100均ホウキに百合が咲く~最強限界無職女のダンジョン救助配信~ 作:羽黒楓
シーコは、これは死後の夢だ、と思った。
本当はもう死んでいるんだ。
生きたいという願望が見せた幻。
次の瞬間には、きっと天国か地獄に行くのだろう。
天国に行けるのか地獄に落ちるのか、半々ってところ。
ところが。
実際の『次の瞬間』にシーコの目に映ったのは、力強く輝く大きな瞳だった。
「シーコさん!」
そいつが話しかけてくる。
右手と左足が燃えるように熱くて痛い。
「シーコさん! しっかりしてぇ!」
顔を近づけて叫んでくる女性。
すごく顔がいい。
ドキドキした。
痛い。
熱い。
なにこれ……。
ウチ、今どうなっちょるん……?
★
シーコはうつろな目で
だけど、意識があるのかないのかはっきりしない。
シーコの右手首と左足からの出血は、床に大きな血だまりを作っていた。
「
「はい!」
ユニーの腹の下から這い出てきた
さっき見た、
あれさえ発動できれば、シーコのケガもなんとかなるだろう、と
だけど……。
「
「ごめんなさい、まだ……」
「
「どういうこと?」
「
そうだった、と
普通の人間は、ダンジョン内で魔法やスキルを使うにしても、その回数や間隔に限度がある。
ミエスタのように空間に漂う魔力を皮膚から吸収できる特殊能力でもない限り、なんらかの制限を受けるのだ。
「……多分、この感じだとあと十分くらい……」
そんな会話をしているうちにもシーコの呼吸が浅くなっていく。
「
「ごめんなさい……こればかりは……」
ユニーを助けたのがいけなかったのだろうか、と
その場合、間違いなくシーコは殺されていただろう。
「大変! 心臓が……止まっちゃう!」
「1、2、3、4、5……」
心臓を押されるたびにシーコの傷口から血液が滲み出る。
「これじゃ……でもどうしたらいいのッ!」
「でも心臓止めるわけにはいかないもん! たぶん!」
そう言って
どうしたらいいかわからなくて立ち尽くすしかない。
マウストゥーマウスでもすればいいのだろうか?
でも、最近の研究じゃそれは必須じゃないとかなにかで見たことがある。
なんにしても
魔力の回復を早めようとしているのだろう。
「…………」
シーコはもはや意識がない。
〈ああああああ〉
〈もうダメか〉
〈ダメなのか!?〉
〈【悲報】スーパーボランティア、逝く〉
〈ふざけている場合かカス〉
〈イモスミちゃん、深呼吸だ深呼吸!〉
〈空気中の魔力を深く吸うんだ〉
〈魔力は腐ると瘴気になる、それは吸っちゃダメだ〉
〈んなこと言っても絶対混じるもんだぞ〉
〈瘴気は逆に人間の魔力を弱めるけど、これはしょうがない〉
そういえば、と
S級ダンジョンであるこの新宿ダンジョンは、SSS級ダンジョンである小梅の部屋に比べれば瘴気が薄い。
それは空気中の魔力自体が薄いからで、小梅の部屋などは毎日掃除しないとすぐに瘴気の汚れだらけになるのだった。
だから小梅はあんなに掃除しろ掃除しろと言っていたのだ。
『掃除をさぼると瘴気を吸い込んでしもうて体に瘴気をため込んでしまうんや。そうするとセキやクシャミやタンがでるやで』
小梅の言葉を思い出す。
――空気中の魔力はそのままに、瘴気だけを除去できれば……。
でも、ルセッシュだと魔力ごと瘴気を浄化してしまう。
だからこそ魔力を吸収できるミエスタを完封できたのだが。
じゃあ、どうすれば!?
空気、魔力、瘴気……。
そして
瘴気を吸い込むと瘴気が体内に溜まる。
魔力に関して言えば、正直今までの戦闘で
ってことは、
だとすれば、呼気に関して言えば……。
「
「私の息、吸って!」
そう言って肺が破裂するかと思うほど大きく大きく息を吸ってから、