嵐を呼ぶ問題児が異世界から来るそうですよ   作:塗る壁

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どうも塗る壁です


八話目です。


吸血鬼をお助けするゾ

「それじゃあ、始めようか」

 

 十六夜が上空に居るレティシアに向け不敵に笑う。

 

「ああ。ルールは双方が一撃ずつ撃ち合い、そして受け合う」

 

「それで立っていたものの勝ち。シンプルでいいな」

 

 現在、十六夜がレティシアに魔王を相手に戦えるかレティシア自身で試せばいいと言い放ち十六夜とレティシアによる決闘が開始されていた。

 まずレティシアが金と紅と黒のコントラストのギフトカードから槍を取り出した。

 

「悪いが先手は譲ってもらうぞ」

 

 取り出した槍を掲げると。

 

「ハア!!!」

 

 怒号と共に十六夜へ向け投擲した。

 

「しゃらくせぇ!」

 

 しかし、十六夜は笑う。右拳を握り締め、その槍へと()()()()()()()()()()()()

 

「「は!?」」

 

 レティシアと黒ウサギはその光景を目撃し、驚愕する。

 

(まずい!)

 

 そして砕かれ鉄塊となった槍は無数の凶器となって彼女に向けられた。しかし彼女はこの無数の凶器を受けることも避けることもできなかった。

 

「レティシア様!」

 

 間一髪黒ウサギが鉄塊を払い落とし、レティシアを救出する。そして黒ウサギはレティシアから掠め取ったギフトカードを見て、震える声で言った。

 

「ギフトネーム【純潔の吸血姫(ロード・オブ・ヴァンパイア)】。やっぱり、ギフトネームが変わっている。鬼種は残っているものの、神格が残っていない。これではかつての十分の一程度しかありません」

 

「道理で歯ごたえが無いわけだ。他人に所有されたらギフトまで奪われるのかよ」

 

「いいえ…」

 

 十六夜の疑問を黒ウサギが否定する。

 

「魔王が奪ったのは人材であってギフトではありません。武具等と違って自身に宿る恩恵は魂の一部。合意なしにギフトを奪う事は出来ません。レティシア様、どうしてこんなことに」

 

「それは…」

 

 レティシアは黒ウサギに質問されるが口を閉ざし俯いてしまう。そして遠方から褐色の光が来ている事に気付く。

 

()()()()()()()!? まずい、見つかった!」

 

 レティシアは光から庇うように二人の前に立ち塞がり、黒ウサギが悲痛の叫びを上げる。

 

「駄目です! 避けてださいレティシア様!」

 

 だが、褐色の光を受けようとしていたレティシアの前に何者かが立ち塞がり、迫っていた褐色の光を斬り裂き消滅させた。

 

「なっ!?」

 

 レティシアは突然の事に驚愕し、黒ウサギがその何者かに気付いた。

 

「し、信之助さん!?」

 

「よっ、黒ウサギ」

 

 レティシアを助けた何者かは信之助であった。

 

「いたぞ! 吸血鬼は…石化していない!? なぜだ!?」

 

「急いで捕獲するぞ!」

 

「例のノーネームもいるようたがどうする!?」

 

「邪魔するようなら斬り捨てろ!」

 

 その時、騎士風の男達が大挙して押し寄せてきた。

 

「いかん! 逃げろ!」

 

 騎士達に気付いたレティシアは三人に逃げるように叫ぶ。

 

「ねえねえ。あの人達って黒ウサギの知り合い?」

 

「い、いえ。違います」

 

「呑気に話してる場合か!? 早く!」

 

「それじゃあ。不法侵入だよね?」

 

 そして信之助は騎士達が黒ウサギの知り合いであるかを確認すると刀から大量の雲を出し、大勢の騎士達を覆っていく。

 

「なんだ!? これは!?」

 

「貴様! 我等をペルセウスと知っての狼藉か!」

 

 騎士達は雲の原因である信之助に次々と罵声を浴びせるが、そんなことで動じる信之助ではない。

 

「いやー、おじさん達が勝手に入ってきたのが悪いんじゃないの? それに女の子一人によってかかって大人げないゾ」

 

 信之助は騎士達の方が悪いと言うがペルセウス達はそれを認めない。

 

「黙れ! 名無しなどに礼を尽くしては、我等の旗に傷が付くわ!」

 

「その吸血鬼は既に箱庭の外のコミュニティに売り払うことが決まっている」

 

「箱庭の外ですって!?」

 

 騎士の一人の言葉を黒ウサギは聞き逃さなかった。

 

「ヴァンパイアは箱庭の中でしか太陽の光をうけられないのですよ!? そのヴァンパイアを箱庭の外に連れ出すなんて!」

 

「我等の首領が決めたことだ。部外者は黙っていろ」

 

「我等に意見するなど身の程を知れ名無し風情が!」

 

 騎士達は黒ウサギに怒声を上げる。数々の侮辱に我慢仕切れなくなった黒ウサギは右腕を掲げる。

 

「あり得ないのですよ。天真爛漫にして温厚篤実、献身の象徴とまで「自分のことをそこまでいいますか」謳われた月の兎をこれほどまで怒らせるなんて!」

 

 さすがに完全に頭にきている黒ウサギに信之助の言葉は届かなかった。そして雷鳴のような爆音が支配し、右手には閃光のように輝く槍が現れる。

 

「おー。なんかバチバチしたのが出てきたゾ」

 

「雷鳴と共に現れるギフト!? まさか、インドラの武具!?」

 

「ありえん! 名無し風情が神格を武具を持つはずが!?」

 

「本物のはずが無い!」

 

 騎士達は目の前の光景に驚愕した。

 

「本物かどうかはその身で確かめるがいいでしょう!」

 

 黒ウサギが空中で捕らえられている騎士達に向け槍を撃ちだそうとすると十六夜が黒ウサギの耳を引っ張った。

 

「フギャ!?」

 

「落ち着けよ。そんなのここで使ったら周りにも被害がいくだろうが。ていうかさっきから俺をほったらかしで何してんだ!」

 

「居たの? 十六夜君」

 

「さっきからずっと居ただろうが!」

 

「いやー。すっかり忘れてたゾ。そんなに構って欲しかったの?」

 

「ちげぇよ! てか野原、お前わざとやってるだろう?」

 

「痛いです、十六夜さん! 黒ウサギの耳を引っ張ったまま話さないでください! ていうか何時まで引っ張ってるんですか!?」

 

 黒ウサギの叫びを二人は無視して続ける。

 

「それでどうする? この人達。警察に連れていく?」

 

「いや、そいつらは交渉に使う。そのまま拘束しといてくれ」

 

「わかったゾ」

 

「いい加減離してください!!」

 

 黒ウサギの苦労はまだまだ続く。そして…

 

「あの……私は?」

 

 置いていかれたレティシアであった。




やばい。少しスランプ気味だ。

今回は短めで(いつも短い)、すみませんでした。
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