Street Fighter Miss Vega's Path to Domination   作:モッチー7

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第3章:動乱のトリロジー――偽りの休戦と、鉄錆のストリート

メトロシティの最南端、汚濁した海水が重く岸壁を叩く港湾地区。

数ヶ月前、かつて空軍の気鋭エージェントであったナッシュが、何者かによって細胞レベルで消滅させられた古い倉庫の跡地は、今や崩落した鉄骨と赤錆びたコンクリートが織りなす、墓標のような姿を晒していた。

その静寂を破り、重厚な排気音を響かせて一台の大型バイクが滑り込んできた。

バイクを降りたのは、ガイル少佐。

天を突くフラットトップの髪型を崩すことなく、鋭利な刃物のような眼差しで周囲を睨みつける。彼の胸ポケットには、半分に焼け焦げたナッシュのドッグタグが重く収まっていた。

軍の上層部がどれだけ圧力をかけようとも、彼は親友の死の真相を暴くことを諦めなかった。現場のコンクリートをドロドロに溶解させた異常なエネルギー反応――その「残滓」を独自の探知機で追い続けた結果、再びこの忌まわしき始まりの場所へと行き着いたのだ。

「現場に残されたエネルギーの波形が、今、急速に強まっている……。どういうことだ、何かがここに近付いているのか?」

ガイルが探知機のモニターから目を離した、その時だった。

パチリ、と空間のガラスが内側からひび割れるような、不気味な放電音が響いた。

ガイルの全身の皮膚が、過剰なまでの危険信号を感知して粟立つ。走らない。音もない。ただ、意思の力だけで重力を完全に遮断し、地上数十センチの空間を滑るように移動する人影が、崩壊した壁の隙間から現れた。

ベガ。今年で15歳になる、ボブカットの天然パーマが特徴の可憐な美少女。

夜風に跳ねる深い黒髪と、吸い込まれそうなほどに澄んだ漆黒の瞳。仕立ての良い、だが不穏な色彩を放つ衣装を纏ったその姿は、退廃した港湾地区にはあまりにも不釣り合いなほどに無垢で美しかった。

しかし、彼女の周囲に展開されている紫色の精神エネルギー――サイコパワーの奔流は、空間の光さえも歪めていた。

「あら、先客かしら。……随分と、私と似たような『軍の匂い』を残した、無骨な男ね」

ベガは薄桃色の唇を小さく歪め、クスクスと鈴を転がすような声で笑った。

「貴様……! その立ち回り、そしてその禍々しいエネルギー……。ナッシュを殺したのは、お前か!」

ガイルの両拳に、一瞬にして凄まじい真空の気が集束する。親友を無残な姿に変えた「紫色の破壊者」が、目の前にいる十代半ばの少女であるという不条理。だが、軍人としての冷徹な直感が、目の前の存在が人間の皮を被った「底なしの魔王」であることを告げていた。

「ナッシュ? ああ、あのカルテルの手下を演じていた、哀れな操り人形のことね。そうよ、私がその細胞の最後の一つまで、綺麗にこの世界から消し去ってあげたわ。……あなたも、彼の後を追いたいのかしら?」

ベガの瞳から、一瞬にして感情が消え失せ、徹底的な過虐の光が宿る。

「よくも……ナッシュを……! 許さんぞ、小娘ッ!!」

ガイルが吠えた。両手を瞬時に交差させ、前方に突き出す。

「ソニックブーム!!」

超音速で放たれた真空の刃が、空間を切り裂きながらベガの肉体へと肉薄する。直撃すれば、コンクリートの壁さえも両断する一撃。

しかし、ベガの身体は、放たれたソニックブームの軌道上から、かき消えるように消失した。

「瞬間移動(サイコテレポート)」。

空間の座標を直接書き換えるその超常の移動術により、ガイルの真空の刃は虚しく瓦礫を両断するだけに終わった。

「どこを見ているの?」

冷徹な声が響いたのは、ガイルの真後ろの空間だった。

ベガは空中浮遊したまま、その小さな右手をガイルの背中に向けて突き出していた。指先から放たれるのは、凝縮された精神エネルギーの奔流――「ビーム(サイコブラスト)」。

