100均ホウキに百合が咲く~最強限界無職女のダンジョン救助配信~ 作:羽黒楓
ダンジョンの暗闇を、ランタンの光がわずかに照らしている。
ランタンの光は頼りなく、数メートル先になるともう真っ暗だ。
そんな暗闇を切り裂くように
すぐ後ろから
そのさらに後方に
〈お、始まった〉
〈こんスミ〉
〈こんスミー〉
〈こんスミ!〉
〈前金1000円の救助!〉
〈初めての要救助者は誰だ?〉
コメントはイヤホンを通じて
発達したAIによる選別で、スパムコメントは弾かれ、常連のコメントが読み上げられやすくなっている。
「小学生の女の子がダンジョンに潜っちゃったみたいなの。それを助けに行く」
〈は?〉
〈え、それいつの話? どのくらい時間が経ってる?〉
「10時間ってとこかな……」
〈生存は絶望的じゃないか〉
〈生きてるってこと、ある?〉
〈さすがに……〉
〈回収だけすることになりそう〉
「……二時間前に位置情報が動いてる。まだ生きてるって信じてるよ。でも……もし……。……もしかしたら、配信を途中で止めることもあるかも。そのときはみんなごめんね」
そう。
モンスターや犯罪者が巣食うダンジョンの中である。
女子小学生が迷い込めば、たったの30分でも生きぬくことは難しいはずだった。
「いや、絶対助ける! 助けてみせるから!」
位置情報を信じるならば、
地下4階?
女子小学生が一人で?
ありえない。
しかし、ありえないことが起きるのがダンジョンの中というものである。
ミエスタのような犯罪者に襲われてスマホを奪われていたり、モンスターに食われたりしてスマホがそこに移動したということは考えられる。
いや、そっちの方が可能性が高い。
でも、ほんの0.1%でも、救助できる可能性があるならそこに賭けたい。
「……私たちもシーコさんみたいに馬がほしいね……」
「来るよ!
「任せて! ラララララー!」
カシャン、カシャン、という乾いた音が聞こえる。
ランタンの光に反射して、刃のきらめきが見えた。
〈スケルトンか〉
〈地下一階によく出てくる敵だな〉
〈レーティングは800くらいだろ〉
〈いや、剣をもっているスケルトンウォリアーだ。それでも1000くらい〉
〈地下一階にしてはちょっと強いか〉
〈三体いるな〉
もとは白骨化した探索者の死体である。
それがダンジョンの瘴気を吸ってモンスター化したものだ。
スケルトンウォリアーのうちの一体が、剣を振り上げて襲ってくる。
スケルトンの頭部が吹っ飛び、壁にぶつかって粉々になる。
胴体の方はその場で崩れ落ちた。
「邪魔しないで!」
〈おおー!〉
〈さすがに強い!〉
〈この程度だと敵にならないな〉
〈楽勝楽勝〉
だけど、
確かに、この程度の敵は
でも、女子小学生だったら……?
こんなモンスター相手でも、なすすべもなく殺されてしまうだろう。
もしかしたら、何か特殊な訓練でも受けていたのだろうか?
姉の沙希に聞きたいが、まだバスで移動中のはずだ。
もしかしたら探索者として訓練を受けていて、天才的な戦闘力を持っている、という可能性もある。
そうであってほしい、と思った。
でなければ、小学生がダンジョンの中で10時間も生き延びる方法はとてもとても限られているからだ。
「
「うん、じゃあもっと進むよ……!」