十四話が始まりますよ~。
ペルセウスに勝利したノーネームはレティシアを大広間に呼ぶと、信之助を除いた問題児三人は口を揃えて
「「「じゃあこれからよろしく、メイドさん」」」
「え?」
「え?」
「………え?」
「おー。レティシアおめでとう!」
「めでたくありません!」
突然のことにジン、黒ウサギ、レティシアは唖然としていた。残る問題児・信之助は気のぬけたことを言って黒ウサギにツッコミを入れられる。
勿論、黒ウサギのハリセンは避けた。
「え? じゃないわよ。だって今回のゲームで活躍したのって私達だけじゃない?」
「うん。私なんて殴られそうになったり、石にされそうになったし」
「特に野原はペルセウスの兵士を捕らえたり、アルゴールを倒したりしてるからな。つーわけで所有権は俺達で4:2:2:2で分けた」
「貰えるものは貰っといたゾ。エッヘン!」
「何を威張っているんですか! てゆうかこの人達、何を言っちゃってんでございますか!?」
「黒ウサギ。しゃべり方、変」
「ほっといてください!!」
黒ウサギは完全に混乱しており、ジンもまた混乱して言葉を失っている。
「そうだな。今回の件で、私は皆に恩義を感じている。家政婦をしろというのなら喜んでやろうじゃないか」
「レティシア、太っ腹~」
「レ、レティシア様!?」
黒ウサギは焦っていた。
尊敬していたレティシアをまさかメイドとして扱うことになるとは夢にも思わなかったのだ。黒ウサギが困惑していると信之助が前に出て…
「それじゃあ、改めて自己紹介。オラはちょっぴりオチャメな高校生、野原 信之助だゾ」
いきなり自己紹介を始めた信之助に続いて
「俺は粗野で凶暴で快楽主義と三拍子揃った逆廻 十六夜だ。よろしく頼むぜ、レティシア」
「貴方達、自己紹介ぐらいまともにしたらどう? 私は久遠 飛鳥よ。よろしくね、レティシア」
「春日部 耀。以下同文」
四人が自己紹介を終えると、信之助が大きな声で
「四人揃って!」
「「「「ノーネーム問題児四人衆!!!」」」」
言い切った。
レティシア達も突然のことに唖然とするどころか思考が停止してしまった。
「ってちょっと待て!!」
「え? 何?」
「何じゃねえよ!いきなり何してんだ。突然のことに合わせちまったよ!」
「そうよ! 何となく合わせちゃったけど、やるならやるってあらかじめ言っといてくれないかしら!」
「ものすごく恥ずかしい…」
十六夜は叫び、飛鳥と耀は赤面している。
先程のことは十六夜達も知らなかったことだ。にも拘らず見事に合わせることが出来たのは流石と言えよう。
「い、いやいや! 何をしてるんですか!? というか知らなかったならどうして合わせたりしたんですか!」
黒ウサギは何とか気を取り直したが、問題児達の返答は
「ノリで」
「何となく」
「合わせないといけない気がして」
これである。
黒ウサギもこの返答には項垂れている。問題児はどんなときでも問題児。
「問題児であることを自覚してるなら少しは改善してくださいよ!」
「「「「断る!」」」」
「どうしてこんな時だけ息がピッタリなんですか!」
憐れ黒ウサギ。
問題児達はそんな黒ウサギを無視して気になっていたことを聞いた。
「それじゃあ野原。話してもらおうか?」
「ずっと気になっていたんだから。話すって約束でしょ」
「わくわく」
そう、三人は気になっていた。いや…三人だけではない。ジンも黒ウサギも信之助が今までどんな冒険をしてきたのかを。
「それじゃあ話すとしますか」
信之助は話し始める。哀しみも喜びも痛みも笑いもあった。家族と友人達と共に歩んだ
◇◇◇
ペルセウスとの決闘から三日後の夜。
ノーネーム一同は水樹の貯水池付近に集まって歓迎会をしていた。
