嵐を呼ぶ問題児が異世界から来るそうですよ   作:塗る壁

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どうも塗る壁です。ある漫画の小説も書いてみたいなー、とか転生物で特典を選ぶならこれがいいなー、とか考えてたら遅くなりました。すみません。現時点では今書いてる小説が遅れるから書けないのにアイディアばかりが出てしまいます。書くとしたらどれか完結させないと……。短編に出来そうなヤツだけ今度書いてみようかな。

そんなこんなで三十四話目です。


迷宮のゲームクリアだゾ

「ふぅ、初めてにしちゃ上出来だな」

 

「合体技1号はこれに決定ね~」

 

 短剣を粉々に砕いた十六夜と信之助は二人してウンウンと頷いている。

 

「何をしでかしてくれてるんですかお二人とも!?」

 

「そうよ! 貴方達、発言と行動が矛盾してるわよ!?」

 

「合体技…私もやってみたい」

 

 途端に黒ウサギと飛鳥からツッコミが入り、耀は誰にも聞こえない小さな声で願望を口にした。

 

「大切に使うって言ったじゃないですか!」

 

 黒ウサギは涙目になりながら喚くが…

 

「おいおい、ちゃんと大切に使ったじゃねぇか?」

 

「そうそう。合体技開発の為にね」

 

「「それで壊れるのは仕方ない」」

 

「なんて強引な屁理屈!?」

 

 この二人に通用する訳がなかった。

 

「てか、そろそろ茶番も終いにしようや。黒ウサギ、このギフトゲームのクリア条件は?」

 

十六夜に聞かれ黒ウサギは、え?と呟く。

 

「それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ですが?」

 

 それを聞いた二人はニヤリと笑う。

 

「今なら2つ同時に満たせるぞ」

 

「耀ちゃん飛鳥ちゃん。少ししゃがんで」

 

 十六夜は拳を、信之助は刀の柄を握り締める。二人は様子に耀と飛鳥は慌ててしゃがむ。その瞬間、十六夜は茫然とする黒ウサギを殴り飛ばし、信之助は斬撃を飛ばし周囲の壁を切り裂いた。

 

「ちょっ、二人共!?」

 

「どうして…」

 

 予想だにしなかった二人の行動に耀と飛鳥は瞠目する。

 

「まあ見てろ。あれは黒ウサギじゃねぇし…」

 

「この迷路もただのハリボテだゾ」

 

 二人がそう言うと空間そのものに亀裂が走り、砕ける。そこには先程まで居た町並みがあった。

 

「戻って…きた?」

 

「私達は勝ったって事かしら?」

 

 急な展開に二人はついていけなかった。

 

「因みに俺がさっき殴ったのはアレだ」

 

「え…あれって!?」

 

 飛鳥が十六夜の指差す方向を見るとそこにはカラッチが倒れていた。

 

「ま、まさかさっきまで私達と一緒にいたのって…」

 

おっさん(変態)

 

 十六夜が笑いながら答え、説明する。

 

「何らかのギフトで姿を変えていたんだろうな。黒ウサギが落とし穴に落ちた時にでも入れ替わったんだろ。黒ウサギに成り済ましたヤツが妙に率先して動いていたのも迷宮の秘密がバレないよう上手く俺達を誘導し、体力を無駄に消耗させる為だろうな」

 

「十六夜君ってマジで解説キャラだね」

 

「黙ってろ」

 

「ほーい…」

 

 信之助は大人しく引き下がる。そんな時、耀が聞く。

 

「二人共、黒ウサギじゃないって気付いてたの?」

 

「ま~ねぇ、髪の色も違ったし」

 

 黒ウサギはテンションによって髪の色が変わる。感情が高ぶると緋色に変わるが、偽の黒ウサギはテンションが低いにも拘わらず緋色のままだった。

 

「それと何より決定的だったのは…」

 

 信之助の説明に十六夜が付け加える。

 

「あんまりアホ面じゃなかった事か…」

 

「「「ああ…」」」

 

 十六夜の理由に妙に納得した三人であった。その後、とある肉屋の店長がロリコンで女装癖がある変態と言う噂が流れ、その肉屋の店長が涙を流していたことを四人が知ることはなかった。

 

「そう言えば黒ウサギは?」

 

「「「あっ」」」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「あっ、黒ウサギ」

 

「あら、こんな所に居たのね」

 

「久し振りだなー黒ウサギ」

 

「そろそろ帰るゾー」

 

 カラッチからギフトゲームのチップを貰った四人は黒ウサギを見付けた。

 

「あっ、皆さん! ゲームはどうなったのです!? 勝負はついたのですか!?」

 

「ああ、俺達が勝ったぞ」

 

 慌てて聞いてくる黒ウサギに十六夜が説明した。

 

「と言うことは黒ウサギはお肉にならずに済んだのですね!?」

 

 四人の勝利を聞いた黒ウサギは歓喜と安堵の表情をする。それほどまでに嫌だったのだろう。

 

「ああ! しかもチップにスゲー物を貰ったぜ!!」

 

「凄い物!? もしや新たなギフト等ですか!?」

 

 十六夜の言う凄い物を想像してワクワクとした表情を浮かべるが…

 

「お手軽バーベキューセットだ!!」

 

「…………」

 

 予想外の物に黒ウサギは固まる。

 

「コミュニティの子供達もきっと大喜びね!」

 

「たまには肉も食わねーとな!」

 

「お腹空いたー」

 

「今日はバーベキュー♪」

 

「…………」

 

