東方交縁稿 ~星を抱いた大鴉と、絆を織る人間~ 作:自由突破
多少は手応えを感じているので、追加で転載。
※連投を避けるために、前回と同じく投稿は一日三話までにします。
まずは一つ目。
会計を済ませ、膨らんだ買い物袋を手に
店を出ようとしたその時だった。
先ほどまでお空の対応に追われ、
顔面を蒼白にしていた店員たちが、
まるで重要な国賓でも迎えるかのような
恭しい態度で俺の前に立ちふさがった。
「お客様、お時間がございましたら
少々よろしいでしょうか?
料理長がお呼びしております」
入店時の丁寧さをさらに数段上回る、
敬意を通り越して畏怖すら混じった声。
一瞬「爆買いしすぎて怪しまれたか?」という
不安が頭をよぎったが、
この後は家に戻って泥のように眠るだけだ。
俺は少しの驚きを隠さず、
「ああ、はい。大丈夫ですよ」と短く返事をした。
案内されたのは、店舗のさらに奥──。
分厚い一枚板の扉を開けた先、そこには調理場と、
落ち着いた雰囲気の主人の部屋があった。
「おお、自由さん!
急に呼び出してスマンね。窓から見てたよ!
いやあ、ほんっと助かった! ありがとな!」
開口一番、部屋の主が
豪快な笑い声を上げた。
そこにいたのは、俺が地上で
市場に野菜を卸している際、
よく顔を合わせる年配の異型の民だった。
深い皺が刻まれたその顔には、
長年地底の過酷な環境で
生き抜いてきた者特有の凄みがある。
「おっちゃん、ここの料理人さんだったんだね!
びっくりしたよ」
俺がいつものように気さくに返すと、
案内してきた従業員たちが
一斉に息を呑むのが分かった。
地底でも名の知れた名店の主に対し、
一介の人間がこれほど気安く接するなど、
彼らの常識では考えられないのだろう。
だが、部屋の主はそんな空気を
一蹴するように笑い飛ばした。
「おうよ! ここで二番手の料理長を
張らせてもらってるのさ。
いやあ、お前さんの作る野菜は最高だ。
うちの塩気の効いた菓子には、
お前さんの大根や芋が欠かせなくてな!」
「……そいつは、生産者冥利に尽きるよ」
俺はいつもの調子で軽口を叩く。
彼がここの重要人物だったとは驚きだが、
自分の仕事がこれほどの場所で
評価されているのは純粋に誇らしかった。
「おっと、世間話もいいが、
儂もまだ仕事が残っててな。本題だ」
老料理長は少し表情を引き締め、
状況を語り始めた。
「あの子……空嬢の機嫌を損ねるのが
一番の恐怖でな。
もしお前さんがいなかったら、
限定品が切れたショックで
ここら一帯が蒸発していたかもしれん。
儂らも肝を冷やしていたんだ」
彼はそう言うと、俺が持っていた
買い物袋をひょいと受け取り、
本来スイートポテトが
鎮座するはずだった空きスペースに、
見たこともないほど香ばしい匂いを放つ
新作と思われる菓子をたっぷりと詰め込んだ。
さらに、背後の年季が入った、
それ自体が国宝級の
価値がありそうな棚から、
鈍い光を放つ一枚のカードを取り出し、
俺に差し出した。
「ほら、これを持っていきな。
儂直々のお墨付きだ」
おそらく、その異形の顔の下で
彼はニヤリと笑ったのだろう。
「うちの店で最優先で買い物ができて、
さらに全商品が永久に
一割から三割引きになる、
最高ランクの顧客カードだ。
地底広しといえど、これを持ってるのは
片手で数えるほどしかおらんぞ?
