第二章が終わったら信之助やオリキャラの人物紹介をしようと思ったんですけど確かダメなんでしたよね。小説以外の投稿を禁止とかありますし。前書きや後書きには書いていいのかな。
それでは十九話です。
信之助達は世間話を終え、来賓室に集まっていた。
因みにレティシアと女性店員だけが来賓室を離れている。
「世間話も終わったことだしの。それでは今から第一回、黒ウサギの服をエロ可愛くする会議を」
「始めません」
「始めます」
「始めません!」
白夜叉の提案に十六夜が悪乗りし、そんな二人を速攻で断じる黒ウサギ。
「ほい」
そんな時、信之助が手を挙げた。
「何じゃ? 信之助」
白夜叉が信之助を真剣な眼差しで問う。
「女性店員のお姉さん達の制服をエロ可愛くする会議に変更を」
「しません!!」
「前向きに検討しよう」
「しないと言ってるでしょうがー!!!」
信之助の提案は白夜叉と変わらないものだった。黒ウサギはウサ耳まで淡い緋色に染め、怒りに任せハリセンを振り回すが信之助は全く動じておらず、ひょいひょいと避けてしまう。
哀れ黒ウサギ。
「まあまあ、落ち着いて。そんなに暴れると十六夜君みたくなっちゃうゾ?」
「おい。それはどういう意味だ?コラ」
「うっ…それは嫌ですね。十六夜さんみたいな暴れん坊には…ハッ!」
うっかり出てしまった失言に黒ウサギはハッとする。冷や汗を流しながら振り向くと。
「黒ウサギ。お前が俺をどう思ってるか、よーく分かった」
そこには、爽やかに笑い指の骨をポキポキと鳴らす十六夜が居た。
「い、十六夜さん! ちょ、ちょっと待」
「問答無用」
十六夜は黒ウサギの懇願を切り捨てゆっくりと近づいていく。そして…
「フギャァァアアアアアアア!!!」
黒ウサギの絶叫が響く。
「まあ、そんなことは置いておいてだな。「置いとかないでください!」黒ウサギ。お主に明日から始まる決勝の審判を依頼したいのだ」
「決勝?」
信之助が首を傾げる。信之助は先ほど帰ってきたばかりな為、耀が参加しているギフトゲームの事を知らないのだ。
「ねえ、黒ウサギ。明日何かあるの?」
「あ、信之助さんは居なかったのでしたね。明日は耀さんが参加していらっしゃるギフトゲームの決勝があるのですよ」
それを聞いて信之助は納得した。
「それにしても唐突ですね。分かりました。明日のゲーム審判はこの黒ウサギが引き受けます」
「うむ、感謝するぞ。それで審判衣装だが「先程と同じようなら断固着ませんので」う、うむ」
黒ウサギがハリセンを持ちながら、圧倒的な怒気を纏いながら微笑むので白夜叉は思わず引き下がる。
その時、耀が思い出したように白夜叉に訪ねた。
「白夜叉。私が明日戦う相手ってどんなコミュニティ?」
「すまんがそれは教えられん。フェアではないからの。教えてやれるのは名前までだ」
ノーネームを除いて決勝に参加するのは“サラマンドラ”、“ウィル・オ・ウィスプ”、そして“ラッテンフェンガー”。この内の二つは六桁の外門であり、格上。
白夜叉は相応の覚悟をしとくように耀に忠告する。
「“ラッテンフェンガー”? なら明日の敵はさしずめ、ハーメルンの笛吹き道化か」
「それってグリム童話だっけ?」
信之助はそれがグリム童話の一つだったのを思い出し、十六夜に聞く。十六夜もそうだと答えた時。
「ハーメルンの笛吹き!?」
「まて、どういうことだ十六夜」
白夜叉と黒ウサギの顔色が変わる。
信之助と十六夜は予想外の反応に唖然とする。聞けば、ハーメルンの笛吹きとは昔倒された絶大な力を持つ魔王の傘下だったコミュニティだという。それを聞いた信之助はまた面倒な事になりそうだなとなんとなく思っていた。
◇◇◇
「長らくお待たせいたしました! 火龍誕生祭のメインギフトゲーム・“造物主の決闘”の決勝を始めたいと思います! 進行及び審判は“サウザンドアイズ”の専属ジャッジでお馴染み、黒ウサギが務めさせていただきます!」
