「はぁ~、疲れたなぁ……ルアンの依頼で宇宙ステーションの地下に行ったり、冥火大公が来たり、怪異退治したり……」
「本当にね。でも、次に向かう星のピノコニーは宴の星って言うくらいなんだ。きっと羽を伸ばせると思うよ」
「そうだといいなぁ……」
ファイノンと話しつつ、ピノコニーへと向かう開拓者一行。その途中で奇妙な夢を見たり、姫子達がメッセージを受け取ったり、パムから降りたナナシビトを探すように言われたりして……ピノコニーに降り立った。それから色々ありつつ部屋に向かい、アベンチュリンと黄泉と出会う。二人と話したあと、ついにドリームプールから夢境へと潜ることになった。
色々あって黄金の刻に入った開拓者は空の上に放り出されることになった。開拓者は真っ逆さまに落ちていく。しかし、落下地点には既にファイノンがいた。
「う、うわぁぁ!? ……っと!?」
「相棒!! 大丈夫かい?」
「ありがとう、俺の王子様!!」
お姫様抱っこの体勢から、すぐに降ろされた。ファイノンも妙な発言に慣れてきたのか、スルーしている。それからサンデーとロビンがやってきて、開拓者とファイノンに調律を施してくれた。歩きやすくなった二人は、黄金の刻を観光する。
「わぁぁ、すごいぞファイノン!! 車もあるぞ!! ちょっと乗ってみようかな……」
「ダメだよ相棒、それはお店のものだし……」
「よし、いつかお金貯めて買いに来よう!!」
そんなことを言いつつ、歩いていくと……銀髪の女の子が、何やら集団に囲まれていた。その女の子は穹を見つけると、こちらに駆け寄ってくる。しかし……途中でぴたっと足を止めた。
「あれ? 足を止めた?」
『と、隣の人は誰!? あっ、もしかしてエリオの言ってた変数!? どうしよう、予定と違うけど……しょうがない、アドリブで!!』
「そ、そこの君……たち!! 手を貸して!!」
ホタルにそう言われて、穹は即座にバットを取り出す。
「もちろん!! 美少女を助けるのは当然の義務だ!!」
「待ってくれ、相棒。ここは僕に任せてくれないか?」
「そこをどけ!! その女は密航犯だ!! 銀色の人を追えと連絡があった、きっとそいつだ!!」
そう言ってくるハウンドに、ファイノンが反論する。
「銀色? それだけしか手がかりがないのなら、彼女を犯人だと決めつけるのは早計だと思うな。百歩譲って、彼女が本当に犯人だとしても、まずは任意同行を求めるべきじゃないのかい?」
「おぉ~、ファイノン流石……!!」
『お、思ってた展開と違う……穹に守ってもらえると思ってたのに……』
ホタルは内心残念な気分だった。そこでギャラガーがやってきて、ハウンドを追い払ってくれた。そして、改めてホタルは自己紹介を始める。
「とりあえず、二人ともありがとう。あたしはホタル、アイリス家の役者なんだ」
「俺の名前は穹、見ての通りの美少女だ!! そしてこっちはファイノン、そんな俺をさっき抱いてくれた王子様だ!!」
「えぇぇっ!?」
「……どうしてそんなに驚くんだい?」
ホタルは二人きりのデートができなくなっただけでなく、ファイノンの穹のまさかの関係性(勘違い)を聞いて、ショックを受けている。
『そ、そんな……抱いたってそういう意味なの……? いや、普通に抱きしめられただけだよね……? 男友達同士のハグとか、そういう……』
「さっきのお姫様抱っこ、もう一回やって~?」
「ひ、人前だよ相棒……?」
ホタルはさらにダメージを受けた。出会って早々、脳破壊されそうになっている。ガタガタと震えて、冷や汗を流していた。