「しまっ……!」

ガイルは本能的な直感で身を翻し、両腕を交差させてガードの体勢を取ったが、放たれた紫色のビームは彼の頑強な肉体を容赦なく吹き飛ばした。

ズガガガガッ! と背後の鉄骨に激突し、ガイルの口から苦悶の喘ぎが漏れる。腕の防護服が焼け焦げ、皮膚に激痛が走る。

「素晴らしい防御勘ね。でも、次で終わりよ」

ベガの周囲のサイコパワーが、さらにその密度を増していく。二人の激突は、まさに一触即発、どちらかの命が完全に消えるまで止まらない地獄の死闘へと突入しようとしていた。

 

ベガは追撃の手を止め、再びふわりと宙に浮かび上がった。彼女の視線の先――埠頭の入り口に、ヘッドライトの光を激しく交錯させながら、一台の黒い大統領仕様のリムジンが急停車した。

車から降りてきたのは、このメトロシティの最高権力者、マイク・ハガー市長だった。

トレードマークのサスペンダーに、仕立ての良いスーツを無理やり巨体に押し込んだその姿は、一国の主としての威厳と、娘を奪われた父親としての狂気的な怒りを同時に孕んでいた。

「そこまでだ、二人とも!」

ハガーの地鳴りのような声が埠頭に響き渡る。

「市長……! なぜここに! 娘さんの救出はどうした!」

ガイルが叫ぶが、ハガーは厳しい表情のままベガを睨みつけた。

「ガイル、拳を収めろ。今の状況で、俺たちがこのシャドルーの小娘とやり合うのは……完全に敵の『思う壺』だ」

「何だと……?」

ベガはフッと薄笑いを浮かべ、空中からハガーを見下ろした。

「さすがは元プロレスラーの市長さんね。ただの筋肉ダルマかと思っていたけれど、少しは頭が回るじゃない」

ハガーは拳を固く握り締めながら、ベガに向けて一枚の書面を投げつけた。それは市警の特殊犯罪科、すなわちルシアとキャミィが掴んできた『神託に耳を傾ける会』の内部プロトコルの写しだった。

「シャドルーの首領、ベガ。お前も知っているはずだ。お前を創り出し、俺の娘を誘拐したマッドギアの黒幕……『神託に耳を傾ける会』の狙いを。奴らは、俺たち『メトロシティの正義』とお前たち『シャドルー』を正面から衝突させ、共倒れにさせようとしている」

ハガーの言葉に、ガイルが息を呑む。

そう、カルテルの計算は極めて冷酷だった。ハガー率いる警察機構がシャドルーと交戦し、どちらが勝っても、メトロシティの治安維持能力は完全に崩壊する。そしてシャドルーという新興の脅威が排除されるか弱体化すれば、カルテルは再びマッドギアを通じて街の支配権を無血で手に入れることができる。どっちが勝っても、最後に笑うのは『神託に耳を傾ける会』の幹部ベルガーであり、その背後にいるカルテルなのだ。

「私たちは、あのお仕着せの神託を並べる老人たちのために踊るつもりはないわ」

ベガは静かに地上に降り立った。それでも彼女の足は、地面からわずか数ミリ浮いている。

ボブカットの天然パーマが、海の夜風に揺れる。

「ハガー市長。あなたの娘ジェシカを誘拐したマッドギアは、私にとっても邪魔な羽虫に過ぎない。彼らのバックにいる『神託に耳を傾ける会』を根絶やしにするまで、私はあなたと『一時休戦』を結んであげてもいいわ」

「ベガ! 本気でそんなことを……!」

ガイルが抗議するが、ハガーがそれを手で制した。

「ああ、一時休戦だ。だが勘違いするなよ、ベガ。俺は娘を取り戻し、マッドギアを、そしてお前が忌み嫌っているカルテルを絶対に許さない。だが、今だけは……共通の敵を叩くために、お前の存在を黙認してやる」

