Versions of V   作:匿名

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mission.08

まるで木の根が地面の裏側にあるのではと錯覚させる、影のような焦げ跡。

地面はえぐれ、すでにマナとなり痕跡は消えていっているものの、いまだ飛沫が飛んだ跡が森の輝くような「緑」を「赤」で汚している。

 

Vだけが、その森の様子を栓無き事とでもいうように、赤く穢れた木を背にし、杖を脇に挟むように腕を組んでいた。

 

「オイオイ辛気臭ェな!B級映画のエンドロールかァ!?」

 

「……B級映画ならば、出るものは開放感と安堵だろう。」

 

「わかってねぇなァそういう意味じゃねぇよ!」と、騒ぐグリフォンの声のみが辺りに響く。

 

 

 

 

 

少女(クラウディア)捜索のために森の中に入ったが……妙な男がいたもんだ。)

 

アンペルが、モノクルの奥から、今なお悠然と構える男を眺める。

すると、横から銀髪の少女ーーーリラが声をかける。

 

「アンペル。あまり長居すべきではないだろう。」

 

その目は、気になるのはわかるが後にしろ、と物語っていた。

アンペルはふぅ、と息を吐き見渡す。

 

「わかってる、リラ。ーーーお前たち。詳しい話はあとだ」

 

まずは森を抜けるぞ。と、続ける。

先導するようにアンペルとリラが前を歩き、続いてライザたちが歩き出す。

が、数歩進んだところで、レントが足を止める。

 

「……っ」

 

右手が無意識にわき腹に伸びる。

顔をしかめるレントに、ライザたちが「レント?」と心配そうに声をかける。

 

「……なんでもねぇ。ちょっと痛めただけだ。」

 

その様子に、歩き始めていたアンペルが振り返り、「痛むのか?」とレントの顔を見る。

 

「……少々腫れているようだな。」

 

「いや、大したことはーーー」

 

「隠すな。……このくらいならばなんとかなりそうだ。」

 

これを食べるといい。

そういいながらドライビスクを手渡す。

 

「あ、ああ。」

 

レントはいわれるがまま一口、口に入れる。

咀嚼するたびに持っていかれる口の中の水分に、なんともいえぬ表情をするが、ふとあることに気が付く。

 

わき腹をさわる。痛みがない。

身体をねじっても、動かしてみても、痛みが嘘のようになくなっていた。

 

「ーーー痛みが、引いた……?」

 

「……本当だ、腫れも引いてる。」

 

タオが不思議そうにレントのわき腹をながめる。

各々が消えた痛みや腫れに意識が向く中、ライザだけはアンペルの手元にあるドライビスクを見つめていた。

 

「え、いまのなに……!?」

 

まるで食って掛かるようにアンペルに距離を詰め、何をしたの!?と質問するライザに、アンペルが困惑しながら答える。

 

「あれは錬金術だ。まあ簡単なものだがな。」

 

錬金術。

そのワードに、ライザが目を輝かせる。

 

「錬金術……!」

 

 

そこで静かに見守っていたリラが口を開く。

 

「お前たち。いつまで悠長に構える気だ?」

 

 

 

 

 

 

(錬金術……俺の知るものとは随分と違うもののようだ。)

 

『なんだよVチャン!嬢チャンみたいに気になってんのかよアレ!』

 

Vは最後尾を歩きながら、先ほどの光景を逡巡する。

過去、錬金術絡みのモノはいくらか見てきたが、今までのろくでもない創作物と比べても相当マシなモノのようだ、と結論をつける。

 

『あんなゴミの掃きだめみてぇなところにあったやつとなんざ、比べるまでもねぇだろ!』

 

「……」

 

グリフォンの相槌を流しながら、杖を突く。

しばらくすると、いつのまにかライザが歩幅を合わせて、Vの隣を歩いていた。

 

何か口を開こうとしては、うんうんと唸る様子に、グリフォンが喝をいれる。

 

「ねえ、V「ヨォ嬢チャン!ナニちらちら俺たちのVチャン盗み見てんだヨ!こっからは月額有料のサブスクお値段なんとサンキュッパァ!」

 

「わわっ!」

 

「……」

 

ライザにとびかかる勢いで話し始めるグリフォンにVがため息をつく。

もっていた杖をグリフォンのくちばしに引っ掛け、投げ飛ばす。

回転しながら「人殺しィ~!」と、グリフォンが森の影に姿を消した。

 

「びっくりした……ねぇ、V。あのしゃべる鳥とは知り合いだったの?」

 

というか、今のいいの……?と、グリフォンが飛んで行った方向を眺めるライザにVが沈黙を保ちつつ、ライザの瞳を覗く。

 

「……鶏に知り合いはいないな。」

 

「ふふ、前もそういってたよね……いつからなの?」

 

「……生まれた時からだ。」

 

「ふーん……」

 

ぽつりぽつりと、一言二言返しては少しの静寂が訪れる。

 

(……変わった娘だ。)

 

どこからか、投げ飛ばしたグリフォンが『さすがVチャン!じゃじゃ馬娘も手懐けて、まるでインテリダンテチャンを見てるようだな!イヒーヒヒヒ!』と騒いでる気がし、Vの眉間には無意識に皺が寄っていた。

 

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