「そ、その……二人って、どういう関係なのかな? 友達……?」
「友達以上、最高にして唯一の相棒だ!!」
「相棒からそう言ってくれると、やっぱり嬉しいな……」
ホタルはふらふらして、足取りがおぼつかなくなっている。友達以上という言葉が、思った以上に効いているらしい。だが、何とか踏みとどまる。
『落ち着いてあたし、恋人だとは言われてない。まだ、まだあたしにもチャンスはある……!!』
「そうだ、せっかく会えたんだし、一緒に行くか?」
「え、いいの!? 行く、絶対行く!!」
ホタルはすごい勢いでそれに食いついた。その勢いに少し押されつつも、三人は黄金の刻を一緒に歩くことになった。その結果、穹の右手はファイノンに、左手はホタルに掴まれている。
「そうだ、さっきのお礼に……これ、あたしのお小遣いなんだけど。これでお菓子買っていいよ!!」
「え、いいの!? ありがとう、じゃあ遠慮なく……!!」
「待ってくれ相棒、お礼とはいえ人のお金なんだ。少し抑えて使った方がいい」
ファイノンからの進言で、穹も落ち着きを取り戻した。その結果……なんとなくこれがよさそうな気がして、オークロールを買った。正解だったのか、ホタルはとても嬉しそうに食べている。
「どうしてこれが好きってわかったの? ありがとう、一緒に食べよう!!」
「美味いぞファイノン、食べてみな!!」
「そうなのかい? なら遠慮なく……」
ファイノンは、何の気なしに口に放り込んだ。しかし、それがいけなかった。口の中に広がる、木の香り。そして木の皮を噛んだような味。
「うぐっ、ごほごほっ……!! な、なんだこれっ……木の味がする!!」
「え? 美味しいけど……」
「美味しいじゃん、ファイノン!!」
「ほ、本気で言ってるのかい……?」
ファイノンは、二人の味覚を疑わずにはいられなかった。その途中で三人は、クロックボーイに出会った。
「二人は僕が見えるんだね!! 僕は純粋で、素直で、無垢な心を持った人にしか見えないのさ!!」
「そ、そこに何かいるの?」
「うん。ホタルは純粋さと素直さと、無垢な心が足りないんだって」
「あ、あたしのどこが純粋さ、素直さ、無垢な心が足りないっていうの!?」
ホタルは不満を露にしている。クロックトリックを使って、黄泉とミーシャを助けると……黄泉が尋ねた。
「助けてくれてありがとう。君たちは……家族旅行中か?」
「か、家族じゃないよ!! あたし達は……」
「誰が兄で……誰が弟だ?」
それに対して、穹が即答する。
「ファイノンが長男、俺が次男、ホタルが末っ子だ!!」
「あ、あたしが一番下なの!?」
「相棒のお兄ちゃん……アリだな……」
「だ、ダメダメダメ!! あたしが穹のお姉ちゃんになるんだもん!!」
相棒という大きなポジションを取られた焦りからか、ホタルは何がなんでも穹の隣にいるためにお姉ちゃんになろうとしていた。
「ところで、そこのあなた……」
「ん? 僕のことかい?」
「私達は、どこかで会ったことがあるか?」
黄泉のその言葉を聞いて、穹も反応する。夢の中で聞いた言葉だったから。
「……いや、僕達は初対面のはずだけど」
「そうか……すまない、きっと私の思い過ごしだ」
「俺も言われたな、あれ……」
それからクロックボーイの像を見に行き、コインを買って、スロットマシンや巨大ガシャポンで遊び……三人は楽しい時を満喫した。そして、その途中で怪しい人影が近づいてきた。
「誰か来る……気をつけて」
「誰だっ!?」
「うわぁぁぁ!? 待ってくださいよぉ、僕です!! サンポです!!」
