ろくでなしのドナテロ・ヴェルサス・ブランドー 作:クォーターシェル
ある日のブランドー邸。
「リキエル、ウンガロ、お前ら一緒に宝探しに行かないか?」
ヴェルサスは唐突にそう言った。
「宝探し?兄貴、どういうことだ?」
「話が唐突過ぎて分からないよ……」
ヴェルサスはやれやれといった表情と仕草をして話を続ける。
「言葉通りだぜ。宝探しに行かないかってお前らを誘っているんだ」
「その宝ってのはなんだ?」
「ジョン王……、嘗てイングランドの王だった男の財宝さ……」
「ジョン王だって!?」
ウンガロが反応する。
「あの欠地王ジョンの!?」
「そうだ。獅子心王リチャード1世の弟で、生まれた時から受け継ぐ領地が無く、更に王となった後もフランスとの戦いで多くの領地を失って欠地王と揶揄された運の悪い男さ」
ヴェルサスは部屋の椅子に腰かける。
「ジョン王は嘗てノーフォークの近くにある湿地帯で多くの財宝を失ったと伝えられている」
「今でもノーフォークの湿地帯の泥の中には財宝が埋まっているって噂がある」
「じゃあ、その湿地帯に探しに……?」
「いや違う」
「実はよぉ~、この間その伝説の場所だっていう湿地帯の近くに行ってみたんだが……」
『アンダー・ワールド!』
アンダー・ワールドが湿地帯を掘り返す。だが、
『……財宝どころか財宝があったって記録すら掘り出せないだと?』
「で、俺は思ったわけだよ」
「あのジョン王の財宝がノーフォーク近くで失われたって話はフェイクで」
「本物のジョン王の財宝は何処か別の場所に隠されているってな」
ヴェルサスの推理にリキエルとウンガロは、
「そうなのか?」
「財宝が残ってるって事自体が無いんじゃないの?」
と正直な感想を述べる。
「まっ、普通なら話はそこで終わるけどよ……」
「俺にはアンダー・ワールドがある」
「その後ジョン王が赤痢で死んだっていう最期の場所、ニューアーク城の方に足を運んでみたんだよ」
「それで……?」
「何かないかとそこの記録を掘り返してみたら、こんなものを見つけたんだ」
ヴェルサスはテーブルに紙を広げる。
「これは……」
「地図か?」
「ああそうだ。掘り起こした時は羊皮紙に描いてあったんだが、それを写した」
「この地図を誰が描いたのかは分からねえ」
「ジョン王本人なのか、その側近なのか、それとも財宝を隠した奴なのか」
「そこまではアンダー・ワールドでも分からなかった」
「多分羊皮紙自体は現代では既に失われたんだろうが、俺はこの地図の場所を調べた」
ゴクリ……、とリキエルとウンガロは唾を飲み込む。
「するとよぉ~、どうやらグロスター近郊辺りの地図だと判明した」
「グロスター……」
「確かジョン王の最初の妻の出身地でもあるな」
「ああ、グロスターでジョン王と調べたんだが所縁はそれくらいだな」
「だがよ、ジョン王が死んだニューアーク城で発見された地図に描いてあった……」
「もしかしたら地図が指し示す場所に何らかの何かが隠してあるんじゃないか?」
「俺はそう思った」
「でだ、リキエル、ウンガロ」
「お前らは宝探しに付き合うか?」
「行くに決まってるだろ!」
完全に乗り気のリキエル。
「……まあ、ジョン王の財宝が本当にあるなら興味はあるかな」
懐疑的だが行く気のあるウンガロ。
「よし、決まりだ!今週末にグロスターに行くぞ!」
ヴェルサスはそう言うのだった。
◇
数日後、グロスター。グロスターに到着したブランドー兄弟は、カフェで作戦会議していた。
「で、具体的にどの辺にあるんだ?」
「ああ、何せ古い地図だから現代の地図より正確性は低いが」
「ここから南西、グロスターを流れるセヴァーン川から1キロも離れていないとは思うぜ」
「そこにジョン王の財宝が?」