なに、遠慮はいらん。
下手したら、この店どころか
ここいら一帯が消し炭に
なっていた事を思えば安いもんだ」
とんでもない代物だ。現代社会で言えば、
ブラックカード以上のステータスだろう。
だが、「本当にいいのか?」などと
野暮なことを聞くのは無粋だ。
生前、営業の最前線で
数多の契約をまとめてきた経験が、
俺に「ここは快く受けるべきだ」と告げていた。
「それは凄い! ありがたく頂戴するよ。」
「おっ、流石に分かってるな!
また是非、いい野菜を持ってきてくれ!」
「ああ、またね!」
短く挨拶を交わし、
俺は奥の間を辞して売り場へと戻った。
まさか、スイートポテトを譲っただけで、
ここまでの「わらしべ長者」になるとは。
懐に収めたカードの重みを感じ、
内心でガッツポーズを作る。
売り場に戻ると、いつの間にか
営業時間が終了したのか、
店内の照明は少し落とされていた。
ちょうど会計を済ませた最後の一人の客が、
静かになった店から出ていくところだった。
静寂を取り戻した高級茶屋。
手元には新作の菓子と、最高の信頼の証。
(色々なことが起こりすぎた一日だなぁ……)
そんな風に心の中でぼやきながら。
店を出ようと自動ドアならぬ、
重厚な引き戸へと向かう足取りは、
いつになく重かった。
ちょっとした空腹と、
文から聞いた情報への好奇心。
そんな軽い気持ちで足を踏み入れたはずが、
待っていたのは地底の王族との邂逅に、
命の危機、そして予想外の特級優待。
現代社会でもこれほど濃密な
「営業」をこなしたことはない。
今になって、堰を切ったように
ドッと疲れが押し寄せてきた。
店を出る直前、俺の視界の端に
「場違いな異物」が飛び込んできた。
(おいおい……嘘だろ)
俺は思わず足を止めた。
傘立ての隣に、ひっそりと、
しかし隠しきれない威圧感を放って
それは鎮座していた。
空が右手に装備していた、
あの巨大な円筒状の制御棒──
「第三の足」だ。
脳裏には、黄金色の
スイートポテトが詰まった籠を
両手で大事そうに抱え、顔を輝かせながら
パタパタと羽を揺らして去っていった
彼女の姿が容易に再生された。
あの大喜びの様子だ、
文字通り「手に持っているもの」以外のことは、
綺麗さっぱり脳内から蒸発してしまったに違いない。
ちょうど、店員の一人が掃除道具を手に
フロアへと出てきたところだった。
俺は、その物々しい忘れ物を指さした。
「あの……これ。忘れ物ですよ」
店員は俺の指先を追い、
その瞬間に「あっ!」と声を上げた。
「……空様の、ですね。
先ほどはあまりに大喜びで
お帰りになられたので、どうやらそのまま……」
店員の声には、呆れと、それを上回る
「あの御方ならやりかねない」という
諦めが混じっていた。
案の定か、と俺は内心でため息をつく。
地底の太陽を司る神の火の化身が、
お菓子に釣られて自分の
「腕」とも言える武装を忘れていく。
なんとも締まらない、だが先ほどの
彼女の無邪気さを知った今では、
妙に納得のいく光景だった。
「これ、俺が届けておきますよ」
「えっ!? いえ、最高ランクの会員様の
お手を煩わせるわけには……!
それにこれ、相当な重量がございますし、
残留放射熱の処理も……」
店員が慌てて手を振って制止しようとする。
確かに、地底を支配する
エネルギーの一部を制御する代物だ。
人間が安易に触れるべきでは
ないのかもしれない。
だが、ここで店員に任せても、
地霊殿まで届けるのは一苦労だろう。
「いいんですよ。これくらいなら大丈夫です。
帰りに近くを通るので、ついでです」
何より、俺の胸の奥には
小さな責任感があった。
さっき、籠を持たせるために
空に「大砲を置いてこい」という
ニュアンスの指示を出したのは俺だ。
あの時、幼子の面倒を見るような
気軽さで接していなければ、
彼女もこれを取り忘れることは
なかったかもしれない。
「何から何まで、本当にありがとうございます……!
