四十一話目です!
ドロドロとしたグロテスクな
「申し訳ありませんが、貴方の出番はありませんよ。私は……もう、負けない。貴方がどんなものであったとしても決して……」
強固な意思を秘めた眼で、ナナリーはその何かを睨む。それはニタリと笑みを深め、静かに奥底へと沈んでいく。
◇◇◇
ナナリーは、深く息を吸い吐き出した。
「百骨兵!」
突如、出現する100体の骨の兵が一斉に泥の人形に襲い掛かる。
「これが、信之助が言っていた……」
「す、すごい……!」
レティシアとジンは信之助から聞いていたナナリーの能力を思い出していた。
骨を吸い、自らの糧にすると同時に自在に操る能力。それがナナリーが持つ吸骨鬼としての能力だった。
(私には足りないもの多すぎる……)
ナナリーは今までの戦いから理解していた。
ナナリーには信之助のような馬鹿げた技術はない。十六夜のような桁外れの身体能力も耀のような数多くの能力も飛鳥のように全てを従えるような力も、ナナリーにはない。この状況を打破するためにはナナリーにはまだ足りないものが多い。
ナナリーにあるのは骨を吸い、骨を操ることのみ。
(……ならばどうするか)
ナナリーは構えつつ、思考を加速させる。
◇◇◇
(……これは!?)
その違和感に気付いたのはレティシアだった。
レティシアの周りには無数の敵と建物が並んでいる。今こそ、ナナリーが召喚した100体もの骨の兵が共に戦っているがそれでも400体以上の戦力差、おまけに広めの通りとは言え建物に囲まれた状態だ。そんな場所でこの数と戦えば多少なりとも戦いにくくなるはず。それなのにレティシアは普段と変わらず戦えていた。
レティシアは再び周囲の様子を見て、気付いた。
(まさか……ナナリー、お前は……!)
レティシアが驚愕しているのを他所にナナリーは思考する。
(ここにある建物の位置、形。周囲の地形、気候……)
話は変わるがナナリーの能力の一つ【百骨兵】について説明しよう。【百骨兵】はナナリーのギフトによって、
(味方の位置、状態、能力、行動、数……)
マニュアルモードである。
考えてもみよう……通常、人間は体一つしか操る事が出来ない、それは吸骨鬼もしかり。それが百もの体を操るためにどれ程の体力と集中力を必要とするか、想像しがたい。だがレティシアが驚愕したのはそこではなかった……。
(敵の位置、状態、能力、行動、数……)
問題児四人衆と比べればナナリー・コツバーンのギフトは大したものではないだろう。ナナリーには足りないものが多すぎる、力も技も経験も、だがないものはない。ならば……足りないものがあるならば……
「……把握、完了」
周囲の情報、味方の情報、敵の情報、ナナリーは今ある全てを把握する。
圧倒的なまでの把握能力と処理能力、それこそが吸骨姫ナナリー・コツバーンの真骨頂。
(これは……)
レティシアはナナリーの様子を見ていて、確信する。
(まさにこれは盤上の敵・味方全てを動かす女王の資質!!!)