「そうだとは限らないがな。個人的にはそうであって欲しいが、財宝そのものじゃなく別の隠し場所を示したメッセージがあるかもしれねえ」
「それにしても、今回のヴェルサス兄ちゃんはやけに精力的だな」
「もしかしたら、パパから貰ったりスタンドをちょっと悪用するよりも断然桁が違う財が手に入るかもしれねえからな」
「希望とやる気が湧いてくるのさ」
「この地図が示す地点に何があるのか分からねえが、もしも12世紀にイングランド王家が溜め込んでいた財宝だとしたらよぉ~」
「俺達は金持ちの息子ってだけじゃなくなる。“俺達自身”が大金持ちになるのさ」
「一体、何ポンドになるか分からないけど夢があるよな!」
「とりあえず、だ。先ずはこの地点に行って辺りを調べるぞ」
ヴェルサス達は一服した後カフェを去る。
そして、ヴェルサス達が座っていたテーブルの近くの席で、一人の男がヴェルサス達の背を見ていた。
「ジョン王の……、財宝だと?」
「おいおいおいおいおいおいおいおい~!」
「ガキの戯言と聞き流すのは簡単だが……」
「よりにもよってジョン王の財宝だとあっちゃあ」
「このネオロビン・フッドの名が廃るなぁ~」
男の側に緑色の衣装とマントを着た人型スタンドが現れる。
「『マルーン5』よ……、あのガキ共を追うぞ……!」
「先ずはあのガキ共の戯言の真贋を探る」
「そして、真(まこと)だったらお前の出番という訳だ……!」
『ギイイィ……』
そしてその男もカフェを出るのだった。
ヴェルサス達は、グロスターの郊外部に来た。向こうの方にセヴァーン川が見える。
「この辺なのか?」
「地図上ではな」
「他にヒントは無いのかよ?」
「まあ待て。ここでアンダー・ワールドの出番だ」
アンダー・ワールドが地面を掘る。すると、
「おお!」
地下に空洞が現れた。
「ビンゴ!アンダー・ワールドは過去の記録を掘り出す以外にも単純に地下に埋まっているものを掘り当てることも出来る」
「ショートカットできる所はさせてもらうぜ」
「地下道か……!もしジョン王に関係してるってんなら、数百年前のかなり古いものだな……」
「当然だけど内部は真っ暗だな……、懐中電灯は持ってきているけど気をつけないと」
「しかし宝探しってなると、小さい頃にビデオで観た『グーニーズ』を思い出すぜ」
「あの映画みたいに俺達の宝探しがハッピーエンドで終わるといいな」
そう言いながらヴェルサス達は地下に降りていく。
「……なるほど」
「あのガキ、ただの金持ちのボンボンじゃあない」
「さてと、その地下道の先に何がある……?」
ヴェルサス達は地下道を進んでいく。
「光が差さない地下……、パパが気に入りそうじゃないか?」
「いや……、パパはプライドが高い。こんなしみったれた所死んでも住みたくないだろうぜ」
「それにしてもどこまで続いてるんだろう?」
ヴェルサス達はしばらく地下道を道なりに進むと、
「おっ!」
少し開けた空間に出た。今までの道は人工的に掘られていたみたいだが、この先は天然の洞窟をほぼそのまま利用しているようだ。
洞窟内には川も流れているようで、水の音がする。
「今まで一本道だったけどこの先は道が枝分かれしているかもな」
「それぞれの道を調べてみるか?」
「でも、こんな場所で別々に行動するのは良くないかも……」
「はぐれたら大変だしさ」
「まっ、そうだな端から端へと調べてみるか」
「あと念のために……」
ヴェルサスはアンダー・ワールドで地面を掘り起こす。
すると、照明設備が出て来た。照明が点灯し辺りを照らす。
「バッテリー付き照明だぜ。まあこのまま数時間は持つ筈だ」
「この地点を基に洞窟を調べようぜ」
(あのガキ……、あんなことも出来るのか)
(まあいい、このまま息をひそめておこう……)
(ガキ共、いい気になっているようだが、最後に笑うのはこのネオロビン・フッドだ!)
