七話目です
ギフトゲーム“ハンティング”
・プレイヤー
[久遠 飛鳥]
[春日部 耀]
[ジン=ラッセル]
・クリア条件
ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐
・クリア方法
ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は契約によってガルド=ガスパーを傷付ける事は不可能。
・敗北条件
降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。
・指定武具
ゲームテリトリーにて配置。
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、ノーネームはギフトゲームに参加します。
“フォレス・ガロ”印
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「これはまずいです!」
ジンが悲鳴のような声を上げる。
「このゲームはそんなに危険なの?」
「ゲームそのものは単純ですが、このルールでは飛鳥さんが操ることも耀さんが傷付けることもできないのです。簡単に言えば、決まった武器以外ではこのゲームをクリアすることができません」
飛鳥な聞かれた黒ウサギが苦悶を表情で言った。
「ほう。確かにそれは厄介ですな」
「ええ、このまま戦えば厳しいかもしれない」
「でも、大丈夫かも。信之助のおかげで」
春日部が何かを思い出したように信之助を見る。それは今から数十分前。
「ねえ、黒ウサギ」
「何ですか?」
信之助が黒ウサギに聞く。
「ギフトゲームが始まる前にギフトを与えるのはあり?」
「ええ。出来ますが…」
「わかった。ありがとね、黒ウサギ」
信之助が黒ウサギにお礼を言うとこれからギフトゲームをする耀と飛鳥とジンの三人を呼んだ。
「何かしら? 信之助君」
「用があるなら早く言って」
「どうしました?」
信之助に呼ばれ三人が来ると、信之助はギフトカードから曇天丸を取り出した。
「し、信之助さん何を!?」
「大丈夫だって黒ウサギ。ちょっと見ててね」
信之助が鞘から少し抜くと刀身から灰色の雲が現れ三人を包み込んだ。
「きゃ!」
「何!?」
「わ!?」
しかし、三人を包み込むと雲はすぐに霧のように消えた。
「け、結局なんだったのですか?」
「そうよ、突然! 説明しなさい!」
「私も…」
いきなり雲に覆われ、かと思えばすぐに消えた雲にジンは困惑し、信之助の行動に残る二人は不機嫌そうに言った。
「ごめん、ごめん。ちょっと驚かせたくて、今から説明するゾ」
そして信之助は先ほどの雲の事を説明し始めた。
「今のは元々、曇天丸に宿る曇りの性質の一つ
「守る?」
「力?」
「曇りに守る力があるのですか?」
信之助の言葉に飛鳥、耀、ジンは疑問に思う。
「あるゾ。曇りはオラ達を守ってくれるゾ」
信之助は続ける。ヤクモと闘った時ヤクモは言った、正しき事に使ってくれと。信之助はそれを聞いたとき思ったのだ、この刀には守る力が眠っているのではと。
そもそも天候に善も悪もない、それを悪用するものが悪いのだ。曇りは現れる時、空を覆う。だからなのか曇りには悪い印象があるものが多い。しかし逆に考えてみよう、もし曇りが無かったら?雨はなかなか降ってこず、晴ればかりが続く事になる。そうなれば動物や植物、池や川が干からびることになる。それは既に災害でしかない。
「曇りがあるから、天気のバランスが保たれるんだゾ」
晴れだけでも雨だけでも災害になりうる。晴れと雨、二つの天候の中間であり、どちらにもなりうる天気。それが曇り。
「だからこそ曇天丸の雲は覆うことで敵を閉じ込めたり動きを封じたりできるけど覆うことで守ったりできる加護を与えたりできるんだゾ。ごめんね、手出ししないでって言われたけど手助けぐらいはさせて欲しいゾ」
友達だから、と信之助は言う。飛鳥や耀も珍しい信之助の真面目な態度に頷いた。
「不本意だけどそこまで言うのならわかったわ」
「私も不本意だけどわかったよ」
「ありがとうございます。信之助さん」
こうして三人には一時的に曇天丸の加護が与えられた。この加護のおかげで三人は怪我することなく無事ギフトゲームをクリアした。
◇◇◇
ギフトゲームをクリアした後、十六夜とジンが名や旗をフォレス・ガロに奪われたコミュニティに恩を売るために返しに行った。そして
「飛鳥ちゃんに耀ちゃん、お帰り大丈夫だった?」
「ええ。大丈夫だったわよ」
