ろくでなしのドナテロ・ヴェルサス・ブランドー   作:クォーターシェル

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第22話 リヴァプールの隠し財産

イギリス、リヴァプール。嘗てはイギリスの主要な港湾都市であったが、現在ではこの一点で有名だろう。世界的ロック・バンドであるザ・ビートルズの出身地と。

 

リヴァプール市街。

 

「ねえ知ってる?」

 

「なんだよ?」

 

「このリヴァプールにビートルズが解散前に隠した財産が回収されないまま眠ってるって」

 

「本当か?」

 

「あくまで噂よ噂」

「でもそのビートルズの隠し財産を探しに旅行者が増えているらしいよ」

 

「いや、でも現在生きてるメンバーも居るし、よしんばあったとしても勝手に取ったら泥棒じゃないか?」

 

「いやあ、噂によるとビートルズ側もリヴァプールのここ数十年の開発の影響で隠した場所がどこなのか分からないって話」

 

「都合のいい噂だな……」

 

この様にここ最近、街の何処かにビートルズが隠した財産が眠っているのではないかとまことしやかに囁かれている。

 

そんな噂につられて男が一人……

 

「あれがアルバート・ドックか」

 

リヴァプールを訪れていたヴェルサスは、元々は倉庫だった観光エリアアルバート・ドックを目にしていた。

 

「今でこそビートルズで有名だが元々は海商都市だったからな」

「日本のヨコハマにも似たような雰囲気の観光地があるらしいが……」

「まあ、俺の今回の目当ては違うんだがよ」

 

ヴェルサスはアルバート・ドックの建物を見た後、別の場所に歩を進める。そしてスマフォで連絡をする。

 

「もしもしソフィア?」

 

「あら、ヴェルサス?」

 

「俺今リヴァプールにいるんだが、結局宝探しには付き合ってくれないのか?」

 

「ええ、ビートルズの隠し財産でしょ?」

「今噂になってるアレね」

「悪いけど今回は付き合えないわ」

「今私忙しいし」

 

「そうか。残念だぜ」

「忙しい所に電話して済まなかったな」

 

「まあ、電話に出る余裕ならあるから大丈夫よ」

「それにしても、もしも隠し財産を見つけたとしてもネコババしたら犯罪になると思うから」

「ちゃんとビートルズ関係者に届け出た方がいいと思うわよ」

「いえ、あくまでもしも見つかったらの話だけど」

 

「……まあ、そうだな」

(まあ、俺はネコババする気満々だけどな。要はバレなきゃいいんだ)

 

「じゃあ切るわよ、頑張ってね!」

 

「ああ、その言葉で元気が湧いてくるぜ」

 

ソフィアとの通話は切れた。

 

「さて、今回はほぼノーヒントだからな」

「アンダー・ワールドを使うにしても少し根気がいるな……」

 

ヴェルサスは港湾エリアを進む。

 

「ん……?」

 

アンダー・ワールドを使うのにベストな場所は無いかうろつくヴェルサス。そんな中ベンチに二人の人物が隣り合って座っており、その二人がお互いの頬や頭を撫でている光景を目撃した。

 

ヴェルサスは最初単なるカップルか?と思ったが、

 

「ふふっ、くすぐったいよウィニー……」

 

「ウィンこそ頭や頬だけじゃなくて別の所も触っていいのに……」

 

(なんだあいつら……)

(双子か?いやしかし……)

 

その二人は黒髪のティーンエイジャーで容姿はよく似ていた。しかし、

 

(男女の双子……?)

(双子でも男女の双子は二卵性になるからあまり顔が似ないと聞くが……)

 

容姿の細かな違いや服装でその双子は少年と少女と分かる。

 

「小腹が空いたな……」

「一緒にポッキーでも食べようか?」

 

「いいわね、ついでにポッキーゲームでもする?」

 

「いや、流石に往来であれは刺激が強すぎるかな……」

 

「じゃあ、代わりにポッキー占いでもしましょ」

 

ウィンとウィニーと言っていた双子は、ポッキーを取り出してそれぞれがポッキーの端を持つ。そして、

 

ポキンッ

 

「おっ、この折れ方は今日俺達に良いことが起きるよ」

 

