「やめてくれ、僕は忙しいんだ」
おそらく"天才"の工房であろう場所に来たが、門前払いされた。声的に女性だろうか。キャスターのダ・ヴィンチちゃんの声ではなかった。
「お客さんだよー、ちょっとは顔出してよー」
「さっさとドクターのところに連れて行ったらどうだい」
「くそ…ヒキニートめ…そんなだから腰やるんだ…」
チッと千鶴が舌打ちしてから、管制室の方に足を運ぶ。廊下を見てもやはりあのカルデアで、窓の外は相変わらずの吹雪だった。
そういえば、彼女はここのことをどれほど知っているのだろうか。
「ねぇ、綾三原さん」
「千鶴でいいよー」
「じゃあ、千鶴さん。君はどうしてマスターに?」
youは何しに日本にみたいな聞き方だな、と内心笑うオレに、彼女は薄らとした笑みでこちらを見る。
「それがなーんも知らんのよ。
兄妹共々、気がつけばここだったんだ。」
「兄妹?」
「そう、本当は兄も来てたんだけど…まぁ、ああなっちゃったから。」
曰く、彼女は16歳、その兄は19歳で、たまたま一緒に行った献血に引っかかったそうだ。
そして、おそらくその兄は
「でももう吹っ切れたよ。兄のためにも、私は私の世界のために頑張る。」
この子は強いな、そう思ってしまった。大切な家族がいなくなっても、絶望せずに立ち上がれるのだから。
「さ、そろそろ管制室だね。ドクターいるかな〜。まーたお菓子食べてそう」
ドクター
やはり彼なのだろうか。ヘタレで優しい、誰よりも頑張ったあのドクター。もし会えたら、どんな顔をすればいいんだろう?なんて言えばいいんだろう?
オレは、なんて言ってほしいんだろう。
変な期待だけして、その"ドクター"が彼じゃなかったら…
「あれ、どうしたの千鶴ちゃん?」
こしあんの甘い匂いが香る。饅頭でも食べていたのだろう。
「…ドクター…」
「そう、彼がDr.ロマンとこロマニ・アーキマン!カルデアの指揮をとっている医療部門のトップ
…もしかして、君のところでもいた?」
「うん、いたよ」
"いた"んだ。
お菓子食べながら、こっちを驚いた目で見るドクターが。
「えーっと…彼は?」
「この人は藤丸立香さん。かくかくしかじかで〜」
「な、なんだってぇ!?」
涙も引っ込みそうなほど大きな声が耳を貫く。まぁそうなるわな、てかこの反応が正常だ。
「うーん、そんなこともあるのか…?
というか、帰り方はわかるのかい?」
「いやぁ…それがどうも…通信もとれないし、どうなんだか…」
あはは、と苦笑いする。オレが知りたい!
「まぁ、帰る方法がわかるまで部屋を貸そうか。
改めて、僕はロマニ・アーキマン。千鶴ちゃんの説明にもあった通り、今は僕がカルデアの責任者みたいなものだ。気軽に頼ってね、
藤丸くん。」
「…はい!」
聞き慣れた、懐かしい声がオレの耳に入る。
ここのドクターはオレを知らない。
オレも、ここにいるドクターを詳しく知らない。
「ふむ、挨拶は済んだようだな少年」
背後からの足音気づけず、声に驚いて肩が跳ねてしまう。振り向けば、そこには10人中9人は美人と言うであろう女性が立っていた。
「あ、やっと出てきた!」
「やっと、とはなんだ。言っただろう、僕は忙しいと。」
どうやら彼女が先ほどの天才のようだ。なにやらダ・ヴィンチちゃんみを感じる…こう、胡散臭さというか…
「話は聞かせてもらった。僕はキャスター、ガリレオ・ガリレイ、カルデアの技術顧問だ。よろしく頼むよ。」
なるほど、と納得してしまう。天才でありダ・ヴィンチちゃんと同じイタリア出身、そしておそらく体の性別と中身は違う。そりゃ似た雰囲気を感じるものだ…
「ところで。千鶴くん、忘れ物を届けにきたよ。」
「忘れ物?」
「君のだい〜じなものさ」
ガリレオの後ろから、ひょこりと小さな少年が現れた。小学生ほどだろうか。
「あ、アギス!メンテナンス終わったんだ!」
「お待たせしました、先輩。」
なんとなく理解する、おそらくこの子はオレの世界のマシュのような存在だ。にしても小さいな…
「この方は?」
「この人は藤丸立香さん。別世界のカルデアのマスターさんだよ!」
あ、そんな軽く言っちゃう?
てかこの子もこの子であんま驚いてないな。
「別世界の…そんなこともあるんですね。
僕はアギス・アスピオと言います。デミ・サーヴァントです。よろしくお願いします。」
ぺこりと小さな頭を下げる。マシュより年齢が低いのだろうか。それとも、どこかで身体の成長が止まってるとか…?
深く考えるオレを他所に
ぐぅ
と腹の音が響いた。
「「…」」
「…先輩」
「いやこっち見ないで、私のじゃないから!アギスのでしょ!」
「…」
どうやらアギスの腹が鳴いたらしい。目を逸らす仕草がやけに人間らしい。
「昼時だ、食堂に行こうか。藤丸少年も来るといい。」
「丁度いいね、きっとサーヴァントたちも食堂にいると思うから挨拶してきたらどうだい?」
オレの方のカルデアでは、エミヤやブーディカが厨房担当のようになっていたけど…ここではどうなんだろうか。
「じゃあ行こう!ほら、アギスも行くよー!」
相変わらず千鶴は元気で、アギスとオレの手を引っ張って廊下を走っていった。
「チャオ、ここは彼に変わって天才たる僕がお送りしよう。
簡単な説明さ。そんなの不要という奴は出て行ってくれ。」
真名:ガリレオ・ガリレイ
クラス:キャスター?
身長:169cm
性別:女性?
一人称:僕
天文学の父と言われる天才。頑固で偏屈な謎多きおじさん。霊基が女体なのは、生前裁判で目をつけられたため、座に登録される時にカモフラージュしたらしい。
工房には宇宙のような空間が広がっている。
名前:アギス・アスピオ
クラス:?
身長:135cm
性別:男性
一人称:僕
英霊■■■と融合したデミ・サーヴァント。マシュよりも図々しい性格をしている。体が少年なのは、一定の年齢になると成長が止まるようになっているから。体が小さいくせにめっちゃ大食いである。某騎士王といい勝負だろう。
名前:綾三原千鶴 (あやみはら ちづる)
身長:161cm
年齢:16歳
性別:女性
一人称:私/うち
46番目のカルデアのマスター。兄と共にカルデアへ連れられた際、あの事件に巻き込まれ最後のマスターに。アギスはファーストサーヴァントであり、互いに強く信頼している。
関西出身なため、関西弁が漏れることも。兄とはそこそこ良い関係だったよう。
「ちなみ、今我々は第二特異点を攻略した直後だ。まだ戦力も乏しくてね、藤丸少年にも少々手伝ってもらうかもだ。」
「なに?"危険なことでもさせるのか"と?
ハハ、どうかな、ハハ。」
立ち絵を用意するつもりだったのですが、あいにく間に合わず…描き上げられたら、またどこかで出します。
追記
9/5 13時
立ち絵を追加しました!