「危ない所はあったけど、信之助のおかげで無事だった」
「そっか、よかった~。あっ」
飛鳥や耀が無事なのを知り、ほっとしていると信之助は思い出したように言った。
「何?」
「どうしたの?」
「別に大したことじゃないゾ」
そして信之助は飛鳥と耀に近付き、笑顔で言った。
「二人ともお疲れ様。よくがんばった!」
「「っ!」」
それは飛鳥にとっては初めてかもしれない、耀にとっては久しぶりの言葉。がんばったね、たったそれだけの言葉。しかしその言葉は、二人の心に染み込んでいった。
「べ、別にこれくらい」
「普通」
「あれ、どうしたの? 顔が赤いゾ? もしかして照れてるの?」
「「うるさい!!」」
「うお!?」
信之助に顔が赤いと言われ、飛鳥は信之助の頬にパンチを耀は腹に向けてキックをくらわせようとするが簡単に避けられてしまう。
「二人とも、いきなり何するの!?」
「うるさい!」
「黙って殴られなさい!」
そして、しばらく追いかけっこが続く事になるのであった。
◇◇◇
「ゲームが延期?」
「はい…どうやら巨額の買い手が付いてしまって、このまま中止の線もあり得るそうです」
その夜、十六夜はジンに仲間を取り戻すためにとあるギフトゲームに参加する約束をしていたのだが、黒ウサギからゲームが中止になるかもしれないと聞かされていた。
「所詮は売買組織ってことかよ。エンターテイナーとしちゃ五流もいいとこだ」
「仕方がないですよ。サウザンドアイズは群体コミュニティです。双女神の看板に傷が付く事も気にならないほどのお金やギフトを得れば、ゲームの撤回ぐらいやるでしょう」
達観したように言うが黒ウサギは内心では悔しく感じていた。せっかくのチャンスを潰されたのだ、当然の事だろう。
「ところでその仲間ってのはどんな奴なんだ?」
「スーパープラチナブロンドの超美人さんです! 加えて思慮深く黒ウサギより先輩で、近くに居るのなら一度お話ししたかったのですが…」
十六夜に聞かれ、黒ウサギはその仲間の事を本当に尊敬しているように誉めまくる。
「おや、嬉しい事を言ってくれるじゃないか」
その時、少女の声が聞こえた。二人が窓の方を見ると、にこやかに笑う金髪の少女がいた。
「レ、レティシア様!?」
「様はよせ。今の私は他人に所有される身分。箱庭の貴族ともあろうものが、敬意を払っていては笑われるぞ」
黒ウサギにレティシアと呼ばれた少女は苦笑しながら談話室に入ってきた。
「レティシア様はどうしてここに?」
「黒ウサギ達がノーネームとしてコミュニティの再建を掲げたと聞いてな、コミュニティを解散するように説得するために来たのだ」
ノーネームとしてのコミュニティの再建、それがどれ程の茨の道かレティシアには分かっていたのだ。
「しかし、ようやくお前達と接触する機会を得た時、看過できぬ話を耳にした」
「それが俺達か」
「そうだ」
看過できぬ話、それは異世界から来た信之助達の事である。
「そこで私は一つ試したくなったのだ。その新人達がコミュニティを救えるだけの力を秘めているのか」
しかし、とレティシアは続ける。
「ゲームに参加した彼女達は青い果実で判断に困る。残り二人もゲームに参加していないから分からなかった。私としてはあの黒き剣帝ヤクモに勝ったと言う野原 信之助を見てみたかったがな」
「お前もヤクモってやつを知っているのか?」
「何、昔に少しな」
十六夜に聞かれ、苦笑しながらはぐらかすが彼女は少し懐かしそうだった。
「そうかよ。まあ、とにかくお前はノーネームが今後、自立した組織としてやっていける姿を見て安心したかっただけだろ」
「そうかもしれないな」
飛鳥と耀はまだまだ原石。信之助と十六夜は話には聞いているがこの目で確かめていないため未知数。だからレティシアは仲間の将来を安心して託すことができない。
「その不安、払う方法があるぜ」
「何?」
「簡単だ。アンタ自身が試せばいい。どうだい元魔王様?」
これが英雄の末裔との戦いが始まる前の序章。そして英雄の末裔との戦いは、一年前の因縁の復活。その始まりであった。
どうも塗る壁です。
前半で信之助がフラグをたてました。本当はもっといろいろとやりたかったのですが長々とやっているとどうも変になってしまうので、シンプルがベスト、ということでこんなになってしまいました。これでいいと言う方はニヤニヤしましょう。ダメと言うかたは、すみませんでした!!!
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