「えっ、そうなの?私楽しみ!」

 

(なんだんだこいつらは……)

 

ウィンとウィニーを見ていたヴェルサスだが、場所を変えることにする。

 

「さて、俺のアンダー・ワールドが輝ける場所は……」

 

去っていくヴェルサスの背を見るウィンとウィニー。

 

「おい、見たかウィニー」

 

「どうしたのウィン?」

 

「あの頭に黒いラインが入ってる男、一瞬だがスタンドを出したぞ」

 

「えっ、そうなの?」

 

「本当に見てなかったのかよ……」

「まあいい。あいつの後を追うぞ」

 

「どうして?」

 

「あいつはおそらくは旅行者。それも今噂のビートルズの隠し財産を探してるタイプとみた……」

「しかもスタンド持ちならあいつ隠し財産の場所にたどり着くかもしれないぞ!」

 

「つまり、そこであのラインの男を気絶させて私達が隠し財産を手に入れるのね!」

「一体何ポンド手に入るか分からないけど……」

「もしかしたら学校を卒業した後二人で面白おかしく生きていくことが出来るかしら?」

 

「まあ、先ずはあの男を追わないことにはな……」

「ポッキー占いが早速当たったぜ」

 

その双子はスタンド使いだった。

ウィン・キーツ スタンド名はチェインズ・ナンバー1

ウィニー・キーツ スタンド名はチェインズ・ナンバー2

 

双子はそれとなくヴェルサスの後を追うのだった。

 

ヴェルサスは人気のない路地裏に来るとアンダー・ワールドを出す。

 

「1960年代頃から探してくれビートルズが活動していた時期だ」

 

『結構多いからそれらしい記録を掘り出すのに時間が掛かると思うよ』

 

「しかし地面の記録は嘘をつかねえ」

「リヴァプールに隠したという話自体が嘘ならしょうがないが」

「本当なら解散する前のこの地に記録されている筈だ」

 

『了解……』

 

アンダー・ワールドは地中に潜っていく。

 

     ◇

 

三十分程経過しただろうか、アンダー・ワールドによって過去の映像が掘り起こされた。

 

「こいつらがビートルズか……」

 

ヴェルサスの前に現れたのは、今は亡きジョン・レノンをはじめとするビートルズを構成する4人の主要メンバーだ。

 

「で、ジョン」

「本当にこの街にもしもの時のへそくりを隠すのかい?」

 

「ああ、決めたんだ」

「君達はどうだ?ポール、ジョージ、リンゴ」

 

「まあそうだな……」

「今の俺達は十分に稼いでいるが、今後何があるかは分からない」

「保険の一つとしてやっておくのはありだ」

 

「ああ、何か不幸があって誰かがバンドを続けられなくなるってのはあり得る話だ」

「俺達は幸運にも売れているが一寸先は闇だからな」

「未来は誰にも分からない」

 

「しかし、この話はこの4人だけで済ませるのか?」

「ブライアンさんとかには相談した方がいいと思うが」

 

「ああ、まあ重要な関係者にもこの事は話すが」

「基本的に秘密の話にしたい」

 

「そうだな。ビートルズの隠し財産なんて知られてみろ」

「世界中の人間がリヴァプールを荒らしに来るぜ」

 

「でだ、どの辺に隠す気なんだ?」

 

「ああ、それはな……」

 

ジョン・レノンは隠し場所の予定地を話しだす。

 

「ふむふむ……」

 

ヴェルサスはその情報をメモに取るのだった。

 

そして、その様子を隠れて探るものが二人……。

 

「どうする?今から仕掛ける?」

 

「いや、待て。今の位置情報が違っているという可能性もある」

「まだあいつの追跡を続けるぞ」

 

「はーい」

 

     ◇

 

ヴェルサスはビートルズが活動初期に利用していたライブハウス、キャヴァーン・クラブの近くにまで来る。

 

「キャヴァーン・クラブでビートルズの伝説が始まったと言っていい……」

 

だが、ヴェルサスはキャバーン・クラブを素通りする。

 

「ここじゃないんだよなあ……」

 

そしてヴェルサスはリヴァプールの中心地を歩き続け、やがてリヴァプールでもあまり地元住民以外には知られていないようなライブハウスを訪れる。

 

