三十三話目です。
「待ってください!私の話を聞いてました!?」
挑発には乗らないと言ったにも拘わらず、ゲームを受けた四人に黒ウサギが絶叫する。
「「「「挑発に乗らずにケンカを買った」」」」
「なんて強引な屁理屈!!」
「いい度胸だ! 身の程ってやつを教えてやるよ!!」
カラッチがそう言うと周りの風景が変わり始めた。
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ギフトゲーム“ラビュリントス”
・プレイヤー
[久遠 飛鳥]
[春日部 耀]
[逆廻 十六夜]
[野原 信之助]
・クリア条件
ステージの謎を解き迷宮を突破、又はステージ内に潜むホストを打倒。
・敗北条件
降参もしくはプレイヤーが上記の勝利勝利を満たせなくなった場合。
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風景が町並みからレンガの迷宮へと変わると共に
◇◇◇
暗い暗い闇の中でその少女は居た。
「はーじまったーはじまった♪ ギーフトゲームがはじまったー♪」
闇の中で歌う少女。その少女の名はタブラ・ラサ。
「珍しいねー♪ しんちゃんがギフトゲームに参加するなんて♪」
信之助はあまりギフトゲームをやりたがらない。参加した数で言えばあの四人の中では最下位だ。それと反比例するように参加したギフトゲームの殆どで一番の功績を上げているが。
「今回の相手は肉屋さんかー。あまり面白くなさそうだなぁ。うーん、
少女は大声で笑うと無表情へと変わる。
「“信之助”……お前は覚えているかい“ボク”の事……」
何も感情のこもらない声と表情で「まぁいい」と呟くと……
「2度ある事は3度あるか、それとも3度目の正直となるか。どちらにしろ“彼の遺産”は“ボク”の前に立ちはだかる……」
その少女は無表情のまま、両腕を広げ宣言する。
「さぁ、再び
◇◇◇
「わぁすごい、巨大迷路だ」
「中々楽しそうなステージじゃない」
耀と飛鳥が周りを見渡しながら言った。信之助はそれを聞きながらウンウンと頷く。
「ルールにも問題なさそうだしねぇ」
「はい。しかし気になるのはこのゲームに賭けるチップです。向こう側が何か莫大な金品を要求してくるかもしれません! それについて記載があると思うのですが何とありますか十六夜さん」
黒ウサギが振り返り、
「なんか空白だったから俺が書いといたぞ」
「ウサギ肉贈与って」
それを聞いた黒ウサギがゆっくりと自分を指差す。十六夜もコクリと頷いた。
「鬼悪魔ド外道ー!!」
「美味しいハンバーガーになるぜ」
泣き叫ぶ黒ウサギに十六夜はヤハハと大笑いする。
「十六夜君、ゲームでも仲間を賭けちゃダメだゾ」
すると信之助が不機嫌な様子で言う。
「ならお前はなんかいいのがあるのかよ」
「そうだね~、おっ! これなんてどう?」
「なんだ?」
何処から取り出したのか信之助は一冊の本を十六夜に見せた。
「黒ウサギのちょっぴりえっちな写真集」
「おお! いいな!」
「いい訳ないでしょうがー!!」
ぐっと親指を立てる十六夜に黒ウサギのハリセンが飛ぶ。
「て言うか信之助さん! なんでそんなの持ってるんですか!? 黒ウサギはそんなの撮った覚えはありませんよ!?」
振り回しているハリセンをひょいひょいと避ける信之助に黒ウサギは叫ぶ。
「んっとねー、この前白夜叉と賭けで遊んだ時に貰った」
「あんの駄神様がー!!!」
全貌を理解した黒ウサギは空に向けて慟哭し、四つん這いになる。暫く回復しそうもない。
「お前、何時の間にそんなことしてたんだよ。てか白夜叉と賭けとかそんな面白そうな事なら俺等も呼べよ」
「そうよ。いつも貴方だけ面白そうな事してたまには私達も交ぜなさい」
十六夜と飛鳥は呆れたように言った。
「……」
「あれ? 耀ちゃんなんか不機嫌そうだけどどうしたの?」
「別に…」
耀は顔をそらす。耀自身、自分の今の感情が分からず持て余していた。
「そう言えば野原。白夜叉と賭けをしたなら何を賭けたんだ?」
「ん? オラ? オラはね~」
信之助はまた何処から取り出したのか茶色い紙のカバーに包まれた一冊の本を十六夜に手渡した。
「なんだ? エロ本か?」
十六夜が本を開くとそこには……
