昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
おばあさんが川へ洗濯へ行くと、上流から大きな桃が流れてきました。
家に戻って桃を切ろうとした瞬間、なんと中から男の赤ん坊が出てました。
2人の間には子供がいなかったので、その子を大切に育てることにしました。
「桃から生まれたから、この子の名前は桃太郎にしよう」
月日は流れ、成長した桃太郎は鬼退治に出かけることにしました。
「俺が鬼からみんなを守るぜ!」
「きび団子を持っておいき」
道中、お腹を空かせている犬と出会いました。
きび団子をあげると、仲間になってくれました。
「か、勘違いしないでよね。別にアンタを好きになったとかじゃなくて、借りを返すってだけなんだから!」
その後、今度は猿に出会いました。きび団子をあげると仲間になりました。
「お前を私の嫁にしてやろう」
ついでに婚約させられました。犬の猛反対により破棄されました。
その後雉と出会いました。
「私も手を貸そう」
その雉は雉界のブリュンヒルデと呼ばれていて、とても強いそうです。
心強い仲間を手に入れた桃太郎は、いざ鬼ヶ島へ。
「うおおおっ!」
鬼達のすみかに乗りこんだ桃太郎達は、下っ端どもを一瞬で蹴散らしました。強いです。特に雉がめっちゃ強いです。くちばしで鬼の金棒止めてます。
そうこうしているうちに鬼の親玉が出てきました。
「もう~、誰だよ束さんの安眠を妨害するのは~」
「お前が親玉か! みんなから奪ったものを返してもらうぞ!」
果敢に挑む桃太郎達ですが、親玉を傷つけるにはいたりません。ふざけたしゃべり方してる割に強いです。
追い詰められた桃太郎ですが、その時腰につけたきび団子の袋に目が留まりました。
やけになってきび団子をたらふく食べると、体中から力が湧いてくるではありませんか。
「俺がみんなを守る!」
覚醒した桃太郎は、神速の刀で親玉を倒しました。
こうして鬼退治に成功した彼らは、財宝を持って村へ帰りました。
めでたしめでたし。
*
桃太郎の家の土蔵に、おばあさんが立っていました。
「ふっふっふ。うまくいったね~」
顔を剥ぎとると、なんと鬼の親玉ではありませんか。
「これで私のきび団子の力が世界中に証明された。研究の成果が認められる時が来た!」
そう。すべては束さんの自作自演だったのです。
彼女の目論見通り、きび団子は世界を変える商品となり――
*
「ひどく頭の悪い夢を見た」
「織斑先生? どうかしたんですか」
「……なんでもない」
大体全部束さんのせい。