四方世界のモンスターマスター   作:寝心地

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突入

翌朝、ゴブリンの巣穴に辿り着いた一行は弓手であるハイエルフが外の見張りを観察する。

 

「ゴブリンの癖に番犬に狼まで飼ってるわ、生意気ね」

 

「余裕のある群れの証拠だ」

 

ハイエルフの愚痴にゴブリンスレイヤーがそう述べハイエルフは弓矢を番える。

 

引き絞られた弦がしなり弓矢が勢い良く飛んでいく。

 

「どこに撃っとる!?」

 

ドワーフが失敗に思う程に矢はゴブリン達から大きく右に逸れるが直後魔法で捻じ曲げたかの様に左折し見張りをしていた2匹のゴブリンの頭を貫き二の矢で反応した狼も撃ち抜く。

 

「凄いな」

 

「フッフーン、十分に熟達した技術は魔法とは見分けがつかないものよ」

 

「それを術師の儂の前で言うかね」

 

見張りが居なくなった事で慎重に歩みを進めるとゴブリンスレイヤーが突如ゴブリンの腸を開き始める。

 

「ちょっ!?アンタ何してんの!?」

 

「ゴブリンは匂いに敏感だ、特に女・子供・エルフの匂いにはな」

 

その言葉に全てを察した神官と調教師の目から光が消えゴブリンスレイヤーは血塗れの手拭いを片手にハイエルフににじり寄る。

 

「ちょっ!?嫌!!コイツ止めてよ!?」

 

ハイエルフに助けを求められた神官は

 

「慣れますよ」

 

光の失せた瞳でそれだけ良い、まぁ、後はお察しである。

 

中に侵入し壁や床に罠が無いか確認しながら先へ進む。

 

「拙僧が思うにここは神殿だろうか?」

 

「この辺りは神代の戦争があったそうですから砦か何かだと思います」

 

「兵士は去り、かわりに小鬼が住まうか、残酷な物だ」

 

「残酷と言えば…………」

 

二人の会話に割って入ったドワーフはチラリと後方を見る。

 

「うえ〜、気持ち悪いよ〜」

 

そこには血で音ベットリ汚れたハイエルフが涙目で歩いていた。

 

先に進むと途中分かれ道がありハイエルフが一党の進行を止める。

 

「待って」

 

「何かあるな」

 

「貴方もそう思う?」

 

調教師の【リアクター】も異常を検知し2人して地面に膝を付き観察する。

 

「床がこの1角だけ真新し過ぎる。恐らく罠だな」

 

「鳴子か?」

 

「多分ね、この子の言う通り床材が新しいから気付いたけど」

 

「俺はそこまでは分からない、けど罠である事は確かだ」

 

「妙だな、トーテムは無かった」

 

2人の話からゴブリンスレイヤーは妙な事に気付きそう言う。

 

「つまりゴブリンシャーマンは居ないって事ですよね?」

 

「あら、呪文使いが居ないなら楽じゃない」

 

「察するに居ないという事が問題なのでは?」

 

「そうだ、ただのゴブリンだけではこんな物は思いつかん、ゴブリン共を指揮する存在がいるだろう」

 

「今の所敵の気配は無いけど右と左、どっちに行く?」

 

ハイエルフの言葉にドワーフは地面を見ながら助言する。

 

「恐らく奴らのねぐらは左じゃな」

 

「なんでだ?」

 

「床の減り具合だの、奴らは左から来て右に行くか入口に向かっておる」

 

「………………………………右から行く」

 

ゴブリンスレイヤーはドワーフの助言を聞いた上で右から攻めると良い迷いなく右の道へ進む。

 

ゴブリンスレイヤーの行く道に着いていくととんでもない異臭を放つ部屋の入口に辿り着く。

 

「鼻で呼吸しろ、すぐに慣れる」

 

皆が匂いに悶絶する中ゴブリンスレイヤーは淡々とそう言い扉を蹴破り中に侵入する。

 

「何ここ?」

 

「ゴブリン共の汚物溜めだ」

 

「おぶっ!?」

 

「……………………して」

 

その時、部屋の奥から声が聞こえ一党は暗闇の奥を見るとそこにはゴブリンに嬲られ見るも無残なエルフの姿があった。

 

「……………………殺して」

 

「まだ息があるぞ!!」

 

「殺して」

 

「ああ、分かっている」

 

ゴブリンスレイヤーは剣を引き抜きエルフに向かってその剣を振り上げる。

 

「ゴブリンスレイヤーさん!?その人はまだ!?」

 

神官がゴブリンスレイヤーを止めようとするが同時に汚物の奥からゴブリンが姿を表しゴブリンスレイヤーの剣がゴブリンの頭をかち割った。

 

「そうとも、俺はゴブリンを殺しに来たのだ」

 

その後、一党の手で囚われていたエルフを下ろす。

 

「君のは回数に制限があるだろ?俺がやる、代わりにあっちを頼む」

 

「ですが……いえ、そうですね、お願いします」

 

エルフの治療は調教師が行い代わりに神官は同族の無残な姿を見たハイエルフのケアに回ってもらった。

 

「この傷は【ホイミ】や【ベホイミ】じゃ無理だろうな、シドー、頼む」

 

調教師により召喚されたのは6本の腕を持つ巨大な羽根の生えた邪悪な顔をした悪魔、その姿に一党は少なからず警戒心を抱く。

 

「調教師殿、この者は一体?」

 

「破壊神シドー、有能な治癒魔法の使い手です。シドー、この人に【ベホマズン】を」

 

調教師が命令するとシドーは動き出しエルフに治癒魔法を掛け始める。

 

(破壊神シドー、物騒な名前に反してその名が関する所持スキルで習得出来る能力はサポートや回復向きと言う詐欺みたいなモンスター、まぁ俺は気に入っているので常に一緒だったけど、問題はモンスター達の補助や回復の魔法がこの世界の人間に適応されるのかと言う事)

 

調教師がそう思案しているとシドーがエルフから離れそこには傷一つ無いエルフの姿があった。

 

「良し」

 

その結果に調教師も満足しそう息を吐いた。

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