100均ホウキに百合が咲く~最強限界無職女のダンジョン救助配信~ 作:羽黒楓
「一人? 入っていい?」
と聞いてくる。
「う、うん」
答えるけど、少し声が上ずってしまった。
というか、目の端がジーンとして、それ以上なにかを喋ると涙が落ちてきそうだ。
「じゃ、お邪魔しまーす!」
「
「小梅さんからⅩにダイレクトメッセージ来てたから! えへへ!」
それに、赤いリボンが付いたフレアスカートにブラウンのタイツ。
ガーリーでかわいい。
スカートと同じ色の赤いリボンで留めたサイドテールが揺れる。
「ほらほら、
「う、うん……」
「ピザ頼もうよ、ピザ!
「な、なんでも……」
「じゃあ私の好みで……このリリーフォーってやつにしよう! 4種類のピザが楽しめるって! あとはチキンと……私用にお茶も!」
「えと、えと、えと……」
「あ、ちょっと待ってね」
「えへへ、まだ3時だけどいいよね、今日は特別な日だもん! で、ワインもいいけどこれ見てこれ! 酒屋のおじさんに聞いたらこれをおすすめされた!」
そこには『輿の寒梅』と書いてある。
「これ飲んでこれ! はい、グラス!」
瓶を覆っている紙をとると、
「はいはいグラス持って! 注いであげるから!」
トク、トク、トク。
いい音とともに、銘酒がグラスになみなみと注がれる。
「じゃ、
言われるままにグラスを傾ける。
淡麗な味わいの日本酒が
「ぷはあ……おいしい……」
「よかった!」
「あの……」
「なに?」
「なんか今私、嬉しい夢を見てる……」
「あはは、私も嬉しいよ、
「そうかな? ごめん、今日は掃除さぼったから瘴気がたまっているかも……」
「綺麗なもんだよ! そっか、ここが
けっこう大きめのホールケーキ。
名前を入れるのはさすがに間に合わなかったのか、「Happy Birthday」とだけ書かれたチョコレートプレートが乗っている。
「24本だよね!」
小さくてカラフルなロウソクをケーキに刺していく
その綺麗な手元を見ているうちに、
「あー、これもあるんじゃん! これにも刺しちゃえ!」
二つのモンブランにもロウソクが刺された。
スーパーで買ったパックのモンブランが、あっという間に特別なケーキになった。
あ、ダメだ、もう無理。
そう思った途端に、
自分でもびっくりするほど大粒の涙が次から次へと流れてポタポタと畳を濡らす。
「う……ひっく、ひっく、
「ほらあ、どうしたの? 今日は嬉しい誕生日だよ? 笑ってほしいな!」
体温が伝わってくる。
その温かさがさらに
「はいはい、火をつけるよ? このためだけにチャッカマン買ってきたの! よ……と」
ロウソクに次々と火がともされる。
炎が揺らめいた。
「あ、じゃあ電気消しまーす!」
この部屋には窓がない。
真っ暗な空間に、24本の灯火が
「はい、
「うえーーーーん」
もう耐えきれず、
震える
その優しさを感じて、
「うえーーーん! うえーーーーん!」
「あはは! 泣くんじゃなくてフーだよ、フー!」
「うえーーーーーーーんありがとーーーーーーフーーーー!」
「おおー! パチパチパチ!」
「うえーーーーーーーーん! うえーーーーーーーーーーん!」
「じゃあ
「ハッピーバースデートゥーユー……」
もう、
「うえーーーん!」
「あはは! これじゃ歌えないよ! あはは! ハッピーバースデートゥーディア
本当に夢みたいに楽しいひとときだった。
いっぱいお喋りして、勧められるままにいっぱいお酒を飲んで、いっぱいピザを食べて、すき焼きを
★
目を覚ますと、目の前に
ああ、昨日のは夢じゃなかったんだ、と思った。
自分の腕が
ちょうど腕枕しているみたいになっていて、腕がしびれていた。
すーすーと寝息を立てている
肌が綺麗、唇もふっくら、まつげ長いなあ、これ自前のまつげだよね……。
そう思いながら、
すると次の瞬間、
「へへー! やり返しますぅ!」
と言って逆に
「いたた……
「寝てる私に抱き着いちゃう
とかなんとかいちゃついているとき。
ドアの外から悲鳴が聞こえてきた。
「きゃーーーー! お姉ちゃん助けてぇぇぇ!!」