100均ホウキに百合が咲く~最強限界無職女のダンジョン救助配信~   作:羽黒楓

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第32話 格安ダンジョン救助隊

格安ダンジョン救助隊!!

 私設救助チーム  

 

◆◆◆◆◆ 蜘蛛の糸 ◆◆◆◆◆

 

 この糸は切れません!

 大切な人がダンジョン内で遭難したとき、民間救助隊に依頼すると数千万円の費用がかかります。

 そこで私たちは安価で救助を行える事業を始めることにしました!

 前金は1000円いただきます。

 成功報酬は要救助者一人につき16000円。

 月賦払いも受け付けます。

 その場合は月々1500円12回払い(前金込み総額19000円)となります。

 

『蜘蛛の糸』設立にあたって

 法の及ばないダンジョン内でモンスターに襲われる事故は多発しています。それだけではなく、心無い探索者が他人の命や装備を奪う事件も多発しています。

 

 まるで芥川龍之介の『羅生門』を彷彿とさせる事態です。私たちはそのような行為を許しません。同じ芥川でも、私たちは『蜘蛛の糸』――地獄に垂らされる一本の糸になります。

 

 作中で糸は切れてしまいますが、私たちは決して切れません。危難に陥った方々を救助します。

 ※あらゆる状況での救助をお約束するものではありません。

  詳しい免責事項は【こちら】

  

 

救助隊隊長紹介

 

田中紅亜(くれあ)

 自宅がSSSダンジョン。

 通称『ホウキ女』その人です。

 レーティング2500のモンスターを討伐した実績。

 最悪の犯罪者と名高いミエスタ・キンバリー(レーティング2411)に勝利。

 ※すべて動画【こちら】で確認できます。

 

★推薦の声

 この人たちにウチも助けられたんです。

 実力は折り紙付きです。

 ウチが次に東京で探索や救助するときはこの人たちに同行してもらうつもり!

 みなさまもお試しを!

       スーパーボランティア 田所椎子

 

 

◆ご依頼・ご相談は【こちらのフォーム】または公式XッターのDMまで!

 

※当面は東京都内のダンジョンのみの受付になります。遠方であれば別途お問い合わせを。

※虚偽の救助要請については規定の金額を請求する場合があります。

 詳しくは【こちら】

 

 

     ★

 

 

 翌日、六畳間のダンジョン。

 

「どう、これ! 徹夜して作った!」

 

 湯歌(ゆか)がノートパソコンの画面を紅亜(くれあ)と澄見歌(すみか)に向けて見せた。

 

 自分の本名が載っているのを見て、紅亜(くれあ)はなんだか最高に気恥ずかしい感じがして、まだWebにアップもされてないのに赤面してしまった。

 しかも、ホウキ女って……。

 なんだかかわいくないけど、どうやらその名前で有名らしいから仕方がない。

 澄見歌(すみか)は妹の仕事を見てなんだかはしゃいでいる。

 

「いいじゃんいいじゃん、これで行こうよ! ……でも私の名前は出さないでもいいの?」

「めっちゃイタズラの温床になりそうだからサイトで前面に出すのはやめた。配信で宣伝はするよ」

「あー……まあ確かにね。そういうことはありそう。シーコさんには許可もらってるの?」

「もちろん! Xッターでもリポストしてくれるって言ってたよ」

 

 紅亜(くれあ)はシーコの顔を思い出す。

 あんなド金髪のギャルみたいな人だけど、ちゃんと協力してくれるんだ……。

 しかも羅生門の元ネタなのに。

 いい人だなあ。

 羅生門だけど。

 

「実はね」

 

 澄見歌(すみか)が言った。

 

「私、ずっとアイドル配信者やってて、楽しかったんだけどちょっと不安もあったの。だってアイドルなんていつまでもはやれないし、私はみんなの希望になるんだ! って目標でやってたけど、でもほんとにこれでいいのかな? って思ったりもしてたの。でもこれなら人助けできてみんなの希望にもなれて、ずっとできる仕事だし、なんだかワクワクしてきたよ」

 

 キュッと紅亜(くれあ)の手を握る澄見歌(すみか)。

 紅亜(くれあ)は迷いなくその手を握り返して、

 

「うん。私も。このまま無職じゃダメだって思ってたけど、会社でほかの人と一緒に働くとか絶対無理だし、もう私の人生終わりだって思ってたけど。澄見歌(すみか)ちゃんと湯歌(ゆか)ちゃんとならやれる気がする。私もワクワクしてきた!」

 

 そのとき、六畳間のドアの向こうで、なにか物音が聞こえた。

 

「あれ、また害虫かな」

 

 紅亜(くれあ)がホウキを持ってドアを開ける。

 すると、壁に開いた直径数十センチの穴――異次元への通り道――から、甘ロリの少女が這い出てきているところだった。

 

「お、紅亜(くれあ)か、ちょうどええわ。ちょっと引っ張ってくれや。腰のあたりがひっかかっとんのや」

「え、そこから出てくるの」

「なんや、マサカド君が暴れそうでな。ちょっと一緒に飲み交わしてなだめてきたんや。あ、いたたた! 腕引っ張るんやない、肩が外れる! ムギギ! いや顔も引っ張るなアホ! ワキや、ワキを持って引っ張ってくれや!」

 

 

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