Versions of V   作:匿名

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mission.07

『ア〜ララ、あいつらにゃまだ荷が重かったかァ?』

 

ライザ、タオ、レントが走っていった方向を、Vはゆっくりと追いかけていた。

そして、その惨状を一瞥する。

 

「……」

 

レントは木の根元で片膝をつき、ライザはへたり込み、タオの元にも一匹の魔物が牙を向けようとしていた。

 

おそらくライザたちが助けたであろう少女は、恐怖に立ち竦んでいた。

 

レントが、なんとか立ち上がる。

 

「ハァ……V、か?頼む。こいつらを連れて逃げてくれ。その間は俺が……」

 

「ぐっ……」と、呻き声をあげ、脇のあたりを抑えながら片膝をつく。

 

レントを見下ろし、何を考えているかわからない眼を、魔物に向ける。

 

『ヨォ、Vチャン!事態は最悪ッだなァ!イヒーヒヒッ!わけーやつらは突っ走り!無事なのはチビとヒロインの嬢チャンだけ!!』

 

「……」

 

『わかってんだろうなァ!Vチャン!』

 

ふっ、と。

Vの顔が綻ぶ。

 

「……勝負は速攻。それが最高、だろう?……今回はお前の流儀に合わせてやる。」

 

体から黒い霧が溢れ、ソレはVの周辺に影を落とすほどの大きな翼になる。

 

「クールにいこうぜェ!!イーヒヒヒッヒヒ!!!」

 

翼に紫電を纏わせ、大気が雷を纏う。

ゴロゴロと木を震わせーーー

魔物の体を、一瞬にして削ぎ焼く。

 

「寝とけやザーコッ!!」

 

黒い翼をはためかせ、さらにもう一匹の魔物に肉薄する。

 

「ーーーー!!」

 

声にならない雄叫びと、鋭い牙を剥く。

が、その牙はグリフォンに届くことなく空を切る。

 

「ーー!!」

 

「牙を避けられて怒り狂う、か。……お前は悪い子だな。」

 

いつのまにか、魔物の背後に立つVに瞬時に飛びかかる、がーーー

 

「……なんだ、お前からきてくれるのか。……撤回しよう。お前はいい子だ。」

 

足元の影からは黒い巨体の影が姿を現し、それはまるで歪な鋸のような形をとる。

 

そして、飛びかかる魔物の体にノコギリの歯が食い込むとーーー

ゾリッ、と鈍い音があたりに響く。

 

足元から現れた巨大な影は、まるで無造作に、レントの剣すら弾いた硬い体を削り取っていく。

 

「……とどめを刺しづらいな。やはり貴様は悪い子だ。」

 

飛び散る血肉の中、Vの持つ鈍色に輝く杖の先が、頭であったであろう肉片を深く突き刺した。

 

 

 

 

 

 

「……な、なんなの、V。君は……」

 

顔色も変えずに、グリフォンの焼いた魔物に杖を突き立てるVに、青ざめながらタオが問う。

 

「……」

 

「なんだよ!!助けてもらったんだからちったァ感謝しろよオチビチャン!」

 

その言葉を遮るように、グリフォンが周りを見渡すVの頭に止まる。

その足元には、今なお黒い巨体が横たわる。

 

「……俺が怖いのか?タオ」

 

ノコギリで飛散した魔物の血を拭いながら、タオを見る。

その目はいつも通り、何を考えているかはわからないが、それでもただ周りの安否を見渡していたのだけは事実だった。

 

「ーーー助かったよ、ありがとう。V」

 

「……そうか。」

 

「素直でヨロシイ!可愛げあっていいことじゃねーの!イヒーヒヒッ!」

 

呟くように背を向け、ライザとレントの元に歩み寄る。

 

レントは少し脇を負傷しているようだが、特に別状はないようだ、と眼を細める。

 

「立てるか?」

 

「……すまねえ。」

 

差し出された手を握りながら、レントが立ち上がる。

そのまま、「あの娘を見てやれ」とクラウディアのほうへと顔を向ける。

 

一瞬、ビクッとクラウディアが体を震わせるが、気にせずにライザに歩み寄る。

 

「……立てるか?」

 

「……うん、大丈夫。迷惑かけちゃったね。」

 

差し出された手を掴み、ライザもまたゆっくりと立ち上がる。

 

「……V」

 

「……」

 

背中越しに、ライザに視線を向ける。

Vの目に映るライザは、少し恐るように縮こまり、指を震わせていた。

 

「……さっきの、すごかったね」

 

「……そうか?」

 

すでに血肉はマナとなり大気中に霧散している、が。

 

足元に今なお寝転ぶ黒い巨体がつくった戦闘傷や、Vのそばを飛ぶ猛禽類のような怪鳥の電撃で作られた痕を少し眺め、息を吐く。

 

「うん。怖かったけど……」

 

ライザの目に、Vの深い緑色の瞳が映る。

 

「……なんか、すごかった。」

 

「……」

 

すっと、目を閉じながら後ろを向く。

『照れてんのか?Vチャン!』とグリフォンが軽口を叩くが、無言で杖の柄を口に突っ込まれ、「ムゴッ!」と苦しむ。

 

「ふむ……。どうやら出遅れたか?」

 

「いや、そうでもなさそうだぞ。魔物がまだいるようだ」

 

がさっ。と森の奥から人影が二つ、現れた。

その瞬間、1人が勢いよく飛び出しーーー

 

グリフォンに切り掛かる。

 

「アァ!?なんだァ!?」

 

「……」

 

ガキィン!と鋭い音が辺りに響く。

Vの足元の黒い巨体が、長い針に形を変え攻撃を阻んでいた。

 

「……どういう了見だ?」

 

「……魔物に襲われているわけではないのか?」

 

銀髪の女性が、Vと対峙する。

すでに、一触即発といった雰囲気が場を満たしていた。

黒い巨体が、低い唸り声を鳴らしながら立ち上がる。

 

と、そこでライザが手を広げながら間に飛び出してきた。

 

「ま、まって!この人や魔物?みたいな子たちは悪い子じゃない!」

 

「……」

 

「……ふむ。」

 

「まぁまて、リラ。どうやら相手さんにも敵意があるわけではなさそうだ。」と、後ろの男性が、リラと呼ばれた銀髪の女性に声をかける。

 

「失礼した。私はアンペル。こっちはリラ。……そこの少女の捜索を頼まれてな。」

 

「てっきり魔物がまだいると勘違いをしてしまったようだ。申し訳ない。」と、続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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