フォレス・ガロやペルセウスなど立て続けに問題が起きたためろくに歓迎会をすることが出来なかったので黒ウサギが四人の為に始めたのだ。
「それでは本日の大イベントが始まります! みなさん、箱庭の天幕をご注目ください!」
コミュニティの全員が夜空を見上げた数秒後の事だった。
「おー!」
星が次々と流れ、信之助が歓声を上げる。
「この流星群を起こしたのは他でもありません。我々の新たな同士、異世界からの四人がこの流星群のきっかけを作ったのです」
「え?」
十六夜達は驚きの声を上げる。黒ウサギは構わず話を続ける。
「先日、同士が倒したペルセウスのコミュニティは、敗北の為にサウザンドアイズを追放されたのです。そして彼らは、あの星々からも旗を降ろすことになりました」
十六夜達三人は驚愕し、絶句した。しかし信之助だけは
「え? それってルイオスのお兄さん達は大丈夫なの?」
ルイオス達の心配をしていた。
「はい。サウザンドアイズを追放されましたが、コミュニティは活動を続けることができるので、ルイオスさんも心を入れ替えコミュニティ改善に向け、頑張るそうです」
「そっか。よかった~」
ルイオス達は無事と知り、信之助はほっとする。
「決めた」
「ん?」
十六夜が声を上げる。十六夜はペルセウス座があった位置を指差し
「あそこに、俺達の旗を飾る。どうだ? おもしろそうだろ?」
「いいねー。面白そうだゾ」
「それはとてもロマンが御座います」
それを聞いた信之助と黒ウサギは笑い声を上げる。信之助は夜空を見上げ
(父ちゃん、母ちゃん、向日葵、シロ…オラは元気にやってるゾ)
新たな物語が始まる。
◇◇◇
「雨か」
雨が降り始めた夜道を一人の女性が歩いていた。
「あの日も雨が降っていたな」
女性はかつて箱庭のあるコミュニティで暮らしていた。だが、魔王に敗れこの世界にやってきた。
私は探した。かの魔王に勝てる存在を。しかし、世界中を旅したが見つけることは出来なかった。
数年が過ぎて、私は雨の中ある病院の前を歩いていた。すると気付く。一人の男性が雨の中、慌てたように走っているのを。
その男性は病院の中に入っていった。私は何故か気になりその男性を追った。そしてその男性を見付ける。その男性は生まれたばかりの赤ん坊を抱いている妻と思われる女性と笑っていた。男性は子どもが産まれたから慌てていたのだろうと納得した。
そして、ふとその赤ん坊を見た。私は戦慄した。その赤ん坊が計り知れない力を秘めていると一目で分かったからだ。私は歓喜した。ついに魔王に勝利できる可能性を秘めたものを見付けたから。だが、私は我に戻る。
そこには家族があった。涙を浮かべながら笑っている夫。そんな夫を見て幸せそうな妻。そして、両親に囲まれ安らかに眠っている子ども。私はそんな家族を見て、壊したくない、そう思った。
(出来れば普通の人生を歩んで欲しかった)
だが、それは叶わない。信之助が持つ力ではない。信之助の魂がそうさせないのだ。箱庭に彼女が行ってしまったから…
(彼女を止められるとすれば信之助君だけだ)
止めなければならない…終末の物語を。
(そして“彼”を説得しなければ)
恐らく彼は気付いている。
信之助がこの世界からいなくなっていることを。しかし、彼を箱庭に向かわせる訳には行かない。もし、それで彼に何かあれば…
(この世界は………滅ぶ)
一年前。
彼女がこの世界に付けた
「頼む信之助君。どうか…」
女性は箱庭に居る信之助に向けて言う。
「どうか“ワタシ”を止めてくれ」
やっと一章が終わりました。
なんか外伝とかいつかやりたいと思ってます。今考えているのは信之助と十六夜が戦う話と信之助がチョコビを箱庭で探す話です。いつやるかはわかりませんが…
他にも外伝とかifとかやろうと思います。