「賢明な判断よ。せいぜい、あなたの街の若いお友達が、マッドギアのゴミ箱の中で生き残れるよう祈ることね」

ベガは身を翻すと、紫色のサイコパワーの光の中に姿を消した。

埠頭に残されたハガーとガイル。

「ハガー、本当にこれで良かったのか」

「これしかない。ジェシカを救い、街をカルテルの手から取り戻すためには、悪魔の手でも借りる。……行くぞ、ガイル。コーディーたちが、すでに敵の拠点へ突入している」

ベガ、ハガー、ガイル。

全く異なる目的と正義、そして悪意を持つ三者の間に、カルテルという共通の敵を叩き潰すための、奇妙で歪な「一時休戦」が結ばれた瞬間だった。

 

「休戦は成立したが、マッドギアの防衛線はすでにこの港湾地区のすぐ近くまで迫っている。ハガー市長、まずは奴らの進撃ルートを叩き潰すぞ!」

ガイルが現状の戦術を指示する。ハガーたちの情報によれば、マッドギアの幹部である「ロレント」が率いる武装親衛隊が、この地区の治安を完全に掌握し、タワーへの接近を防ぐための絶対防衛陣地を敷いているという。

「ロレントの奴め、かつて特殊部隊にいた経験を悪用して、ギャングどもを軍隊並みに組織化していやがる。だが、俺たちの連携なら突破できるはずだ!」

ハガーが巨大なパイプ椅子を掲げ、先陣を切った。

彼らが廃倉庫を出て、湾岸のコンテナ集積エリアへと足を踏み入れた瞬間、サーチライトの強烈な光が彼らを照らし出した。

「侵入者確認! 全員、突撃せよ! メトロシティに新たなる規律(オーダー)をもたらすため、我が軍の前に立ち塞がる者はすべて排除する!」

コンテナの上から、黄色いベレー帽に軍服を着た男――ロレント・F・バルゲが、一本のスティックを掲げて鋭い号令を下した。

彼の合図とともに、手榴弾や催涙ガス弾を装備したマッドギアの武装構成員たちが、統制された動きで次々と襲い掛かってくる。

「規律だか何だか知らねえが、ジェシカを連れ去った時点で、お前らはただのクソギャングだ!」

コーディーが吠えた。彼は迫り来る手榴弾を、手にした鉄パイプでバッティングのようにお見事に見裏へと打ち返し、敵の陣地で爆発させた。

ドカァァン! と炎が上がる中、コーディーはジーンズのポケットから手を引き抜き、天才的なボクシングのフットワークで敵の懐へと飛び込んだ。

彼の放つアッパーカットは、ヘルメットを被ったギャングの顎を粉砕し、鉄パイプの一振りは、立ち塞がる三人の男たちをまとめてコンテナの壁へと叩きつけた。

「武神流、影を払いて光を導かん。……ハッ!」

ガイの動きは、まさに戦場を駆ける赤い疾風だった。

彼はコンテナの垂直な壁を三角飛びの要領で軽々と駆け上がり、高所に陣取っていたボウガン部隊の背後へと音もなく回り込んだ。

「武神イズナ落とし!」

敵の首を掴んだまま、空中から頭部を地面へと叩きつける過激な忍術。ロレントが誇る武装親衛隊の連携は、ガイの神速の立ち回りと、コーディーの圧倒的なストリートの突破力の前に、次々と寸断されていく。

「おのれ、ストリートのドブネズミどもが……! 我が戦術を汚すな!」

ロレントが激昂し、自らコンテナの上から跳躍、手にしたスティックを激しく回転させながらコーディーの脳天へと襲い掛かった。

キィィィン! と鋭い金属音が響き、コーディーの鉄パイプとロレントのスティックが激突する。

「へっ、軍隊ごっこは楽しいかよ、ロレント!」

「黙れ! 規律なき力など、ただの暴力に過ぎん!」

二人の激しい白兵戦が始まった。ロレントはスティックを巧みに操り、驚異的な敏捷性でコーディーの死角から何度も打撃を繰り出す。さらに、衣服の裏に仕込んだ小型の手榴弾をばら撒き、コンテナエリア一帯を炎の海へと変えていく。