「ビートルズが言ってたことが本当なら、位置的にここで合っている筈だが……」

 

ライブハウスの入り口に来たヴェルサスはそのまま奥へ行こうとするが、受付に呼び止められる。

 

「お客さん、中に入るならチケットを買ってくださいよ……」

 

「おっ、そうだな。すまんすまん」

 

ヴェルサスはチケットを購入して奥に進むのだった。

 

ヴェルサスはライブハウスに潜入した。今はバンドの演奏の時間ではないのか、ほとんど人気は無い。

 

「さて……、ジョンの言っていた事が正しければ」

「この地下に隠されている筈だが……」

 

ヴェルサスはアンダー・ワールドを出す。

 

「頼むぜ」

 

アンダー・ワールドはライブハウスの床を掘る。すると、

 

「あった!」

 

床下に隠し部屋があるのを見つけた。

 

「出入口の無い隠し部屋……」

「中が薄暗くてよく見えないが、確かに何かがある!」

 

ヴェルサスは隠し部屋に侵入しようとする。しかし、

 

ビシュンッ!

 

ヴェルサスの頬を何かがかすめた。

 

「!?」

 

ヴェルサスは思わず後ろを振り向く。

 

そこにはキーツ兄妹が居た。

 

「てめえらは……」

「さっきの行く所まで行ってそうな双子!」

「スタンド使いか!」

 

「ああ、そうだ」

 

手袋を外し、自らの欠けた右手の人差し指を補うように発現する人差し指型のスタンドから光線を撃ったウィンが答える。

 

「自己紹介しておくぜ……」

「俺はウィン・キーツ。スタンドはチェインズ・ナンバー1」

 

「私はウィニー・キーツ!スタンドはチェインズ・ナンバー2だよ」

 

「へえ……、じゃあ俺も自己紹介しておくぜ」

「俺はドナテロ・ヴェルサス・ブランドー。スタンドはアンダー・ワールドだ」

「……で、これは何のつもりだ?俺はこれから忙しくなるんだがよ」

 

「あんたの狙いはビートルズの隠し財産だろ?」

「で、どうやらその隠し場所はここみたいだ」

 

「早い話が私達兄妹が隠し財産を頂くことにしたの」

「だからさっきからずっと尾行してきたんだよ?」

 

「なるほど……」

「つまりお前らは俺にぶちのめされたいって訳か?」

「やめとけよ」

「良くて病院行き、最悪の場合兄妹仲良くあの世行きになるぜ」

 

「果たしてそうなるのはどちらかな?」

「言っておくが2対1なんだぜ?不利なのはあんただと思うが?」

 

「そうそう!」

 

ヴェルサスはアンダー・ワールドに戦闘態勢を構えさせる。

 

「お前ら見たところまだ学生だろ?」

「ここでの記憶なんて忘れて学校生活に戻った方が賢明だぜ」

 

「私達はビートルズの隠し財産を手に入れてイチャイチャしながら人生を送りたいのよ」

「おじさんこそここで帰った方が身のためだよ?」

 

ヴェルサスはカチンときた。

 

「お、おじさんだと!?」

「俺はまだ20歳だ!」

 

「へえ、意外と歳は近いんだ?」

「もう一回りくらい離れてると思ったけどな」

 

「頭に来たぜ!アンダー・ワールド!」

 

ヴェルサスはアンダー・ワールドを発動しようとするが、

 

「チェインズ・ナンバー1!」

 

それより早くウィンがチェインズ・ナンバー1の指から光線を撃つ。

 

ビシュッ!

 

「うおっ!?」

 

ヴェルサスは何とか光線を躱す。

 

(あぶねえ……、軌道こそ直線的だがかなり速いぞ!)

 

「降参するなら今の内だよ」

 

「はっ、冗談!」

 

ヴェルサスはアンダー・ワールドである物を掘り出す。

 

ウィンはまた指から光線を放った。だが、

 

「!!」

 

「これはどうだ!」

 

ヴェルサスが掘り出したのは何の変哲もない鏡だった。

 

ビシュン!

