基本はあらすじに書いてある通りです。
教室にて。
「なあ箒。ちょっと聞きたいんだけど」
「む?」
「零落白夜ってなんなんだ?」
「何って、対象のエネルギーを完全に消し去る白式のワンオフ・アビリティーで」
「あーいや、そうじゃなくて。俺が聞きたいのは、零落白夜って言葉の意味」
「意味?」
「昨日の夜から考えてるんだが、命名の意図がさっぱりわからなくてさ」
「ふむ」
腕を組んで考え込む箒。俺達の会話の内容に興味を惹かれたのか、クラスメイトが徐々に集まってくる。
「あ、私広辞苑持ってるよー」
「今時ネットで調べた方が早いでしょ」
「そんなこと言ってるから紙の辞書がどんどん廃れていくんだ! 馬鹿!」
「なぜキレる!?」
紙辞書派の子が熱弁を振るい始めたけど今は無視。
「零落は落ちぶれるという意味。白夜は夜になっても日が沈まないことだ。つまり」
「どういうことなんだ。箒」
「つまりっ」
「おう」
「つまりっ!」
「わからないなら素直に言ってくれていいぞ」
「すまない」
しゅんとうなだれる箒。
「紅椿の絢爛舞踏はなんとなくわかるのだがな」
「ああ、それは俺も」
絢爛はきらびやか。舞踏は踊る。つまり華やかに踊るように敵を圧倒するみたいな感じだろう。加えてこの4文字の組み合わせはなぜかしっくりくる。理由は知らない。
「じゃあ零落白夜ってなんなんだろう」
「私も気になってきたぞ」
「しかしどうしようか」
「わからないことがあれば先生に聞けばいい」
「なるほど」
というわけでひとり職員室へ。
「織斑先生、零落白夜ってなんですか」
「今さら何を言っている。零落白夜は白式に備わった」
「そのくだりさっきもやりました」
手短に状況説明。
「なるほど、そういう話か」
「はい」
千冬姉は暮桜を扱っていた時期、零落白夜の使い手だった。何か知っているかもしれない。
「簡単だ。零落白夜は零落が白夜する」
「すみませんちょっとよくわからないんですけど」
「………?」
「いやなんで俺が物わかりが悪いみたいになってるんですか」
誰が聞いても理解できないだろ、今のじゃ。
「だから、零落が、白夜、するんだ」
「単語ごとに区切ってもわかりませんって」
「仕方のないやつだな」
あきれ顔の千冬姉。え、俺が悪いの?
「なら束に聞け。あいつは設定集をいまだに保持していたはずだ」
「設定集?」
「奴が中学時代に書いたちょっとアレなノートだ」
「………」
「ん? どうした」
「これからはできるだけ零落白夜に頼らない戦いを目指します」
その後、俺の模擬戦闘の成績は向上した。