しかし、コーディーの戦闘センスは、その軍事戦術をも凌駕していた。

彼は手榴弾の爆風を最小限の動きで回避すると、あえて自らの鉄パイプを地面に突き刺し、強烈な蹴りで大量の「砂(瓦礫の破片)」をロレントの顔面へと浴びせた。

「ぐわっ!? 目が……!」

「隙だらけだぜ、隊長さんよぉ!」

ロレントが怯んだ瞬間、コーディーの渾身のストレートが、奴の顔面を完璧に捉えた。

バキィィン! と重い衝撃音が響き、ロレントの身体はコンテナの壁を突き破るほどの勢いで吹き飛び、地面へと激しく転がった。手にしたスティックは真っ二つに折れ、自慢のベレー帽は泥にまみれていた。

「我が……我が完璧なる軍隊が……このようなストリートの不良どもに……」

ロレントは屈辱の言葉を吐きながら、そのまま意識を失い、昏倒した。

コーディーとガイ、そしてハガーの完全なる合流によって、マッドギアが誇る最強の武装部隊は、わずか数分で跡形もなく壊滅させられたのだ。

 

ロレントたちの防衛陣地が崩壊したその時、エリア一帯を包む朝焼け前の重苦しい空気が、一瞬にして冷徹な「殺気」へと書き換えられた。

パチ、パチ、パチ、と、どこか芝居がかった、優雅な拍手の音が響く。

コンテナの最上部、月光を反射して怪しく輝く一人の男の姿があった。

白い仮面でその素顔を隠し、編み込まれた長い金髪を揺らす男。その右手には、蛇の牙を思わせる、三本の長く鋭利な鋼鉄の爪(鉤爪)が装着されていた。

バルログ。

スペインの没落貴族でありながら、その異常な戦闘センスと残虐性から、マッドギアの総帥ベルガーによって直接雇われた、カルテル最強の「暗殺者」である。

「実に見苦しい戦いだ。ロレントのような無骨な軍人モドキが敗れるのは必然だが……。しかし、私の『美』の領域を、その薄汚れた鉄パイプとサスペンダーで汚すことは許されないね」

仮面の奥から、歪んだナルシシズムを孕んだ、背筋が凍るような美しい声が響く。

「バルログ……! ベルガーの飼い犬が、直々にお出ましというわけか」

ハガーがパイプ椅子を構え直す。しかし、バルログの青い瞳は、ハガーたちではなく、その背後で自らの髪を指先で弄んでいた少女――ベガへと向けられていた。

「ベルガー様からの伝言だよ、脱走体の小娘。……『神託の失敗作は、ここで処理する』とね。お前のその可憐な容姿、私の鉤爪で、もっと美しく、赤い鮮血のドレスで飾り立ててあげよう」

バルログの身体が、一瞬にしてコンテナの壁を蹴った。

その動きは、格闘技というよりも、空中を華麗に舞う死の闘牛士(マタドール)だった。

「フライングバルセロナアタック!!」

上空高くに跳躍したバルログは、網の目のように張り巡らされたコンテナの隙間を三角飛びで縦横無尽に駆け巡り、目にも留まらぬ速度でベガの脳天へと急降下した。

「うるさい男ね。その醜い仮面ごと、粉々に砕いてあげるわ」

ベガのボブカットの天然パーマが、彼女の怒りに呼応するように激しく跳ねた。

彼女は地上から一歩も動かず、ただ右手を上方へと掲げた。瞬時に展開される、サイコパワーの障壁。

ガギィィィン!!!