「なんだ、お前かよ……」
それからサンポに案内され、記憶域特有の夢を楽しんだあと、ホタルの秘密基地こと、ドリームボーダーへ向かうことになった。途中でハウンドに止められたが、それもクロックトリックで突破。秘密基地に向かっていく。
「よかったのかい、あんなことして……?」
「いいだろ、ホタルの仇討ちだ!!」
『穹があたしのこと考えてくれてる……嬉しい!!』
ファイノンばかり相手にされるので、もうホタルのことを考えてくれているだけで喜んでいる。脳破壊寸前なこともあって、ハードルが低い。
「ここがあたしの秘密基地だよ。どう、いい眺めでしょ?」
「ホントだ、いいところだな……」
「あの……ファイノンさん。ちょっとだけ、穹と二人きりになってもいいかな?」
ホタルは勇気を出して、ファイノンに言った。ホタルから悪意を感じなかったファイノンは、それを快く受け入れた。
「もちろん構わないよ。僕はあっちで座っていることにする」
「ありがとう、ファイノンさん……!!」
「ん? あれ、相棒は? ホタル、知らないか?」
それを聞いて、ホタルは少し悲しくなりつつも話し始める。
『あたしより、やっぱりファイノンさんなんだ……しょうがないよね、あたしの知ってる穹とはもう違うんだもん……』
「あたしが頼んだの、穹と……二人っきりにさせて欲しいって。聞いてほしいことがあるの」
「いいけど……なんだ?」
それからホタルは話した。密航してきたのは本当なこと、ホタルの故郷が滅んでいること、ロストエントロピー症候群のこと……時計屋の遺産を求めているが、対立したくないということも。
「……ごめんね、真面目な話になりすぎちゃった。これは秘密にしておいてほしいな」
「うん、わかった。二人だけの秘密だ、約束する」
『あたしと穹だけの秘密……ちょっとはファイノンさんに近づけた、かな……?』
そう思いつつ、二人でツーショットを撮って……そろそろ帰る時間になった。
「二人で何を話してたんだい、相棒?」
「それは内緒だ。な、ホタル?」
「う、うん、内緒」
ホタルと穹が嬉しそうなので、悪い内容ではなかったのだろうと、ファイノンはなにも追求しなかった。しかし……その後、帰り道で待ち構えていたサンポが、こちらに歩いてきた。
「下がって、穹!! この人、普通じゃない……」
「お前は……サンポさんじゃないな。何者だ、正体を現せ!!」
「二人とも素晴らしい観察眼……そこの芦毛とは、比べ物にならない。でも……今は説明してあげる時じゃないからね。真のピノコニーに送ってあげる」
「なっ、お前、は……誰だ……」
三人はその場に倒れた。そして次目覚めると、三人はよくわからない空間にいた。そこから脱出するために、上下がよくわからない空間の中を、ミーム達を倒しながら歩いていく。
「はぁっ!! それにしても、ここの敵は変な見た目だな!!」
「記憶域の中だからかな、奇妙な動きだ……でも、僕達の敵じゃない!!」
『カフカも言ってたけど……穹、予定よりもずっと強くなってる。ファイノンさんのおかげかな……』
その先に進んでいくと……謎の通路に迷い込んだ。何度進んでも、元の場所に戻されてしまう。そんな中で……恐ろしい蛇のような怪物、死の記憶域ミームがこちらに迫ってきた。
「な、なんだこいつ!? ホタル、下がって!!」
「今までの奴らとは毛色が違う……相棒、危ない!!」
「うぉっ……ぐっ!?」
咄嗟に後ろを振り向いて、怪物の攻撃を槍でなんとか防御する。槍を突き出したが、攻撃の度に姿を消してしまうため、反撃が難しい。