ヴェルサス達は先ず一番右側の辺りから調べていくことにする。
「この洞窟水気があるみたいだから、足を滑らせるなよ」
そうして進んでいくと。
「……この先水没してるな」
「数百年の間にこうなったのかも……」
「引き返すか?」
「いや、アンダー・ワールドで水中を調べさせてみる」
ヴェルサスはアンダー・ワールドを出す。
「水中も行けるのはネス湖で証明済みだぜ」
『また潜るのか……』
アンダー・ワールドは水没した道に潜っていく。
その頃……、
ヴェルサス達が右側へ向かったのを見たネオロビン・フッドは中央の方へ向かっていた。
「右側はどうなってるか気になるが、この先に宝があればこっちのもんだ!」
「それに無かったとしても後にあのガキ共がこちら側へ来れば、それはそれで良しだッ!」
「この閉所は俺のマルーン5が真価を発揮できる所だからなぁ……!」
◇
『駄目だ……、こっちは単なる行き止まりだ』
「ちっ、ハズレか」
「じゃあ戻ろうぜ」
ヴェルサス達は先程照明を設置した『広間』と言うべき場所に戻っていく。
そんな時だ、
カチッ
「ん?」
「どうした?」
「何か踏んだような……」
「なに?」
すると、
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
なんとヴェルサス達の頭上の天井が下がってくる!しかも天井にはいつの間にかスパイクのようなものも付いている。
「なっ、なんだぁあああッ!?」
「やべえ!走れッ!」
三人は慌てて前方へ飛び出す。そして天井は先程ヴェルサス達が居た場所へ地面まで下がっていた。
「こ、これは……!『インディージョーンズ』とかそういうのにある対侵入者用のトラップか!?」
「危ねえ!スピードはそれほどでも無かったから助かったが、何でこんなのにさっきは気付かなかったんだ!?」
その時ウンガロが呟く。
「な、なあ兄ちゃん達……」
「こっちを通る時、ふと天井の方を見ておいたんだけど、さっきはスパイクだのは無かった……」
「何?」
「もしかしてこれはスタンド攻撃……」
「俺達以外にもこの洞窟に誰かいるんじゃ……」
「尾行でもされてたって事か?」
「そうとしか考えられないよ……!」
「チッ、もしかして財宝狙いか?ふざけやがって、この場所までこれたのは俺がやったからなんだぞ!」
「どうする兄貴?」
「最大限警戒しながら進むぞ!」
「敵のスタンドの正体がまだ分からねえ」
「ん?あれは……」
リキエルはヴェルサスが設置した照明設備に紙が貼り付けてあるのを発見する。
「いつの間に……」
「なになに?」
「『命が惜しかったらとっととここから立ち去れ。俺はどっちでもいいがこれ以上進んでくるならお前達は死ぬ。By:ネオロビン・フッド』?」
「ネオロビン・フッドだとぉ~!」
「ふざけんてんのか!」
「だがこれでこの洞窟に敵スタンド使いが居る事が分かったぜ」
「ど、どうする兄ちゃん?」
「さっき言った通りだ!最大限警戒して進むぞ!」
「中央の道を行くぞ。だが気をつけろよ~!敵スタンド使いが何を仕掛けているか分からない!」
ヴェルサス達は広間から中央方面に向かう。
「いいか、床に注意を払え!」
「さっき何かを踏んだらトラップが発動した!」
「この閉所じゃ逃げにくいしデンジャラスだぜッ!」
ヴェルサス達は床に用心して進む。だが、
「……!」
「どうした?」
「何か糸のようなものに触れた……」
「えっ?」
「ま、まさか……!」
その瞬間!壁から回転する丸鋸が飛び出してきた!
ガアアアアッ……!
「アンダー・ワールドォ!」
ヴェルサスはアンダー・ワールドで咄嗟に軍用ナイフを掘り出して防御する。場所が狭くてこちらの方が有効だと判断したのだ。
ガキンッ!
