嵐を呼ぶ問題児が異世界から来るそうですよ   作:塗る壁

40 / 46
どうも塗る壁です。二ヶ月もほったらかしで申し訳ありません。やっと試験から解放されました。そして現在、活動報告で知らせておけば良かったと後悔中です。
決してFGOにはまってたとかではありません!因みにお気に入りはモーちゃんと清姫ちゃんです!!
後、久しぶりに書くので遅くなりました。本当なら22時に終わるはずだったのに…

それでは三十八話目です。


十六夜君の戦いだゾ

「ちょっと待って下さいぃぃぃ!! 黒ウサギはあちらのノーネームの一員なのですよ!?」

 

 黒ウサギは動揺を隠せず、涙を溜めながらサーカスの団長である女性に問い掛ける。

 

「そうは言うてもなぁ…今日に限りウチでするて、そう契約したはずどすえ?」

 

 団長は苦笑を浮かべながら諭すように言う。黒ウサギは正論を言われ、口ごもる。ノーネームの5人に助けを請うように視線を向けるが…

 

「うむ良いのではないか? 面白そうだし」

 

「面白そうだな」

 

「面白そうね」

 

「面白そう」

 

「黒ウサギ、頑張れ~」

 

 問題児四人衆+1はほのぼのとしていた。信之助に至っては既に観戦する気である。

 

「このお気楽クインテットがー! 後、信之助さんは状況を理解してください!!」

 

 あまりにも状況をお気楽に考えている五人に黒ウサギが怒声を浴びせる。しかし、五人には馬の耳に念仏状態であった。

 

「まぁ、安心せい。この私が一瞬でカタを付けてやろうて…」

 

 白夜叉がそう言うとその身から魔王の覇気が漏れ出す、が…

 

「はいはい貴女は大人しく見てましょうね!」

 

「どうせセクハラしたいだけなんでしょ…」

 

 決めるだけ決めて白夜叉が何をしようとしているのか察した飛鳥と耀に場外へと連れ出される。

 

「ほうほう。じゃ、十六夜君よろしく~」

 

「何だ、結局俺か?」

 

「だってめんどいし」

 

「この野郎…まぁいいか」

 

 十六夜は頭を掻きながら黒ウサギに向き直る。十六夜と戦う流れに黒ウサギが焦り始める。

 

「待って下さい! 黒ウサギは嫌です! 十六夜さんと戦ったら…」

 

 その時、黒ウサギは自分を振り回す十六夜の姿が鮮明に想像出来た。

 

(バターにされる! せめて手加減してくれそうな信之助さんだったら「途中から声に出てんぞ」え!?」

 

 黒ウサギは自分が思っている事が声に出ている事に気付き、サーっと青ざめる。

 

「お前は俺を何だと思ってんだよ」

 

「いえ、それは…あっ! わざと負けちゃえばいいんですよね! そうすればわざわざ十六夜さんと戦わなくても…へ?」

 

 名案だとばかり黒ウサギは十六夜へと向き直る瞬間、側にあった剣を引き抜き十六夜へと向けた。

 

「あ、あれ? 体が勝手に!?」

 

「まぁ、落ち着け駄ウサギ」

 

 勝手に動いた自身の体に黒ウサギは動揺する。十六夜は動揺する黒ウサギにいつになく爽やかな笑顔を向ける。

 

「……日頃の憂さ晴らしがしたいんだよな?」

 

「ち、違うんですー!!」

 

 黒ウサギは涙を流しながら剣を十六夜へと振り落とした。

 

──────────────────────

 

 第一戦目“トリックスター”黒ウサギVS“ノーネーム”逆廻 十六夜

 

 リングアウトもしくは戦闘不能にさせた側の勝利

 

──────────────────────

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「おー。初っぱなから派手ですな~」

 

「相変わらず貴方は能天気ね。それにしても客席の人達も勝手に賭博を始めたみたいだし、客席の方は下卑た奴らしか居ないみたいね」

 

 能天気な事を言う信之助に呆れながら、飛鳥は冷めた目でどちらに賭けるか騒ぎ始めた客席を見ていると…

 

「おい! 耀じゃねーか! お前ら何でいるんだよ!?」

 

「ヤホホ! 皆様こんばんわ!」

 

「アーシャ! ジャック!?」

 

 耀達に声を掛けてきたのは“ウィル・オ・ウィスプ”所属のアーシャとジャックであった。

 

