嵐を呼ぶ問題児が異世界から来るそうですよ   作:塗る壁

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どうも自分の文才の無さに呆れている塗る壁です。


九話目ですよ


英雄の末裔に出会うゾ

 信之助達に置いていかれたレティシアは、信之助の峰打ちによって気絶し雲で拘束されているペルセウスの騎士達と共に居た。

 

(あれが、ヤクモに勝った野原 信之助か……)

 

 レティシアは先ほどの信之助を思い出す。

 一瞬の出来事だった上にすぐさまやって来た騎士達のせいで別の事に気を取られてしまったが、あの少年が光を斬り裂いた時に垣間見た。

 十六夜と同じくあの少年の桁外れの才能に。

 

(あの少年なら納得できる……)

 

 白夜叉に、新人の中にあのヤクモに勝った者がいると聞いたときは信じられなかった。

 何故なら、白夜叉は知らないが自分もヤクモと闘った事があるからだ。レティシアは目を閉じ、あの日の事を思い出す。

 まだ自分が魔王と呼ばれていた頃の話。

 

<俺の負けだ>

 

<何?>

 

 突如、ヤクモは魔王と呼ばれていた自分に挑んできた。しかし、ヤクモはまだ闘えるにも関わらず自分から負けを宣言したのだ。

 

<どういうつもりだ? まだ大して闘っていないだろう?>

 

<俺はお前を魔王だと思っていた>

 

<そうだ。私は魔王だ>

 

<俺にとっての魔王とは、自らの快楽の為に罪無き者力無き者を傷付ける者の事だ。しかし、お前は俺の知る魔王ではない。俺は魔王を倒すと決めている。故に魔王では無いものを魔王と思い、挑んだ俺は負けなのだ>

 

<私が魔王ではない?>

 

<俺はお前に固い意志を感じた、それは俺の知る魔王は持ち合わせないものだ。つまりお前が魔王となったのには訳がある>

 

<………>

 

<俺にはお前を縛り付けているものをどうすることも出来ない。だが必ず、お前を縛り付けているものから解放してくれる者が現れるはずだ>

 

<その根拠はどこから来る?>

 

<勘だ>

 

<……勘か>

 

 思い出す。かつて交わした会話を。

 

(思えば、変わった男だったな)

 

 魔王である自分を魔王ではないと言い、開放してくれる者が現れると言った男。あの後、その男はとある魔王を倒し姿を消した。

 

(もし、あの闘いが続いていたらどっちが勝ったか…)

 

 ヤクモは強かった。そして、そのヤクモに勝ったと言う少年。

 

(野原 信之助。見せてもらうぞ、お前の力)

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 その頃、信之助達はサウザンドアイズに居た。

 

「噂には聞いていたけど、本当に東側にウサギがいるなんて思わなかった! つーかミニスカにガーターソックスって随分エロいな! 君、うちのコミュニティに来いよ。三食首輪付きで毎晩可愛がるぜ?」

 

 蛇皮の上着を着た男ルイオスは黒ウサギを見て、盛大に歓声を上げる。

 

「先に断っておくけど、この美脚は私達のものよ」

 

「そうですそうです! 黒ウサギの脚は、って違いますよ飛鳥さん!!」

 

「えっ! 違うの!?」

 

「違いますよ!! 信之助さんものらないでください!」

 

「なら、黒ウサギの脚は誰のもの?」

 

「黒ウサギの脚は誰のものでもありません!」

 

「そうだぜ三人共。この美脚は既に俺のものだ」

 

「そうですそうですこの脚はもう黙らっしゃい!!!」

 

「よかろう、ならば黒ウサギの脚を言い値で」

 

「売・り・ま・せ・ん!」

 

「おー! ツッコミ五連発!流石、黒ウサギ!」

 

「それほどでもって、何言わせるんですか!」

 

「今ので六連発ね」

 

「飛鳥さんも数えなくていいですよ!」

 

「七連発」

 

「耀さんまで何数えてるんですか!」

 

「八連発だな。黒ウサギ」

 

「いい加減にしてください! お馬鹿様!!」

 

「九連発か。ならば記念すべき十連発目は」

 

「このオラで」

 

「二人とも、黙っててください!!」

 

 結局、ツッコミ十連発を果たしてしまった黒ウサギは息を切らしている。そして、そのやり取りを見ていたルイオスは笑いだした。

 

「あっはははははは! 何? ノーネームっていう芸人コミュニティなの君ら。もしそうならまとめてペルセウスに来いってマジで。勿論、ウサギの美脚は僕のベッドで毎晩好きなだけ開かせてもらうけど」

 

 その後も一向に話が進まず、サウザンドアイズの客室に向かってから一度仕切り直し、話を進めることにした。

 客室に招かれた五人は切り札であるペルセウスの騎士達を捕らえてることを隠しながら事情を白夜叉に説明する。

 

「ペルセウスが私達に対する無礼を振るったのは以上の内容です」

 

「うむ。ペルセウスの所有物ヴァンパイアが身勝手にノーネームの敷地に踏み込んで荒らした事。それらを捕獲する際における数々の暴挙と暴言。確かに受け取った。謝罪を望むのであれば後日」

 

「結構です。あれだけの無礼の数々、我々の怒りはそれだけでは済みません。この屈辱は両コミュニティの決闘をもって決着をつけるべきかと」

 