炭素鋼の軍用ナイフに弾かれる丸鋸。
「くっそーッ!こんなのばかりじゃ先に進めねえぞ!」
「敵スタンドの能力は罠を仕掛けるスタンドなのか!?」
その頃、中央の道の先では……、
「おいおいおいおいおいおいおいおい~!」
「どういうことだこりゃあ~!?」
その後もヴェルサス達は先へ進んだが、あちこちにトラップが仕掛けてあり思うように進めない。
「はあ……、はあ……、くそったれ……!」
「もしパパだったらこんなトラップの数々ものともせずに進めるだろうけど……」
「こりゃあべヴィにキツイぜ……!」
あれから何十分経ったか分からないが、ヴェルサス達はトラップをよけたり、壊したりでかなり体力を消耗していた。
そうこうして進んでいくと、
「また、広間!?」
中々広い空間にでた。
その時、
「どうやら警告を無視して進んで来たなガキ共~ッ!」
緑色の衣装とマントを着た人型スタンドが現れた。
「出やがったな!」
「本体は何処だ!?出てきやがれ!」
しかし、
「おいおい、馬鹿正直に姿を見せるかよ!」
「だが俺達の名前は教えといてやるぜ!」
「俺はネオロビン・フッド!で、こいつはマルーン5だ!」
ネオロビン・フッドは姿を現さずに自己紹介をする。
「てめえ頭パープリンかぁ~!?」
「何がネオロビン・フッドだよ!?ヒーローごっこしたけりゃ他所でやってろ!」
「言っておくがよぉー……、ロビン・フッドは今でこそ民衆のヒーローとして扱われているが、元々は単なる追いはぎなんだぜ~!」
「だから俺はむしろ原典をリスペクトしてるのよ!」
ヴェルサスがネオロビン・フッドと言い合いをしている内にリキエルとウンガロは辺りを見まわす。
「こっちにも特に宝は無さそうだな……」
「そうだ!それだ!意味ありげな空間なのによぉ~!財宝らしきものは見当たらねえ!」
「お前らどーいうことだ!?ここには財宝があるんじゃねえのかよ!?」
ヴェルサスは、
「まだ左側方面が残っていたし、そっちなんじゃねえのか!?」
「どの道お前に財宝は渡さねえけどよおッ!」
と言い放つ。
「財宝を手にするのは俺だッ!マルーン5!」
『ギッ……!』
すると、マルーン5は設計図のような物を取り出す。そしてその設計図はマルーン5の手の中で消えていく。
「なんだ!?何しやがった!?」
「何をしたかは知らねえが……!本体が姿を隠している以上、スタンドの方を倒さないといけねえ!」
「行け!アンダー・ワールド!」
アンダー・ワールドはマルーン5に接近していく。
「引っかかったな馬鹿がッ!」
「!?」
すると、洞窟の地面から中国の龍を模したオブジェが乗った台座がせり出し、
ゴオオオオオオッ!
龍の口の部分から火炎が放たれた。
「なにぃッ!?」
アンダー・ワールドはその火炎をなんとか躱す。しかし、
ジュウウウ……!
ヴェルサスは熱を感じた。
(アンダー・ワールドはスタンド!通常の炎に撒かれても俺自身は火傷をしない筈だが、スタンドエネルギーが込められているのか?)
リキエルがマルーン5を指さし、
「見たかウンガロ……、やっぱりトラップを作る能力だ……!」
と言い、ウンガロも
「ああ……、恐らくは設計図を基にトラップを作る能力……!」
と同意する。更に洞窟内にネオロビン・フッドの声が響く。
「流石に目の前でやれば分かるかぁ……!そうだ、俺のマルーン5の能力はトラップの設計図を設計図の通りに完成品として実体化させる能力!」
「既にこの場にもいくつかトラップを仕掛けてるぜぇ~!」
「おいリキエル!地下にロッズを呼び寄せるのは時間が掛かるだろうが援護しろ!」
「ちょっと待て兄貴!確かにロッズ達をここまで呼び寄せるのには時間がかかるが……!」
「それ以上に相手スタンドの本体の位置が分からねえ!俺のスカイ・ハイは相手を視認しなけりゃ狙えねえし、ロッズはあくまで生物の体温を食べるからスタンドは狙えねえ!」
「ちい……!また俺一人で戦わなければならないって事か……!」
「はっはっはーッ!揉めているようだなぁ!」
「お前らが警告を素直に読んでとっとと帰ってれば無事にすんだんだぜーッ!」
「うるせぇ!途中の道よりここは広いからやりようはあるぜぇッ!」
(と言うが、相手が既にトラップを仕掛けているってんなら、迂闊にアンダー・ワールドにそこらを掘らせるのは危険かぁ~?)
