100均ホウキに百合が咲く~最強限界無職女のダンジョン救助配信~ 作:羽黒楓
真っ黒な毛色の狼は、時折振り向いて立ち止まり、
いくつもの隠し扉、人が一人やっと通れるような通路。
そしてたどりついたのは大きな広間。
天井の高さが5メートルはある場所。
真っ暗でわからなかったが、その広間の壁の一部は、天井まで届いていなかった。
つまりその場所だけ、中二階のようなつくりになっているようだった。
狼が大きくジャンプし、壁の上に立つ。
そしてクイクイと顎を動かした。
「ダンジョンなのにロフトがあるんだ……。あそこに来いってことみたいだね」
「2メートルはあるよ……あんなとこまでジャンプできないよ……」
「大丈夫。私が下から押し出すよ。まず
「押し出すってどうやって?」
「ほら、こういうこと。ここに足を乗せて」
「一、二の三で行くからね!」
「うん!」
「一、二の、三!」
それに合わせて
「うう~きっつい……」
と言いながらよじ登った。
「じゃあ次、
アクロバティックなやり方だったが、
なかなか勇気のある子だよね、と
なにしろ、小学生なのに一人でダンジョンに突入するような子なのだ。
それほど母親を助けたいという思いが強いのかもしれない。
最後に、後ろから
こうして四人はなんとか壁の上にたどりついた。
その上は十畳間くらいの大きさの空間になっていて、そこに下層階へと続く下り階段があった。
「うわー……こんなの、私たちだけじゃ絶対見つけられなかった……」
「この下の地下七階も、複雑なつくりしてるんだろうね。ほんとに、三か月じゃ探索しきれなかったところかも」
その予想通り、地下七階のつくりもかなり難解で、案内なしではまともに先へ進めそうにはなかった。
大量のドローンを投入していたとしても、隠し扉は発見できないだろうし、狼が予想外の進路を取るたびに、
★
その頃。
アンティアを探し回っていた夏子は、ついに目的の人物を探し当てていた。
そいつは、地下八階のとある場所で、いつものようにガニ股でしゃがみこみ、二匹いる狼の頭を撫でながらスリムタイプのタバコをくゆらせていた。
「チッ。よくここがわかったな」
「探し回ったわよ。……あんた、昭和の不良学生みたいに見えるわよ。タバコは健康に悪いわ。やめなさい」
「ふん、そうか、お前は昭和の人間だったな。いいんだよ、ダンジョンの中じゃヒマすぎてタバコくらいしか楽しみがないんだ」
「老けるわよ」
「サンジーヴァニで若返るから大丈夫さ」
「まあ、そのタバコの臭いでこの場所がわかったから別にいいけどね」
「チッ、そうかい。で、お前は私の監視役ってわけかい」
「その通りよ。
「そりゃそうさ。ラクシャーサにはあのホウキ女と同時に攻撃するつもりだからな。近くにいないとな」
夏子は黄色い帽子のツバをクイッとあげてアンティアを見る。
「少し、あなたと話がしたいわ」