四話目は始まります。
「ジン坊っちゃん! 新しい方を連れて来ましたよー!」
そう言ながら、黒ウサギは外門前に居た少年に手を振った。
「そちらの女性二人が?」
「はい! こちらの御四人様が……あれ? あと二人居ませんでした? “俺問題児!”って殿方と“オラマイペース”って殿方が?」
黒ウサギが振り返るとそこには飛鳥と耀しか居なかった。
「十六夜君と信之助君の事? 十六夜君は“世界の果てを見てくるぜ!”と言って駆け出して行って」
「信之助は“ボーちゃんが探してた石見っけ!”って走ってった」
飛鳥と耀はそう言って、十六夜と信之助が行った方向をそれぞれ指をさす。
「何で黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」
黒ウサギは、なぜ自分に教えてくれなかったのかと叫ぶが…
「「面倒くさかったから」」
飛鳥と耀の返事を聞いて、黒ウサギは肩を落とす。
(本当にこの方達を信じてよかったのでしょうか?)
先ほどまでの決心が揺らぎかけた黒ウサギは悪くない。
「黒ウサギは問題児達を捕まえに参りますので、ジン坊っちゃんはお二人のご案内をお願いします」
立ち直った黒ウサギは髪を緋色に染め
「一刻程で戻ります! 皆さんは箱庭ライフを御堪能くださいませ!」
あっという間に三人の視界から消え去って行った。
その頃、問題児の一人信之助は…
「おっとっと。もう、オラは剣を持つのは久し振りなんだから少しは手加減してよね」
謎の鎧武者と闘っていた。
◇◇◇
少し時間を遡り。
「いやー、まさかこんなところでボーちゃんが探してたポテト型の石が見つかるとは思わなかったゾ」
信之助は、友人の一人であるボーがハンバーガー型とシェイク型の石を持っており、ポテト型の石を探していた事を思い出していた。
「ん? なんだあれ?」
すると、信之助は奥の方に社のようなのを見つけた。その社に近づいた瞬間、光が信之助を包んだ。そして信之助が目を開けると、瑞々しい木々は荒れ果てた大地に、青空は灰色の雲に覆われた空に変わっていた。
「え~。またなの~」
一日に二度も世界が変わったことに愚痴を漏らす。そして、信之助がどうしようか悩んでいると
「数百年ぶりだな。この世界に人が来るのは」
低い男の声が聞こえ、信之助は聞こえた方向に振り返ると黒い武士の鎧を着た男が立っていた。
「アンタ誰?」
「俺か? 俺はただの
「番人?」
すると信之助の目の前に一振りの刀が現れ、空から一枚の紙が降ってきた。
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ギフトゲーム“妖刀の試練”
・プレイヤー[野原 信之助]
・クリア条件 妖刀の番人ヤクモを認めさせること
・敗北条件 プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
“妖刀の番人”印
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こうして、信之助の最初のギフトゲームが始まった。
◇◇◇
「これは…少しきついゾ」
「どうした? こんなものか?」
信之助とヤクモが幾度も互いの刃をぶつけ合う。しかし、闘いは互角ではなく信之助の防戦一方。剣の腕前は完全にヤクモの方が上だった。
(しかし、よく防ぐ…)
ヤクモの剣は長い年月磨き続けた修羅神仏をも切り裂く一刀だ。本来なら二十にも届かないであろう少年が防げるものではない。
(天賦の才か…)
ヤクモは信之助の剣の才能に感心していた。
「ねえ、一つ聞いていい?」
「なんだ」
「おじさんはどうして番人なんかしてるの?」
「それは
「正しき者?」
「そうだ。…少し昔話をしよう」
昔、とある名刀があった。その刀は長い時間いろいろな人物の手に渡り、その力を振るった。
「ある日」
その刀が魔王の手に渡った。そして、その魔王はその刀を使い幾つものコミュニティを滅ぼしたのだ。
「その刀は邪な心に使われ、幾人もの血を吸い妖刀と化していた」
その刀がかつて放っていた輝きは曇ってしまった。
「その魔王は倒された。しかし…」
妖刀と化したとはいえ、長き年月その力を高め続けた刀を破壊することは出来なかった。そして、この世界に封印された。
もう二度と邪な者の手に渡らせないため。
「俺はかつて魔王を倒した者の一人だ」
魔王を倒した自分には責任がある。そう思った。
「封印したとしても何時かは解ける。それでもし邪な者の手に渡ったら罪無き者の血が大量に流れる事になる」
だから自分は残ったと、ヤクモは続ける。
「さあ! 剣を構えろ少年! お前の剣が正しきものか見せてみろ!」
「そこまで言われたら、やらない訳にはいきませんな」
剣を構え直した信之助にヤクモも剣を構える。
「いくぞ!!」
再び二人は剣をぶつけ合う。しかし、剣の腕はヤクモが上、信之助は直ぐに後手に回ってしまう。
「とお!」
信之助も負けじと反撃する。
「先ほどよりはいい。だがまだまだだ」
信之助はなんとか僅かな隙を見つけて反撃するがヤクモには届かない。
(だがいい剣だ…)
ヤクモは見た。信之助の剣、その中に込められた心を。いい剣士は剣で語ることが出来るとは誰が言ったか、ヤクモは確かに信之助の剣に強い想いが宿っているのを見た。そしてヤクモは信之助と
(
そう、互角。先ほどまでは間違いなくヤクモの方が上だった。だが現在、信之助はヤクモと剣で互角に闘っていた。
(まさか…闘いの中で成長している!?)
