100均ホウキに百合が咲く~限界無職女のダンジョン救助配信~ 作:羽黒楓
奏天寺
意識はあった。
褐色の女が自分の身体をなでさすっていたときも、食人植物に全身を包まれたときも。
でも、それはふわふわとした夢の中にいるような、あいまいな意識でしかなかった。
ただ、自分がもう死ぬんだな、ということだけは分かった。
植物のモンスターにすべてをじわじわと吸い取られていくのを感じる。
心臓が痛い。
手足の感覚はなくなった。
貧血になったときみたいに、すうっと脳みそが冷えて、ああ、今私はこの植物の一部になっていっているんだな、と思った。
もう私の心も身体も私のものじゃなくなってしまうんだ。
ダンジョン配信者を始めたときから覚悟してた。
いつかは死ぬと思っていた。
でもこんな暗い世の中で、花火みたいに輝いて生きようって、そう思っていたんだ。
でも、本当の本当のところを言うと、すぐに消えていく花火じゃなくて、ずっと輝き続ける太陽になりたかったなあ。
やっぱり、無理だったんだなあ。
ざーんねん。
いつか来ると思っていた死。
それがついにやってきただけ。
だから、それから起こった出来事も、自分自身の願望が生んだ夢なんだと思った。
ふふふ。
夢の中くらい、いいよね。
そんなおもしろいこと、現実にはあるわけないのに。
ルセッシュが撒き散らされ、バラの匂いに包まれる。
なんだこれ、ルセッシュって。
夢ってほんと、意味わからないよね。
ああ、この人、すっごく好み。
気だるげで、でも瞳には輝きがあって。
最後にこんないい夢を見られて良かった。
じゃあ、みんな、バイバイ。
あれ!?
え!?
美人さんが私にキスしてくる……。
やったあ!
最期にいい夢を見られたよ……!
そして、なにかトロリとした液体が、
★
「う……うう……」
だらりとしていた手足がピクピクと動いた。
「いける!」
コク、コク、と力なく妖命酒を飲み込む
そして、
「え? え? 待って、
「えへへへへ……」
「
「うひひひひ。美人さんだあ……」
そう呟いて
イモスミ 〈お姉ちゃん! よかった! よかった! よかった!!!!〉
「えへへへーバラのいい香りがするぅ。っていうかこれ、ルセッシュの香りだぁ」
「
「え~~~? また飲ませてよお。ほら、ほらぁ」
目を閉じ唇を突き出す
妖命酒を口に含み、再び唇を重ね合わせる。
だって、あの
私のファーストキスだよこれ!
カサカサだった唇はいまやプルプルに回復していて、チュ、チュ、と音を立てて
これじゃあ、ほんとのキスじゃないの!
でも
あれえ? 私、いつから夢を見てるんだろう?
お互いに夢の中にいるつもりで、二人はただ唇を重ね、しまいには舌まで絡め始めた。
静まり返ったダンジョンに、二人の唾液と粘膜が奏でる音だけが響いた。
「……ぷはあ……」
やっと口を離す。
「もっとぉ……」
「う、うん……」
妖命酒はまだ半分残っている。それをまた口に含み、
イモスミ 〈え、ちょっとなんかちがくないですか?? え、やりすぎでは?〉
その時だった。
遠くから、カッ、カッ、カッ、という音が聞こえてきて、それがだんだんと近づいてくる。
いやもうそんなのはどうでもいい、もっと
ああ、
カッ、カッ、カッ、カッ。
カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ。
それは蹄鉄が床を叩く音だった。
ダンジョンの通路、その闇の向こう側から、白い馬が走ってきたのだ。
この作品のタイトルはどっちがいいと思いますか? 1.推しの救助費は六千万円。払えるわけない限界無職女は100均ホウキ一本で女性アイドル配信者を助けに行く~六畳間ダンジョンを毎日掃除していたら最強になってました~ 2.100均ホウキに百合が咲く~限界無職女のダンジョン救助配信~
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1がいい
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2がいい
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その他
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どっちでもいい