「……チェックメイトです」
「なっ!?」
ナナリーのその呟きともにレティシアは気付く。先程まで居た周囲の敵は排除され、自分達を守るように骨の兵が並んでいる。
「十骨長!」
そして……それは起きた。並んでいた骨の兵がバラけ、再び集まっていく。現れたのは10体の骨の巨人。もし、
ナナリーはただ、静かに命令する。
「……薙ぎ払え」
それらは凄まじい速度と力、技を持って──蹂躙する。
「……申し訳ありません、レティシアさん、ジンさん。少々……」
静かに瓦礫を見下ろすその姿、まさに──
「やり過ぎました……」
女王の如く。
◇◇◇
第四戦目
“トリックスター”団長VS“ノーネーム”野原 信之助
遂に始まった最高戦力同士の戦い。そして、信之助は……
「信之助……真面目にやって……!」
「まったく貴方はいつもいつも……」
「この大お馬鹿様~~!!」
「本当におんしは時と場所を選ばんな……」
味方側の女性陣からブーイングを受けていた。
「も~、ちょっとした冗談なのに~」
「だから真面目にやれと言ってる(のよ・んですよ・のじゃ)!!」
「まぁいいじゃねぇか。野原らしくて」
女性陣が信之助に鋭いツッコミを入れ、十六夜が呆れたように言う。
「……なんや面白い子やな~」
「いやーそれほどでも~」
「「「「「褒めてない褒めてない」」」」」
団長が苦笑すると信之助が照れたように頭をかく。それに対する5人のツッコミの息の合いようはなかなかのものだったという。
「面白いもの見せてくれたお礼に一つ忠告したるわ」
「お?」
団長は不敵な笑みを浮かべ、信之助に告げる。
「キミは絶対、私には勝てません。これは予言どす。こちらの攻撃を防ぐ事はおろか、私にダメージすら与える事すら出来ずに負ける」
「ほうほう。自信まんまんのようですな~」
信之助がどこか他人事のように呟くと、同時に団長は手に持っていたムチを信之助に向けて振るう。
「うお!? あぶなッ」
「えらい呑気やな~キミィ。まさか、自分が負ける筈がないとでも思っとるん?」
団長は信之助を睨み付けると、その手に持つムチを幾度も信之助に向けて振るう。だが……
「よっ、ほっ、はっ! フンフフーン♪」
団長が振るう全ての攻撃を、音速すらも超える攻撃をまるで踊るように動き避けていく。その様子に観客達も盛り上がる。
「おい、あのガキ結構スゲーぞ」
「いいぞーもっとやれー!!」
盛り上がる観客や団長を余裕で相手取る信之助を見ながらノーネームの面々を感心した。
「やっぱり何時見ても凄いわね」
「うん。いつもふざけてるけど信之助、余裕で避けてる」
「は、はい。黒ウサギも信之助さんには何時も驚かされます! ……もう少し真面目だったら良かったのですけど」
「黒ウサギって苦労してるのね……」
「かわいそう……」
「だったら御二人も協力してください!」
「「断る」」
「なぜ!?」
「…………」
「どうした十六夜?」
漫才を繰り広げる三人を他所に十六夜は信之助の戦いを観察していた。そんな十六夜が気になり、白夜叉は十六夜に話し掛ける。すると十六夜は不機嫌そうに答えた。
「別に、野原ならあの程度は遊びにもならねぇからな。驚く程じゃねぇ。ただ……
「む?」
十六夜の答えに白夜叉も再び信之助の戦いへと目を向ける。団長は愚直なまでに信之助への攻撃を繰り返していた、だが全て避けられているにも拘らず、団長から余裕の笑みは消えていない。
「アイツは野原の実力が分からねえ馬鹿とは思えねえ。にも拘らず焦ってねえのは余程自分の力に自信があるのか、あるいは
「いった!?」
「「ッ!?」」
突然の声にノーネーム全員の視線が信之助に集中する。見れば信之助は血に濡れた自分の肩を押さえていた。
「……え? うそでしょ?
「ううん、違うよ飛鳥……」
突然の事に茫然とする飛鳥の言葉を優れた動体視力を持つ耀は即座に否定する。耀も今起こった事実が信じられないようで声が震えている。耀に代わって黒ウサギが答えた。
「はい。信之助さんは先程の攻撃を
「チッ! 嫌な予感が当たりやがった」
完璧に避けたにも拘らず、傷を負った信之助。痛みに顔を歪める信之助に向けて団長は不敵に笑う。
「よく頑張りましたな~。でも──もう終わりにさせてもらいます」
久しぶりに書いたので変な所もあるかもしれません。遠慮なくご報告下さい。
ちなみに明らかになったナナリーの実力ですがもしナナリーが信之助との因縁がなかったりや冷静だったらペストとのギフトゲームは大分変わっていました。そしてナナちゃんにとって、戦う際最も相性が悪いのが信之助だったりします。
ぶっちゃけた話 Lv.20ぐらいのみず・ひこうポケモンでLv.80以上のでんきポケモンに挑むようなもんです。
ご感想おまちしております。