ゴブリンの船を破壊した場所からかなり距離を取り元いた場所には案の定ゴブリン達が群がって来るのを眺める。
「やっぱりバレてたか」
「随分と騒々しくやりましたからな」
すると騒ぐゴブリンの傍らの水の中から突如何かが飛び出し水に近かったゴブリンを水中に引きずり込む。
「沼竜!?」
「あんなのも居るのか、本当にここ街の下か?」
「…………気に入らん」
ゴブリンスレイヤーは沼竜の登場に慌てふためくゴブリン達を見ながらそう呟く。
「まぁ、好き放題してるのはかみきり丸にとっては確かに気に食わんじゃろうな」
「いや、そうでは無い、奴らは略奪民族だ、物を作ると言う発想が無い、しかし奴らは馬鹿だが間抜けじゃない、道具の作り方を教えればすぐに学習する。船の作り方も教えればすぐに覚える」
ゴブリンスレイヤーはそう言うと移動を開始し一党もその後に続く。
「でも、それだけならゴブリンシャーマンとかが思い付いたのかもしれませんし」
「かも知れん、ならば奴ら、何故アレの存在を知らないのだ?知っているなら船を用いる等という事は思い付かない筈だ、奴ら臆病だからな」
「つまり何が言いたいのですかな?小鬼殺し殿」
「恐らくこの小鬼禍は人為的な物だ」
外に出ると同時にゴブリンスレイヤーは確信したかの様な言い方でそう言った。
外に出た一党は一度解散しそれぞれの方法で疲れを取る事にする。
そんな中で神官は至高神の神殿に備え付けられている蒸し風呂で疲れを癒やしていた。
「お隣よろしいでしょうか?」
そんな時剣の乙女も同じ様に蒸し風呂に現れ思わず目を引かれるその肌には幾つもの痛々しい傷跡があった。
「あ、あのそれ!!だ、大丈夫ですか!?」
「ああこれ、少し失敗してしまってね、後ろから頭をガツン!!って、もう十年以上も前の事だけど」
「………………………………」
「この目で色々な物を見てきたわ、貴女が想像出来ない様な物も、あの御仁、ゴブリンスレイヤーとおっしゃいましたか」
「あ、はい、とてもお世話になっていて」
「私も心強く思っております。でも、何時かあのお方も消えてしまうのでしょうね」
「ッ!!そ、そんな事は…………」
「そうね、貴女の一党には一際特別な御方がいる様ですものね」
「え?」
「あの様々な力をお使いになる変わったお方」
「調教師さんの事ですか?」
「調教師様、ええ、とても変わったお方、でも強いお方、あの方からは今まで出会った事のない物を感じます。でも、あの方も人の理からは外れられないのでしょうね」
剣の乙女はそれだけ言うと立ち上がる。
「失礼、のぼせない内にお上がり下さいね」
剣の乙女はそう言い部屋を出て行き1人不安そうな表情を浮かべる神官だけが残された。