「どうする、このままじゃジリ貧だ……」
『困っているようね。手助けしてあげる』
「えっ!?」
出てきた記憶域ミームが、地面から出てきた手に掴み取られた。それを操っているのは、いつの間にか現れた一人の女性……ブラックスワンだ。
「さぁ、早く行って」
「あ、ありがとう!! 行こう、ホタル!!」
「うん!!」
そして三人は、夢の中から脱出した。それからピノコニーについて、現実にいたブラックスワンから聞くことになる。夢の中に落とした者の正体は花火であること、サンポは花火が化けた偽物であったこと、夢境が不安定であることなど。それを踏まえて、星穹列車の記憶を貰う代わりに協力してもらうことになった。
「銀色の鎧を着た背の高い男性……星核ハンター、『溶火騎士』サム。彼女を追っていて見つけた、この銀狼のメッセージ。これを使えば、ピノコニーの封鎖エリアに入れるらしい」
「ホタル……脱出したとはいうけど、心配だな。無事だといいけど」
「きっと大丈夫さ。もしさっきの奴に襲われていたとしても、今度はみんなもいる。負けはしないさ」
ファイノンの励ましもあって、穹は封鎖エリアへと足を踏み入れる。その途中で黄泉と出会い、ブラックスワンとも合流する。そこでブラックスワンから、ホタルがここにいることを知らされる。そして進んでいくと……やはりホタルがいた。
「ホタル!!」
「あっ、穹……!! こっちに来ちゃダメ!!」
「えっ? どうして……」
次の瞬間、後ろから怪物……死の記憶域ミームが現れた。それはホタルを絡め取り、殺そうとしている。全員がそれに驚いたが、穹は咄嗟に存護の槍を投げつけた。
「なっ……!?」
「やらせるか!! ……なにっ!?」
「相棒、危ないっ!!」
死の記憶域ミームは、それを尻尾で弾き飛ばしてしまった。こちらに飛んできた槍を、ファイノンがヘリオスで防御する。そして、その隙に……ホタルは後ろから刺されてしまった。
「あ……がっ!? がはっ……!!」
「ホタルっ!!!」
「ご、めん……」
そう言ったのを最後に、ホタルは憶泡になって消滅してしまう。穹はそれを見て、大きなショックを受けているようだ。
「そんな……ホタル……」
「相棒、怪我はないかい?」
「俺はいい……それよりも、ホタルが……」
親しい人の死。初めてそれに直面し、穹は精神に大きな傷を負っていた。それを見たファイノンが、穹に言葉をかける。
「気に病むことはないよ、相棒。僕も黄泉さんもブラックスワンさんも反応できなかった中で、君だけは攻撃を仕掛けた。その結果がどうであれ、僕も……きっとホタルさんも、それを誇りに思っているよ」
「……うん」
「すぐに立ち直るのは難しいかもしれないけど、いつまでもこうしているのは、ホタルさんも望まないだろう。立てるかい?」
ファイノンの手を借りて、穹がふらつきながらも立ち上がる。そんな時……後ろから、大きな音がした。そこにいたのは……話で聞いていた、銀色の騎士、サムだった。
「探偵ごっこは終わりです。このまま去れば誰も傷つきません。しかし、ここに残れば……全員死にます」
「こんな時に……!! 相棒、やれるか!?」
「あ、あぁ、もちろんだ……!!」
穹も何とか精神を立て直して、戦いに臨む。戦いは苛烈を極めたが……穹とファイノンの強さは、サムの想定を遥かに超えていた。押され気味のサム……もといホタルの拳に、炎が宿る。
(なにこれ、強い……!! 手加減してたらこっちがやられちゃうよ……!! 本気を出さないと!!)
