嵐を呼ぶ問題児が異世界から来るそうですよ   作:塗る壁

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はじめまして
処女作ですが読んでいただけると幸いです。
この世界のしんのすけは漢字表記で信之助となっています。嫌な方もいらっしゃると思いますが多めにみてください。


第一章
プロローグだゾ


 

──それは誰もが知っていた当たり前の物語。そして、誰からも忘れられ白紙の物語となった──

 

 真夏の春日部の何処にでもある普通の一軒家で

 

「暑いゾ」

 

 そんなことを呟くのは、今年で高校一年生になる少年 野原(のはら) 信之助(しんのすけ)である。

 

「暑いからって昼間から家でゴロゴロしてるのはどうかと思うよ? お兄ちゃん」

 

 彼の妹である野原(のはら) 向日葵(ひまわり)は家の居間でだらけている兄に呆れながら話し掛けてた。

 

「お母さんはママ友とショッピング、お父さんは仕事、お兄ちゃんもだらけてないで、せっかく高校生になって最初の夏休みなんだから友達と遊びに行ったら」

 

「オラもそうしたいけどマサオ君は漫画のアシスタントで風間君は久しぶりの家族水入らずの旅行、ボーちゃんは珍しい石を探してどっかにいっちゃったし他の友達も用事があるとかで」

 

「ネネちゃんは?」

 

「家で演劇の練習って言ったら分かる?」

 

「分かる」

 

 向日葵は兄が何を言いたいのかを察した。

 確かに今、ネネの家に行けば間違いなく無理矢理手伝わされる羽目になる。ネネの演劇の練習は、最初こそはまともなのだが途中からは浮気やリストラといった昼ドラ顔負けのものに変わる。

 信之助が行きたがらないわけだ。

 

「それにオラもゴロゴロするので忙しいんだよねー」

 

「結局、自分が面倒なだけじゃん!」

 

 向日葵は、信之助の遊びに行かない理由が友達云々では無くただ面倒くさいからという理由に思わずツッコミを入れた。

 

()()こそどっかに遊びに行かないの?」

 

 ()()というのは家族が普段向日葵を呼ぶ時の愛称だ。

 

「私はこの後友達が参加してるサッカークラブに助っ人に行かないといけないから」

 

「また? この前もバスケやテニスに助っ人に行ったゾ。それにスポーツだけじゃなく勉強も家事も出来る。 相変わらずハイスペックですな」

 

「別にこれぐらいならお兄ちゃんもやろうと思えば出来るでしょ?」

 

 信之助の本来の能力を知る向日葵は当然とでも言うように自分に出来ることは信之助にも出来ると言いながら、信之助に背を向けた。

 

「お兄ちゃんもあまりだらけちゃダメだよ」

 

「いやー、ここ一年平和だからつい」

 

「ここ一年平和って…」

 

 厳密に言えば、信之助やその周りの人達がいろいろと騒動を起こしたり巻き込まれたりしたので普通の日常からしたら平和ではない。

 しかし、超科学技術や異世界の魔法などに巻き込まれたりしている信之助からしたら平和と言うのも仕方ないかもしれない。それに()()()()以来そこまで大きな騒動は起きていないのだから。

 

「私は準備が途中だから行くね」

 

 向日葵は信之助にそう言い残し居間から出て行った。

 

「まったく、最近のひまは母ちゃんに似てきてしょうがないゾ」

 

 信之助は上体を起こしヤレヤレと肩をすくめながら、自分の妹が口煩い母親に似てきた事を愚痴り何気なく周りを見た。

 

「お?」

 

 信之助は机の上に朝はなかったはずの白い封書が置いてあることに気付き、封書を手に取る。

 

「ひまが置いてったのかな? ひまー」

 

「何ー」

 

 父であるひろしは仕事に行き、母であるみさえは朝にはもう出掛けていった。なら妹が置いていったと思い、信之助は別の部屋にいる向日葵に呼び掛けた。

 

「机の上に手紙を置いてったのひまー?」

 

「知らないよー」

 

 信之助は朝からこの部屋に居たため、朝は間違いなくなかったと断言できるし、昼にこの部屋にのは入って来たは向日葵だけだ。

 不思議に思いながら封書をもう一度見ると、封書には文字が書いてあった。

 

「何々『野原 信之助殿へ』オラ宛?」

 

 この手紙が自分宛である事に気付いた信之助はまさかと呟くと……

 

「オラへのファンレター!?」

 

 的はずれな事を言っていた。

 

「それじゃ。行ってきまーす 」

 

 おそらく準備を終えた向日葵がドタドタと玄関まで走り、行ってきますを伝えてるといきおい良く出ていった。

 

「……」

 

 信之助にツッコミを入れるものは誰も居なかった。

 

「冗談はここまでして」

 

 信之助は封書の封を切り、封書の中にあった一枚の紙を取り出す。

 

「え~と『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むのならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの“箱庭”に来られたし』なんだこれ?」

 

 手紙に書いてあったのは、自分の力を試したいなら全てを捨て此方に来いと言うものだった。

 

「といわれましても、オラは家族も友達も捨てるつもりは無いからねー。後、そこにいる人はそろそろ出てきたら? 不法侵入は犯罪だゾ」

 

 信之助がそう言うと、何も無い空間が歪み、そこから一人の見知らぬ女性が現れた。その女性は白いワンピースに白い肌と白い髪で非常に美しい女性だ。

 

「驚いたな。何時から気付「お姉さん!オラの心にも侵入してみませんか」……君は昔から変わらないね」

 

 女性が何時から気付いてたのか聞こうとしたが、すぐさま女性に近寄り口説き始めた信之助の行動に呆れてしまう。

 

「ん? お姉さん、オラを知ってるの?」

 

 信之助は女性がまるで自分を知っているような言葉に疑問を感じた。

 

「知っているよ。それこそ君が産まれた時からね。そんなことより君はその手紙をどうするつもりだい?」

 

 女性は信之助が何時から気付いたのか聞くのを諦め、彼が手に持っている手紙を見て言う。

 

「どうするも何も別にオラは力を試したいとも思わないし、みんなと離れるつもりも無いから捨てるけど?」

 

 そう、信之助は力を試したいと思っておらず、家族や友人達を捨てるつもり無いためこの手紙は必要ないのだ。

 

「やはりそうか。君ならそうすると思っていた」

 

 信之助がどうするのか分かっていた彼女は頷きながら言うと、彼がもっていた手紙へと手を向けた。

 

「すまないね、恨んでくれても構わない。……でもどうしても君の力が必要なんだ」

 

「お姉さん何を? っ!!」

 

 先ほどまで居た風景は消え、何故か空へと変わり落下していた。そこは完全無欠の異世界だった。

 

「オラ、お姉さんのお名前まだ聞いてないんだけどー!!?」

 

 こうして信之助は世界から消えた。そして先ほどまで居た部屋では…

 

「頼むよ、信之助君。稀代の英雄よ」

 

 女性の呟きは誰にも聞こえることはなかった。




この世界の信之助は原作とはパラレルの信之助だと思ってください。ですから映画のなかには体験していないものもあります。
続くか、続かないかは分かりません。
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