「面倒な事になりましたぁ……」
開口一番の不穏さが気分の底をブチ破ってきそうだ。追い打ち止めてくれ。
街中で遊んでいるのがバレて、昨日から風呂場に繋がれている私の方が大変な目に合っていると思うのだけれど、このオババにはそう見えないのかもしれない。愚痴なんか聞かされてもつまらないし、愚痴りながら怒りのボルテージ上がっていくしでダルくなりそう~。ダルいよぉ〜。
「ワン子ぉ、あなたはブラックオプスとして動員される事になりましたぁ。事態は一刻を争いますぅ……」
え、それってウェポンズフリー?
「こんなトリニティの外の事なんかぁ……やりたく……なかったのにぃ……! あなたがぁ! 要らぬ不興を買うからぁ!!! 断れなかったでしょうがぁ!!!」
「正実へのちょっかいはぁコレで揉み消してもらえますがぁ!!! それでもまぁだ借りになってしまいましたよぉ!!! バカが!!! バカ犬!!!!! そこに寝なさい!!!!!! 」
「今回は外部企業との契約の物証を消すようにぃとのことですぅ。場所はD.U.、チームはゲヘナの傭兵3人ですぅ」
最悪
「あなたは賠償ぅ、遂行能力ぅ、品の無さが要件に適合し選抜されましたぁ~。ば~か」
早く撃ちたい。
「事件はほんっとぉ下らないのですがぁ……あるバぁカな3年生がぁ手当たり次第にボーっと受けた外部模試のひとつがぁ、模試として偽物でぇ消費者金融の同意書の書式だった恐れがありますぅ。身に覚えの無い入金で発覚しぃ、もう返済の請求は来ていますのでぇ、大金を支払うことになりますねぇ」
「皆が困るんですよねぇ。嫌ですねぇ。だからそういう事はぁ"有り得ない"と証明しなければなりませぇん。あまりにもしょ~もない詐欺トラブルですがぁ……これを見過ごすのはぁナシですぅ。相談を受けたサンクトゥス派もぉそう判断したようでぇ、百合園様からもぉ『パテル派に頼むと良い』との予言があったようですぅ」
「誰も工作員を出したがりませんでしたがぁ……
押し付けられたのは私だ。カス女め。
「なんて恥ずかしいんでしょぉ……このわたくしのあなたなのに好き勝手に言わせる隙を作るだなんてぇ……」
その口で言えたことかよ。
早く撃ちたい。疲れた。あっ寝るわこれ。
ぐんっと引っ張られる感覚で目が覚めた。思わず背筋が伸びる。え、何?
「あ、やっほー
いつの間にか車に放り込まれていたようだ。対面式シートの後部側に乗せられていた。
どうしよ、説明聞いてなかったから何すりゃ良いのかわからない。
装備は……ガチ装備を持って来れたようだ。よかった。モリモリに拡張してミニスカの半分くらいになったベルト装備と腹巻アーマーを着ていて、
どうせ優家様が雑に準備したんだ。自分はマガジン着脱式の銃じゃないし撃たないしって無知を晒したんだ。バカみたい。
自分で荷造りしてぇな~。あ、スマホあったわ。一応目標の確認をしておこう。「バカ3のもし?」、と。おっ既読がついた。こういう時、何も来なかったら間違い無しということになっている。
さて、
「あ~~~~……ごめん、今回の依頼はいろいろ秘密って事で受けてて、眠剤打ってて。依頼の事な~んも知らなくってさ……何すんのか、説明してくんない?」
私がだいぶ苦しい言い訳をすると、対面のスラッとした2人があからさまに顔をしかめた。極めて当然である。
「えー、困ったなー。私たちもあなたと『協力しろ』としか言われていないから、無理かもー」
小柄な方の子がわざとらしく困ったような声で言った。口が回るじゃないの……私そういう腹芸はさっぱりできないから、やり込められちゃうかもな……一応噓八百で戦ってみるか。
「そんなはずは無いよ。私がいるってことはウチ発注の仕事で、私主導じゃなくて外部の方に一任するのは手癖を誤魔化すためにいつもやっている事なんだ。変なやり方で悪いけど、私、役には立つし、実は迷惑料も後で上乗せで払ってるよ。私は全員とはじめましてだけれど、運転手の人がウチの人を知っているんじゃないかな。ねぇ運転手さん、そうだよね?」
いけるか? どうせ私を詰め込む場面は見ていただろうし、テキトーに頷いてくれればそれで良いのだけれど。その運転くらいテキトーに頷いてくれればそれで良いのだけれど?