 

光線は鏡に跳ね返される。ウィンは跳ね返ってきた光線を躱す。

 

「ちっ、早くも光線の性質に気づいたか!」

 

「どうやらレーザー光線と似たような性質みたいだな!」

「こうやって鏡で跳ね返されると知れれば大したことは無いぜ!」

 

「その過去を掘り出す能力……、中々厄介だが!」

 

ウィンは再び指をヴェルサスに向けて差す。

 

「馬鹿の一つ覚えだな!」

 

ヴェルサスは鏡を盾の様に構える。だが、

 

「!?」

 

ヴェルサスの前方に居たウィンはウィニーになった。ウィニーの背後には女性的な姿をしているが、右手の人差し指が欠けているロボットのような姿のスタンドが居た。そして、

 

ビシュッ!

 

「ぐうっ!?」

 

ヴェルサスの左肩を別方向から光線が撃ちぬく。

 

「何ィ!?」

 

ヴェルサスが振り向くとそこにはウィンが居た。

 

「こ……、こいつは!」

「妹の方のスタンドかッ!」

 

「そう言う事!」

 

「だから言ったろ2対1だって!」

 

ウィンが光線を放とうとする。ヴェルサスは鏡で防御しようとするが、今度はウィンがウィニーの側に瞬間移動してヴェルサスが鏡を構えてる方とは別方向から光線を撃つ。

 

「ぐあっ!?」

 

ヴェルサスは何とか身をよじって光線を急所から外すが、脇腹を焼かれた。

 

「……クソッ!」

 

「ははは、どうだい俺達の能力は?」

 

「1+1が10にも20にもなるってこの事よね!」

 

「いい加減にしろよ……!」

「てめえらマジで潰す!」

 

ヴェルサスが何かを掘り起こそうと深く床を掘った時だ、

 

「!?」

 

床の方から鋭い角のようなものが飛び出してきた。

 

ヴェルサスは自身に向かうそれを危うく躱す。

 

そして、床から巨大なアトラスオオカブトムシに似たフォルムの甲虫が姿を現す。

 

(なんだこいつは……!?)

(こんなのを掘り起こした覚えはねえぞ!)

(奴らに他にも仲間が居るのか!?)

 

ヴェルサスはキーツ兄妹の方を見る。

 

「おい、何だそのデカいカブトムシは……?」

「ヴェルサスとか言ったな。お前何をした!?」

 

キーツ兄妹も困惑の表情で状況を見ているようだ。

 

(このカブトムシはこいつらの仲間じゃないだと!?)

(じゃあ何なんだこいつは!?)

 

ライブハウスの照明に照らされるその巨大なカブトムシの体表には『A Taste of Honey』と読める文字が書かれていた。

To Be Continued...

 

……人物紹介……

 

・ウィン・キーツ&ウィニー・キーツ

一卵性の男女の双子のスタンド使い。ウィンが兄でウィニーが妹。17歳の学生でヴェルサスの存在を知り、ビートルズの隠し財産をかすめ取ろうとする。周囲から出来てんじゃあないか?と疑われる程仲が良い。ウィンは右手の人差し指が欠けている。スタンド名はウィンがチェインズ・ナンバー1、ウィニーがチェインズ・ナンバー2。

 

チェインズ・ナンバー1

パワー:C(光線の破壊力B)

スピード:C(光線のスピードA)

射程距離:C

持続力:E

精密動作性:B

成長性:D

姿: 人差し指型。ウィンの欠けた人差し指をカバーするかのように発現する。

能力: 指先から七色の高速のビームを発射する他、一か所だけこのスタンドの指紋をつけることができ、その指紋からもビームを発射できる。

 

チェインズ・ナンバー2

パワー:D

スピード:B

射程距離:B

持続力:D

精密動作性:C

成長性:C

姿: 人型の女性的なロボットの様なスタンドヴィジョンをしているが、右手の人差し指が欠けている。

能力: キーツ兄妹の距離を操ることが可能な能力。一方が離れていてももう一方の側へ瞬間移動させたり、双子の位置を瞬時に入れ替えることができる。ただし、双子の距離が離れすぎていると効果は発揮できず、最低でもお互いが数百メートルの範囲にいなければならない。

 




駄文閲覧ありがとうございました。ご感想等をいただけたら幸いです。
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