推しの救助費は六千万円。払えるわけない限界無職女は100均ホウキ一本で女性アイドル配信者を助けに行く~六畳間ダンジョンを毎日掃除していたら最強になってました~ 作:羽黒楓
翌日。
「ふひひ~」
今日も
とは言っても、今日は
あの日、ダンジョンの出入り口から出ると、警官が数人待ち構えていた。
それだけではなく、マスコミまでもがカメラを持って集まっていた。
隙を見て全力ダッシュをかまして逃げてきたのだった。
「あ、待って、せめて連絡先を!」
「おい、待て待て、なに逃げちょるん!」
「おーいあんた、事情聴取を……」
基本、ダンジョンの中での出来事に捜査権限は及ばないので、今回の件に関しては任意聴取しかできない。だから、警官が深追いしてこなかったのが幸いだった。
そんなわけでその翌日、つまり今日、
「えへへー小梅ちゃん、このお酒おいしいね!」
「せやろ。これは新潟の〆貼鶴や」
「濃厚な味わい、すっきりとした後味! すっごいおいしい! いくらでも飲めるよ!」
「高いんやからゆっくり味わって飲めや」
その時だった。
ピンポーン。
チャイムが鳴った。
ここはダンジョンだけど、小梅が日常品をアマジョンで買ったりするのでインターホンがついているのだ。
小梅がニヤリと笑って言った。
「お? 宅配やろ。
「ん? でも最近はめんどくさいからって全部置き配にしているのに」
「今日のはクール便やからな。食材はいつも対面やろ? ほらほら出てくれ」
「はーい」
玄関の古びたドアを開け、ごつごつした岩でできたいかにもなダンジョンの区画を通って階段をあがる。
そして多摩川の河川敷に出ると、そこに立っていたのは宅配便のお兄さんではなく――。
二人の、女性だった。
なにかの宗教の勧誘かな、と思ってよく見てみる。
こないだはおばさん二人で来た。
小梅が追い返してたけど。
でもそこにいたのは若い女性。
しかも、なかなかおしゃれな恰好をしている。
自分で着飾るのは恥ずかしいのでパーカーで通しているけど、人のファッションを見るのは好きなので、ついつい観察してしまう。
一人は167センチの
シースルー袖の白いハイネックトップス、格子のデザインタイツにフロントボタンの赤いAラインミニスカート。それにアンクルストラップの赤いパンプス。
もう一人は青いケーブル編みのオーバーサイズニットに黒いスキニーパンツを合わせてスニーカーを履いている。
「んん? 配達員さん……じゃないよね……?」
そしてハイネックトップスの女性の顔を見た瞬間だった。
明るい色のサイドポニー、きらめいている瞳、見た者の感情をとろけさせる笑顔。
「
「ほんとにいたーー!!」
喜びの声を上げる
「え、え、え!?」
嘘でしょ、なんで
さらに
髪を銀色にそめたボブカット、顔のサイズに比べて大きな丸眼鏡をかけているのが特徴的。
でも目がとても大きくて眼鏡に負けていない。
身長162センチくらいの
「あ、こんにちは。私、奏天寺
ぺこりと頭を下げる
「こんなところに住んでいるんだねっ! すごーい!」
「な……なんでここに!? どうしてここが!?」
すると
「ヒェッ!?」
いきなり推しの女の子に手を握られて、
「………………」
そのまましばらく
「あの、え? なに?」
「ふふふ。
「でもどうしてここが……」
「Ⅹッターのアカウントにダイレクトメッセージ来てたんだよ。ほら、これ」
そこには酒に酔っぱらって寝ている、よだれを垂らした
『日野市日野本町、日野駅徒歩15分にある市民の森スポーツ公園の北側、多摩川堤防のすぐ近くにあるダンジョンやで! 遊びに来てや! うちの紅亜は友達がいなくて心配してるんや! 友達になってくれや!』
などというメッセージが添えられている。
その下では小梅がニヤニヤしながらこちらを見ていた。
「こ、小梅ちゃ~~~~ん!」
「なんや、お前ずっとひきこもりであたしは心配してたんや。とにかく友達つくって外に出てほしいんや。そして男を作って子供百人くらい産んであたしの子孫繁栄頼むで!」
「も~~~! ごめんね、うちのご先祖様が……」
と、
「
そして、
「う、ぐす、ううう! ありがとう! ありがとう! ありがとう!」
ガバッと
「うひゃ!?」
まさか推しの身体を抱き返すわけにもいかない。
身長は
「うううう~~~~ありがと~~~~~! 私、何でもお礼をするよ~~~」
推しの顔が私のおっぱいの間に埋まってる!
こ、これは夢? それとも幻覚?
「え、何でも?」
何でもだなんて言われたら、お願いすることは一つしかないじゃないか!