「ぐぅっ……想定以上の凄まじい強さ……!! カフカの言葉通りだ……だが!!」
「なっ、拳が燃えて……!?」
「相棒、避け……えっ!?」
そこでブラックスワンが、穹を連れてその場から消えた。その場にはファイノンと、黄泉だけが取り残される。黄泉はそれを見て、言った。
「攻撃を見ていて、確信した。あなたは、私達を殺そうとしていない。何故だ?」
「……我々、星核ハンターは、星穹列車に大いなる遺産を追わせなければならない」
「大いなる遺産だって……? 何の話だ?」
サムはファイノンの方を見て、さらに続ける。
「ファイノンさん、あなたはこの世界の変数です。本来、ここにいるべきではない存在。あなたの存在は少なからず、脚本を曲げ始めている」
「そんなこと、お前に決められる道理はない!! 僕は星穹列車のナナシビトのファイノンだ!!」
「それで構いません。彼にとって、それが……悪い結果にならない限りは」
それだけ言って、サムはその場から姿を消した。その間に穹はアベンチュリンとブラックスワンから、星穹列車として協力を要請される。それからファイノンも合流の後、全員で話し合って……アベンチュリンに協力することに。そして夢境での死について調べるために、ホタルについて調べていくことになった。それと、黄泉の追っているらしい『時計屋の遺産』についても。
「ホタルという人の名簿は……ありませんね。ロビンさんが死亡したというのも初耳です」
「やっぱりそうなのか……変だな」
「詳しく聞くためには、専門家に聞いた方がよさそうだね。確かギャラガーさんは、ハウンド家の頭目だったはずだ」
そういうわけで、事件について調べるために、ギャラガーの元へ向かうことになった。ホタルの痕跡は見つからなかったが、時計屋がファミリーの『裏切り者』であるということを知る。そしてアベンチュリンの計画により、石の力で変身した彼と戦うことになった。黄泉がそこで刀を抜いたことで、計画は成功。その頃穹とファイノンは……
「お目覚めになりましたか」
「サ、サム!?」
「相棒、下がって!!」
ファイノンが穹を庇うように立った。しかし、サムは交戦の意志を見せない。
「戦うつもりはありません。本当は、二人の時に見せるつもりだったのですが……こうなっては仕方がない」
「えっ? どういう……」
「君たちに見せるしかない。あたしの全てを」
そう言って現れたホタルは、開拓者達に全てを話した。ドリームリーフのことや、そこで知ったことなど。そして、ドリームリーフでロビンとサンデーから、ピノコニー大劇場に星核があると教えられる。ミハイルの意志を受け継いで、ピノコニーを救うため、大劇場に行くための入場チケットを入手するために、大会に出ることになった。
「というわけでよろしくな、ファイノン!!」
「最初の演目は『演技』です!! あなた達の熱演を見せてください!!」
「よし!! ここで活躍して、スター俳優『穹』としてデビューしてやる!!」
ノリノリで穹は演技を始めた。しかし、ファイノンは……演技がお世辞にも上手いとは言えなかった。
「それでは、失敗した悲しみの演技をお願いします!!」
「え、えっと……もうダメだ、万事休すだよ、諦めよう相棒……」
「棒読みじゃん!! もっとちゃんとしてよ、相棒!! 俺のスターデビューがなくなっちゃう!!」
「そう言われても……相棒と一緒にいるのに、諦めるだなんて言えないよ……!!」
そんなこんなありつつも、どうにか先に進み……アルジェンティに実力を認められたりしつつも、最奥に辿り着くことができた。そしてそこにいたのは……他でもない、サンデーだった。彼は様々な問いをこちらに投げかけてくる。穹はそれに対して、自分の答えを出していった。そして最後に、サンデーが自身の真の目的を語る。
「ワタシは、人間の理想的な生活は、週休7日であるべきだと考えています。私だけが永遠に働き続け、他の人々は貧富の差も差別も病気もなく、永遠に幸福に暮らすのです」
「そんなことは成立し得ない。一人の人間が世を背負うだなんて、あるわけがない。もしできたとしても、どこかで必ず瓦解が起きる」
「普通ならそうでしょう。しかし、私はこれから秩序の力を手にし、神となります。そうすれば、世界を背負うことも可能となるでしょう」
「たとえそうなったとしても、それはどこかで成立しなくなる。どれだけ強く頑丈な柱であろうとも、永遠に世界を支え続けられる柱はない」