(くそ~!相手のペースだぜ……。パパならこんな三下スタンドくらい屁でも無さそうだがよ~!)
(だが俺だってディオ・ブランドーの息子だ!このままじゃあ済まさねえ!)
「なあガキィ……」
「ああ?俺の名前はドナテロ・ヴェルサス・ブランドー!通称ヴェルサスだ」
「じゃあヴェルサスゥ!お前日本の『影牢』っていうテレビゲームは知ってるかよお?」
「ああ~?知らねえよ。ウンガロ、お前はどうだ?」
「えっ?ああ、知ってるよ……。早い話が敵をトラップにはめて倒していくゲームだ……」
「俺はそのゲームが大好きでなぁ~。子供の頃は夜通しプレイしてたよ~ッ!」
「それがどうした?」
「俺がこのマルーン5に目覚めたのもその影牢の影響だと思っていてなぁ!」
「敵をトラップにはめて倒すのが昔から好きなんだよ!」
「そういえば『ホーム・アローン』も好きだったなぁ~!」
「……」
「てめーらはもうこれ以上進んでくればトラップにかかって死ぬしかないって訳よぉ!」
「はははははははははッ!」
そんな時、ウンガロがハッとした顔をしてリキエル、そしてヴェルサスに耳打ちする。
「影牢だのホーム・アローンだの……、今そんな話はどうでもいい……!」
「ネオロビン・フッド。予告してやる。お前はこの後姿を現さずを得なくなる!」
「ああ?何言ってんだてめー?」
「この圧倒的有利な状況で俺がのこのこ迂闊に出てくるわけないだろボケがぁッ!」
「それはどうかな?」
ヴェルサスが前進していく。
(馬鹿めぇええッ!散々言ってるのによぉーッ!)
(その位置には機関銃を仕込んでいるッ!)
(俺のマルーン5はトラップの範疇なら!仕込むスペースさえあれば!)
(大抵のトラップを設置できるんだよーッ!)
(ハチの巣になりやがれーッ!!)
「おめー、完全に意識が俺の方に向いてるな?」
「あ!?」
「上を見てみろ」
「あっ?」
マルーン5は上を見る。そこには、
『ヴェルサスの思った通りだ。ここは地下』
『普通の天井ならいざ知らず』
「思ったんだよ。地面の下のこのフィールドなら天井を掘れるってな」
アンダー・ワールドが洞窟の天井に張り付き、天井を掘っていた。
「あ、ああ!?」
「アンダー・ワールド」
ザバアアアアアアアッ!
洞窟の天井から大量の水が流れ出した。
「グロスターの交易の要だったセヴァーン川の記録を掘り出した」
「別にこの上が川で天井をぶち抜いた訳じゃねえ」
「さて、水中でお前の仕掛けたトラップは正常に作動するかな?」
「な、舐めるんじゃ……!」
「はっ!いやまて、この量の水はまずい!?」
マルーン5が焦る様子を見せる。
流れ出る水はどんどん洞窟内に溜まっていく。みるみるうちにヴェルサス達の腰の辺りまで。
「ウンガロが言ってたぜぇ~。この洞窟には人が屈めば隠れられそうな岩が沢山あるとな」
洞窟内に存在する岩が水没していく。
ブクブク……
「ぶはぁッ!?」
水没した岩の一つから男、ネオロビン・フッドが飛び出してきた。
リキエルが目を丸くする。
「おー!まさか岩の張りぼての内部に隠れていたとはな!」
そして、
「おらよっ!」
ブン!
リキエルはネオロビン・フッド目掛けて投石を行った。
ガッ!
