100均ホウキに百合が咲く~最強限界無職女のダンジョン救助配信~   作:羽黒楓

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第39話 一方的蹂躙

「おらぁ! どこの組のもんだ!」

「外国のマフィアか!? どうせ中華だろ! この○○コロ野郎が!」

「ぶっころすぞてめえら!」

 

 小部屋の中から男たちの怒鳴り声が聞こえてきた。

 

 ドローンはトンボほどの大きさなので被弾することなく澄見歌(すみか)のもとへ帰ってきた。

 予備合わせて3台しかないので壊されなかったのは幸いだった。

 

 紅亜(くれあ)はちょっとびびっていた。

 男に怒鳴られると、ブラック飲食店でパワハラされたのを思い出して、身がすくむ。

 

 代わりに澄見歌(すみか)が叫び返す。

 

「組じゃありません! ただの探索者です!」

「ああん? ただの探索者ぁ? てめえドローンで俺たちを攻撃するつもりだっただろうが!」

「偵察用です! ダンジョンの中じゃ火薬は無効化されるでしょう?」

 

 そう。

 そのはずだ。

 だから、紅亜(くれあ)はホウキで戦うし、澄見歌(すみか)はマイク型の剣で戦うのだ。

 ということは、今の銃撃もなにかのスキルか、と紅亜(くれあ)は思った。

 

「ああ? お前ら何人だ!?」

「三人です!」

「全員女か?」

「そうです!」

「よし、じゃあ三人同時に手をあげてこっちに出て来い」

「なぜ? 私たちは聞きたいことがあるだけです。私のレーティングは1860! 戦うならやりますよ!?」

「ああ? ふざけんじゃねえ、聞きたいことがあるのはこっちだ!」

 

 威嚇のつもりなのか、また部屋の中から銃弾が発射される。

 それは青い光の軌跡を残しながらまた壁を破壊した。

 

「ラーーーーーーーーーーーーー!」

 

 澄見歌(すみか)がマイクを握って歌う。

 するとマイクから長さ3メートルはある光を帯びたまっすぐな剣が現れた。

 壁に隠れながら澄見歌(すみか)がその剣を床に叩きつけた。

 床の石材がジュウッ! と音を立てながら溶けるように斬られた。

 

「闘うならやりますよ! だけど、話し合いしませんか?」

「ああ? 俺らの仲間は女にやられたんだ! ……てめえらじゃねえってのか!?」

 

 女!?

 紅亜(くれあ)は乃音(のの)が残した書き置きを思い出す。

 

『女の人に誘拐』

 

 と書かれていた。

 もしかしたら?

 

「おい! 早くお前ら出て来い! 両手をあげてゆっくりとだ!」

 

 男の怒鳴り声。

 澄見歌(すみか)は話し合い、とか言っているけど。

 紅亜(くれあ)は3年間のブラック飲食店勤めで知っていた。

 

 ――こういう奴ら相手に、話し合いなんてできない。

 

 紅亜(くれあ)はホウキとチリトリを握った。

 湯歌(ゆか)が心配そうに小声で聞いてくる。

 

「紅亜(くれあ)さん? なんか目が……すわってますけど?」

「そお? いろいろ思い出しちゃってさ……こうしてやりたかったなって……ね!」

 

「おい! 何をブツブツ言っている! 早く出てこいやこら! ゴミ女ども!」

 

 男の怒鳴り声にもう恐怖は感じなくなってきていた。

 逆に、怒りが湧いてくる。

 こういう、怒鳴れば相手が言うことを聞くと思っている奴らは結局!

 

 紅亜(くれあ)は小部屋の中へ一気に飛び込んだ。

 

 中にいたのは3人の男たち。

 スーツを着た男にラフな格好の男、それに防刃チョッキをきた男。

 

 防刃チョッキの男がサブマシンガンみたいなものを構えている。

 3人とも、首筋から和彫りの入れ墨がちらりと見えていた。

 

「な……! こるぁ! 殺してやるぞ!」

 

 サブマシンガンから魔法の銃弾が打ち出された。

 紅亜(くれあ)はそれをチリトリで正確に防いでいく。

 弾かれた弾丸は壁や天井に埋まった。

 

 紅亜(くれあ)はすさまじい瞬発力で距離を詰めると、ホウキを振り上げ、サブマシンガンを持つ男の腕に一撃を加える。

 ボキィ! という鈍い音とともに男の前腕部分が直角に曲がった。

 

「あがぁぁ!」

 

 そのまま床に倒れこむ防刃チョッキの男はそのままにして、今度はスーツの男に向かう。

 スーツは剣のようなものを持っていたが、男がそれを構えるよりも早く紅亜(くれあ)のホウキが男の腕を叩く。

 またも前腕がボキリと折れた。

 

「てめえ、この野郎!」

 

 ラフな格好の男が拳を握りしめると、その拳が眩しいほどの光を発する。

 

「歯ぁくいしばれやぁぁぁ! うおおおお!」

 

 そして男が紅亜(くれあ)に殴りかかって来た。

 紅亜(くれあ)はヒョイ、とプラスチック製の100均チリトリを顔の前に出す。

 男の拳がチリトリに当たり――バキィ! という音が響いて男の拳は砕かれた。

 

「ぐわぁぁぁ!」

「痛ぇ……痛えよお!」

「腕が……俺の腕がぁ!」

 

 それぞれ悲痛な声を出す男たち。

 紅亜(くれあ)はその前に仁王立ちすると、

 

「いいから私たちの質問に答えなさい。でないと羅生門するよ?」

 

〈うわぁ……〉

〈ミエスタに勝ったんだから、こんなヤクザなんか相手にならんよな〉

〈容赦ないな〉

〈さすがホウキ女〉

〈つえええ!〉

〈お前らは『蜘蛛の糸』だろw 羅生門を脅し文句に使うなよw〉

 

「待て、待て! 話す、話すから!」

 

 ラフな格好の男が、砕かれた拳を押さえながら言った。

 

「さっき言ってた、仲間が女にやられたってのは?」

「俺たちは4人でこのダンジョンに来たんだ。取引のためにだ。ブツはここにはない! お前ら、それが目的だろう?」

「違うよ、興味ない。で、その女ってのは?」

 

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