「うんうん」
テキトーに頷いてくれた。
それでも2人は納得いかなかったようで(当然だ)、今度は顔がキリっとしている方が話しかけてきた。色気が大変ヤバく、ついダボっと着られたパーカーとお腹の隙間へ思いを馳せてしまう。服に指を沈めたら、どのくらいの深さになるのだろう。布越しにさわさわくすぐってみたらどうやってやり返されちゃうんだろう。へそピしてるのかな……へそピしててほしいな……! 片翼だけれど、起き抜けにとても良い女が見れて幸せすぎる。テンション上がってきた。
「それ、シンプルに私たちが信用されてないってことだよね」
イケボだ。その、頭の内側を撫でていくような透過性のエネルギーに背筋がザワつく。
「そりゃこんな世の中じゃあねぇ」
耳からあまあまにされてしまうぞ。イケ女がイケボまで出すのは最高すぎる。その発信源に吸い込まれに行ってしまうから、時と場所を弁えてやってほしい。いつも見てるのがバカみてぇなミニ牛だから落差で死にかねない。
今は不審者なので素直にクネクネして快楽を逃がしていると、また小柄な方が挑発してきた。
「信用されてないのってこの子の方じゃないのー? もう怪我してるしクサいし、なんかダメそうだよ」
ずいぶんな物言いだなぁ……しかし嫌われているにしては顔をじっくり見てきている。なんか反応を期待されているのだろうか。
「立て込んでたんだよ」
ほっぺが切れているのは擦りすぎたからであって、戦傷ではない。クサいのは洗えなかったからだ。 あぁ! クサい!
「ふ~ん。ま、アルちゃんの言う事は聞いてよね」
小柄さんは興味を失ったように私の隣に視線を流した。お眼鏡にはかなわなかったようだ。
「私はああ言ったけれど、信用がどうとかは……どっちでも良いと思ってる。でもあんたはクライアントに急にねじ込まれただけで、チームメイトじゃないって事は弁えてほしい。私は私たち3人とあなたで別々に動くのが良いと思うのだけれど、クライアントから何か聞いてる?」
イケ女さんは結構保守的なんだなぁ。
誰の書類を消すかについては、うつらうつらしている間に聞かされたようで覚えているが、当然他の情報は無い。でもそれをバラすと被害者がトリニティ生なのがバレてしまうし、いろいろなメンツを考慮すると秘密にしておくべきだろう。ターゲットのキルコンファームは私でできるようにしつつ、ターゲット自体は他の書類とか設備に巻き込んで処理する形が良いだろうか。
さてどう伝えよう。
「なーんも聞いてないって。シュレッダーやれとしか言われてない。まぁ簡単そうだし、私は無理にあなたたちと連携する必要は無いと捉えているよ。そっちはちゃんと指示があったろうし、それを熟してくれれば文句は無いよ」
「作戦は?」
「さすがに決めておきたい」
同士討ちは避けたい。
「どうせ丸投げなんでしょ」
「だってオブジェクトとか知ってるのはそっちじゃん。いや、こっちも成功させる気で来てるんだから案は出すよ」
イケ女さんはため息をついて私の隣に目をやる。随分嫌われたものだ。臭いからだ。もう涙も反吐も出なくなった。
「社長、どうするの」
見ないようにしていたのだろう。
隣の、背も胸も大きい子が満を持したみたいな感じで口を開く。なんか値踏みされているような視線とデカ乳が嫌なんだよなぁ……乳は優家様ほどではないからまだ流せるけれど、目つきはあの、私に何させようか目前で吟味してぜんぶ試してもう一周もしてまた手順を増やしてもう一周もしてる。私に何させようとしているかしながら笑って増やして教えて。る。おこられる。!! はなして!!