自由突破様、お気をつけて。
またのご来店を心からお待ちしております。」
店員の深い感謝の言葉を背中に受けながら、
俺は「第三の足」に手をかけた。
(……くっ、重いな)
持ち上げた瞬間、ずしりとした
物理的な重みが腕を伝わった。
地上の建築現場で
鉄骨を運んでいた頃の感覚を思い出す。
(この重量を、彼女はあんなにも軽々と、
羽のように振り回していたのか……!)
改めて彼女の、というより
「妖怪」という存在の、
底知れない身体能力を肌で実感し、
背筋に冷たいものが走る。
だが、持てないほどではない。
農業で鍛えられた足腰と、
本職の現場で培った物の運び方のコツ。
重心をうまく捉えれば、片手に新作の菓子、
もう片方の脇にこの巨大な筒を
抱えて歩くことはどうにか出来そうだった。
(……二度手間になってしまったな)
俺は苦笑いしながら、再び地霊殿へと続く、
熱気を帯びた街道へと足を踏み出した。
一度は終えたはずの配達。
だが、今度は「仕事」ではなく、
もっと個人的で、奇妙な「縁」を
繋ぐための道行きだ。
地獄の火を宿した鉄の塊は、腕の中で微かに、
だが心地よい温かさを保っていた。
まるで、先ほどの空の熱烈な感謝が、
まだそこに残っているかのように。
俺は少しだけ足早に、
夕闇(といっても地底だが)に沈み始めた街道を、
あの大鴉のいる屋敷へと向けて歩き始めた。
再び辿り着いた地霊殿の重厚な門扉。
先ほど野菜を納品したばかりだというのに、
数時間のうちにこうも早く戻ってくるとは思わなかった。
俺は一呼吸置き、静かに玄関をノックする。
重々しい扉がゆっくりと開き、
顔を出したのは主の妹、古明地こいしだった。
「あ、野菜のお兄さんだ!
忘れ物? ちょっと待っててねー」
天真爛漫な彼女はそう言うと、
奥へとパタパタと駆けていき、
すぐに姉のさとりを連れて戻ってきた。
地霊殿の主、古明地さとり。
彼女の姿が見え、視線が交差した
その瞬間──
俺が口を開くよりも早く、
彼女は少しだけ申し訳なさそうに
眉を下げて溜息をついた。
「……ごめんなさいね。お空が、
貴方に大変な迷惑をかけちゃったみたいで」
実に話が早い、というかそもそも「話して」すらいない。
流石は地底を統べる「心を読み取る」妖怪だ。
俺が何を抱え、何を思い、
あのお菓子屋で何が起きたのか。
説明のプロセスをすべて飛び越えて、
彼女は瞬時に事態の全容を
把握してしまったのだ。
何という早業。いや、早『悟り』と言うべきか。
内心でそう感嘆したことすら筒抜けなのだろう。
俺が言葉を発さずとも、
状況説明が一気に済んでしまった。
便利と言えばこれほど便利なことはないが、
プライバシーもへったくれもない
圧倒的な効率性に、俺は苦笑するしかなかった。
「そこ……その一角に置いていただけますか。
重かったでしょう」
さとりが玄関の隅を指定する。
俺は言われるがまま、
ようやく右腕を痺れさせていた
「第三の足」を床に下ろした。
ゴトリ、という重量感のある音が響く。
ようやく解放された腕の筋肉が、
じわじわと熱を持って脈打つのを感じた。
「私の方からお空にはちゃんと言っておきます。
貴方の親切に、心から感謝を。本当にありがとう」
さとりの穏やかで、どこか慈愛に満ちた微笑。
その一言で、ここまでの苦労が
すべて報われたような気がした。
地底の主から直接の謝辞。
これもまた、普通の人間なら
一生かかっても得られないような
「縁」のひとつなのだろう。
「いや、お空が喜んでくれたなら、
それで十分ですとも。」
俺は軽く会釈をし、今度こそ本当に
地底の用事をすべて終えた。
背後で静かに閉まる扉の音を聞きながら、
俺は人里へと続く
長い長い帰り道を歩き始めた。
地底の闇の中、街道を照らす
鬼火のような光を頼りに一歩ずつ進む。
手元の袋には、本来の予定にはなかった
