ゴブリンスレイヤー達が居ない冒険者ギルド、その受付で受付嬢はとある問題に当たっていた。
「オルク…………えっと、オークでしょうか?」
「違うわ!!オルクよ、オルクボルグ、この冒険者ギルドにいると聞いたのだけれど?」
そう言う冒険者は上のエルフと呼ばれる本物の精霊の末裔と呼ばれる所謂ハイエルフだった。
「全く、ここはヒュームの領域じゃわい、耳長言葉が通じる訳がなかろう。かみきり丸と言えば分かるじゃろう?」
そんな彼女の背後から逞しい髭を携えたドワーフの老人が現れる。
「……………………すみません、そういった方は」
「おらんのか!?」
「全然駄目じゃない、やっぱりドワーフは駄目ね、頑固で偏屈、自分ばかりが正しいと思ってる」
「これだからエルフは、金床に相応しい心の狭さだこと」
「何よ!?」
「何じゃ!?」
受付の前で喧嘩を始めるハイエルフとドワーフに受付嬢が困り果てていると二人の背後から更に大きな人影が現れる。
「すまぬが二人とも、喧嘩なら拙僧の見えぬ所でやってくれ」
そう言って現れたのは鱗肌に尻尾とトカゲの特徴を持つリザードマン。
「連れが失礼した」
リザードマンは2人を押し退けると受付嬢に謝辞を述べる。
「いえ、慣れてますから、それでどなたをお探しでしょう?」
「つまりオルクボルグ・かみきり丸と言うのはその者の字名でな、拙僧も人族の言葉に明るくは無いのだが【小鬼殺し】という意味だ」
「ああ!!ゴブリン!!」
リザードマンの言葉で漸く目的の人物が分かり受付嬢の声が数段跳ねる。
「ゴブリンか?」
同時にリザードマンの背中から声が聞こえ3人が横に履けるとそこにはゴブリン退治から戻って来たゴブリンスレイヤー一行が立っていた。
「お帰りなさい、ゴブリンスレイヤーさん!!」
受付嬢の言葉に3人はそれぞれ反応を示し話しがあるという事で2階の応接室に向かい神官と調教師の2人は休んでいろと言われ1階で待機になった。
「ゴブリンスレイヤーさん何のお話なんでしょうね?」
「まぁ、普通に考えればゴブリン退治の依頼じゃないか?」
「そ、そうですよね、ハァ〜」
「なぁ」
茶を飲みながらゴブリンスレイヤーを待っているととある新人らしき冒険者二人組が声を掛けてくる。
「なぁ、良かったら一緒に冒険に行かないか?」
「悪いが俺は遠慮しとく、あの人から休んでおけって言われたからな」
「わ、私も他の方と一緒ですので」
「あのいっつも兜被ってる奴でしょ?分かってるよ、だから声を掛けたの、だって変でしょ?銀等級なのにゴブリン退治ばっかりやって、あの人新人連れ回して囮にしてるんじゃないかって…………」
「そ、そんな事は!!」
「こ、ら、野暮は駄目、ね」
神官が否定しようとした所に銀等級でも有名な女魔術師が割って入り新人2人はそそくさと退散していく。
「それで、あなた達、彼と一緒にいる子達、で良いのよ、ね?」
「はい」
(随分もどかしい喋り方だな)
独特なテンポの言葉に調教師はそう思いながら返事を返す。
「彼、大変でしょ?鈍いもの、ね?」
そう言いながら呪文で煙管に火を灯す魔術師に始めてこの世界の魔法を見た調教師は興味深く思う。
「【真に力のある言葉】呪文の無駄遣い、ね」
煙管の煙でただでさえ妖艶だった雰囲気に一層磨きがかかり神官は同性であるにも関わらず顔を真っ赤にし俯く。
「私も、ね、前に、変な依頼、受けた事あるの」
「変な依頼?」
「スクロールにちょこちょこっとお手伝い、大変よね、彼と一緒に行動するの」
「はい、彼銀等級ですし、調教師さんは兎も角私なんか着いていくので精一杯で、このままでいいのかなって」
「そう、ね、でももし着いていくなら、きちんと自分で決めなさい、お節介かも知れなけれど、ね」
女魔術師はそう言うと仲間の槍使いと共に冒険へ向かった。
「何か、癖のある人だったけど良い人だったな」
「はい」
その時、ゴブリンスレイヤーが2階から降りて来たのでそちらに向かう。
「ゴブリンスレイヤーさん!!」
「依頼だろ?直ぐ準備する」
「いや、俺1人で行く」
2人が準備を進めようとした所でゴブリンスレイヤーがそう言い2人の動きが止まる。
「そんな、せめてその、相談とか…………」
「………………………………しているだろう?」
「いや、してなかったぞ、明らかに決定事項みたいな言い方だった」
「そうか」
「そうだ、兎に角一緒に連れてってくれよ」
「私も一緒に行きます」
こうして何時もの様にゴブリンスレイヤーへの依頼に2人も同行する事になった。