「私は……私が便利屋68の社長、陸八魔アルよ。今回はよろしく。私はあなたに期待しているわよ」
ヤバい寝てた。陸八魔さんね……名前がハデですごく憶えやすい。
「私は4人で動いても良いわよ。もしパピーがお荷物でも私たちには関係ない。遠足だと思って着いてきて良いわ。そして、もう一度言うけれど、私は期待しているの。あなたとは良い仕事ができる」
前の2人がエーっと不満を示すが、社長サンの気持ちは変わらないようだ。私もモチベの低いチームに巻き込まれたくないから、単独行動したいんだけどなぁ……
でも彼女らは仕方なさそうに4人組での作戦を考え始めてしまった。
「パピーの装備は近距離用だし、ちょうどウチの穴が埋まるんだよねー」
「そうだね。ポイントマンしてよ。あと外では社長とムツキの護衛。これ建物の図面」
「うっわ雑居ビルの最上階……突っ込んだら大変そーう! 突入したらすぐターゲットをやらなきゃね。アレ使って良ーいー?」
急展開すぎる。なんだこの陸八魔さんの権力の強さは。トリニティの政治の方がまだ合理的でわかりやすいぞ。
「ちょちょちょ私1人が良い!」
焦って止めるが、陸八魔さんに遮られる。
「じゃあ何? 私たちは囮にしてあなただけで任務達成するつもり? 私たちが案山子にでも見えているのかしら? ナメないでほしいわ」
「いや私が囮でも良いしむしろターゲットわからんからそっちで頑張ってほしいってゆーか……」
「本当にこちらに任せるつもりなら単独行動に拘らないでしょう? あなたは勝手に動きたいだけ。つまり便利屋68からターゲットを掠め取ろうとしているわ。そうでしょう?」
やっべ社長なだけあって鋭い。どう言い訳しよう……
「でもね、こんなビルを奪うのなんか、我が社にかかれば30分も要らないわ! だから任せなさい。ねぇ、本当はターゲットの指示を受けたんでしょう? 教えてちょうだい」
あれ、「舐めとんちゃうぞ!」って突っかかってこられると思っていたのに、案外穏当だな。じゃあまだ丸め込める。
「ファジーなんだよ模試を消せとしか言われてないから!」
どうだ。
3人は顔を見合わせている。どういう空気なんだこれ。
「私たちもそう言われてる。じゃああなたはどうせ模試を探すし、私たちもそう。目的が同じなら連携した方がミスがないし、やっぱり連れて行こうか。良いよねムツキ」
「良いよー」
誰も話聞いてくれない。
結局私はイケ女ことカヨコさんに追従して
陸八魔さんは既に車を降りている。そろそろ目的のビルだ。
長物のフロントチャージングハンドルを引き初弾を入れ、フルロードのマガジンを挿しなおす。こういう狭い所ではクラシックな操作の方がしやすい。ARプラットフォームの銃だとどうするんだろう。隣の人に引いてもらうとか?
拳銃をチャンバーチェックし、弾が無かったのでスライドを引ききって初弾を入れる。こっちが弾抜けてるって何? 整備にでも出したの?
建物が遠目に見えてきた。トリニティにはあまり無いけれど、なんてことのない8階建ての雑居ビルだ。隣地の建物とキツキツに接しているし、ベランダや窓でアクセスできるかもしれない。
「ここで降りな」
運転手に降車を指示されたので、200mくらいぽてぽて歩いていく。
「本当に正面から入るの?」
作戦が不安すぎて思わず尋ねてしまった。
今回の作戦は、「6階の漫画喫茶に入って、外の非常階段で8階に上がる」だ。なるほど、D.U.のビルなので当然、地上からは非常階段に上がれないよう各階に障壁を設けられていて、最初からそれを使って上るのは無理だ。しかしビルのお店を使うのなら建物自体には正当に入って8階に接近できるし、非常階段は壊されていなければ(障壁越しに)上階に繋がっている。だから実現可能性が無くはない点で良い作戦だと思う。もしそのルートがダメでも、隣のビルとかを伝って登れるかもしれないし。
目標の会社が1階層まるごと借りているので、エレベーターで昇っていったなら受付に通報されたり待ち伏せされたりしていた、なんて事態も有り得るけれど、この方法なら不意打ちにはできるし、上手くやれば完全にステルスで仕事を終えられるかもしれない。
私なら配達業者を装って乗り込んでドンパチするところだったが、この方が確かに楽で良い。しかし、私は潜入工作の準備段階でこんなに堂々と人前に出たことなんか無いので大変不安だ。
「正面じゃないでしょ。普通に裏。話聞いてた?」
ダルそうなウィスパーボイスに脳髄がしびれる! い、イケボすぎ!!
