100均ホウキに百合が咲く~最強限界無職女のダンジョン救助配信~   作:羽黒楓

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第41話 セーラー服

「いったいどういうこと? 乃音(のの)ちゃんのほかにも小学生がこのダンジョンに迷い込んでる……?」

 

 地下4階を進んで行く紅亜(くれあ)たち。

 さっきのヤクザたちは応急手当だけして置いてきた。

 ついでにこっそり位置情報発信機をつけておいて通報しておいたから、地上に戻れば警察が逮捕してくれるだろう。

 

「乃音(のの)ちゃんはきっとまだ生きてる……書き置きがあったんだから間違いないと思う。それで、赤いドレスの女と、それに……もう一人の小学生?」

 

 謎は深まるばかりだ。

 

「澄見歌(すみか)ちゃん、乃音(のの)ちゃんの位置情報わかる?」

「うん……ついさっき、地下6階に降りてる……」

「本当にどういうことなの……? さっきあのヤクザさんが言ってたドレスの女の人と小学生ってのは乃音(のの)ちゃんとは別の探索者ってこと?」

 

〈小学生がダンジョンの中なんて普通入らない〉

〈その小学生も誘拐されてるのか?〉

〈いや、大人と一緒ならその大人が保護者じゃないか〉

〈待て待て、なんの目的で小学生をダンジョンに連れてきてるんだよ〉

〈はっきり言って犯罪目的以外ではありえなくね〉

 

「うーん……」

 

 歩きながらも紅亜(くれあ)は考え込む。

 しかし、考えるにしても情報が足りなすぎる。

 とにかく、紅亜(くれあ)たちの第一目的は乃音(のの)の救出だ。

 

「あ、この先に地下5階への階段があるよ!」

 

 マップアプリを見ていた湯歌(ゆか)が言う。

 

「とにかく、まずは乃音(のの)ちゃんに追いつこう。話はそれからだね」

 

 地下5階への階段。

 そこを降りると、長い通路が広がっていた。

 紅亜(くれあ)がランタン式懐中電灯のスイッチを入れなおす。

 すると、ランタンモードから懐中電灯モードに切り替わり、通路の奥まで光が届いた。

 そこに、そいつはいた。

 

 巨大な蛇だった。

 紅亜(くれあ)たちは腰を落として身構える。

 

「シャーー!」

 

 威嚇の声を上げる大蛇。

 そいつの頭部は軽自動車くらいの大きさをしていて、胴体も直径1・5メートルはあり、長さは10メートル以上もあるように見えた。

 そいつの胴体は通路の天井から壁を伝って床まで這っている。

 感情を感じさせない目が懐中電灯の光を反射していた。

 

〈アナンタ!〉

〈今までのモンスターとレベルが違うぞ〉

〈モンスターレーティングは2500以上!〉

 

 だけど、紅亜(くれあ)の視線はアナンタには向いてなかった。

 その向こうをじっと見つめる。

 なにかが、いる。

 ……いた。

 そこには、セーラー服に似た清楚な制服を着た、ちっちゃな女の子が立っていた。

 黄色い帽子をかぶり、表情のない目で紅亜(くれあ)たちを見ている。

 

「あなたは……?」

 

 紅亜(くれあ)が聞こうとしたその瞬間、アナンタが襲ってきた。

 

 巨大な口をあけ、鋭い牙を見せて、

 

「シャーーーッ!」

 

 と紅亜(くれあ)に向かって一直線に噛みついてくる。

 

「えいっ!」

 

 その攻撃を紅亜(くれあ)はチリトリで払いのけた。

 

「ギシャッ!」

 

 チリトリでぶん殴られた大蛇の首が壁に叩きつけられる。

 しかし、その程度では死なず、また鎌首をもたげるアナンタ。

 それにかまわず、紅亜(くれあ)は叫んだ。

 

「………………誰!? 乃音(のの)ちゃん!?」

 

 その質問に、女の子は悲しそうに首を振る。

 そして、ちょいちょい、と紅亜(くれあ)たちを呼ぶように指を動かし、くるりと後ろを向くと歩き始めた。

 

「待って!」

 

 再び猛スピードで襲い来る大蛇の頭をホウキで思いっきりぶっ叩く。

 

「ギチギチギチ……」

 

 アナンタは脳を粉砕され、妙な声を出して動きを止めた。

 

〈おいおい片手間にアナンタを殺したぞ〉

〈ほんとやばいな〉

〈人類最高峰の力だこれ〉

〈ってか小学生いるじゃん!〉

〈あれが探している女の子か?〉

 

 女の子の背中は、懐中電灯の光の届かないところへとすぅっと消えていく。

 

「待って! 追いかけるよ! 走って!」

 

 紅亜(くれあ)たちはアナンタの死骸を踏み越えて走り出す。

 

 しかし、もうどこにも女の子の姿は見えなくなっていた。

 

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