「オラのえっちな写真集~」
水着を着てポーズを取る信之助があった。十六夜は無言のまま、ゆっくりと本を閉じ、プロ野球投手顔負けのキレイなフォームで
「アホかー!!!」
空へとぶん投げた。
「あー!? オラの写真集~!」
信之助の悲痛な叫びが迷宮にこだました。
◇◇◇
「作戦会議を行いましょう! 闇雲に動いても無駄に体力を消費するだけですから突破口となりうる案を出し合うべきです!」
回復した黒ウサギは四人に向けて提案を口にした。それに対する四人の返答は…
「気を付けて進む」
「前向きに進む!」
「明日を見据えて進む!!」
「未来を信じて進む!!!」
「「「「ガンガン進もうぜ!!!」」」」
作戦会議五秒で終了。
「み、皆さんここは用心深く慎重に進むべきです!!」
黒ウサギが慌てて止めに入り、四人の前に立つ。
「どのような罠が仕掛けられているか分かりませんからね!! とにかく十分に注意してキャアアァァァァァ!」
突如、黒ウサギの居た足場が開き、そのまま落ちていった。
「「「ガンガン進もうぜ!!!」」」
「おーーい。黒ウサギー大丈夫ー?」
「助けて下さーい!!」
◇◇◇
黒ウサギは緋色の髪をしおらせ、ムスっと不機嫌そうにしていた。
「流石にヘソ曲げちゃったみたいだね」
「まぁほっときゃすぐに治るだろ」
不機嫌な黒ウサギに耀と十六夜は若干引きながらコソコソと話す。信之助もまた黒ウサギをじっと見ていた。
「………てか、あれって「野原」ん?」
十六夜に呼ばれ、振り向くと信之助に向けて手招きをしていた。
「ちょっと耳貸せ」
それから数時間後。
「あれ? この道さっきも通りました?」
「「「「ほら迷った!」」」」
黒ウサギの発言に四人の声がハモる。
「流石に疲れてくるわね」
「オラも…」
「お腹空いた……」
飛鳥、信之助、耀の順番に苦情が飛ぶ。
「壊すか速やかに!」
「爆死しろと速やかに!?」
迷宮を壊そうとする十六夜を黒ウサギは必死に止める。黒ウサギ曰くルール違反すると爆死するらしい。
「あ! でも見てください何やら大きな建物が見えてきましたよ! あそこに入って見ませんか?」
黒ウサギが指差す方向を見ると、そこには巨大な建物があった。
「ほら何してるんですかお早くー!」
急かす黒ウサギを先頭に建物の中へと入っていった。
◇◇◇
建物に入るとそこは多くの壁がある部屋だった。
「見るからに怪しい場所だね」
「きっとここに何らかのヒントが隠されているのですよ!」
耀と黒ウサギが部屋を見渡しながら言った。
「なるほどな」
「何か分かったの十六夜君?」
十六夜は何なのか分かったらしく、壁画に描かれた牛頭の怪物を指差して説明する。
「この壁画に描かれているのは有名なミノタウロスの伝説だ。ミノタウロスは頭は牛、体は人という異形の怪物で成長するにつれて凶暴化するそいつを迷宮に閉じ込めるってお話だ」
十六夜は壁画を指でなぞりながら続ける。
「この話にはまだ続きがあってな。ミノタウロス退治を志した王子テセウスによってミノタウロスは倒される。その際、テセウスは2つの道具を隠し持って迷宮に入った。一つは道標となる糸玉、もう一つは……」
十六夜が壁画に描かれた糸玉の糸をなぞっていくと…
「ミノタウロスを退治するために使用した短剣だ」
瓦礫の隙間に隠されている短剣を発見した。
「流石です十六夜さん! きっとそれはこの迷宮を攻略するための鍵! この先必要なアイテムですよ!」
「ああ、そうだな。これは大切に使うとするよ。野原!」
「んあ?」
十六夜は、座って眠りこけてる信之助に呼び掛ける。
「信之助、静かだと思ってたけど寝てたの?」
「まぁねぇ」
「呆れた。本当に貴方って図太いというか何というか…」
信之助はゆっくりと立ち上がり背伸びをする。
「野原。
「ん? あっ、そう言うことね」
十六夜が短剣を信之助に見せると信之助はその意図を理解し、ギフトカードから刀を取り出す。
「行くぞ、野原!」
「おお!」
十六夜が短剣を上へ放り投げるとと同時に二人はジャンプする。
十六夜の拳が、信之助の刀が、空中の短剣を中心に交差する。
──合技・
瞬間、短剣は粉々に砕かれ、二人はシュタッと着地する。
「「砕いたー!!?」」
飛鳥と黒ウサギの絶叫が部屋に響いた。
久しぶりの連日投稿です。