カヨコさんはシンプルに私に不信感を持っているようで、何かと理解度を問いかけてくる。私もたまに、普通に会話に追いつけない時があるので、仕事をする上ではありがたいことだ。ただ懸念に思うならそっちの社長に異を唱えてほしかったなぁ。
「建物に普通に入るじゃんか。荷物に紛れたり壁登ったりするのが潜入ってもんでしょ?」
「今から、3人もいるのに、そんなことできるわけないでしょ……ていうかそんな丁寧にやってたら大変すぎて仕事にならないよ。あんた素人?」
「おたくの稼業には素人で間違いないなぁ。私は仕事が丁寧すぎるみたい」
失敗できないから。
「やだ、緊張してるの? 子犬みたいな顔しちゃってぇかわいそーう! 今ならまだ帰れるよ? 」
なんでこんなに煽ってくるんだろう。その割に楽しそうなあの目が何度も私に被さる生臭さ生温かさで見えなくなる目が目をしているのを見たことがない。 ん?
ずっと私の反応をうかがっているっぽいのはなんなんだろうなぁ。
「じゃあ……帰ろっかな〜……」
別れてからこっそり単独潜入することにして、その後彼女らとカチ合って無事でいられるかはわからないけれど、もう疲れたから放してほしい。通るかなぁ。カヨコさんを見遣りながら言ってみた。
「ダメ。今はダメだよ」
「えー」「え〜……」
ムツキさんとハモってしまった。なんとか逃げられないか、落としどころは無いのかな?
「じゃあ社長さんの方に合流するのは? 単独行動させちゃってるの、かわいそうだし。なんか気に入ってくれているみたいだし、上手くやれる気がするんだよね。雇ってもらえちゃったりして」
相当慕っているみたいだし、合流を装って邪魔したり人質に取ったりするのも有りかもなぁ。
「ないない! 子犬ちゃんじゃダメだよ」
ムツキさんの切れ長の目がさらに鋭くなった。
「わかった? 今はダメなんだよ」
「ほんとだねー……リードでも付ける?」
これ以上増えてたまるか。もう文句は言わないようにしよう……
何か静かになったチームで粛々と漫画喫茶に移動し、今は最初の関門を越えるところである。
「はい、3時間パックですね。では学生証をご提示ください」
「え、いや、どこやったかな……」
学生証はマズい。え~~~~~~なんで喫茶店で見せなきゃいけないの!? 意味わかんない!!
「さっきスマホ出してたじゃーん」
これ煽られてる? 思わず悪魔の方を見ると、笑って私を観ていた。狼狽えるのを楽しんでいるのかな。見世物じゃないよ。違うよ!!!!!!
「いやあれはPDAだし……違うし──」
「あっ私が持ってたー! はいっこの子の分!」
そう言ってムツキさんは、大きなカバンから大きな大きな何かの塊を放り投げた。そしてさっさと店の奥に消えていった。なんか派手でキャッチーなバクダンの模様が描いてあった。
もしかしてC4?
「こっちー♪」
本当にいきなりC4かますの???
追わないと巻き添え食う!
急いで靡く白髪を追いかける。カヨコさんもムツキさんの前を走っている。そういうことするんなら先に言ってよ!
私が外の非常階段に踏み込んだタイミングで、ムツキさんはこれ見よがしに起爆装置っぽい物を握り込んだ。まだ私は遮蔽取れてないんだけど!?
とにかく扉から離れるように跳ぶ。後ろでドゴンと轟音がして、私は横向きに押し流された。耳鳴りがヤバい。ヤバい気持ち悪い……どこにいるのかもわからない……落下していないと良いな……
何か硬い物で突かれている。銃口? あぁ、感覚が落ち着いてきた。
「ちょっとーだらしないよ? 立てないの?」
「むり」
せっかく作戦を決めておいたのにアドリブを強要してきて、あまつさえ説明じゃなく罵倒が飛んでくる現場のなんと過酷なことか。帰りたい。
「急いでもしょうがないし、一旦立て直そう。社長、見えてた?」
カヨコさんは社長さんと相談事のようだ。それ全員に聞かせてよ……なんで私はハブられるんだ……平衡感覚が戻るまでジッと耐えるしかない私にはムツキさんが話しかけてくれるようだ。はなして。
「ねー、なんで学生証出さなかったの?」
「アシが付いちゃうしぃ……」
実名顔出しで堂々と不法行為なんかできるもんですか。私はそんな事したら怒られる。そういえばそれで怒られてここに来たんだった。
「2人はよくあんな堂々と見せたね。偽造?」
「偽造なんかムリムリ! 普通に本物だよ! 結局後でバレるんだしー、使えるうちは使った方が良いよ?」
もしかして私も当然見せる前提の作戦だった? 私が瓦解させたの?? ていうかこの人ら、まさか私の学生証を盗み見ようとしていた?
