「ふふっ……ファイノン。全部を思い出しちゃうには、まだ早いわ。もうちょっと開拓を楽しんで? そのために、あなたはここにいるんだもの」
「えっ? それはどういう……」
そう言って、女の子は笑った。疑問に答えることなく、一言だけ言う。
「じゃあまたね、■■■■■」
「えっ……!?」
『なっ!?』
次の瞬間、目の前の景色の全てが凍結した。そして、符玄の目に映ったのは……そこにいるはずのない記憶の星神、『浮黎』の姿だった。
『流光天君……どうして、ここに……ぐぅっ!?』
「っ!? 符玄さん、大丈夫かい!?」
「え、えぇ、少しふらついただけよ……これ以上は見えないみたい。ごめんなさい……」
記憶の中から弾き出されて、符玄は今までにない経験に混乱しているのか、どっと冷や汗をかいていた。
「とにかくありがとう、少しでも手がかりができたのは収穫だ」
「ファイノンも何も分からなかったのかぁ……残念だなぁ」
「仕方ないさ、これから何かの拍子に思い出すかもしれないし、希望を捨てずにいこう」
そう言いつつ、二人は符玄にもう一度お礼を言ってからその場を離れた。符玄はそれを見送ったあと、考え込む。
「……流光天君、星神の中で最も消極的な神。どうして彼の記憶の中に其が……それに、あの女の子は一体?」
符玄は彼の奇妙な記憶のことについて、それからずっと考え続けていた。