「貴女達こそどうしてここに?」

 

「私達は得意先に誘われたから付き合いで来ただけ」

 

 耀の疑問にアーシャが説明する。

 

「しかし我々は賭事に興味がないので早々に帰ろうと思っていたところでして」

 

「そしたら、お前等が出て来るもんだからこっちが驚いたっての! …しかし見事にカモられたな、お前等」

 

 アーシャは真剣な表情で耀達を見据えながら言う。

 

「このギフトゲームに負けたコミュニティはサーカスに吸収されちまうってのによ!」

 

「っ!?」

 

 アーシャとジャックは一通り説明するとテントから出ていった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「い、十六夜さん避けてください! 黒ウサギは仲間を傷付けたくないですよ!!」

 

 涙を流しながらも黒ウサギは十六夜に向けて幾度も剣を振るう。意に反した動きをする自分の体に恐怖を覚える。そして、ついには剣の先が十六夜の二の腕をかすり、血を流す。

 

「十六夜さん!?」

 

「チッ!」

 

 十六夜は二の腕を押さえ、舌打ちをする。

 十六夜の数少ない弱点と言えば、その規格外とも言うべき力ゆえに狭い空間では実力が制限され、狭い空間での戦闘に慣れていないことである。ましてや、腕力や耐久力は十六夜が上でも脚力や瞬発力はほぼ互角。黒ウサギの攻撃を避け続けるのは十六夜でも至難の業であった。

 十六夜が知る限りこの空間で黒ウサギを無傷であしらい無力化出来るのは信之助ぐらいのもの。

 

「ごめんなさい、十六夜さん! 黒ウサギが容姿端麗鉄心石腸完全無欠なばっかりにぃぃ!」

 

「やっぱり憂さ晴らししたいだけだろお前」

 

 泣きながらもさりげなく自慢する黒ウサギに十六夜は呆れ果てた。そんな十六夜を見た黒ウサギは慌てて弁解する。

 

「違いますって! 本当に体が勝手に動くのですよ! まるで糸で操られてるかの様に!?」

 

 黒ウサギの言葉を聞いた途端、十六夜の脳裏に一つの可能性が浮かび上がる。密かに視線をトリックスターの団長へと動かすと団長はクスリと、微笑を浮かべていた。

 

「……黒ウサギ、殺されはしねぇから本気で来てみろよ!」

 

「ファッ!?」

 

 突如の十六夜の本気でかかってこい発言に黒ウサギは驚愕と共に奇声を挙げる。

 

「安心しろ! 後で怒ったりしないから!!」

 

 そう笑って親指を立てる十六夜だが、黒ウサギには見えた。十六夜が今思い浮かんでいるであろうお仕置き(BBQ)される自分の姿を。

 

「怒る気満々じゃないですか!? それに黒ウサギが本気になれば十六夜さんだってタダじゃ…」

 

 拒否しようとした瞬間、石ころが第三宇宙速度で顔の横を横切った。圧倒的な速度で飛んでったそれは後方の観客席に激突し轟音を響かせながら粉々に砕いた。あまりの突然の事に驚愕を通り越して茫然としてしまう。そんな黒ウサギを見ながら十六夜は凶悪な笑みを浮かべた。

 

(力比べなら負けねぇ!!)

 

 黒ウサギは青ざめながら悟る。本気で行かないと死ぬ!!と。腹をくくった黒ウサギは剣を投げ捨てる。

 

「わ、分かりました。ではお互い恨みっこ無しという事で…」

 

 そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「“月の兎”が持つ脚力の真骨頂、見せて差し上げます!!!」

 

 瞬間、黒ウサギの蹴りが十六夜に叩き込まれる。瞬時に両腕でガードするがそれでも抑えきれずに吹っ飛ばされる。いや、それよりも優先すべき事があった。

 

「おいどういう事だ白夜叉ァ!! 間近で蹴られてもスカートの中が見えねーぞ!!!」

 

「それに関しては言うておろう。そういう風に作られた衣装なのだ。よいか…」

 

 十六夜の怒声に白夜叉が呆れつつも諭すように答える。

 

「見えてしまえば下品な下着も、見えなければ芸術だッ!!」

 

「もう黙ってて下さい!この駄神様あぁぁ!!!」

 