「使わないよ。内緒で来てるって言ったよね」
「えー? じゃあどうやって漫喫入ろうと思ってたの?」
マンキツ! やめて。あーめんどくさくなってきた。いやだ。
「しらない」
「あれー? パピーちゃんってばもしかしてこういう所来た事無いの? 今度いっしょにあそんであげよっか?」
「どうも。で、どうすんの。作戦続行?」
しょうがないでしょだって漫画喫茶なんか行ったことが無いし……そもそもトリニティにはあんまり無いし……本読むなら古書館だし……誰かと行って何になるわけ? それぞれで漫画を読むの? それとも1つの本を同時に読むの? そんな恋人みたいな事したい人なんかそんなにいないし……いや、本の所有を店に委託したいという観点なら解る。自宅だと嵩張るし、倉庫を借りるのも管理人を雇ったり設備を整えたりすると手間だしアクセスが悪くなる。でもそれは電子書籍でとっくに解決した問題で……じゃあそれは問題ではないのか。読書会みたいな事をするの? なら読む時間はそれぞれで取れば良いのに? 全部わけわかんない。
ていうかこの人嫌だ。なんでこんなに嫌な気持ちにさせられるんだろう。私は彼女の言動の何が気に食わないんだ?
ちょうど良くカヨコさんが口を開いてくれた。
「続行だって。パピー、持ち上げるから、上から引っ張り上げて。ムツキが8階の障壁とドアを発破して、パピーと私で突入ね」
やっと撃てるかもしれない。
ほら行って、とカヨコさんが手を踏み台にしてくれた。しっかり踏み込んで手すりの外から上階に跳び上がる。翼がある人たちなら怖くないのかな。ああああああああああしまった!!!! 「こわ~い抱き上げてぇん」とか言ってギュウしてもらえば良かった!!!!!! イケ女ハグ!!!!!! 今日はクサいからやめとくか。
無事に上がれたので下に手を伸ばして2人を引っ張り上げた。
「パピー、社長は南から援護してくれる。今私たちは西側にいるから、右の方からクリアしていこう」
どうして今やっと作戦会議なんだろう? さっき社長さんと話している時にすれば良かったのに。まぁ異論は無いので頷いておいた。
「私が先を見るから、反対側をよろしく」
「誰かいたら?」
「倒して残りを社長の射線が通るところに誘導して一掃する」
「悠長じゃない? 捜索役を出そうよ」
「3人じゃそんな余裕は無いよ。諦めて」
結局最後までチーム行動か……
3. 2. 1. ドン
障壁に1人ギリギリ通れそうな穴が開いて、このフロアも警報が鳴りだした。ムツキさんはさっさとその向こうに大量の爆弾をばらまいてさらに起爆した。隠れるつもりとか微塵も無いんだな……やった。
ガッ
2回目の起爆は凄まじい爆音だった。ドアはどこかに飛んで行ってしまった。障壁の穴も広がって余裕で通れそうだ。さぁ行くぞ。
カヨコさんが入口に入ったので、私も長物を構え左を索敵しながら突入する。いた。
セレクターを連射に入れて
ストックにがっちり頬付けして
フォアグリップを体に引き寄せて
ショートスコープのレティクル越しに敵の姿を手繰り寄せて
そのロボット警備員に力を伝えるつもりでグリップを握って
その奥にも誰かいるのを見て
引金を引く
肩からリズムが私を揺らす
減衰してなお轟く音が虚しさを思い出させる
硝煙が私を洗い流してくれる
スコープ越しに敵の踊りを見物する
首を押さえて倒れた敵から奥の敵へと狙いを変えた
引金を引く
かえってきた
続きで書くけどカヨコは排他的じゃないです。ワン子が挙動も出で立ちもヤバすぎてさすがに許容できなかっただけなんです。
エロ設定から全体を構想したんだけど、そういうの知りたい?
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知りたい
-
いらない