「ぎゃああああッ!?」
頭に飛んできた石が当たり、悶絶するネオロビン・フッド。それと共に辺りにトラップの設計図が舞う。
「スタンドが解除されてトラップは設計図に戻ったみたいだな!」
「行くぜダメ押し!」
アンダー・ワールドはマルーン5に接近していく。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」
アンダー・ワールドはそのまま両拳でのラッシュをマルーン5に叩き込んだ。
「うぎゃああああッ!?」
スタンドのダメージがフィードバックされダメージを受けたネオロビン・フッドは気絶した。
そして彼の懐から免許証が落ち、水に乗ってヴェルサスの所に流れてくる。それを拾ったヴェルサスは、
「ギデオン・ハーギン。お前の本名か……」
と呟いた。
◇
アンダー・ワールドが能力を解除したことにより洞窟内の水が引いた後。
「おいこいつどうする?」
リキエルが気絶したネオロビン・フッド……、いやギデオン・ハーギンを見る。
「まあ、放置するのもアレだし、地上に戻る時には面倒くさいが連れていくぞ」
「こいつの持っていた設計図はさっき掘り起こしたシュレッダーに全部細断させたしな」
「じゃあ、宝探しの続きかな?」
「そうだな。このギデオンとかいうおっさんと戦いにここに来たんじゃねー」
「俺達は宝を求めてここに来たんだ」
広間の所にギデオンを縛り上げて放置したブランドー兄弟は、まだ調べていなかった左側方面に向かう。
そして、
「あれ?」
「もう行き止まり?」
左側の道は直ぐに行き止まりになっていた。
「結局宝は無いのか……」
そう呟くウンガロに、
「いやまて、ここを見ろ」
ヴェルサスが行き止まりになっている壁の一部分を指さす。
「これは……」
「手形……?」
そこに手形の様なものがあった。
「この向こうに何かあると踏んだぜ!アンダー・ワールド!」
ヴェルサスがアンダー・ワールドを発動させ、この場所を訪れた者の手を掘り起こす。
そしてヴェルサスはその手を手形に合うように押し付けた。すると、
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
道を塞いでいた壁が引っ込んでいき道が出来た。
「おお!」
「この先に進むぞ!」
そしてヴェルサス達は先程ギデオンと戦った空間より狭い空間、『小部屋』と言うべき所に到達した。そこには……、
金貨、宝石、王冠、装飾品……
「これ全部本物か?」
「中世イングランドの貨幣として考えても、とんでもない価値だよ……」
「兄貴! これ売ったら何年遊んで暮らせるんだ!?」
「俺に聞くなよ。パパに聞け」
ブランドー兄弟は財宝を発見したのだった。
◇
地上に出た後、ギデオンをグロスターの街に転がしておいた(ヴェルサス曰く地上に連れて来ただけ慈悲深いと思わないか?)ブランドー兄弟は、ギデオンを転がした辺りに救急車が走ってくるのを尻目に、ブランドー家に連絡し応援を呼んだ。
「よっしゃ!これで財宝は俺達の物だぜ!」
ガッツポーズをするヴェルサス。しかし、
「いや、私のものだ」
その言葉と共にディオがその場に現れた。
「なるほど」
「これは素晴らしい財宝だ」
「だろ?」
「じゃあこれ、俺達で山分け――」
「いや、私が貰おう」
「……は?」
「普段ヴェルサスが使っている分を、この形で返してもらっただけだ」
「ちょっと待てパパ」
「俺、借金してたのか!?」
「金銭的にはな」
「……まったく。成人した息子の金銭感覚を矯正するのも父親の務めだ」
「いや、俺が勝手にパパの金を使ってたみたいに言うなよ!」
「勝手に使っていただろう」
「…………」
「なんか腑に落ちないけどよ。まあ、パパが管理するならいいか」
チャンチャン!
To Be Continued...
……人物紹介……
・ネオロビン・フッド(本名ギデオン・ハーギン)
自称トレジャーハンターのスタンド使い。トレジャーハンターと言っているが普段はスタンド能力を利用した盗みをやっている。ロビン・フッドは民衆のヒーローとされるが元々は単なる追い剝ぎだったと語る。経歴は不明だが、サバイバル技術を持つ。スタンド名はマルーン5。
マルーン5
パワー:D
スピード:B
射程距離:B
持続力:C
精密動作性:C
成長性:C
姿: 緑色の衣装とマントを来た人型。
能力: トラップの設計図を設計図の通りに完成品として実体化させる。実体化させられるものはトラップに分類されるもののみである。
駄文閲覧ありがとうございました。ご感想等をいただけたら幸いです。