 沈黙する黒ウサギを放置し、四人は和気藹々と話す。

 

「こちらは黒ウサギの命運を賭けたと言うのにバーベキューセットって……」

 

 黒ウサギは静かに震え……

 

「もっと他になかったのですか!!? このお馬鹿様達はー!!!」

 

 火山の如く爆発した。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ノーネーム本拠地。

 

「さぁ皆さん、お肉が焼けましたよー」

 

 黒ウサギは子供達に向けてそう呼び掛ける。現在ノーネームではバーベキューをやっていた。

 

「ふむ。だがこれは焼き過ぎだ」

 

 レティシアが串に刺して焼いた肉を食べながら言う。

 

「肉はやはり血の滴る位のレアが好みなのだが」

 

「まあまあ、口の周りにソースが付いておりますよレティシア様。元魔王様がそんな事では示しがつきませんでしょう」

 

 黒ウサギはレティシアの口の周りを拭きながら言う。

 

「まぁ元魔王と言えど今じゃメイドなのだけどな…」

 

「すみません。問題児達のせいで…」

 

 今のレティシアの現状に黒ウサギは落ち込む。黒ウサギにとってレティシアは元魔王にして尊敬する先輩なのだが問題児四人衆のせいで今やメイドである。

 

「お肉の追加と飲み物を持ってきました!」

 

 そんな時、ナナリーが肉の追加とジュースやお茶などの飲み物を持ってきた。

 

「あっ、ありがとうございますナナリーさん!」

 

「いえ、これくらい何でもありません!」

 

 黒ウサギはナナリーに笑顔で応える。

 

「ナナリーやス・ノーマン・パー。二人とも働き者だな」

 

「はい♪ お二人のお陰で黒ウサギも助かっています!」

 

 黒ウサギがス・ノーマン・パーの方を見ると…

 

「いいか? ここはこうやってだな…」

 

「ありがとう!ス・ノーマン先生!」

 

「良い返事だ! ワッハッハッハ!!」

 

「ス・ノーマン先生! ここ教えて!」

 

「おお、いいぞ!」

 

 子供達に囲まれていた。ス・ノーマン・パーは子供達に人気が高く、先生と呼ばれる程なつかれていた。

 

「ナナリーさんもお肉食べませんか? 丁度良い具合に焼けてますよ」

 

「え…あ…すみません。私はまだやることがあるので。あっ、このゴミ捨てに行きますね」

 

「あ…」

 

 黒ウサギが呼び止める暇もなく、予め集めていたゴミを捨てに行ってしまった。

 

「ナナリーさん…まだあの時の事を気にしているのでしょうか」

 

 黒ウサギは落ち込みながら言う。あの時とはペスト達と戦った時の事だ。あの一件からナナリーはノーネームで引き取る事になった。だがナナリーはよく働いてくれるが黒ウサギ達と距離を取っているように思えた。

 

「それもあるだろうが…な」

 

「レティシア様?」

 

「いや、何でもない。それにしてもナナリーは末恐ろしいな」

 

「え、どうしてです?」

 

 黒ウサギはレティシアの言葉に首を傾げる。

 

「分からないか? 純血の鬼種ではないにも拘わらず、約10歳にしてあれほどの実力……黒ウサギ、これだけは断言できる」

 

 レティシアは真剣な表情で言い切った。

 

「ナナリーの才能は、私を優に越えている」

 

「……っ!」

 

 思わず黒ウサギは息を呑む。かつての力を失っているとは言え、魔王にまで登り詰めたレティシアがそう言い切ったのだ。

 

「レティシア様がそう認める程ですか…」

 

「ああ」

 

 二人の間に沈黙が流れた。その時…ガサリと音が鳴った。

 

「何者だ!」

 

 その音の原因に向けてレティシアは串を投げる。

 

「きゃあ!?」

 

 そこには一人の少女が尻餅をついていた。

 

「えっと…」

 

「……本当に何者だ?」

 

 見知らぬ少女にレティシアは首を傾げる。黒ウサギだけが驚いたように目を見開いた。

 

「あ、あなたはもしかしてあの時のっ!?」

 

 そこに居た少女の正体は肉屋のカラッチに追われていた少女だった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 そこは異質な空間だった。何処の国の文字にも当てはまらない光の文字で構成された空間。そこに“居る”存在は二つのみ。

 

「やあ、初めまして」

 

 白いワンピースの女性が話しかける。彼女は信之助を箱庭に送った張本人である。

 

「この世界の“支柱”足る君に会うのはこれが初めてだね。私の名は……“ニヒル”……とでも呼んでくれ。君に頼みがあってここに来た」

 

 ニヒルが話し掛ける“ソイツ”はニヒルの事を睨み付ける。

 

「まあ、そんな反応をされても仕方ないと思っているよ。でもこれだけは信じてくれ。私も好き好んで信之助君を箱庭に送った訳じゃない。この世界で彼女“達”を止められるのは信之助君だけだったんだ」

 

 ニヒルは俯きながら“ソイツ”に話す。

 

「もし、私に頼みを聞いてくれるなら…」

 

 ニヒルは顔を上げ“ソイツ”に告げた。

 

「私や彼女“達”の事、信之助君が宿す力と君が宿す力。そして…」

 

 ニヒルは決心した表情を浮かべ、言う。

 

「この世界の秘密。全てを君に話そう」




どうだったでしょうか?深まる謎、見えぬ目的。信之助の力や世界の秘密。いずれ明かされる日は来るのか。て言うか何時か明かさないといけないんですけどね。ではまた次回。
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