嵐を呼ぶ問題児が異世界から来るそうですよ   作:塗る壁

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調子にのって、やってしまった、連日更新

三話目です。


箱庭の説明だゾ

「あ、あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために一時間も消費してしまうとは。おまけに、短髪の方は見てるだけで、助けてくれませんし…」

 

「お楽しみ中だったから、邪魔しちゃダメだと思いまして」

 

「全然楽しくありませんよ!? …ハァ、学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのです」

 

 一時間も問題児たちにいじられた黒ウサギは、見てるだけで助けてくれなかった信之助に不満を漏らすが、動じない彼の態度を見て、ため息をついてしまう。

 

「いいからさっさと進めろ」

 

 十六夜に促され、黒ウサギは気を取り直して、自分がやるべき事を始めた。

 

「それではいいですか、御四人様。ようこそ、()()()()()へ! 我々は皆様に()()()()()()への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

「ギフトゲーム?」

 

「そうです! 皆様は、普通の人間ではごさいません! その特異な力は様々な修羅神仏・精霊・悪魔・星から与えられた恩恵でございます。ギフトゲームはその恩恵(ギフト)を用いて競い合うためのゲーム。そしてこの箱庭は強大な力を持つギフト保持者が面白おかしく生活できるために造られたステージなのでございます!」

 

「ほうほう。これはまた、大変な所に来ちゃいましたな」

 

 黒ウサギの説明を聞き、また大変な所に来たと小さく呟く信之助だが、その呟きは誰にも聞こえることは無かった。そして、両手を広げアピールする黒ウサギに、飛鳥は質問した。

 

「貴女の言う()()とは貴女を含めた誰かなの?」

 

「YES! 異世界から呼び出されたギフト保持者は生活するにあたって、コミュニティに必ず属していただきます♪」

 

「嫌だね」

 

「属していただきます!」

 

「おー、なかなかに鋭いツッコミ…。黒ウサギはツッコミの才能がありますな!」

 

「いりませんよ! そんな才能!」

 

 拒否する十六夜に怒る黒ウサギだが、信之助にツッコミの才能があると言われ、再び叫んでしまった。

 

「続けますよ。そしてギフトゲームの勝者はゲームの主催者(ホスト)が提示した商品をゲットできるというとってもシンプルな構造となっております」

 

「主催者って誰?」

 

「暇を持て余した修羅神仏やコミュニティ等、様々ですね」

 

「チップには何を?」

 

「財産や土地あるいはギフト。ありとあらゆるものを賭けることが可能です」

 

 重要な事は話し終えたのか、四人を見て言う。

 

「さて。皆様の召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございますが、ここから先は我らのコミュニティで話させていただいてもよろしいですか?」

 

 黒ウサギは話を切り上げようとするするが…

 

「待てよ。まだ俺が質問してないだろ」

 

「オラも二つぐらい聞きたいんだけど」

 

 十六夜と信之助が待ったをかけた。

 

「どういった質問です? ルールですか? ゲームそのものですか?」

 

「そんなことはどうでもいい。俺が聞きたいのは…」

 

 十六夜は一度言葉を切り、見下すような視線で言った。

 

「この世界は…面白いか?」

 

「YES! ギフトゲームは人を越えた者達だけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」

 

 黒ウサギの返答に満足した十六夜は笑みを浮かべた。

 

「じゃあ、次はオラだね」

 

「はい。なんでしょう?」

 

「元の世界に帰る方法って、ある?」

 

「えっ」

 

 黒ウサギは信之助の質問を一瞬理解出来ず固まってしまったが、聞けば彼は自分の意志でこの世界に来たわけでは無いという。

 

「それは…すみません。帰る方法はあるのですがとても貴重なギフトなため黒ウサギ達も持っていないのです。なのですぐには帰すことは出来ません」

 

 黒ウサギは、申し訳なさそうに謝罪した。元の世界に帰すギフトは確かに存在するが、そのギフトは箱庭においても貴重なのだ。

 本来ならあの手紙は、全てを捨ててもいいという思いがなければ、この箱庭へ来ることはできないので、彼女がそのギフトを用意していないのは当然である。しかし、黒ウサギは、来るつもりがないものを連れて来てしまった事に罪悪感を感じていたのだが…

 

「あるなら別にいいや」

 