「黒ウサギいいいいいい! お前に会うために此処まで来たぞおおおおおおお!!」
「今日こそはスカートの中を見てみせるぞおおおおおおお!!」
「L・O・V・E! 黒ウサギ!! L・O・V・E! 黒ウサギ!!」
黒ウサギの満面の笑みに会場が震えるほどの歓声が上がる。その情熱に黒ウサギのウサ耳は枯れた花のように垂れている。
「おー! 盛り上がってきましたな!」
信之助は先ほど買ってきた焼そばを片手にそんな感想を抱く。
「もっと突っ込むところがあるでしょう? それにしても随分と人気者なのね」
飛鳥は生ゴミを見るような冷めきった目で観客席を見下ろす。
「飛鳥ちゃんも盛り上っていこう! せっかくのお祭りなんだし」
「……ハァ。それもそうね」
日本の外の異文化なのならこのようなギャップが生まれても仕方ないと諦め、耀の応援に集中することにした。
「お…始まった」
そして、耀のギフトゲームが始まる。
◇◇◇
信之助達がいる場所から少し離れた場所。その者は見ていた。
「始まったね~。耀ちゃんのゲーム」
それはタブラ・ラサと呼ばれた少女。
「貴女は野原 信之助以外にも興味があったのですね」
その少女に話しかける少女、ナナリー。ナナリーは少し驚いたように少女に話しかける。
「そりゃあそうだよ。“登場人物”をほったらかしにするわけないでしょ? それに十六夜くんには少し期待してるんだ~」
「え?」
ナナリーは首を傾げる。そんなナナリーを見て少女はクスクスと笑う。
「しんちゃんにも匹敵する潜在能力。しんちゃんと同じ、世界を救う事となる魂、英雄としての器。偉業を成した分、しんちゃんの方が上だけど彼を見た時は驚いたな~。まさか、しんちゃんに匹敵しかねない力を持つ者がいるなんてね。ああ、勘違いしないでね。私はしんちゃん一筋だからさ」
「誰もそんなことは聞いていませんよ」
ナナリーは呆れ、少女は愉快そうに笑っている。そして、ふとずっと気になっている事を思い出した。
「タブラ・ラサ。ずっと気になっていたのですが」
「ん~」
「何故、
ずっと気になっていたことだ。
どうしてこの少女は今の野原信之助ではなく英雄としての野原信之助に固執しているのか。ナナリーはこの少女の目的を知らないが、別に今の野原信之助でもいいのではないかと思っていた。
「簡単だよ。英雄としてのしんちゃんが必要だから。英雄としてのしんちゃんじゃなくちゃダメなんだ…」
その時の少女の顔は少し悲しそうだった。ナナリーは初めて、この少女の
「だから余計にムカつくんだよね~。アイツが
少女は堪えきれない程の怒気を放つ。
「アイツ? あの力? アイツとは“英雄譚”のことですか? そもそも何故“英雄譚”と呼ばれて…あの力とは一体?」
少女は真剣な眼差しでナナリーを見て言う。
「
少女は昔のことを思い出しているのか、苛立ちながら愚痴を洩らす。
「あ! そろそろ耀ちゃんのゲームが終わりそうだね」
「そうですか」
それを聞いたナナリーは少女に背を向ける。
「行くの? 母の願いを叶えに。母親には似てないと思ったけどその一途さだけは母親似だよ。ナナちゃん」
「…タブラ・ラサ。母の願いを叶えたとしても叶えられなかったとしても貴女とはお別れになると思います」
ナナリーは歩き始める。
「…………さよなら」
ナナリーは少女に別れを告げて去っていった。
「ナナちゃんは本当に健気だよ。君の種族は君だけを残して皆死んでしまった。なのに君は泣きもせず、弱音も吐かない。苦労を重ねて苦痛に耐えて苦悩を表に出さない優しい子供」
少女はナナリーが去っていった場所を見つめ続ける。
「でも、まだ終わりじゃないんだよ? ナナちゃん♪」
少女が残した言葉の真意とは?
それではまた次回。