 黒ウサギは、この事を理由にペルセウスにギフトゲームを仕掛け、レティシアを取り戻すつもりだった。だか…

 

「いやだ」

 

 ルイオスは即答した。

 

「決闘なんて冗談じゃない。それにあの吸血鬼が暴れ回ったって証拠があるの?」

 

 ルイオスは証拠を出せと言う。しかし、これは五人の作戦の内である。

 

「あるぜ」

 

「何!?」

 

 十六夜はルイオスが断ることは予想していた。だからこそペルセウスの騎士達を拘束していたのである。

 

「それに吸血鬼本人も証言している」

 

「吸血鬼本人!? そいつは石化しているはず!」

 

 ルイオスは吸血鬼は石化させ、既に回収は済んでいると思っていたのである。

 

「大切な証人だからな。話せなくなったら困るだろ?」

 

「くっ!」

 

 ルイオスにとってレティシアを石化出来なかったのは完全な誤算だった。

 

「だが、その吸血鬼が口裏を合わせないとも限らないじゃないか? そうだろ、元お仲間さん?」

 

 ルイオスはレティシアの証言は信用ならないと言う。

 

「勿論、それだけが証拠じゃない。吸血鬼を回収しに来た際、ノーネームの敷地に侵入した挙げ句、数々の暴挙と暴言をしたペルセウスの者は吸血鬼と共に全員拘束している」

 

「馬鹿な!?」

 

 ルイオスはノーネームを見下していたからこそ予想だにしていなかった。逆に自分が追い詰められるなど。

 

「決闘を受け入れるなら、ペルセウス全員を引き渡す。しかし断るなら、わかっているな」

 

「おー。十六夜君って中々の悪ですな」

 

「くそ!」

 

 ルイオスは予想外の事に悪態をつく。

 

「いいだろう。ノーネーム風情が、僕に喧嘩を売ったことを骨の髄まで後悔させてやる!」

 

 こうして、ペルセウスとの決闘が決定された。

 

「あっ、蛇皮のお兄さん。ズボンに虫がついてるよ」

 

「なっ!? くっ、この屈辱は必ず返す! 覚えていろよ!」

 

「もう、こっちは親切で教えたのに。まあ、忘れるまでは忘れないゾ」

 

 結局、最後の最後で締まらなかった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

ペルセウスの本拠で

 

「くそ! あの役立たず共め!」

 

 作戦を失敗した部下達に愚痴を言っていた。

 

「まあいい。所詮、名無し風情が僕に敵うはずがないんだ。無能な奴らはゲームに勝った後、罰を与えればいい」

 

 ルイオスはこの期に及んで自分の勝利を疑っていなかった。

 

「それはどうかなー」

 

「誰だ!?」

 

 ルイオスはいきなり聞こえた方向を向くとそこには黒い服に黒い髪の少女が居た。年齢は恐らく十はいってはいないであろう幼い少女。だが…

 

「な、な、なんだ!? お、お前は!」

 

 ルイオスの声は震えていた。それは恐怖に染まった声。ルイオスはその少女が堪らなく怖かった。

 

「あれ? そんなに怖がっちゃって。もしかして、設定間違ったかなー。まあ、いいよね! 別に!」

 

 少女は訳の分からない事を言い、話を続ける。

 

「お兄さん。このままだと、負けちゃうよー」

 

「なっ!?」

 

 ルイオスは少女の言った事を理解出来なかった。そして、恐怖に震える声で言う。

 

「ぼ、僕が名無しにま、負ける!? ど、どういう意味だ!」

 

「どういう意味かって? そのままの意味だよ」

 

 少女は明るい声で続ける。

 

「だって、お兄さんの切り札はその魔王だけでしょ?」

 

 少女はルイオスが付けているペンダントを指差す。

 

「今のお兄さんじゃあ、その魔王の力を完全には引き出せない。それは分かってるよね?」

 

「ぐっ!」

 

 図星である。ルイオスの力は未熟すぎるのだ。それはルイオスも分かっていることだ。だが、強大な力を持つことには変わりない。

 

「無理だよ。お兄さん」

 

 少女は否定する。

 

「だって、その魔王が今出せる力を上回る人がノーネームには二人いるもの」

 

「な、何!?」

 

 ルイオスは今度こそ驚愕する。聞けば金髪の少年と短髪の少年は桁違いの力を持っているという。

 

「ど、どうすればいい」

 

 冗談じゃない、ルイオスはそう思った。自分の切り札より強大な力を持つものが二人いる、それでは勝ち目がない。だが、この少女もわさわざ自分に教えに来たという事はまだなにかあるはずだ。

 

「うん! このままだと簡単に終わってつまらないからね、力を貸してあげようと思って」

 

 少女はそう言って、ポケットから黒い玉を取り出す。

 

「こ、これは?」

 

「飴だよ。その魔王に食べさせて」

 

 少女は黒い飴をルイオスに渡すと、いつの間にか姿を消していた。

 

「はあ! はあ!」

 

 先ほどまでの重圧が消え、ルイオスは膝をつく。そして、何処かの暗い森の中で…

 

「さあ、しんちゃん♪ ()()()()()()()()()()()()♪」




どうも更新が遅くなってすみませんでした。
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