バルログの鋼鉄の爪と、ベガの紫色の精神障壁が激突し、周囲のコンクリートの床にクモの巣状の亀裂が走る。

バルログは障壁の反発力を利用して空中で鮮やかに反転すると、着地と同時に、地を這うような超高速の突きを繰り出した。

「フライングバルセロナアタック」からの着地連携、そして「クリムゾンレイド」。

鋭い爪が、ベガの仕立ての良い紫色の衣装を掠め、布地が小さく裂ける。

15歳の少女の、白い肌から一筋の赤い血が滲み出た。

「おやおや、せっかくの綺麗な肌が台無しだ。もっと鳴いてごらん、お嬢さん!」

バルログの狂気が加速する。彼は超人的なスピードでベガの周囲を旋回しながら、その鋭利な爪で彼女の肉体を切り刻もうとする。

ハガーやガイルが助けに入ろうとしたが、ベガは鋭い声でそれを制した。

「手を出さないで、羽虫ども! この男は……私が直々に、絶望という名の美を教えてあげるわ!」

ベガの澄んだ漆黒の瞳が、怒りで赤く染まる。

彼女の全身から、これまでとは比較にならないほどの、禍々しくも美しい紫色のサイコパワーのオーラが爆発的に噴出した。

そのエネルギーの奔流は、周囲に転がっていた数十トンのコンテナを、自重で容易に浮き上がらせるほどの凄まじい重力異常を引き起こしていた。

 

バルログのスピードは確かに脅威だった。しかし、ベガの「人間離れした立ち回り」の前には、それすらも単なるスローモーションに過ぎなかった。

バルログが再びコンテナの壁を蹴り、空中からの必殺の一撃を放とうとした、まさにその瞬間。

ベガの姿が、完全にその場から消失した。「瞬間移動」。

「何っ!?」

空中で標的を見失ったバルログの背後、地上十メートルの虚空に、ベガは優雅に「空中浮遊」しながら現れた。

彼女のボブカットの天然パーマは、サイコパワーの残光によって怪しく紫に輝いている。

「消えたなら、先回りするだけよ。……死になさい、ナルシスト」

ベガが小さな右手をそっと差し出す。その指先から、凝縮された精神エネルギーの奔流――「ビーム(サイコブラスト)」が放たれた。

それは一条のレーザーではなく、バルログの回避ルートをすべて塞ぐ、極大の破壊光線だった。

「くっ……あああああッ!!」

空中で逃げ場を失ったバルログは、放たれた紫色のビームを右腕の鉤爪で防ごうとした。しかし、ベガのサイコパワーの出力は、バルログの想像を遥かに超えていた。

鋼鉄の爪は一瞬にして溶解し、バルログの白い仮面は内側からの衝撃によって粉々に砕け散った。

「私の……私の顔が……! 醜い人工人間の分際で、私の美を汚したなァッ!!」

バルログは残された左手でナイフを抜き、狂気に任せて突進してくる。だが、理性を失った暗殺者ほど、ベガにとって容易い標的はなかった。

「醜いわね。大人しく、そこに跪きなさい」

ベガは上空から急降下し、サイコパワーの質量を足元に集中させた『ヘッドプレス』を、バルログの脳天へ容赦なく叩き込んだ。

ドゴォォォン!!

「カハッ……! ベルガー様……カルテルの……神託が……」

バルログは血の海に倒れ、動かなくなった。

ベガは彼を一瞥することもなく、その場を去った。彼女にとって、カルテルの暗殺者を返り討ちにするなど、自らの計画のほんの一歩に過ぎなかった。

彼の持っていた無線機から、マッドギアの総帥ベルガーの焦った声が漏れてくる。

『バルログ! どうした、応答しろ! ベガを仕留めたのか!?』

コーディーは転がった無線機を拾い上げ、怒りに満ちた声で言い放った。

「ベルガーだな。お前の部下は全員片付けた。次はお前だ……。ジェシカに指一本でも触れてみろ、お前のその車椅子ごと、メトロシティの海の底へ沈めてやるからな!」

無線を叩き壊したコーディーは、ガイと共に、ジェシカが囚われているという最終目的地、ベルガー・タワーへと向かって走り出した。

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