ヤクモが攻めれば刀身の側面に当て軌道を反らし、ヤクモが防げばフェイントを交え軌道を変える。信之助は急速な速度で成長していた。
「どうしたの? 剣が遅くなってるゾ」
「くっ!?」
(天賦の剣の才能…それ以上の戦いの才能か!?)
もちろん、ヤクモの剣が遅くなっているわけではない。信之助がヤクモの剣に対応してきているのだ。
ヤクモは信之助の底知れない才能に驚愕した。そして…
「はあ!!」
「ぐあ!?」
僅かに、だが確実に信之助の剣がヤクモの剣を越えた。
「おじさん。おじさんは一人で頑張らなくていいんだゾ」
「なん…だと?」
信之助は言う。もう頑張らなくていいと。
「おじさんの剣を通じて、おじさんの気持ちが分かったゾ。おじさんは何百年も一人で背負い続けてきた。でも一人で背負うには限界があるゾ」
信之助には家族がいた友達がいた。だからどんなことも最後まで頑張れた。
「だからここから先はオラもいるゾ!」
信之助は言う。ここからは自分も背負うと。
「っ!? …そこまで言うのならば、これを越えてみよ!!」
その瞬間、黒い霧のようなものが溢れる。ヤクモは今まで何一つギフトを使わず、自身の身体能力と剣技のみで闘っていた。だが…
「ならオラも本気でいくゾ!」
それは
「おバカパワー解放!!!」
すると信之助の右手に金色に輝く巨大な光の剣が現れ、その光の剣を中心に巨大な竜巻が巻き起こる。それは天も地も全て飲み込み世界そのものを掌握せんとでも言うかのようだった。
「「ハアアァァァァァァ!!!」」
二人はその力を同時にぶつけ合った。
◇◇◇
その頃。
「まったく。偉そうなことを言っておいてこの程度かよ?」
十六夜は滝で出会った大蛇に喧嘩を売っていた。その時。
「っ! なんだ!?」
とてつもない暴風が十六夜を襲う。そして見た。
「ハハハ、マジかよ!」
ここからずっと遠く。金色の巨大な光の柱が空を昇っていくのを。
◇◇◇
「少年。お前の勝ちだ」
決着は一瞬だった。信之助の放った光が黒い霧のようなものを飲み込み、二人が戦っていたその世界ですら吹き飛ばしてしまった。ヤクモはその光の中に信之助の可能性を見た。
「おじさん。その体」
ヤクモの体は幽霊のように透けてしまっていた。
「気にするな、ただ役目を終えただけだ。それに、俺はとうの昔に死んでいる」
ヤクモは刀を守るためにギフトを使い、魂のみを縛りつけた。しかし、役目を終えた今、ヤクモを縛っていたギフトは消えかかっている。
「礼を言うぞ、少年。これで俺は眠りにつくことが出来る」
ヤクモは信之助に礼を言うと黒いカードから一振りの刀を取り出し、信之助に渡す。
「これって?」
「それが、俺が守り続けた刀だ。きっとお前なら正しく使えるだろう」
「おじさん…」
「そんな顔するな…」
ヤクモは信之助に可能性を見た。だからこそ信之助に刀を渡したのだ。
「さらばだ。
そう言ってヤクモは消えた。
「任せて。おじさん…」
信之助は消えたヤクモに誓う。決してこの刀を間違った事には使わないと。
戦闘描写がマジでむずい。めちゃくちゃむずい。
絶対編集する。