「軽っ!?」

 

 信之助は大して気にしておらず、それどころか別にいいという彼の態度に驚愕した。

 

「えっ!? ちょ、ちょっと軽すぎませんか!?」

 

「確かにちょっと軽すぎるな」

 

「貴方、元の世界に帰りたいんじゃないの?」

 

「軽すぎ…」

 

 黒ウサギは信之助の態度に困惑し、他の三人も呆れている。

 

「別に絶対に帰れないわけじゃないんでしょ? それにこういう状況は何度か経験してるからなれたゾ」

 

「な、なれたって。今までどういう人生を送ってきたんですか!?」

 

「ハハ、それって何度か異世界を経験してるってことか? 今度、話を聞かせろよ」

 

「私も聞きたいわね」

 

「私も」

 

「うん。オラ、いろんな事を経験してるから話したいことが沢山あるゾ、でもそれは後でね」

 

 信之助の言葉を黒ウサギは無視出来ず、他の三人も信之助の話に興味をもった。

 

「それで二つ目の質問なんだけど」

 

「あっ、そうでしたね」

 

 黒ウサギは、信之助が二つの質問をしたいことを思いだし、信之助へ向き直ったが…

 

「なんで黒ウサギはオラ達を呼んだの?」

 

「えっ!?」

 

 信之助の二つ目の質問で、黒ウサギは再び固まった。他の三人も好奇心により黒ウサギへと視線を向ける。

 

「な、なぜそんなことを聞くんですか?」

 

 黒ウサギは、なんとか平静を保とうとしたが明らかに動揺していた。

 

「いや、オラ達が何で箱庭に呼ばれたのかは聞いたけど、何で黒ウサギが()()()()()()()()()()()()()()は聞いてないゾ。それにかなり動揺してるし」

 

「そ、それは…」

 

 黒ウサギはなんとか言い訳を探そうとしていたが

 

「確かにな。黒ウサギ、これは俺の勘だが黒ウサギのコミュニティは弱小のチームか、訳あって衰退しているチームじゃねえか? それなら俺がコミュニティに入るのを拒否した時に本気で怒ったのも合点がいく」

 

「それで、どうなのかしら? 黒ウサギ」

 

「私達にウソは通じないと思って」

 

「っ! …分かりました。全てお話しします」

 

 黒ウサギは観念して、自分のコミュニティで何があったのか話すことにした。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 黒ウサギが所属しているコミュニティは、かつては東区画で最大手のコミュニティであったこと。そして、箱庭の天災・魔王と呼ばれる者によって誇りも、仲間も、全てを奪われたこと。

 黒ウサギは四人に自分のコミュニティのことを包み隠さず話した。

 

「隠していたことは本当に申し訳ありません! …ですがコミュニティ再興のため、何より仲間が帰る場所を守るため、どうしても皆さんのお力が必要だったのです! どうか黒ウサギに力を貸してください!」

 黒ウサギは四人に向かって、いきおいよく頭を下げる。

 

「仲間と誇りを守るためか……いいな、それ」

 

「…へ?」

 

「へ?じゃねえよ。協力するって言ったんだ」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「本当だよ。それで、お前らはどうすんだ?」

 

「お前って呼び方はやめてっ言ってるでしょ。もちろん私も協力するわ。春日部さんはどう?」

 

「私はこの世界に友達を作りに来ただけだから、入ってもかまわない」

 

「じゃあ私が友達に立候補してもいいかしら?」

 

「飛鳥ちゃん。友達は立候補するものじゃなくて、なるものだゾ。それにオラも耀ちゃんの友達になりたいゾ」

 

「飛鳥も、信之助はちょっとうざいけど私の知る子達と違うから大丈夫かも」

 

「後、黒ウサギ。オラも協力するゾ。だって困っている人はお助けするのは当然の事だしね」

 

「皆さん」

 

 黒ウサギは自分が恥ずかしくなった。コミュニティを守りたいと言っておきながら、四人を信じていなかった自分に。

 

「よろしくお願いします!!」

 

 信じよう。黒ウサギのコミュニティの事を知ってなお、協力すると言ってくれた彼らを。黒ウサギは今度こそ彼らを信じると決めた。




黒ウサギが彼らを信じると決心し、三話目終了です。
ただし問題児は信頼しても信用してはいけません。

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