 ドヤ顔で自信満々で言う白夜叉に黒ウサギの罵声と怒声が飛ぶ。黒ウサギと十六夜は再び攻撃を交える。その時の二人は互いに楽しそうな笑みを浮かべていた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「ワッハッハ! それにしても十六夜と黒ウサギ、この二人の戦いはなかなかの名勝負じゃのう! 思わず血が騒ぐわい!!」

 

「やれやれ、二人とも子供ですな~」

 

 両者一歩も譲らぬ戦いを見て白夜叉は獰猛な笑みを浮かべる。白夜叉も普段は温厚と言えど、かつては闘争を楽しんだ身。二人の戦いを見て血が騒ぐのも仕方なかった。

 

「確かに、戦いを楽しむあの顔は子供とも言えるな。だが戦いを楽しむとはそういうもの。なあ信之助よ、お主も血が騒ぐだろう?」

 

 白夜叉は獰猛な笑みを浮かべたまま信之助に話を振るが…

 

「ん? いや、別に」

 

 信之助は何でもなさそうにあっけらかんと答えた。

 

「なんじゃ、つまらん。お主も男ならこう、早く戦いたいとかあの二人と戦ってみたいとかあるじゃろうが」

 

「えー。だって面倒だし」

 

 面倒くさそうに答える信之助を見て、白夜叉は怪訝な顔をする。

 

「信之助よ。お主は幾つもの戦いを勝ち抜いて来たと聞いたが、戦いを楽しんだ事はあるのか?」

 

「ん~、特にないかも。あっ、勝った時は嬉しかったっけ」

 

 白夜叉は先程からの違和感に気付いた。信之助は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 信之助は勝利を喜んだり、戦える事が嬉しかったりと人並みの感情はあるものの、戦いそのものを楽しむ事をしたことが無いのだ。それには2つの原因があった。

 一つ目が信之助の性格である。元々信之助は戦いを好まない、と言うよりは勝ち負けに関心が少ない。良く言えば潔い、悪く言えば興味がない。信之助は戦いを楽しむという事が無かったのだ。

 二つ目の原因は今までの戦いである。基本は勝ち負けに関心が少ないそんな信之助だが、例外がある。それは今まで幾度も越えてきた負けられない戦い。その戦いの時には信之助は必死で勝とうとする。だが、その戦いには戦いを楽しむ余裕もない、そもそも楽しめるような戦いでは無かった。

 

 白夜叉は理解した。信之助がどうして戦いを楽しむ事をしないのか。

 

「……信之助よ」

 

「何?」

 

「お主、今いくつじゃ…」

 

「いきなり何?オラは今、ピッチピッチの16歳だゾ」

 

「16かぁ…若いのう」

 

 若い、若すぎる。とてもじゃないが世界の命運をかけて戦う歳ではない。信之助の話では信之助は一人ではなかった。共に戦ってくれる者、共に背負ってくれる者に信之助は恵まれた。だが、()()()()()()()()()()()()はこの少年から戦いを楽しむという選択を無くさせた。いや、信之助の性格から元々無かったのかもしれない。だが、今とは違ったものへとなっていたはずだ。

 

「信之助よ。もしも、お主を心の底から戦いを楽しませる者が現れたらどうする?」

 

 白夜叉は穏やかであるながらも鋭さを備えた声で信之助に問う。信之助はそんな白夜叉の問いに自らの答えを出した。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「この黒ウサギの力。どうですか十六夜さん」

 

「ああ中々効いたぜ」

 

 十六夜と黒ウサギ、両者共に獰猛な笑みを浮かべながらも睨み合う。

 

「YES! 黒ウサギも久々に全力が出せて気分爽快なのですよ♪ 次で決めちゃいますけどね!」

 

「望むところだ!!」

 

 二人は同時に突進する。黒ウサギの渾身の飛び蹴りに十六夜の拳が激突する。凄まじい速度と力でぶつかり合った()()は、観客席の客を吹き飛ばす程の桁違いの衝撃を撒き散らす。その結果…

 

「両者共にリングアウト…この勝負、引き分けどす!!!」

 

 団長は舌打ちをしながらも戦いの結果を告げる。

 

 第一戦目はこうして終わりを迎える。そして、戦いは第二戦目へと受け継がれた。




皆様にお知らせです。現在、連載している小説について変更があります。詳しくは活動報告、それぞれの小説について3です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。