「特製の新作のお菓子が詰まった買い物袋」と、
懐にはあの「最高ランクカード」が入っている。
思い返せば、今日という一日はあまりに濃密すぎた。
朝、里で野菜を収穫していた時は、
まさか自分が「核融合を操る大鴉」の駄々をなだめ、
その忘れ物を届けるために
地底を往復することになるとは
夢にも思わなかった。
過労で命を落とし、
地獄での裁判を経て辿り着いたこの幻想郷。
最初は、この不思議な世界で
ただ静かに、安全に生きていければ
それでいいと思っていた。
農業を始め、少しずつ里の人間に認められ、
博麗神社の加護に縋り、
ボロボロの家を拠点に、
堅実に平穏を築いてきた。
だが、今日起きたことはどうだ。
射命丸文との奇妙な縁が、
地底の「名店」へと俺を導いた。
星熊勇儀との酒の席で磨かれたトークスキルが、
地底での俺の立ち位置を守った。
そして、実家で培った農業の知識と、
かつて自分を癒やしてくれた
「スイートポテト」の思い出が、
お空という純粋無垢な「太陽」との接点を作った。
(……無駄なことなんて、
一つもなかったのかもしれないな)
俺は心の中でポツリと呟いた。
現代社会でボロボロになるまで働かされた経験も、
そのストレスを癒やすために
没頭した趣味も、実家の手伝いも。
そのすべてが、この幻想郷というパズルのピースとして、
カチリと嵌まったような感覚。
手元にあるお菓子の香りが、鼻腔をくすぐる。
里に戻ったら、屋台のおっちゃんやミスティア、
それに親切にしてくれる近所の連中に、
この「お裾分け」を配り歩こう。
きっと彼らは「地底の奥底で、
神様とお菓子の取り合いをして勝った男」の話を、
笑いながら聞いてくれるはずだ。
ボロボロの家はまだそのままだが、心の中には
地底で分けてもらった熱が、じんわりと灯っている。
地霊殿をあとにした俺は一歩、また一歩と、
自分を待っている、いつもの「日常」へと向かって、
心地よい疲れと共に地底の坂道を登り続けた。
地上へと戻った俺を待っていたのは、
夜の帳が下り始めた
「人間の里」の穏やかな静寂だった。
地底の刺すような熱気と、
大妖怪たちが放つ張り詰めた妖気。
それらに晒され続けていた神経が、
里の湿り気を帯びた
夜風に触れてようやく弛緩していく。
俺は帰宅の足を少しだけ遅らせて、
お世話になっている人たちのもとを回った。
屋台を畳みかけていた大将や、
夜の仕込みをしていたミスティア。
彼らに「地底の名店の甘味だ」と
お裾分けを配ると、誰もが驚き、
そして相好を崩して喜んでくれた。
「自由さん、あんた一体どうやって
あんな危険な場所まで……」
そんな驚きの声を背中で聞きながら、
俺はようやく「我が家」へと辿り着いた。
人里の端、深い竹林や並木に
隣接するその場所にあるのは、
無駄に広い敷地と、
それに反比例してボロボロの武家屋敷だ。
かつては名家だったというその建物は、
月明かりに照らされると、
劣化して剥げ落ちた漆喰の壁や、
所々に刻まれた古い矢弾の跡が、
かつての「戦」の記憶を無言で語りかけてくる。
前住人である老夫婦が夜逃げ同然で避難し、
再び戻って管理していたという事で、
色々縁があって、畑や土地ごと譲ってもらったこの家は、
幸いにも「事故物件」ではないが、
現代人の基準からすれば立派な「欠陥住宅」だ。
(ただいま。今日も一日、生きて帰れた)
心の中で呟きながら、
軋む床を踏みしめて奥へ進む。
玄関の雨漏りはさておき、
一番の問題は冬の隙間風だが、
今はまだ幻想郷に来て一ヶ月。
これから来る夏の間は、この風通しの良さが
むしろ贅沢な天然のエアコン代わりになるだろう。
まずは、限界を訴えていた
胃袋に報いることにした。
ちゃぶ台の上に、大切に持ち帰った
「新作の菓子」を並べる。
一口。
その瞬間、俺の意識は
甘美な衝撃に弾け飛んだ。
(う、美味い……! なんだこれ、最高かよ……!)