サンデーにファイノンは反論する。それに説得力があった。何故かは分からないが、全員が心を動かされていた。最後には、その場にいた全員がそれに反対し……調和の運命に覚醒した開拓者が、サンデーに宣戦布告を突きつけた。
「いいでしょう。どちらが正しいか……ピノコニー大劇場で決着をつけましょう。お待ちしていますよ」
「行こう、相棒。サンデーに間違いを突きつけてやらないと」
「あぁ、もちろんだ」
それからホタルは、自分はやるべきことがあると言って別れを告げると、サムに変身してどこかに飛び去っていった。
「行っちゃった……」
「また会えるさ、僕たちは僕たちの役目を果たそう」
「あぁ、そうだな。行こう、みんな」
その頃、列車内ではトラブルがあり……巡海レンジャーのブートヒルはパムの名義で、ピノコニーに入国していた。目的は偽物のレンジャーである黄泉を探し出し、倒すこと。しかし、黄泉の目的であるティエルナンの弾丸を見ると矛を収めて、協力してくれる運びになった。
「星神は強く有能な者に力を与える……それならば弱者は、一体誰に救いを求めればいいのでしょうか?」
「来るわよ、みんな!!」
「行くぞ相棒!!」
「あぁ!!」
全員でかかって、前哨戦の人形達を倒し……それから、サンデーはディエス・ドミニとなって襲いかかってくる。それに彼らは苦戦を強いられたが……結盟玉兆を使うことで仙舟「羅浮」の助けもあり、見事撃破することに成功した。ピノコニーの明るい未来はカンパニーに保証され、星穹列車は次の星へ……というのは嘘。サンデーのエナの夢に星系が包まれてしまい、このままいけば宇宙が飲み込まれるのも時間の問題だという。
「ここは……ピノコニーの夢境?」
「相棒、目が覚めたんだね!!」
「あ、相棒も起こされたのか?」
穹が尋ねると、ファイノンは首を横に振った。
「いや、実は僕が最初に目覚めたんだ。のどかな村の、麦畑を歩いていたんだけど……突然、視界が凍りついてね。そこで目が覚めたんだ」
「そうなのか……誰かが助けてくれたのかな?」
「わからない。だけど……あれは自然に起きたことではないと思う」
そう話しながら、夢境ホテルのフロントに行くと……全員がもう集まっていた。ピノコニーの人々を夢から覚まさせて、エナの夢を弱体化させないと勝ち目がないこと。そして、そのために黄泉とブートヒルが協力することを告げられる。そして穹たちは、弱体化したサンデーを倒す役割を任された。黄泉の斬撃、ブートヒルの弾丸もあって、ピノコニーの人々が夢から醒めていく。
「これは……!?」
「戻ってきたぞ、今度こそ勝つ!!」
「いいでしょう……ワタシの手で、今度こそ決着をつける!!」
サンデーは秩序の姿を捨て、哲学の胎児となり新たな運命をもって、目の前の開拓を打ち倒さんとする。しかしそこで、ロビンの歌声と人々の声が響き始めた。
「ピノコニーの、最初で最後の雑音だ……!!」
「みんな、力を貸してくれ!!」
「これで終わらせる……!!」
「いいや、終わらない!!」
全ての想いと決意を込めた、開拓の一撃。列車がサンデーに向かって突撃し……彼の額を貫いた。哲学の胎児が、その場に倒れ込む。
「や、やった……の?」
「……人は、何故……眠るのか……?」
「……それは……」
サンデーの最後の問いに対して、ファイノンと穹が答えを出す。
「「みんなで、また『明日』を迎えるためだ!!」」
「……やはり夜は、短すぎる……」
「兄様。夢から、醒める時よ……」
こうして、孤独なエナの夢は終わりを告げて……ピノコニーは、また明日を迎えることができたのだった。
宇宙のある星系にて。スクリューガムはそれを見ながら、苦い顔をしていた。ルアンがそれを見て、話しかけてくる。
「スクリューガムさん。その顔は……なにか良くないことが?」
「……ルパートに動きがありました。ほんの少しの動きですが、それでも危険です。スリープモードが解けかかっている」
「長くは持たないと言っていましたものね。あとどのくらい持ちますか?」
スクリューガムはルアンの問いに、しばらくしてから答えた。
「長くて二週間。最短で……あと五日です」
「なら、急がないといけませんね」
「星穹列車にも協力を要請しましょう。この危機を、絶対に乗り越えるために。宇宙のために……何より、ヘルタさんのために」
スクリューガムは、ヘルタとの約束を思い出す。最後にヘルタと交わした会話。
『私という宇宙一の天才を犠牲にするんだから、無駄にしたら承知しないよ?』
「えぇ、わかっています。絶対にやり遂げてみせますから」
「ヘルタさん……待っていてくださいね」
次回、オンパロス編。