口の中に広がるのは、
洗練という言葉を物質化したような豊かな風味。
鼻から抜けるのは、地底の厳しい環境で
育ったとは信じがたい、高貴で瑞々しい果実の香り。
前世にいた頃に食べてきた
どんな高級スイーツも、これには及ばない。
あのリスク、あの緊張感。
それらすべてをこの一切れが肯定してくれる。
(……それにしても)
甘みが脳に回り、幸福感に包まれる中で、
俺の思考は自然と「彼女」のことへと向かっていった。
霊烏路空。お空。
生前、液晶画面越しに、
あるいは白い紙の上に、
何度も何度もその姿を描き、
憧れ続けた俺の「推しキャラ」。
その彼女が、今、俺と同じ空の下──
いや、この地の底に確かに存在し、
俺の手からスイートポテトを受け取り、
あの燃えるような
赤い瞳を輝かせて笑ったのだ。
(……本当に、会えちゃったんだな)
胸の奥が、スイートポテトの熱さとは
また別の、熱い塊で満たされていく。
あの豊かでダイナミックな肢体、
右腕の無骨な制御棒、
そして何より、こちらの予想を
裏切るほどに純粋で、
どこか危ういほどに真っ直ぐなあの性格。
イラストを描いていた時は、
彼女を「地獄を統べる神聖な力」として
描くことが多かったが、
実物はもっと、こう……
放っておけない「可愛さ」の塊だった。
だが、感動に浸りすぎて
自分を失うわけにはいかない。
俺は満足感とともに、
ルーティンへと移行した。
歯磨き、そして入浴。
どれほど過労で倒れそうでも、
これだけは譲れない。
幻想郷には腕のいい医者もいると聞くが、
現代知識を持つ身としては、
予防こそが最大の節約だと知っている。
不衛生は病を呼び、虫歯は集中力を奪い、
結果として金と時間を浪費する。
このボロ家で生き抜くには、
自分の身体こそが最大の資本なのだ。
桶に溜めた湯を浴び、
農業の泥と地底の煤を洗い流す。
湯気に包まれながら、
俺はふっと一人で笑ってしまった。
もし、前の世界で一緒に
仕事をしていた連中が
今の俺を見たら、腰を抜かすだろう。
あの仕事人間だった自由突破が、
地底の太陽神にスイートポテトを譲って、
ボロ家で満足げに笑っているのだから。
寝支度を整え、薄い布団に潜り込む。
窓の外からは、里の夜に潜む虫の音と、
時折遠くで聞こえる妖怪の咆哮。
今夜は、それらすべてが
子守唄のように心地よい。
(次も…どこかでまた会えるかな…)
目を閉じれば、暗闇の中に
鮮やかな緑のリボンと、
パタパタと動く黒い翼が浮かんでくる。
推しに会えた。
ただそれだけのことが、明日への、
そしてこの幻想郷での
厳しい生活への、何よりの活力になる。
「……お空に会えてよかった」
誰に届くでもない呟きを残して、
俺は深い、深い眠りへと落ちていった。
夢の中では、きっと地底の太陽が、
もっとあたたかく俺を照らしてくれているはずだ。